Mar. 24 〜 Mar. 30 2008




” アメリカン・マリッジ ”



今週のアメリカでは、メジャー・リーグの開幕や、サルコジ大統領訪英、ニューヨークに引き続き フロリダでも起こった 工事用クレーン車落下事故のニュースなど、様々なニュースが報じられていたけれど、 ニューヨークのローカル・メディアで大きく報じられていたのが、エリオット・スピッツァー前州知事が関わっていた 2つ目の高級売春クラブが摘発されたというニュース。 アッパー・イーストサイドのレジデンシャル・ビルディングの中で運営されていたこの売春組織は、 ウォールストリートの金融リッチを中心に恐らく アメリカで最大といわれる顧客リストを持ち、 1時間当たり1000ドルを超える高額フィーを請求していたとのことで、2週間前に買春スキャンダルがきっかけで 辞職に追い込まれたニューヨーク州前知事、エリオット・スピッツァーの名前が、 ここでもまた顧客名簿に載っていたことが新聞の大見出しになっていたのだった。
また、スピッツアー氏に代わってニューヨーク州知事に就任したデヴィッド・パターソン知事も 就任式を終えた数時間後には、過去の不倫スキャンダルが浮上してきており、 当初 パターソン知事は 「結婚生活が上手く行っていなかった時期に、 選挙資金などは 一切使わずに 自費でした浮気であり、あくまでプライベートな問題」として、 「どんな結婚にも難しい時期はあるもの」と説明していたのだった。 それでも ”結婚生活の難しい時期” であった3年間に、3人の女性と関係するという 独身男性並みのハイ・ペースであったことが報じられ、 密会に使われたホテル代や、不倫相手に贈った花の代金が 選挙資金や、ビジネス・エクスペンスから支払われていた疑いも浮上しており、 「知事は替わっても 私生活でやっている事には大差が無い」 という印象をニューヨーカーに与えていたりする。

立て続けの買春、不倫スキャンダル報道で 多くの 特に既婚女性が 結婚生活の難しさを実感していると言われる昨今であるけれど、 実際 アメリカでは既婚の2000万カップルが、セックスレス、もしくはセックスレスに等しい状態であるという。 しかし、セックスレス夫婦の夫側が必ずしもセックスレス・ライフを送っているとは限らないようで、 アメリカのセックスレス夫婦の実態を描いた 「He's Just Not Up For It Anymore」という書物 によれば、 「妻以外の女性とならセックスをする」とアンケートに答えた夫は48%、「不倫をしている」 と応えた 夫は20%というデータが得られているという。
また、夫が妻とのセックスをしなくなる理由としては、 「妻がセックスに対して積極的でない」、「楽しんでいない」、「セックスが退屈になった」、「妻が太ってしまった」、 「オンライン・ポルノの方がマシ」、「忙しすぎる / 疲れている」 というものが上位に挙げられている。

その一方で、今週、Foxニュースで報じられたのが長続きする結婚の条件。
それによれば、妻が若く、美しく、夫のルックスが妻より劣る結婚が長続きするのだそうで、 その逆は 結婚が全く長続きしないのだという。 これは 男性にとって 異性に対するアトラクションの重要な部分をルックスが占めているのに対して、 女性側 は外観に関しては極めて 寛容であるため というのがその理由として説明されていたのだった。
でもこの報道はニュース番組の中の小さなセグメントで時間が無かったためか、 男性側のアトラクションは説明されていても、女性側のアトラクションが説明されていない片手落ちのもの。
また、男性の中には 常に若く、美しい女性を求めるが故に離婚する人も少なくない訳で、 酷い分析だなぁ・・・と思いながら観ていたのだった。

