Mar. 29 〜 Apr. 4 2010




” Still, Nothing's Bigger Than Tiger ”


今週末のアメリカはイースターのホリデイ。
それと同時に、大雨だった先週末とは打って変わっての素晴らしい好天に恵まれたけれど、 ニュージャージーの一部やロードアイランド州では先週末の雨による洪水の水が未だに引かず、 オバマ大統領はニュージャージーの12のエリアに対して連邦災害補助を支給することを明らかにしているのだった
これらのエリアは町中が池のようになっている状態で、これから暖かい季節を迎えるに際して、蚊の大量発生も懸念されているのだった。

さて、イースター・サンデー前の土曜に、世界に先駆けてアメリカで発売になったのが、アップルの最新プロダクト、アイパッド。
5番街にあるアップル・ストアには、火曜日からこのアイパッドをいち早く手に入れようという人々が並び始めていたというけれど、 世界一斉発売が今月末とあって、行列している人々の中には中国やスペインなど諸外国からの旅行者も多数混ざっていたことが指摘されているのだった。 アイ・パッドは、既にマーケットに登場して人気を博しているデジタル・ブック・ガジェットに新聞・雑誌の定期購読、ビデオ&DVD閲覧、ゲーム・プレイなどの多機能を備えているけれど、 一部では「アイタッチのサイズを4倍にしただけ」といった指摘も聞かれるもの。
この日発売されたのは、最も安価な499ドルのアイパッドで、今月中には3Gネットワーク対応の829ドルのモデルが登場することになっているのだった。
今週末だけで30万台の売り上げが見込まれているアイパッドは、年内には500万台、そして2011年にはその数が2倍になるという 強気の売り上げ見込みが提示されているけれど、その話題性で真っ先に飛びつく人々が居る一方で、 バグを心配したり、アイフォン同様、少し待っている間に価格が下がるのでは?といった理由で買い控えをしている人々も多いことが指摘されていたりする。
初日に購入した人々は一様に大満足のリアクションを見せていたものの、カメラ機能が無いこと、未だYouTubeに対応していないこと、キーボードが真平らで 打ち難いといった問題も同時に指摘されていたのだった。
発売当日には既にオークション・サイトのEベイでアイパッドが売りに出されており、その価格は売値の2倍弱である910ドル。
ちなみに私は今日、早速 入手した友人に実物を見せてもらったけれど、いかにもアップルらしいモダンでシンプルなルックスのガジェットで、 巨大なアイフォンか、アイタッチという感じであったけれど、ざっと用途を説明してもらった印象では、私のライフスタイルには あまり必要性が感じられなかったもの。 そもそも重さ680グラムのガジェットを その他の荷物と一緒に持ち歩くというのは、私にとっては考えられないことなのである。
でも彼がデモンストレーションをしてくれている間に、何人もの人達が見に来たので、彼にとって ”チック・マグネット”(女性を引き付けるもの) の用途は 果たしてくれそうな気配なのだった。

さて 週末に報じられて、表面的には 明るいニュースとして捉えられていたのが、3月にアメリカ国内で16万2000の雇用が生み出されたという報道。 この結果、アメリカの失業率が低下したか?と言えば、そうでもなくて、失業率は今も 9.7%と横這い。
見方を変えれば、16万2000もの仕事が生み出されても、失業率がアップしないほど、アメリカの雇用問題が深刻であることを証明していることになるけれど、 この16万2000の雇用のうちの3分の1が、2010年のセンサス(国勢調査)のための聞き取り調査員という期間限定の雇用で、 数ヵ月後には無くなると分かっている雇用であることも指摘されているのだった。
アメリカは現在、10年に1度行われる国勢調査の真っ最中。この調査結果をもとに、政府のバジェットが各州に振り分けられるとあって、 各地方自治体は正しい数字の把握、不法移民を含む全てのアメリカ居住者がセンサスに協力するよう 呼びかけているけれど、 やはり不法移民はセンサスに協力したことで、違法滞在がバレて 強制出国させられることを恐れる傾向にあるという。
今回の国勢調査は、私がアメリカに来てから2度目のものであるけれど、前回よりもずっと力が入っていると感じられるのは、 まずTVを見ていると1日に何度となくセンサスのCMが放映されること。加えて調査票が送付される前に、「もうすぐセンサスの調査票を送付しますので ご協力ください」というアナウンスメント・レターが届き、実際に調査票が送付された後にも、「調査票を記入して、送付してください」という ポスト・カードが届くという しつこさ。
記入については、いたって簡単でメディアでは5分程度の所要時間と報じているけれど、私のようにシングルで1人暮らしだとその所要時間は2分程度。 記入するのは名前、生年月日、人種、一緒に暮らしている家族と、その名前、年齢であるけれど、今回の調査では人種の記入がより細分化されていて、 かつては、東南アジアではないアジア人程度にしか分けられていなかった アジア人種が、今回はチャイニーズ、ジャパニーズ、コリアンというように 国籍別にチェック・ボックスが設けられていたのだった。
もし 国勢調査票を期限までに返送しなかった場合、国勢調査員が1軒1軒の家を回って、このデータを集めることになるけれど、 今月アメリカで雇用が増えた要因となったのが、この国勢調査員。
でも見知らぬ人々を訪ねて調査に協力してもらうというのはそれほど簡単ではないようで、特に調査に協力をしない人々というのは 不法移民だったり、貧しくて国勢調査などに関心を払っていられない人々、国勢調査を何らかの捜査だと疑って掛かるような人々が多く、 調査員に対して酷い扱いをすることが珍しくないのが実情。なので、過去の例では調査員は数日仕事をこなした後、辞めてしまう、仕事に現れなくなる、 というケースが非常に多いという。
とは言っても、アメリカで過去にこれほどまでに失業問題が深刻であったことも無いので、今年の場合は調査員が長続きするのでは?という憶測も聞かれているのだった。

