Mar. 26 〜 Apr. 1, 2012

” What a Waste of Money! ”

今週のアメリカで、先週に引き続き大きく報じられていたのが、2月26日にフロリダ住宅街の警備、ジョージ・ジマーマン(写真上、左から2番目)によって、 正当防衛を理由に射殺されたティーンエイジャー、トレイヴォン・マーティン(写真上、右から2番目)の事件
ジョージ・ジマーマンの正当防衛を認めて、現時点で彼を逮捕していない現地警察が今週明らかにしたのが トレイヴォン・マーティンが事件の前に、マリファナを所持していたことを理由に学校側から謹慎処分を受けていたということ。 加えて、警察が到着した時点でジマーマンは、鼻骨が折れて、後頭部から出血していたとのことで、 警察、及びジマーマンの弁護士、家族は彼の正当防衛を改めて訴えていたのだった。
しかしながら、週半ばにはジョージ・ジマーマンが2005年に、警官と争いになり逮捕された犯歴があること、 彼が重犯罪で逮捕されたものの、何故かその罪が軽犯罪に軽減され、アンガー・マネージメント・クラス(怒りを自己コントロールするためのクラス)を 数時間受けただけで、刑期を逃れたことが明らかになっているのだった。 ちなみに、もしこの逮捕時の罪が軽減されていなかった場合、重犯罪者は武器の所持が許可されないだけでなく、 警備の仕事につくことも出来ないはずなのだった。
加えて今週、現地警察は情報公開法に基づいて、 事件後ジマーマンが警察に連行された際のビデオを公開したけれど、 その映像に映ったジマーマンに 鼻骨が折れた様子や、後頭部の出血が見られなかったことから、世論はさらに現地警察に対する不信感を高めているのだった。 これを受けて警察側は「ビデオの映像が不鮮明なので、ジマーマンの怪我が映っていないだけ」、 「ジマーマンは連行中に車の中で手当てを受けていた」と説明しているものの、 葬儀のためにトレイヴォン・マーティンの遺体を棺桶に収めた業者は、彼の指やこぶしには一切暴力を振るった後が無かったことを証言しており、 ジマーマンの逮捕を求める運動は、さらに大きくなっているのだった。

この問題がアメリカの特に黒人層の怒りを買っているのは、もし撃たれたのが武器を持たない白人ティーンエイジャーで、 射殺したのが黒人の警備であったら、射殺した側が確実に逮捕されているはずということ。 加えて、警察が射殺された被害者よりも、射殺した側を必死にかばっていることなのだった。
さらに問題視され始めているのは、事件が起こったフロリダ州を始め、全米のいくつもの州で 居住区において 「身の危険を感じた」という理由だけで 発砲した場合でも、 正当防衛と見なされる法律が存在していること。 なので、ジマーマンの家族や弁護士は 彼が発砲したのは、トレヴォン・マーティンとの格闘中に、「殺してやる」と脅されたためと 説明しているけれど、この法律は 外見が怪しい、もしくは見慣れない人間ならば、射殺しても正当防衛と見なされるという危険をはらんでいるもの。
この非常識とも言える法律が成立してしまう背景には、アメリカン・ライフル・アソシエーションの強力なロビーングがあり、 アメリカの銃規制が一向に進まない理由もまたここにあるのだった。



それ以外に今週大きく報じられたニュースの1つは、3月27日火曜日にニューヨークからラスヴェガスに向かうジェット・ブルー機内で、 機長のクレイトン・オスボン(49歳)が突如錯乱し、テキサスのアマリロ空港に緊急着陸を余儀なくされたという事件。 副機長によってコックピットから追い出されたオスボンは、イラクや9・11のテロについて訳の分からないことを口走るなど、 精神的に混乱していたことが伝えられていたけれど、ジェット・ブルーのCEOは後にメディアに対して、 オスボンの奇行は健康上の問題と説明しているのだった。
アメリカのメディアでは、パイロットの精神錯乱が原因で事故となるケースは極めて稀と報じており、事実 過去に起こった同様の事件は僅か4件。その最も古い事件、すなわち機長による精神錯乱の史上初のケースとして挙げられていたのが、当時の日本で「逆噴射」という 流行語を生み出した 1982年のジャパン・エアライン(JAL)の片桐機長のケース。この時は24人の死者が出ているのだった。