それよりも興味深い調査結果を出していたのが、エル・マガジンに掲載されていた 「お金、セックス、愛情に関する調査」の記事。
これはエル誌と、ケーブル・ビジネス・チャンネルの MSNBCが 共同で そのウェブサイトで行ったアンケートを纏めたもので、 調査対象となったのは男女7万3908人。この男女比は女性が40%、男性が60%、平均年齢は女性が38歳、男性が44歳。 平均年収は 女性が約450万円、男性が750万円であったという。
これによると、お金が原因で頻繁に喧嘩をするカップル、 生活を切り詰めている男女ほどセックスの回数が少ないという 結果が得られており、 更にお金に関するストレスを抱えてる男性のうちの3人に1人、女性の27%が カップルの関係にも問題を抱えているという。
では、お金があればカップル間の問題が無いかと言えばそうでもないようで、 「高額の収入を得ている男性ほど浮気をする」、「衝動的に高額なショッピングをする男性の方が、計画的に物を購入する男性よりも 浮気をする傾向にある」といったデータが得られている。 高額な給与を得ている女性は、夫やパートナーの収入が500万円以下の場合、カップルの関係も、セックス・ライフも 上手く行かなくなるという。
これらの男性より稼ぐ女性のうちの16%は、「男性の方が自分より稼いでいるべき」と考えているそうで、 逆に生活を夫やパートナーの稼ぎに依存している女性のうちの 4人に1人は 「もしお金があったら別れたい」と考え、 6人に1人は 「自分の稼ぎがもう少し多かったら、夫やパートナーに対する 力関係が もっと強くなるのに・・・」と感じているという。
男性よりも稼ぎが多い女性は、服やシューズなどを自分の収入から購入する傾向が強いといわれるけれど、 「ショッピングによってストレスを解消している」 と答えた女性が50%であったのに対して、男性はその半分の25%。
そのショッピングに関しては、23%の女性が購入したもの(主に洋服) を 夫やパートナーに隠す と答え、 23%がその値段をわざと低く言う傾向があるという。
すなわち、お金はカップル間の力関係を示しているものの、あっても、無くても、 また 男性、女性のどちらがより多く稼いでいても それなりの問題をもたらすようである。

デートに関しては、男女平等意識がかなり浸透してきており、57%の女性がデートの食事代等の支払いを申し出るとのことで、 半数近くの男性が 「常に自分にばかり払わせる女性とはデートをしなくなる」 と答えているという。 興味深いのは、キャリア・ウーマンの母親を持つ男性の方がデートの支払いの平等意識が強い点で、 女性がデート代をシェアするべき と考えている割合は67%。これに対して母親が主婦だった男性は、61%という結果が得られているという。


さらに、昨年7月にニューヨーク・タイムズに掲載された記事によれば、かつては 「Seven-year itch / セブン・イヤー・イッチ(7年目の浮気)」という 映画のタイトルにもあったように、結婚生活に問題が生じてくるのに7年掛かっていたところが、 昨今では3年になっているそうで、この記事の調査では、結婚後3年以下のカップルと、4〜6年のカップルに分けて調査をしたところ、 3年以下のカップルの方が遥かに幸福度が高かったという。
現在、離婚に及ぶカップルの結婚年数の平均は6〜7年だそうで、殆どのカップルが比較的幸福な3年間と、 不服や不満が募る3年間を過ごした後に離婚に及んでいるとのことである。

