Apr. 2 〜 Apr. 8 2007
” イースター・バニー&イースター・エッグ ”
セントラル・パークでは徐々に春の花が咲き始めているににも関わらず、今週も寒かったニューヨーク。
日は確実に長くなっているし、日差しも春めいているので コートの替わりにジャケットを着て出掛ける人も多いけれど、
週末などは実際の気温が2月下旬並みだったようで、薄着のせいで風邪を引いている人も少なくなかったりする。
さて、私がこれを書いている今日4月8日、日曜はイースター・サンデー。
イースターは、日本語では「復活祭」と呼ばれるもので、十字架の貼り付で死去したキリストが3日後に蘇ったことを祝う、
キリスト教の典礼暦では最も大切な祝日の1つ。このイースターは毎年春分後 最初に迎えた満月直後の日曜日となっているので、
今年は今日4月8日となっている。
イースターと言えば、卵の形をしたチョコレート、卵型の容器に入ったキャンディ等のお菓子に加えて、ウサギやひよこの形をしたマシュマロ菓子
”Peep / ピープ” (写真左) がありとあらゆるところで販売される時期。
日本では見かけないピープは、アメリカでは50年以上の歴史があるお菓子で、イエロー、ピンク、ラヴェンダー、ブルー、グリーン、ホワイトといった
いかにもイースターらしいパステル・カラーのシュガー・コーティングをしたマシュマロ。毎年イエローが一番人気で最も生産数が多く、
次いでピンク、ラヴェンダーの順。 イースターを前後して毎年アメリカ人が食べるピープの数は何と7億個以上であるという。
正直なところ、私はこのピープを あまり美味しいと思って食べたことは無いけれど、最近ではマンハッタンで最も有名なショコラティエの1つ、
ジャック・トレスがマシュマロをダーク・チョコレートでコートしたピープをこの時期の期間限定で販売しているそうで、
徐々にグルメ化も進んでいるようである。
イースターといえばこの他に、固ゆでした卵をカラー・ウォーターに漬けて着色してから、ペイントを施す”イースター・エッグ”が
あまりにも有名であるけれど、これを庭のあちらこちらに隠して、それを子供達がバスケットを持って探し回る”エッグ・ハンティング”は
この時期、小さな子供が居るクリスチャンの家庭 や クリスチャン・スクールでは必ず行われる行事。
そしてこの時期にはピーター・ラビットのグッズや本が売れたり、子供にラビットをペットとしてプレゼントする親が増えるために
ペットショップは イースターにはウサギを多目に仕入れることになる。
このようにイースターで 卵とウサギがもてはやされるのは、まず卵は ”生誕” のシンボルであること。加えてクリスチャンの間では
”人命の再生” を象徴するのが卵であるという。
ウサギについては、その繁殖と多産が ”多くの誕生”をもたらす象徴とされるものである。
ちなみにウサギが多産であるのは、その可愛げなルックスとは裏腹に常に発情しているためであるけれど、
これをシンボライズしてコマーシャル化したものの代表と言えばプレーボーイ・バニー、すなわちバニー・ガールである。
今ではコスチュームとして定着した感のあるバニー・ガールのアウトフィットであるけれど、
これはプレイボーイ・クラブのカクテル・ウェイトレスのユニフォームがオリジナル。
そしてこのユニフォームは、プレイボーイのロゴである蝶タイをしたウサギがモデルになったものである。
このため、バニーガールはその存在もコスチュームもプレイボーイ社が商標を所有するもの。
事実 バニーガールのアウトフィットは、アメリカの歴史上初めて特許・トレードマーク登録された
サービス・ユニフォームなのである。
したがって、ハロウィーンに売られるバニー・ガールのコスチュームもプレイボーイ社のライセンスを持つメーカーがクリエイトしているもので、
それ以外は、違法コピーに当たる訳である。
私は個人的には「このバニーガール・コスチュームをデザインした人は凄い!」と思っていたりするけれど、
あまり機能的ではなかったようで、コルセット・スタイルのユニフォームはウエストが曲げられないため、バニーガール達は
膝をかがめてドリンクを来店客にサーブしなければならなかったという。しかし この結果 起こるのが
頻繁にドリンクをこぼしてしまうというアクシデント。
このため、プレイボーイ・クラブでは 全てのドリンクを1種類のグラスのみでサーブすることにして、そのグラスを安定して運べる
トレーを特別にデザインしている。
すなわちバニーガール姿でウェイトレスが仕事がし易いように、グラスとトレーを全て変えなければならないほど
クラブにとって大切な要素だったのが このユニフォームだったという訳である。
プレイボーイ・クラブは1960年にオープンし1988年にクローズしたものの、2006年10月にはラスベガスのザ・パームス・ホテル・カジノ内に
復活オープン。現在のユニフォームはイタリアのデザイナー、ロベルト・カヴァーリによってデザインされたものである。
今も、昔もユニフォームはバニーガール1人、1人に合わせたカスタム・メイドで、ボディ・ラインを美しく見せるもの。
でも、それだけに体重が増えても、減ってもいけないのがバニーガールの規則である。
現在のカヴァーリ・バージョン、オリジナル・バージョンを含む 実物のユニフォームはセクシーではあるものの、
ヒップには直径10cm以上あるポンポンのような大きな尻尾が付いていて、
これが上手くヒップラインの露出をカバーしており、日本の風俗嬢が着用するようなバニーガール・アウトフィットよりは、ずっと品性が感じられるもの。
ちなみに、日本はこのバニーガールのトレードマークがセックス産業で流用される事態が野放しになっている国と言われている。
その一方で、イースターエッグで最も有名なものといえば、1883年にロシアのアレクサンドル3世の依頼で
