Apr. 8 〜 Apr. 14, 2013

” Spring Cleaning ”


今週は、マーガレット・サッチャー英国元首相死去のニュースで幕を開けたけれど、 その死を受けて今週、イギリス本国でヒット・チャートのトップ10入りを果たしてしまったのが、 1939年に公開された映画、「オズの魔法使い」の中に登場する「Ding Dong The Witch Is Dead / ディンドン・ザ・ウィッチ・イズ・デッド」。 これは映画の中で 悪役魔女が死んだのを喜ぶ歌であるけれど、これがアンチ・サッチャー・ソングとして突如大浮上。
それというのも、史上初の女性首相かつ、最も任期が長かったサッチャー氏は、 今も、その政権を批判する人々が絶えない存在。 したがってサッチャー氏死去のニュースは、全てのイギリス国民にとって悲報という訳では全く無いことは明らかなのだった。
でも毎週ヒット・チャートのトップ10を放送するBBCでは、「ディンドン・ザ・ウィッチ・イズ・デッド」が、元英国首相死去に際して、不適切な楽曲だとして 5秒間のみの放送に止めることを発表。
その一方で、サッチャー氏の葬儀はウィンストン・チャーチルのような国葬ではなく、セレモニアル・フューネラルという儀式の形で行なわれるけれど、 そのコストが約50億円も掛ることから、これについても国民から反発の声が上がっているのだった。


また週半ばに報じられて、女性達を驚かせていたのは、フランスで行なわれた15年に渡るリサーチで、 「ノーブラの方がバストが下がらない」という結果が得られたというニュース。
この調査を行なったのは、ブザンソン・フランシュコンテ大学のジャン・デニス・ルイヨン教授で、 同教授によれば、「医学的、生理学的、解剖学的に胸の重力を支えるメリットは無い」とのこと。 ブラを着用しない方が、胸の重みを支える筋肉がデベロップされ、自然なサポートをもたらす分、長期的にバストが下がり難くなると いうのがその結論なのだった。
同調査は、18歳〜35歳までの300人の女性を対象として行なわれており、ルイヨン教授によれば、 ノーブラの女性の方が、肩に対する乳首の位置も高く、明らかに胸が下がっていないことが立証されていたというけれど、 アメリカのメディアでは、「調査に信憑性を持たせるには、対象となった女性達のカップ・サイズを明確にするべき」というリアクションが殆ど。 というのも、ノーブラで快適に過ごせるのは、バストが小さめで そもそも胸が下がることを さほど心配しないで良い女性。 逆にバストが リアルでも フェイクでも、大きめの女性は、 年令と共にその重みを支える皮膚や筋肉が衰えるので、 ブラをしても、しなくても バストが下がってくるのは避けられない事態なのだった。
でもルイヨン教授でさえ認めているのは、既に何十年もブラを着用している女性が、これからノーブラにするのは かえって逆効果であるということ。 したがって、15年の歳月を費やした割りには、多くの女性にとって あまり意味を成さない調査結果になっているのだった。





さて、椅子に長時間座っているのが心臓病等、健康を害する要因となることが明らかになって久しいけれど、 その結果 アメリカで生まれたのが、オフィスでエクササイズ・ボールを椅子代わりにするというトレンド。
これによって、「仕事をしながら腹筋や背筋が鍛えられる」、「姿勢が良くなる」、「椅子に座るより遥かに健康的」、 「腰痛が緩和される」と信じる人々は多いけれど、 今週報じられたのが、エクササイズ・ボールを椅子代わりにしても、殆ど効果が得られないという調査結果。
同調査を行なったのは、カナダのオンタリオのウォータールー大学のジャック・キャラガン博士で、 比較的若い被験者を、エクササイズ・ボールと 背もたれの無い通常の椅子で 仕事をさせて、 その筋肉の動きを調べたところ、殆ど差が出なかったという。 それだけでなく、一部の被験者は 短時間で 逆に腰の痛みを訴えだしたとのことで、 既に腰痛を持つ人々に関しては、その悪化さえも見込まれているのだった。
エクササイズ・ボールに座る唯一のメリットは、普通の椅子より若干多くカロリーが燃やせる程度で、 見た目に滑稽な努力の割りには、あまりにそのメリットが少ないのだった。

