Apr. 6 〜 Apr. 13 2009




” Serching For Perfect Sleep ”


このところ、確実に日が長くなっているのを感じるニューヨークであるけれど、 私がこれを書いている今日、4月13日、日曜はイースター・サンデー。 イースターについては2年前のこのコラムで書いたので説明を省くけれど、 クリスチャンで特に子供が居れば、子供を連れてエッグ・ハンティングに行ったり、ウサギや卵の形をした チョコレートやお菓子を食べるのがこの日で、 春の到来を感じさせるホリデイである。
もう1つアメリカ国民にとって春の到来を感じさせるイベントと言えば、確定申告であるけれど、 その締め切りを4月15日、水曜に控えて 今週末には慌ててタックスのファイリングをしている人々も 多いといわれているのだった。
2008年度の平均的なアメリカ人の収入は4万1964ドル(約421万円)。そして IRS (Internal Revenue Service)、 すなわち国税局に対しては、平均4597ドル(約46万1100円)の税金を支払う計算になるというけれど、 もちろんこれにステート・タックス、シティ・タックスが加わるのは言うまでも無いこと。 国税局に支払われる1人当たり4597ドルの税金の使い道で 最も額が大きいのは防衛費で、 約44%に当たる2004ドル(約20万1000円)が費やされているという。 次いで金額が高いのはヘルス&ヒューマン・サービスの266ドル(約2万6680円)、デパートメント・オブ・トランスポーテーション(交通局)の246ドル(約2万4675円)、 そして4番目が教育の230ドル(約2万3069円)となっているという。

その一方で、今週には 2008年度のアメリカ国内で最も高額の売上を記録したレストラン、トップ100のランキングが 発表されたけれど、今年もダントツの第1位は日本円にして 年間 約68億4010万円を売り上げたラスヴェガスのタオ。 同店はバーとレストランを合わせて500席を擁するメガ・レストランで、2006年にプール・サイド・バー、 タオ・ビーチ・クラブを増設したことにより、さらに売上が伸びたと指摘されるレストラン。
次いで第2位は、約34億2220万円を売り上げたニューヨークのタヴァーン・オン・ザ・グリーン (写真右)、 3位はマイアミのジョーズ・ストーン・クラブ、 4位は映画、「プラダを着た悪魔」にも登場したステーキ店、スミス&ウォーレンスキー、次いでタオのオリジナルであるニューヨーク店 といったところがトップ5になっている。
トップ5に3軒ニューヨークのレストランがランクインしていることからも分かる通り、 トップ100の中の約3分の1に当たる31軒がマンハッタン内のレストラン。 日本の国土の20倍もあるアメリカの全土のレストランの中で、最も売上が高い100軒のレストランのうち、31軒が 世田谷区のサイズの マンハッタンに集中しているというのは、マンハッタンのレントが高くても仕方がないことを 証明しているとも言える事実。
ことに秋以降、深刻なリセッションに突入していた2008年であるけれど、トップ100にランクインするためには 最低11億円の売り上げが必要とのこと。 またトップ100軒のレストランの年間売上総額は、 2007年の15億3000万ドル (約1530億円)から僅かに下がって15億2000万ドル(約1530億円)であったけれど、 この総額の10倍以上を 財務省が大手銀行にベイルアウト・マネーとして支払っていることを思うと、 やはりアメリカの銀行は大きくなり過ぎてしまったことを感じるばかりである。