そしてもう1つ、今週のメディアの報道が集中したのが、史上最高額である$640ミリオン(約530億円)の賞金が懸かった アメリカの宝くじ、”メガ・ミリオン”。
メガ・ミリオンは、1〜56の中から5つ番号を選ぶほかに、メガ・ボール・ナンバーを1〜46の中から1つ選ぶというもので、 全ての番号を当てれば、その時点で懸かっている賞金を手にすることが出来、メガ・ボール・ナンバー以外の5つの番号を 当てた場合は、2等ということで一律$2万5千ドル(約2100万円)が支払われるというシステム。 でも1等が出ない場合、賞金は次の回に繰越になるので、勝者が出なければ、賞金がどんどん膨れ上がるシステムになっているのだった。
メガ・ミリオンは、1プレーが1ドルというお値段。週に2回、火曜日と金曜日に 当選番号が発表になるけれど、今週火曜日に勝者が出なかったことから、 金曜の賞金が 史上初めて $ハーフ・ビリオンを上回り、アメリカ中がロッタリー(宝くじ)・フィーバーになっていたのだった。
メガ・ボール・ナンバーを含む当選番号を全て当てた場合、税引き後でも 勝者は$324ミリオン(約268億円)を手にするとあって、 「これまで宝くじを買ったことが無い」という人までもが、何十分も行列してチケットを買う様子が見られていたほど。
実際に金曜の宝くじのチケットは、全米で15億枚が売れたというから、その売り上げは15億ドル(約1240億円)に上っているのだった。 そうして金曜午後11時に発表された当選番号は、2、4、23、38、46、メガ・ボール・ナンバーが23で、 イリノイ州、メリーランド州、カンサス州でそれぞれ1人ずつ1等の勝者が出ていることが明らかになっているのだった。


3人勝者が出た場合は、賞金も3等分になるけれど、それでも1人の勝者が獲得するのは税引き後で$100ミリオン以上の大金。
とは言っても アメリカには「ロッタリー・カース」、つまり「宝くじの呪い」と言われるジンクスがあって、 宝くじの勝者は破産を申請するケースが非常に多いのが実情。 その理由は、突如大金を手にしたのがきっかけで人生が狂い始めてしまうためで、 自らギャンブルやドラッグで使い果たしてしまう例もあれば、ビジネスを経営している勝者の場合、何かと訴訟に巻き込まれたり、 友人や親戚に借金や投資をせがまれて、そのお金が返ってこない、もしくは次から次へと借金や投資を頼まれ、 拒めば家族や友人から村八分扱いされるケースが非常に多いとのこと。
また最悪のケースでは遺産目当てに、実の弟に殺されそうになったというエピソードまであるのだった。

なので、突如大金を手にするというのは、持たない者が夢見るほど良いことではなかったりするけれど、 リッチ層がどんどんリッチになって、中流階級以下がどんどん貧しくなる現在のアメリカでは、 宝くじは「最後のアメリカン・ドリーム」とさえも言われるもの。
本来の「アメリカン・ドリーム」はハード・ワークでリッチになることを指していたけれど、 今では、さほど収入が無い人々が 必死で宝くじを買う状況が「アメリカン・ドリーム」になりつつあるのだった。 宝くじを毎週のように買う人々は、年収の9%を宝くじに費やしているとのことで、 今回のメガ・ミリオンでも500ドル、もしくは1000ドル近くのチケットを買った人がTVのインタビューに登場していたほど。
こうした人々は、一度でも小額を当ててしまうと、どんどん様々な種類の宝くじも買うようになるとのことで、 ギャンブルと同じように はまって行ってしまうという。しかしながらメガミリオンの場合、一等に当選する確率は1億7600万分の1とのことで、 その勝算は極めてゼロに近いと言わなければならないのだった。




