Mar. 30 〜 Apr. 5 2015

”California is in an Extreme Drought ” ”
カリフォルニアが砂漠になる日!?、その人事ではないインパクト


今週末のアメリカは、クリスチャンにとってはイースター(復活祭)、ジューイッシュ(ユダヤ教徒)にとってはパスオーバー(過ぎ越し)のホリデイ。
私のように どちらでも無い人々にとっては、ホリデイと言われてもピンと来ない週末であるけれど、 イースターについては、パステル・カラーのキャンディーやピープと呼ばれるマシュマロ菓子、イースター・バニーのチョコレートなどが ドラッグ・ストアやキャンディ・ショップに並ぶので、嫌でも意識することになるのだった。
日曜には ローマ法王、フランシスコ(英語ではフランシス)がイースターのミサで世界平和を訴えていたけれど、 年々辿る減少傾向に歯止めが掛からないのがキリスト教信者の数。 逆に増え続けているのがイスラム教信者で、メジャーな宗教の中で 世界の人口増加率を上回る勢いで信者を増やしているのはイスラム教だけ。
この傾向が続くと、2070年には イスラム教徒の数が キリスト教徒を上回り、世界最大の宗教になることが見込まれているのだった。

今週のアメリカは そんなホリデイを週末に控え、休暇を取る人々が少なくなかったので、アメリカ国内では さほど大きなニュースが無かったけれど、 そんな中、深刻に報じられていたのが カリフォルニア州の干ばつを受けて、ジェリー・ブラウン州知事が、 市民に対して25%の節水を義務付けたというニュース。
この節水措置には、農業用水は含まれていないとのことで、対象となるのはカリフォルニアの水道水の用途の12%を占める 一般家庭での水の使用なのだった。

このニュースは 今日、4月5日のニューヨーク・タイムズ紙でも写真入りの一面トップ(写真上左)で報じられていたけれど、 その第一面にフィーチャーされていたのは、誰もが 砂漠の中の新興住宅地のニュースかと思ってしまう光景の写真。
カリフォルニア州は 2014年に気象観測史上、最も暑い夏を記録し、その段階で既に深刻な干ばつと水不足が 報じられており、一般家庭のでの洗車や芝生の水巻きが制限されていたのは記憶に新しいところなのだった。




でも、ここへきてブラウン州知事が更なる節水を州民に義務付ける事態になったのは、 冬の間の積雪がほぼゼロに等しいという危機的な状況を受けてのこと。
カリフォルニア州はそもそも雨が少ない州であるけれど、 冬の間に山間部に積もった雪が、季節と共に徐々に溶け出すことにより、その水源が賄われており、 タホ湖に近いシエラ・スキー・リゾートでは例年4月1日の段階で、平均63インチ(約157cm)の積雪が記録されているという。
シエラでの それまでの最低積雪量は1977年に記録された27インチで、2014年の段階では その最低に近い33インチの 積雪となっていたのだった。 ところが2015年の積雪は、過去75年の観測史上初のゼロ。 当然のことながらシエラ・スキー・リゾートはクローズしており、 地元にとって観光収入が得られないことも深刻であるけれど、 それ以上に 冬の間の積雪がカリフォルニア州の水源を潤すことが無いという事実が 非常に深刻に受け止められているのだった。
また危惧されているのは、この干ばつが一時的なものではなく "New Normal"、すなわち半永久的な状況となりつつあること。 これを受けてカリフォルニア州のブラウン知事は、「グローバル・ウォーミングは本当に起こっている」と人々の危機感を 煽るコメントをしているのだった。

そのカリフォルニア州は、環境専門家から水源の確保よりも開発に時間と費用を注ぎ過ぎてきたと批判される存在。
実際カリフォルニア州の人口は、1960年の1,570万人から、現時点ではその2倍以上の3,880万人に増えており、 その経済規模も1963年の5,200億ドルから、今日では2兆2,000億ドルに拡大して、世界第7位の経済都市になっているのだった。
そして、ハリウッドやシリコン・ヴァレーには、エンターテイメント界やIT産業のミリオネア&ビリオネアが大邸宅を構えているのは周知の事実。 でもカリフォルニアの場合、そんなセレブリティやビジネス界の大物でなくても、庭とプールがある家に暮らすのは珍しくないこと。 このため、カリフォルニア州の住民1人当たりの水の消費量は1月でさえ平均で1日に73ガロン。
でもこれが、経済的に豊かな住人が多いパーム・スプリングスになると、その消費量は1日平均で201ガロン。 この水は、庭とプール以外にゴルフ・コースや噴水などに使われているとのこと。 このことからも分かるとおり、貧困層が多いエリアほど水の消費量が少なく、富裕層が多いエリアほど消費量が多いことが指摘されているのだった。




もちろん富裕層であれば、水道料金がアップしたところで それを支払う能力はあるけれど、ニューヨーク・タイムズ紙が投げかけていたのが、 インフラ以前の ライフラインである水が不足する街に経済成長が可能なのか?という疑問。
これまで ノンストップに経済が拡大してきたカリフォルニアであるけれど、 その高い椰子の木、真っ青なプール、緑の芝生の広い庭、ピカピカに洗車されたコンバーティブルという「カリフォルニア・ドリーミング」のイメージが崩れて、 茶色の土手、シャワーの時間が制限されるような厳しい節水、水道料金が生活費を蝕むような街に変貌するであろうことが見込まれているのが現状。
この深刻な干ばつがカリフォルニアに もたらす問題は、以下のようなもの。


カリフォルニアのブラウン州知事は、この干ばつがカリフォルニアだけの問題ではなく、近い将来 多くの州が直面する問題だとコメントしているけれど、この冬、雪が多かったアメリカ北東部は 少なくとも 暫くは、カリフォルニアのような深刻な干ばつの恐れは無いのが実情。
それよりも、カリフォルニアの干ばつが農作物に与えるダメージで、 野菜、果物、ナッツ、ビールの価格が値上がりして、食費が嵩むこと、 水道代の値上がりが カリフォルニアの観光地のホテルを始めとする宿泊施設料金を吊り上げる一方で、 旅行者にも節水が義務付けられることなどが当座見込まれる影響なのだった。

またマザー・ジョーンズのレポートによれば、他州の人々が カリフォルニアの干ばつを少しでも助けたいと思ったら、 アクアフィーナ、アローヘッド、ダサニといったボトルド・ウォーターを買わないこと。 というのは、これらのブランドはカリフォルニア州のスプリング・ウォーターを汲み上げて 製品化していることが指摘されているのだった。


Will New York 宿泊施設滞在



執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。




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