Apr. 4 〜 Apr. 10 2005




Man & Date



私がこれを書いている4月10日、日曜日は晴天に恵まれた上に、気温も20度台を付ける温かさであったため、 今年初めての屋外でのブランチをすることになったけれど、その席で話題になっていたのが、 この日付けのニューヨーク・タイムズ紙のスタイル・セクションに掲載されていた「The Man Date / ザ・マン・デート」という記事。
この記事では、ストレートの男性が2人で出掛ける場合、ゲイ・カップルの「マン・デート」だと思われないために いかに周囲の目を気にしなければならないかについて書かれており、例えば食事をするにも、 バーガー・ジョイントで、ビールを片手にハンバーガーにかぶりつくのはOKだけれど、 白いテーブル・クロスにキャンドルが灯っているようなセッティングは「マン・デート」、 ワインをグラスでオーダーするのはOKだけれど、ボトルをシェアしたら「マン・デート」、 一緒にジョギングをするのはOKだけれど、2人で公園を散歩すれば「マン・デート」、 でも手にバスケット・ボールや、フットボールなどを持っていれば一緒に公園を歩いてもOK、というように、 ゲイ・カップルだと疑われないセッティングと疑われるセッティングを説明し、ストレート男性が2人だけで会おうとする場合の 難しさをレポートしているものだった。
ちなみに記事の中には、男性2人によるブランチも「マン・デート」と見なされるという記載があり、 ちょうどこの日のブランチが私を含む女性2人と男性2人の4人という顔合わせだっただけに、 「私と彼女が一緒にバス・ルームに行ったら、マン・デートに間違えられるかも・・・」などと冗談を言っていたけれど、 確かに、男性2人によれば、もし彼らだけだったら「決してブランチはしない」のだそうである。 これはゲイ・カップルに見られるのが嫌だというよりも、土曜や日曜の朝でも昼でもないような時間に食事に出掛けるのは、 ストレートの男性なら大体 面倒だと思うものなのだそうで、ブランチというのは、いかにも女性が好む女々しいイベントなのだそうである。

彼らによれば、このサンデー・タイムズの記事はちょっとトゥー・マッチに感じられたようであるけれど、実際に男性2人で 食事に出掛けるというのは 若干の抵抗があるそうで、「どうして女性2人はレズビアンに見えないんだろう」などと真剣に不思議がっていたりする。 彼らが男性と食事に出掛ける場合、大体4人以上で、きちんとしたレストランの場合は、必ずといって良いほどステーキ・ハウスが 無言のうちに選ばれるのだそうで、ピーター・ルーガーやウルフガングで、男性オンリーのテーブルを良く見かけるのには、 それなりの理由があることが説明されていた。

「ニューヨークの男性もいろいろ大変なんだなぁ・・・」 と 同情しかけたのも束の間、 逆に 男性側から返って来たのが 「大変なのは女性の方だ」という指摘。 「ここニューヨークじゃ、シングル男性1人に対して、シングル女性7人の割合なんだから・・・」とやり返されてしまったけれど、 その途端に 私と もう1人の女性のフォークを持つ手がピタリと止まって、 ほぼ2人でシンクロ状態で口にしたのが「何時から1:7になったの?」という疑問。 確かに、ニューヨークでは、常に男性側の買い手市場で、90年代前半までは男性1人に対して、女性3人と言われていたのが シングル事情だったのである。 ところが数年前から その割合が男性1人に対して女性5人と言われるようになり、女性にとしてはマーケットがどんどん小さくなっているのを 感じてはいたものの、いきなりシングル男性に 勝ち誇ったように 「1:7」 などと予期せぬ 数字を言われるのは、 ギョッとすると同時に、あまり面白くないものでもあったりもする。
結局は「1:7」という数字は勘違いで、割合は今も「1:5」であったけれど、ニューヨークにはこの数字的な優位を鵜呑みにして、 女性に対して強気な考えを持つシングル男性は決して少なくないのが実情である。
とは言っても、単純計算通りに彼らが1度に5人のガールフレンドとデート出来るという訳ではないのは言うまでも無いことであるけれど、 よく耳にするのは、「臆せずに追いかければ、女性は必ず振り向く」という男性の言い分で、 女性側もシングル男性の希少価値を理解すればするほど、追いかけてくれる男性に情が移りがちになるのは自然なことである。 でも1度振り向くと、今度は男性側に振り回されることになる場合が多いのも、女性側の悲しい現実で、 追いかけられていたはずが、何時の間にか電話を待ち続ける立場になり、男性側は既に別の女性を追いかけているというのは、 ニューヨークでは頻繁に聞かれる男女間エピソードである。