当時著名な金鉱職人だった ピーター・カール・ファベルジェによってクリエイトされたデコレーテッド・エッグ。
アレクサンドル3世は このエッグを 彼の妻であり、デンマーク王クリスチャン9世の第2王女でもあったマリー・ソフィー・フレデリケ・ダグマール
(ロシア名ではマリア・フョードロヴナ)にプレゼントするために製作を依頼したとのことで、
これがかの有名なファベルジェ・エッグの誕生であったという。
プラチナやエメラルドを使った美しいエッグに満足したアレクサンドル3世は、
その後も 毎年イースターの度に ファベルジェにデコレート・エッグの製作を依頼。
その伝統は息子であり、王位を継承したニコライ2世にも受け継がれ、合計57個のファベルジェ・エッグが
ロシアの王室のためにクリエイトされたのだった。
この当時 製作されたファベルジェ・エッグは、今や高いものになると20億円もの価値があると言われるけれど、
そのリプロダクションとしてファベルジェが製品化しているエッグは90年代 初頭まで ニューヨークのソーシャライトが競って集めていたもの。
1つ3000〜5000ドル(約36〜60万円)前後のエッグをリヴィングのキャビネットに20個も30個も並べている大金持ちは非常に多かったのである。
その次の世代のソーシャライトはファベルジェよりもジュディス・リーバのクリスタル・バッグのコレクションをする傾向が強くなったけれど、
それでも「ファベルジェのエッグが飾ってあるとインテリアの格が上がる」と言われるのは今も同様。
価値を理解する人が見ると、一目置いてくれるのがファベルジェ・エッグであり、リッチ・ピープルの間では今も 富と子孫繁栄の象徴 となっているのである。
かく言う私も、宝くじでも当たったらコレクションをしたいと思っているのがファベルジェ・エッグ。
アメリカに来た頃は、何がそんなに良いのか、どうして大金を小さな卵の装飾に支払いたいのか 理解出来なかったけれど、
段々と「眺めているだけで幸せになれる」という人々の気持ちが理解できるようになってきて、写真左、左側のリリー・オブ・ヴァレー(1898年製作)、
中央の”コロネーション・エッグ” (1897年製作)、右側のルネッサンス・エッグ(1894年製作)などは、
真剣にリプロダクションものの値段をリサーチしていたりする。
今週は、イースターの他にユダヤ教のホリデイであるパス・オーバーもあったけれど、
こうした日本人に馴染みの少ないホリデイは、ニューヨークに暮らしていてもあまり意識はしないもの。
私の場合、取引先の業者がクローズすることによって知らされることが多かったりする。
こうした宗教絡みのホリデイというのは、信心深い人でなくても、家族が集まる日、家族行事の日として
意識している人は多いし、また周囲は私がクリスチャンで無いことは分かっていても、「Happy Easter!」などと挨拶してくるものである。
ところでイースターにはもちろん ”イースター・メニュー” というものがあって、
私もかなり以前にアメリカ人家庭のイースター・ディナーというのに招待してもらったことがあるけれど、
大体以下のようなもの。
野菜は、アスパラガスなど春野菜をソテーやキャセロールにしたもの。
肉料理はラムかハム。ハムはスライスされたサンドウィッチに挟むようなものではなくて、
大きな塊(かたまり)状態のものを、自宅でハニー・ロースト、ハニー・マスタード・グレーズなどをして、
食卓で切り分けるもの。
ラムに関しては、ミントやパセリをソースに使うのが春らしいクッキング手法とされているようである。
デザートはキーライム・パイ、クリーム・パイなどか、さもなくばイースター・エッグをかたどったケーキなど。
イースターの時期になるとケーキ・ショップの多くはエッグの形のケーキを販売しているし、
インターネット上では卵シェイプのケーキ型の販売とともに そのレシピも出回っていたりする。
アメリカ人の間での社交会話の中には「What's Your Favorite Holiday?」(どのホリデイが好き?) と訊き合うものがあるけれど、
これも、ホリデイごとに様々な行事やメニューを楽しむカルチャーだからこそ成り立つ会話なのである。
ニューヨーク・エリア在住女性のためのネットワーク・パーティー開催のお知らせ
前回の開催から1年が経過してしまいましたが、来る4月14日、土曜日 午後2時より、
CUBE New York主催のニューヨーク・エリア在住女性のためのネットワーク・パーティー開催します。
レジデンシャル・ビルディングのパーティー・ルームが会場となりますので、セキュリティの関係で、
参加御希望の方には事前のご登録をお願いしています。
過去のパーティーにご参加いただいた方には、先週木曜にEメールでご案内を差し上げていますが、
もし受け取られていない場合は、カストマー・サービスまでご連絡をいただけると幸いです。
今回初めて参加を御希望になる方は、こちらをクリックして ご登録をお願いいたします。
また、RSVPをされたにも関わらず、当社より48時間以内に参加確認のメールを受け取られていない方は、大変お手数ですが、
カストマー・サービスにご連絡くださるようお願いいたします。

執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。
丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、1989年渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に
ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.設立。以来、同社代表を務める。
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