では立って仕事をするのが良いかと言えば、そうでもなくて、立ったまま2時間以上 仕事をすることは、 やはり背中や腰を痛める原因になるとのこと。
キャラガン博士によれば、オフィス・ワークをこなしながら 腰に負担を与えず、姿勢を良くするためには、 1時間に最低15分、背もたれを使わず、背骨を床に垂直にして、真っ直ぐ座って仕事をすることであるという。



ところで、引き続き株価がアップしているアメリカであるけれど、今週、株価ダウンのニュースが伝えられたのが日本にも進出しているホール・フーズ・マーケット。
ホール・フーズが提唱してきたオーガニックの食材がもてはやされている今、何故 同社の株価が下がるかといえば、 オーガニックの食材をコストコやトレーダー・ジョーといった ライバルが ホール・フーズより安価で提供し始めたため。
確かにホール・フーズの問題点と言えるのが、他店よりずっと高めに設定されたお値段。 アメリカでは給与のタックス・ブレークが終わり、生活費が減っていることもあって、同じオーガニックであれば安いオプションに走りたいのは 当然の消費者心理と言えるのだった。

でも、昨今のオーガニック・ブームで、長年のオーガニック愛好家が危惧しているのは、アメリカという国が、一度 農業・畜産業で”金の成る木”を見つけると、 利益追求主義に走るあまり、食品をケミカルとトキシック(毒)まみれにしてしまう歴史があること。 その好例と言えるのは、枝豆を含む大豆で、今やアメリカの大豆はその殆どが遺伝子組み換え技術を使っているだけでなく、 ケミカルと農薬まみれ。 したがって 健康のためにスターバックスで ソイ・ラテをオーダーしても、全く身体のためになっていないのだった。
同様のことは、コーン、ヨーグルトを含む乳製品、牛肉、鶏肉、麦(ウィート)等、様々な食品にも言えること。
でもオーガニックというのは、そうしたケミカルや農薬を使わないプロダクトであるから、「それが利益追求に主義で影響されることは無いのでは?」と思ったら大間違い。 アメリカの農畜産業は、ワシントンに強力なロビーストを送り込んでいて、政界に強力な影響力があるのは言うまでもないこと。 したがって農務省のオーガニックの認証規定を緩めさせるパワーも持っているのが実情。
もしそうなった場合、オーガニックの食材が 本来のオーガニックというコンセプトから離れていく というリスクが見込まれているのだった。


そんなアメリカは、年々ヘルス・コンシャスになりつつあるとは言え、やはり肉食の国。
それだけに今週大きく報じられたのが、ステーキなど赤身の肉が心臓病の原因となる理由についての新情報。
これまでは、ステーキなどの赤身の肉を頻繁に食べる人が 心臓病を患ったり、心臓発作を起しやすい理由は、 コレステロールと多量の脂肪が原因だと見られてきたけれど、 今週、クリーヴランド・クリニックが発表した研究結果によれば、赤身の肉に含まれるカー二ティンという物質が、 消化、吸収の段階でTMAOというケミカルに替わり、血液中でそのTMAOのレベルが高ければ高いほど、心臓病になり易いという。
私にとって、このニュースが興味深かったのは、ステーキを食べた後は 誰もが血中のTMAOレベルが急激にアップするというけれど、 肉を1年以上食べていないヴィーガンの人は、ステーキを食べても血中からTMAOが検出されないということ。 すなわち、心臓病のリスクを恐れずにステーキを食べるためには、ヴィーガンになるのが一番という パラドックスがここに成り立っているのだった。

カー二ティンという物質は、鶏肉、魚、乳製品にも含まれているというけれど、その量は赤身の肉ほどではく、 それよりもカー二ティンを多く含んでいるのが、エナジー・ドリンク。  というのもカーニティンには、代謝をアップして、筋肉をデベロップする役割があるためで、 アメリカの心臓協会は、アスリートやボディビルダーが カーニティンを含んだエナジー・ドリンクを飲むことによって、 心臓病を患うことを心配し始めているのだった。