数の問題はさて置いても、ニューヨークでは男性が、彼らよりワンランク上の女性と交際できるのは明らかで、 ルックスだけを見ても、アベレージな外観の男性がすごくキレイな女性と一緒に居る例は多いけれど、 その逆はさほど見かけないものである。 先日、この春オープンした中で最もホット と言われる「KOI」という日本食レストランに出掛けたけれど、 そこでも、来ている女の子はブリットニー・スピアーズや、スーパーモデル、ダリア・ワーボウィーに似た美女揃いだったものの、 彼女らのテーブルに一緒に居た男性は、本当にアヴェレージと言えるルックスであった。

要するに、ニューヨークに居れば、シングル男性は量においても、質においても有利に女性を獲得する可能性が高い訳であるけれど、 逆に女性側にしてみれば これだけ小さくなっているシングル男性マーケットを狙うに当たって、どう対処すれば良いのか? そして、女性はどの程度男性を理解しているか?という疑問が生じてくることになる。
そこで、そんな迷える女性達に男性の実態をレポートしてくれるのが、今年6月に出版予定の 「When It Comes To Guys... What's Nomal」、 すなわち「男性にとって、何がノーマルか?」というタイトルの書物である。 この本は全米の18歳〜49歳までの様々な人種、様々な経済的バックグラウンドの男性を対象に行った 広範囲に渡る調査を纏めたもので、それによれば、男性はお財布の中に平均で約104ドルのキャッシュを持ち歩き、 8〜10枚のクレジット・カードを所有。クレジット・カード負債の平均額は3932ドル (約42万円) で、 これは女性の平均よりも1348ドル多い数字である。
男性の60%は1ミリオン(約1億700万円)もらえるならば、「6ヶ月刑務所に服役しても構わない」と答え、 25%は10ミリオン(約10億7000万円) 貰えるのならば、家庭や友人を捨てて、違う人種や性別になって暮らすことも厭わないと答えているという。
アメリカ人男性というと、野心的なイメージがあるけれど、企業のCEOのようなトップ・ポジションにつきたくないと考えている男性は約60%。 55%の男性が自分をそこそこにファッショナブルであると考えており、ほぼ同数の男性が女性大統領の誕生に難色を示している。
恋愛 ・セックス観については、男性は16.2歳でヴァージンを失い、生涯を通じて交際する相手の数は平均で約17人。 平均的な年間のセックス回数は138回(約週3回)で、これは延べ時間にして64時間。これに対して、 男性がセックスのことを考えている年間の延べ時間は730時間で、実際のアクションの10倍以上、 1年のうちの約1ヶ月が費やされている計算になる。 ちなみに、私は以前 「男性は4分に1回の割合で、セックスのことを考えている」と聞いたことがあるけれど、 確かにそのくらいのペースで考えていても不思議ではない時間数であるのは事実である。
男性が惹かれる女性のボディ・パーツは脚で、豊胸手術が増える昨今であるものの、男性の80%はミディアム・サイズのバストを好んでいるのだそう。 でもこんなに時間を掛けてセックスのことを考えているにも関わらず、53%の男性が「ゴージャスな女性と一夜を共にするよりも スーパーボウルのチケットを選ぶ」と答えているのは、皮肉とも言える結果である。