年収の9%を、ただの紙切れになってしまう宝くじのチケットに費やすなんて 「何というお金の無駄!」 と思えてしまうけれど、こうした無駄は誰もが 様々な形で 何の疑問も抱かずに行なっていること。
例えば、リセッション前のニューヨークのレストランでは、水道水ではなく、 デザイナーズ・ウォーターをオーダーするのが当たり前だったので、 店で購入すれば 1ダースが33ドルの トスカーナのウォーター、アクア・パンナのボトル1本に 8〜12ドルも支払っていたのだった。
実際のところ、リセッションがきっかけで落ち着いたものの、それまでは人々がペット・ボトル入りの水と、スターバックスのコーヒーを毎日のように飲んでおり、 特に若い世代のニューヨーカーは 水とスターバックスに支払う年間の総額が、家賃2〜3ヶ月分に相当すると言われていたほど。 ニューヨークは全米で最も家賃が高い街であるから、これは軽視できない出費になっていたのだった。

私は先週ブランチをしていた女友達と、これまで自分が使ってきたお金で最も無駄だと思えるものについて話していたけれど、 友達はクローゼットに無駄な服が多いことを嘆いていたのと、ブルックリンに住んでいた時代に夜遊びをする度に使っていたタクシー代、 効果があるようでいて無いにも関わらず、通っていたフェイシャルを挙げていたのだった。
私の場合、物持ちは良い方なのと、着ない服は直ぐに見切りをつけて売ってしまうようにしているので、物を買って後悔することはあまり無いのに加えて、 母が占い師なので、占いやサイキックなどに余計な出費をせずに済んでいるのだった。 また知り合いの中には新興宗教にのめりこんで、お守りやお祓い、お布施で大金を使ってしまったというケースがあるけれど、 私は その類の出費も これまでの人生で皆無と言えるのだった。

でも友達が挙げていたフェイシャル同様、継続的に通ったビューティー・トリートメントやヘルス関係に費やしたお金については、 無駄な出費以外の何物でもなかったケースが 考えただけでも情けなくなるくらいに多いのだった。
例を挙げれば、アーキパンクチャー(針)、マイクロダーマブレーション、歯のホワイトニング、 エレクトリック・マッスル・スティミュレーションのボディ・リフト、カイロプラクティック、 高額ジムのメンバーシップ、胡散臭いヘルス・フード、サプリメント、「塗るだけで細くなる」と謳ったクリームやローションなど、 総額を考えると恐ろしくなるような無駄と損失。

その結果 学んだのは、 先ず 食べたり、飲んだり、塗ったりするだけで痩せるプロダクトは存在しないということ。 これらに効き目があるとすれば、それは食事を減らすプログラムを一緒に行なっている場合のみだと断言できるのだった。
さらに学んだのが、週に1度続けなければ 効果が持続しないトリートメントは、 費用と時間が掛かりすぎて、長続きしないので 結局は無駄に終わるということ。
カイロプラクティックは、骨の歪みを治すために週に3回も通っていた時期があるけれど、 結果的には高い月謝を払わされただけの体験で、「自分で正しい姿勢を保って、2度とカイロプラクティックには掛らない」というのがその時に決心したことなのだった。

もっと大金を支払ったのはアーキパンクチャーで、私が行なっていたのはフェイス・リジュビネーションと言って、 顔とボディに合計100本以上針を刺すトリートメントで、ワン・セッションが150ドルというお値段。 これを週に1〜2回続けていて、「ボトックス要らずになる」と言われたけれど、 確かにこの時期は、暫くボトックスを止めていたのだった。
でも、日本に一時帰国した直後のセッションで、「時差ぼけを治すツボ」に針を打ってもらった割りには、 全く時差ぼけが治らなかったがきっかけで、アーキパンクチャーに対するプラシーボー効果がすっかり衰えてしまい、 ボトックスを打ちに出かけたら、あまりに効き目が素晴らしいので、以来、2度と行くのを止めてしまったのだった。
私の場合、ボトックスはアーキパンクチャー6回分のお値段で、効果は6ヶ月も長持ちするわけで、 月にアーキパンクチャーに6回ほど通っていたことを思えば、ボトックスの費用はその6分の1。 したがって アーキパンクチャーなどやらず、ボトックスを打っていたら、その差額で何足シューズが買えたか・・・と随分悔しい思いをしたのだった。