さて、私は3月末に10日ほど日本に一時帰国をしていたけれど、年齢を重ねるごとに酷くなっていくのが時差ぼけである。
昨年夏に一時帰国した際は、2週間日本に滞在したけれど、2週間というのは人間の身体が出かけた土地の時間に アジャストするのに十分な時間。言い方を変えれば それだけ時差ぼけが治り難くなる訳で、 案の定、この時は身体のペースが元に完璧に戻るまでに何と5週間を要してしまったのだった。
でも私が最初に時差ぼけの恐ろしさを思い知ったのは、もう何年も前のこと。日本から月曜に戻ってきて その後、夜は殆ど眠れないものの 毎日2〜3時間の睡眠でも非常に元気にしていたのだった。 ところがその週の土曜午前3時に眠った私は、そのまま16時間半 ノンストップで眠り続け、土曜午後6時のオペラの前のディナーに 私が現れないことを心配した友人からの電話で目を覚ましたのだった。 しかも秋のオペラ・シーズンといえば、午後6時過ぎと午前6時過ぎの明るさが大して変わらないため、 まさか自分が16時間以上眠ったとは夢にも思っていなかった私は、どうして友達が朝の6時半に電話をしてきたのか?と 不思議に思っていたという情けなさだったのである。
私を始め、多くの人が語るのは ニューヨークからヨーロッパに出かける際の6時間の時差は 全く問題なしに克服できるけれど、 アジアに出かける10時間以上の時差は物凄く身体にこたえるということ。 また、時差ぼけは老化を促進する要因の1つにも挙げられており、 規則正しい生活をしている人ほど治りが遅いようである。

昨年の日本への一時帰国の後、時差ぼけの克服に物凄く苦しんだ私だけれど、 振り返って反省してみると この時の私は、夜眠れないという状況を容認して 夜中に映画を3本見てしまう有様で、 まともなコンディションだったら絶対に見ないような下らないホラー映画から、もう30回くらい見ているような映画までを ただ眠れないという理由で、ケーブルのチャンネル・サーフィンをしながら見続けていたのだった。
それだけに、今回は絶対に同じ間違いを繰り返さない と心に決めた私は、 日本から戻って来たばかりの日の 夜中2時に 何としてでも 眠ろうと試みたけれど、ちょうどその時 ケーブル局、 HBOで 時差ぼけと不眠症に関するドキュメンタリーをやっていたので、 結局それを 午前の4時まで観ることになってしまったのだった。
その結果、学んだのが 「時差ぼけには治療策などなく、苦しむことしかない」ということ、さらに 「どんなに健康で、 タバコも吸わず、お酒もたしなむ程度にしか飲まず、特別な悩みやストレスも無く、エクササイズをして 健康な食生活をしている人でも 不眠症に陥る」 ということで、このドキュメンタリーでは 映画の制作者本人の不眠症と その原因を解明しようとする姿が 描かれていたのだった。

かく言う私は 不眠症とは全く無縁の人間で、時差ぼけの時こそは眠れない日があるものの、 普段は眠ることについて問題を感じたことは無かったりする。
それだけに、”眠る” ということに対する価値観が低く、つい数年前は 眠らなくても平気なことを自慢にしていたような状態で、睡眠というのは ”1日の余った時間に取るもの” 程度の意識しかなかったのである。 なので、眠たくない時は寝ようとしないし、本当に眠たくなってからしかベッドに入らないので、 横になった途端にぐっすり眠ってしまうことが珍しくない状態だったのである。
でも、数年前から世の中で眠りの大切さが大きくクローズアップされるようになってからは、 努めて長く眠ろうとするようになったし、何よりエイジングをスローダウンさせるために 長く眠ることを心掛けるようになってきたのだった。
その眠りの追求については何度か過去にこのコラムでも取り上げてきたけれど、 旅行に出掛ける度に 感じるのは、私にとっては 自分のベッドで眠る” 眠り” と、他の場所での ” 眠り”は、 質や深さが 全く異なるということ。 もちろん短時間でもぐっすり眠れるのが自分のベッドであり、たとえ8時間眠っても 何となく身体が疲れているように感じるのが ホテル等の慣れないベッドである。
だから旅行から戻ってきて何より嬉しいのが 自分のベッドで深く、ぐっすり眠れることで、 旅行から戻った直後は、クリアな夢を何本も見るのが常であったりする。 このことは、確実にREM睡眠が取れている証拠でもあるけれど、 自分のベッドだとよく眠れるのは、私に言わせれば 「慣れているから」 というよりも、「ベッド・ルーム環境に愛情を注いでいるから」 なのである。