さて、女性にとって男性の恋愛・セックス観と共に気になるのが、果たして男性がどの程度誠実であるか?という点であるけれど、 残念ながら91%の男性が「コンスタントにウソをつく傾向がある」と答えており、年齢が若ければ若いほど、 ウソをつくことに罪悪感を抱いていないというのがその調査結果である。
履歴書にウソの記述をしたことがあると答えた男性は86%。以前付き合っていた女性との交際や、その人数について 現在付き合っている女性や、付き合おうとしている女性にウソををついたという男性は47%。 そして愛してもいないのに 「I Love You」と語ったことがあると答えた男性は44%に上っている。

その一方で、J.ウォルター・トンプソン社は21歳以上のニューヨーカー531人を対象に、 1分を1ドルで買えるのであれば、どんなアクティビティを何分買い取るか?という調査を男女別に行って、 その物事への関心度を調べているけれど、これによれば、 男性側の関心事第1位は、もちろんセックスで 82分を「情熱的なセックス」のための時間として費やしたいとしている。 次いで2位が外食に掛ける時間で79分、3位が家族や友人と過ごす時間の70分となっている。 これに対して女性は、家族や友人と過ごす時間がトップで116分、第2位は男性同様、外食に掛ける時間で72分、 第3位がシアター&コンサートの59分となっているけれど、 ニューヨークの男性の「情熱的なセックス」に掛ける82分というのは、 全米男性平均の117分という数字を大きく下回っており、女性の数が足りているせいか、 ニューヨークの男性のセックスに対する思いは、他州の男性に比べればやや淡白であることも明らかになっている。

さて、日本では「男は胃袋で落とせ」などという言い回しがあるけれど、 アメリカ男性の食の傾向はどうかといえば、先述の「When It Comes To Guys... What's Nomal」の調査結果によれば、 平均的なアメリカ男性は年間に約38kgのチキンを食べ、約8kgの魚を食べ、約12kgに値するピザを食べるという。 死ぬ前に食べておきたいと思う物は?ということで、死刑囚がリクエストする最後の食事のメニューを検証すると、 必ず含まれているのがフライド・ポテトだそうで、これと一緒にハンバーガーやステーキを食べ、デザートにアイスクリームというのが、 典型的な死刑囚の最後の晩餐となっている。
死刑を控えていなくても、平均的なアメリカ人男性はハンバーガーとフライド・ポテトというメニューを非常に好むのだそうで、 ふと思い出してみると、本日ブランチを共にした男性2人も、揃ってバーガーを注文していた。

でもこれだけ男性に関するデータを掻き集めたところで、男性側にしてみれば、女性をデートに誘うか?、誘った女性が1度のデートで終わるか?、 それとも複数のデートを重ねて、付き合う関係になるか? を分ける決め手になるのは「スパーク」や「ケミストリー」。 すなわち、「お互いの間に何か特別に感じあうものがあるか?」ということ。 女性がなかなかデートしたいと思う男性に巡り会えないのと同様、男性側にとっても、見た目にチャーミングな女性は ニューヨークには沢山居るし、デートする機会にも事欠かなかったとしても、この「スパーク」、「ケミストリー」が感じられる相手に巡り会えるチャンスは 非常に稀であるという。
だから、数字的には男女比が「1:5」などと言ったところで、本当に自分が望む相手を探している場合は、その確率は、 女性にとっても、男性にとっても常に、「シングル人口分の1」ということなのである。



Catch of the Week No.1 Apr. : 4月 第1週


Catch of the Week No.4 Mar. : 3月 第4週


Catch of the Week No.3 Mar. : 3月 第3週


Catch of the Week No.2 Mar. : 3月 第2週





執筆者プロフィール

秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。
丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、1989年渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.設立。以来、同社代表を務める。