こうした結婚に関する様々なデータを見ていて、ふと思い出したのが 私が未だ雑誌社でエディターをしていた90年代初頭に発表された シングルと既婚者のセックス・ライフ比較の報道。 この当時は、年間のセックスの平均回数が、シングルよりも既婚者の方が10回ほど多いというデータが得られており、 これを既婚者だった私の女性上司に話したところ 「結婚していたら、相手が毎晩隣に居るんだから、(シングルよりセックスの回数が多いのは)当然よ!」 と語っていたのを今でもはっきり覚えていたりする。
それが10年も経たないうちにセックスレス夫婦時代に突入してしまった訳だけれど、その間に世の中を変える 何が起こったか?と言えば インターネットと携帯電話の普及である。
インターネット、Eメールが広く、多用途で使われるようになり、携帯電話、携帯端末機が普及した時代が何をもたらしたかと言えば、 ありとあらゆる分野でのスピードアップと競争の激化で、 24時間様々なデータがインターネット上で行き交う時代になってからというもの、 仕事に追いかけられている状況も 24時間体制になり、バケーション中でもEメールをチェックしなければならない人々が 多くなったのは周知の事実。
その結果、「以前より長い時間 働いている」、「仕事に縛られている」という意識を持つ人々は多く、 テクノ・ストレスや競争からのプレッシャーが、一家団欒や夫婦の時間を短くする一方で、 精神的、肉体的疲労を高めていることが指摘されて久しい状況なのである。
またインターネットは、男性がポルノにアクセスするのにビデオをレンタルする必要さえも無くしてしまった上に、 出会い系サイトを使えば浮気相手を探すのには何の苦労も要らない時代。 また携帯電話は自宅やオフィスの電話を使わずに浮気相手と問題なく連絡を取ることを可能にした反面、 常に連絡が取り合える状況というのが、時に夫婦関係にトラブルをもたらすことも指摘されているのである。
その結果、結婚生活に嫌気や問題が生じるスピードも速まって、かつては7年掛かっていたところが、 今では3年になってしまった と言われる訳だけれど、エル誌とMSNBCの調査にもあったように、 十分な収入を得ていない女性にとっては、夫の収入が 離婚しない理由 になっている例は多いようである。 それが証拠に、アメリカで宝くじに当たった夫婦の多くが離婚をしているそうで、 何億円もの賞金の半分を貰って、結婚生活から開放されることを望む妻は多いという。
Foxニュースの報道で、男性が女性に求めるのは若さとルックスとあったけれど、女性が男性に求めるのは、 収入(財産)や社会的地位という歴史的な図式はやはり否定できない訳である。

でも、男性と女性がお互いに求めるものだけを追求している結婚というのは、やはり離婚に至るもの。
私の知人は、もう数年前に41歳にして インドネシアからデザインの勉強のためにNYで留学していた20歳も年下の美女と結婚したけれど、 彼女は友人に 「(夫が)もっとお金持ちだと思って結婚したのに・・・」とこぼしていたそうで、 案の定、グリーンカードを取得した直後に もっとリッチな男性に乗り換えてしまったという。
その逆の、夫側がもっと若い女性に乗り換えるための離婚というのも 全く珍しくない話で、 お金やルックスだけを求めている場合、もっとリッチな男性、もっと若い美人が出てくれば、それが離婚の原因になる訳である。

その一方で、現在のアメリカは年々結婚する人々の数が減り続けているとのことで、1950年代には21歳〜54歳の80%が結婚していたのに対して、 2005年にはその数が60%を切っているという。
またシングル・ウーマンの数も増え続ける一途を辿っているけれど、この理由も 女性のキャリアが確立されて、婚期が遅れていると同時に、離婚した女性が再婚しなくなっている傾向が指摘されている。 アメリカの場合、この大きな理由は 離婚した女性が 夫から受け取る扶養手当で、 これは女性が再婚してしまえば 支払われなくなるもの。
したがって離婚した女性は、扶養手当を自分の収入として受け取り、新しく出会った男性とは 交際を続けても再婚はせずに、 経済的な自立と自由を謳歌するというケースが圧倒的に多いのだという。

ところで、今もシングルを続けている私は 未だに時々 「どうして結婚しないの?」 という質問を受けることがあるけれど、 結婚している人にこの質問された場合、あまりに正直に沢山の理由を列挙すると失礼に当たるかと思うので、 シンプルに 「Because I'm difficult (私、難しいから・・・)」 と答えるようにしている。 この答えは それ以上の余計な突っ込みをされないので、意外に便利なのである。
でも、私の本音を言えば、”私” 以上に難しい と思えるのが ”結婚生活” な訳で、 それを 幸せに 続けている人達のことは 嫌味でも皮肉でもなく、心から尊敬に値すると思っているのである。





Catch of the Week No. 4 Mar. : 3 月 第 4 週


Catch of the Week No. 3 Mar. : 3 月 第 3 週


Catch of the Week No. 2 Mar. : 3 月 第 2 週


Catch of the Week No. 1 Mar. : 3 月 第 1 週






執筆者プロフィール

秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。
丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、1989年渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.設立。以来、同社代表を務める。