眠りを重んじなかった時代かもら、私はベッドというものについては思い入れが非常に激しくて、 特にニューヨークに来て、見目麗しいベッド・リネンの数々を目の当たりにしてからは、 それに惜しげもなくお金を使って来たのだった。
なので、多くのアメリカ人は実用を重んじてベッド・リネンはコットンの洗濯機で洗えるものを選んでいるけれど、 私の場合ベッド・スカートやデュベット・カバー(布団カバー)はドライ・クリーニング・オンリーの上質なものを選び、 シーツも500カウント以上のスベスベのコットンしか選ばない主義。 また べッド・リネンを買い換える際は、カーテンも含めたコーディネートが決まるまでは仕事が手に付かなくなってしまうほどである。
さらに私はニューヨークで既に5回引越しをしているけれど、先ずベッドを置く場所とベッド周りのインテリアを頭に描かなければ 何事も先に進まないほどベッド優先で引越しをしてきたのだった。
現在のアパートに移ってくる際は、ベッド・リネンのカラーに合わせて壁の色をペイントしてもらったほどであるし、 リヴィング・ルームには150ドル程度のクッションしか置いていないけれど、 ベッドのピローと一緒に置いているクッションは、バーニーズやABCカーペットで250ドル〜350ドルも出して気に入ったもののみを 購入しているのである。
また私はベッド・ルームには嫌いなものは 一切持ちこまない主義で、自分が好きで綺麗だと思うものに囲まれて眠りたいという 願望が人一倍強いのだった。要するに、私にとって ベッドルームは自宅の中の聖域のようなエリアなのである。

なので、来客が来て 部屋を案内しても ベッドには決して座って欲しくないと思っているけれど、幸いベッドの高さが高いと、 わざわざ座ろうというゲストはあまり居ないものである。 また、私は人を大勢自宅に招待するのは嫌うタイプだけれど、マンハッタンのホームパーティーにありがちなのが、 ベッドを何十人もの来客のコートの置き場にするということ。 でも私の場合は、「神聖なベッドの上に、外の埃を吸ったコートを置くなんて・・・」と考えるタイプで、 自分自身、シャワーを浴びないでベッドで眠ったことなど無いのである。
とは言っても、一度眠ってしまえば普通のベッドであるから、目が覚めてみればクッションが床に落っこちて、 スロウ(ベッドの上掛け)がベッドの端に引っかかっているような状態であるけれど、 ベッド環境に思い入れと愛情を注いでいると、ベッドに入った瞬間の安心感と幸福感は格別のもの。 眠ることによって充電されているという感じが本当に味わえるのだった。

なので、私は不眠症で深刻に悩んでいる人で、原因が分からない人には ベッド・ルームの環境にお金を掛けて、自分が安心して、気持ちよく眠れるベッド・ルーム作りを 薦めているけれど、そう言われて枕やベッドを買い換える方に取る人は少なくないようである。
確かに、枕に関しては私も気に入ったものが見つかるまでにかなり時間を要したので、その重要性は認めるけれど、 私が意味するのは、目を覚まして 起きている時に 「ここで毎日眠れる自分は何て幸せなんだろう」 と思えるような 視覚的にアピールする睡眠環境を 作ることである。 日頃から そこで眠る幸せを感じているからこそ、眠る時間になったら そこに吸い込まれるように入っていける訳で、 私の場合、ベッドに入って毎晩のように ”ご先祖様へのお祈り” を済ませて、「明日何を着ていこう・・・」と 考えているうちに 眠ってしまう場合が殆どである。
「ベッドルームの見場を良くしただけで眠れるようになるなんて・・・」と思う人は多いようだけれど、 既に試してみた私の知人は その効果を大いに認めていて、 「眠るのが楽しくなった」と言ってるから、「ベッドなんて眠ってしまったら目に入らない」などと 考えるのは大間違いである。 
中には、「うちは夫が夜はシャワーを浴びないで寝るから、綺麗なベッド・リネンなんて無理」という声もあるけれど、 私にしてみれば、シャワーを浴びて居ない人間が毎晩隣に寝ることになったら、不眠症どころか 家出をしなければならない状況。
それを思うと 私は ダブル・ベッドで眠るシングルの生活を本当に幸せに感じるのだった。





Catch of the Week No. 1 Apr. : 4 月 第 1 週


Catch of the Week No. 5 Mar. : 3 月 第 5 週


Catch of the Week No. 4 Mar. : 3 月 第 4 週


Catch of the Week No. 3 Mar. : 3 月 第 3 週







執筆者プロフィール

秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。
丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、1989年渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。