加えてエレクトリック・マッスル・スティミュレーションのボディ・リフトにもかなりお金を使ったけれど、 これは、ジェル・パッドを当ててそこから電気を通すことによって筋肉を刺激して、ボディ・スリミング&リフトを実現するというトリートメント。 痩せはしないけれど、ヒップアップしたり、ウエストや太腿、腕が引き締まる効果をもたらすのだった。 これは続けていないと効き目が持続しないので、サロン通い続けていたけれど、トリートメントに1時間、加えてサロンへの往復時間も掛るため、 時間を工面するのが面倒になって止めてしまったのだった。

今では、エレクトリック・マッスル・スティミュレーションのボディ・リフトや、マイクロダーマブレーション、歯のホワイトニング、 レーザーの脱毛に至るまで、サロンと同じ効果の自宅用機器が販売されているご時世。 CUBE New York でもこれらの商品を扱っているけれど、エレクトリック・マッスル・スティミュレーションのボディ・リフトは スタッフの友人が「妊娠後に下がったヒップが 本当にリフトアップした」ということで、ラインナップに加えた商品。 これは私は未だ試していないけれど、マイクロダーマブレーションの機器、PMDは 使ってみたところサロンのマシーン同様に強力で、 「自分は肌が強いから大丈夫」と高をくくって使っていたら、デコルテが赤くなってしまったほどなのだった。

カイロプラクティックについては、本当に骨が曲がっている人ならば治療を受ける価値はあると思うけれど、 そうでない場合はヨガのクラスを取る方が身体のためというのが私の意見。
私はフェイシャル派ではないので、フェイシャルにはお金を使ってこなかったけれど、 替わりにやっているのが自宅でサロン用のマスクを自分でアプライすること。 それで十分に効果が感じられるので、わざわざサロンで人にやってもらう必要は特に感じていないのだった。

逆に私がビューティー関係で極めてお金を節約していると胸を張れるのは、ヘア・サロンに全く行かないこと。 ずっとロングヘアなので、毛先のカットから、前髪のカットまで全て自分でやってしまうのだった。
一番最後にサロンでヘア・カットしたのはもう6年ほど前のことで、その時はシャンプーとカットに300ドルを支払ったけれど、 「これだけ支払っても、こんなものか!」と思って、それ以来、サロンには全く行かなくなってしまったのだった。

ビューティー&ヘルス関係以外で、お金を無駄にしたと思えるものの1つが、3年ほど続けたフランス語の学費であるけれど、 言葉の勉強もビューティー・トリートメント同様、続けていないと成果が上がらないだけでなく、どんどん忘れていってしまうのだった。 でもフランス語のクラスを通じて 新しい友だちが出来たという利点があったので、その意味では後悔はしていないのだった。
基本的に 勉強や旅行、スポーツというのは、お金を使って後悔するケースは少ないもの。 でも同じ勉強でも、自分を高めるためではなく、資格を取るためのものだと、詐欺めいたケースが多い上に、学んだことがその場限りで、 結局は身につかない場合が極めて多いと言えるのだった。

ところで私の友達によれば、私達の無駄遣いは まだ 自分達のためにお金を使っているだけマシとのことで、 彼女の女友達は、かつてのフィアンセのビジネスのためにお金を貸したところ、男性との仲がダメになっただけでなく、 お金も戻ってこなかったという。これは結婚詐欺ではなく、本当に男性のビジネスが上手く行かなかった結果だそうで、 その女友達は 元フィアンセを訴えようとしたものの、 相手が姿を消してしまい、最終的には 弁護士のフィーという余計な出費 まで加わることになってしまったのだった。
この話を聞いたら、ビューティー・トリートメントの無駄使いの数々は 「恨む相手が居ないだけずっとマシ」だと思ってしまったけれど、 こうした無駄を教訓に変えるためにも、新しいことにトライする際は、過去の失敗と 照らし合わせる必要があると思うのだった。





執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。


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