さて、今週から ニューヨークはやっと春らしくなって、セントラル・パークでも春の花がどんどん開き始めているけれど、 アメリカで春といえば、掃除の季節。「スプリング・クリーニング」という言葉があるほどで、 この時期になると、TVのバラエティ番組が、掃除用の新ガジェットを紹介したり、掃除のテクニックを伝授するセグメントを設けるのは例年のこと。
かく言う私も、「スプリング・クリーニング」の真っ最中。先週、腸内洗浄について触れたけれど、 ホリスティック系のクレンジングの本によれば、一度自分の体内をクレンズすると、自分の身の回りの滞りを解決したり、不必要な物を排除出来るようになるとのこと。
事実、先週の断食を終えて以降、部屋の中で目立ち始めたのが、「どうしてこれを捨てずにいたんだろう」と思う物の数々。 何年も使っていない空気清浄機はその最たる例。その他にもキッチンのパントリー(貯蔵棚)の奥には、何年も前の乾物食材があったり、 本棚には時代遅れのダイエット本があったり、壊れてはいないけれど 何年も使っていないラップトップがあったりで、自分が身体の中だけでなく、 家の中にも不必要な物を溜め込んで来たことを 大きく反省してしまったのだった。

中でも、今回の「スプリング・クリーニング」で私が集中的に処分を試みたのが、バニティ(鏡台)の中のスキンケアとコスメティック。
つい最近になって知ったのが、肌にアプライしたものはコスメティックでも、スキンケアでも、その約70%が血流に入っていくとのこと。 したがって、鉛が混入したリップ・スティックなど愛用している場合ではないのはもちろん、 ケミカルの名前が羅列されたスキンケアは恐ろしくて使えないけれど、それでもお値段が高かったせいもあって、 何となく捨てられずに ヴァニティの中に存在してきたのが、かつて購入したスキンケアやコスメティック。
でも、この先 これらも使うことが無いのが分かっているだけに、一気にゴミ箱に捨てたところ、ヴァニティの中がすっきりして気分が良くなっただけでなく、 何が何処にあるかが直ぐに分かるので、 メークやスキンケアの時間が短くなるというメリットがもたらされたのだった。

また、私の周囲では子供が生まれた途端に、洗剤類を全てオーガニックに替える友達が多いけれど、 私がこれまで気をつけてきたのは、食器洗い用の洗剤だけ。 でも、NYUの皮膚科のドクターから 「洗剤類にも気をつけるように」とアドバイスされたことから、 「食材とスキンケアをオーガニックにしているのだから、ホーム関係でも手を抜くべきではない」という気持が湧いてきて、 室内やフロアの洗浄剤を、ジェシカ・アルバのオネスト・ライフに替えてみたのだった。
すると ちゃんと汚れが落ちるけれど、確かにケミカルの匂いはゼロ。洗剤や洗浄剤に含まれる ケミカルは、匂いを鼻から吸い込むだけで 体内に入るものが多いだけに、掃除の後、ケミカルが匂わないというのは非常に安心かつ、快適なのだった。

ところで 断食後、整理が付いてきたのは 私の心理状態も然り。
これまで、どんなに割り切ったと思っても、定期的にストレスとしてカムバックしてきた問題に、 初めて「クロージャー」、すなわち「これで打ち止め」というような気持の整理がついたのが今週のこと。 数ヶ月ぶりに、今まで苦しんできた問題から解き放たれた爽快感を味わうことが出来たのだった。
それまでは、自分の気持を客観的に分析して 解決しようと格闘していたけれど、 まさかこんなところに解決の糸口があるとは思ってもみなかっただけに、今まで自分なりに勉強してきた心理学の盲点を学ぶと同時に、 頭では理解しているつもりでいた「心身一体」を改めて痛感したのだった。

とは言っても、断食は終わっても、私の身体のクレンジングはまだ終わっていなくて、このコラムを書いている14日、日曜までが 流動食。その後も続くのが21日までの カフェイン、アルコール、グルテン、刺激物、その他のカット。
クレンジング前に最後のコーヒーを飲んだ時は、友達に「あと21日、コーヒーが飲めないなんて・・・」 と携帯メールをしたけれど、ふと考えると私はコーヒーは好きでも、依存症だった訳では無いので、カフェイン・カットは 断食に比べたら何でもないのだった。

先週のコラムは、驚くほどリアクションを頂いて、クレンジングに使ったプロダクトのお問い合わせなども、 沢山頂いたけれど、私は自らの経験から、クレンジングをお薦めする立場。
身体の健康のためはもちろん、肌や心の浄化のためにも、 クレンジングをしてみるのは とても良いことだと思うし、多少辛い経験ではあるものの 何らかの転機さえも もたらしてくれると思うのだった。





執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。


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