ところで、スポーツの世界ではいよいよメジャーリーグが開幕し、ゴルフの世界ではマスターズでタイガー・ウッズが 不倫スキャンダル発覚から4ヶ月後のカムバックを控えているけれど、一部のゴルフ・グッズ店では タイガー・ブランドのゴルフウェアの売り上げが伸びていることが伝えられている一方で、 今回のマスターズ・トーナメントは、スーパーボウルの半分に当たる5000万人の視聴者がチャンネルを合わせるであろうという 予測さえ聞かれているのだった。
オーガスタで行われる同トーナメントのチケットは、今やプレミアムが付いてゴルフの観戦チケットとしては破格の5000ドル(約47万2000円)にまで 跳ね上がっているとのこと。またスポーツ・ギャンブルのウェブサイトでは、マスターズでのタイガー・ウッズの勝利に賭ける人々が圧倒的に多いことが伝えられているのだった。
タイガー・ウッズがカムバックに際してマスターズを選んだのは、クラブ・ハウス内にメディアが立ち入り出来ない唯一のトーナメントであるのに加えて、 ギャラリーはカメラはもちろんのこと、携帯電話を持つことさえ許されないという厳しいルールのトーナメントであるため。
主催者側では、今回のタイガー・カムバックのインパクトを受けて、元FBI捜査官を20人を雇い、ギャラリーに混じって潜入させることにより、 違法な撮影や、タイガーに対する不適切な野次を未然に防ぐことを明らかにしており、 セキュリティも非常にタイトになることが既に報じられているのだった。

そのマスターズを1週間後に控えた今週は、ヴァニティ・フェア誌がタイガーの愛人達をフィーチャーしたグラビアと共に、 「タイガーが複数の女性と関係するライフスタイルを楽しむようになったのは既に引退したNBAスーパースター、マイケル・ジョーダンとチャールズ・バークレーの 悪影響だ」という内容の記事を大々的に掲載。 その一方で、「タイガー・ウッズが子供の頃、人種差別の虐待を受けたとするエピソードは、タイガーがでっち上げたウソだ」として、 プレス・カンファレンスを行ったのが、タイガーの元幼稚園の先生、モーリーン・デッカー。(写真左)
この人種差別の虐待エピソードは、タイガーがプロとしてデビューしたばかりの1997年から頻繁にメディアで報じられていたと同時に、 タイガー自身もインタビューでも語っていたもの。その内容は タイガーが初めて幼稚園に通った日に、数人の小学生に襲われ、木に縛り付けられて、石を投げられ、 スプレー・ペイントで、俗に”Nワード” と呼ばれる黒人に対する差別用語を書かれたけれど、先生は決して助けてくれなかった というもの。
今週、これを事実無根のウソとして名乗り出たモーリーン・デッカーの証言の正当性は、当時の幼稚園の園長によっても裏付けられており、 彼女はもう何年も前から この自分にとって不名誉なウソのエピソードを撤回させようと、何度もタイガー側にコンタクトを取り続けていたという。
もちろん、これが不倫スキャンダル発覚前であったら、タイガーの完璧なまでにクリーンなイメージや、数多くのスポンサー企業の利益を考慮して メディアも取り扱わなかったであろうネタであるけれど、タイガーのウソで固めた私生活が明らかになった今では、 それくらいの事をでっち上げても不思議ではないという印象を与えているのは紛れも無い事実なのである。
またメディアのタイガーに対する報道姿勢も変わりつつあるのが実情で、これまでのタイガーに対する特別扱いは もはや過去の話。 タイガー・ウッズが、自宅前の自動車事故に始まる 今回の不倫スキャンダルを通じて、これまで彼に好意的であったメディアに対して  ことごとく誠意の無い対応をしてきたことは、メディア関係者でなくとも認めるところ。
それだけに、今後はタイガーに対して不適切ではないとしても、容赦無いメディアの報道体制が見込まれているのだった。

さて、タイガー・ウッズの不倫を語る際に、欠かせない要素となっていたのが彼が愛人達に送っていた生々しいテキスト・メッセージ(携帯メール)。
愛人達は、彼女らとタイガーとの関係を立証する証拠としてタイガーから送付されてきたテキスト・メッセージをメディアに公開しており、 これがタイガーの更なるイメージ・ダウンに繋がったのは言うまでも無いこと。
これによって、愛人にテキスト・メッセージを送付する恐ろしさを思い知った男性は多かったと言われるけれど、 そんな男性達のニーズに応えるがごとく、もうすぐアイポッドやブラック・ベリーのアプリケーションに加わろうとしているのが、 その名も ”タイガー・テックス (テックスはテキスト・メッセージの略称)”。
このアプリケーションを使うと、送付した携帯メールを相手が読んだ途端に、そのメール本体と着信記録が自動的に消滅するため、 携帯メールが送られた形跡が全く残らないというもの。
このアプリケーションの開発側は、同機能が愛人への不倫メッセージのためではなく、ビジネス上のオフレコのコミュニケーションなどで 使用されるようにクリエイトしたことを強調。また ”タイガー・テックス” というネーミングについても、 タイガー・ウッズのことではなく、「トラはその足取りを掴むのが難しい動物であるために付けたもの」と説明して、 タイガー側からの訴訟が起こらないよう、予防線を張っているのだった。

ところで、現在のアメリカでタイガー・ウッズと同じくらい悪人扱いされているのが、サンドラ・ブロックの夫、ジェシー・ジェームス。
サンドラのオスカー受賞後に発覚した彼の不倫は、その後、愛人の数が増え続け、第2のタイガーになりつつあるけれど、 そんな彼もタイガー同様に セックス中毒を治療するためのリハビリ入りをしたものの、それを途中で止めて出て来たことが報じられているのだった。
セックス中毒と言えば、過去には俳優のデヴィッド・デュカブニーや、ハリー・ベリーの元夫でミュージシャンのエリック・べネーなどが その症状でリハビリ入りしていたけれど、アメリカでは昨今の相次ぐ不倫スキャンダルのためか、 「セックス中毒は単なる不倫の言い訳。 そんな症状は医学的に存在しない」という意見が世論の大半を占めているのだった。
オスカーのスピーチで夫に涙ながらに感謝した直後に、不倫スキャンダルが発覚したサンドラ・ブロックは 直ぐに自宅を出ただけでなく、 既に離婚の準備をしていることが伝えられており、サンドラとジェシー・ジェームスは 通称プリナップと呼ばれるプリナプチャル・アグリーメント、 すなわち離婚後の財産の分配の協約書にサインしていたことから、離婚が極めてスムースに行えることが指摘されているのだった。
同じ夫の病的な不倫で傷ついた妻の立場でも、サンドラ・ブロックの方が遥かに早く離婚に踏み切れる要因と指摘されるのは、 やはり彼女には年間何億円も稼ぎ出すだけのキャリアがあるため。
一方のタイガー・ウッズ夫人であるエリンについては、マスターズが行われるオーガスタには姿を見せないという噂が濃厚であるものの、 離婚に踏み切る様子は今のところ無く、週末には フロリダで タイガーの友人であるプロテニス・プレーヤー、ロジャー・フェデラー夫妻と一緒に過ごしているところをスナップされていたのだった。(写真右)

マスターズの開催期間中には、メディアの報道がタイガー 1色になることが見込まれているけれど、 そのタイガーの愛人No.1 であり、最も 際どいタイガーの秘密を握っていると言われながら、 メディアに対して一切 口を開いていないレイチェル・ユテカーについては、タイガーからその口止め料として 何と$10ミリオン(約9.4億円)が 支払われたことが伝えられているのだった。 ちなみにこの金額は当初見込まれた2倍の額であり、彼女はタイガーの不倫騒動で最も得をしたと言われる存在。
まさに ”Silence Is Golden / 沈黙は金 ” なのである。





Catch of the Week No. 4 Mar. : 3月 第 4 週


Catch of the Week No. 3 Mar. : 3月 第 3 週


Catch of the Week No. 2 Mar. : 3月 第 2 週


Catch of the Week No. 1 Mar. : 3月 第 1 週





執筆者プロフィール

秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。
丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、1989年渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。





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