Apr. 14 〜 Apr. 19 2009




”Spring Awakening ”


今週末のニューヨークは晴天に恵まれて、特に土曜日は気温が20度を超える素晴らしいお天気。
私もこの日はセントラル・パークに 出掛けたけれど、桜、もくれん、水仙、チューリップなどが満開で、芝生も真緑。 グレート・ローンでは多くのニューヨーカーが日光浴 兼 ピクニックを楽しんでいて、何とものどかな光景が広がっていたのだった。

でも同じ頃、新ヤンキー・スタジアムでは、ヤンキーズが2回表、1イニングだけで クリーブランド・インディアンズから14点を奪われ、 22-4で敗れるという惨憺たるゲームを繰り広げて、ファンを失望させていたのだった。
今日のニューヨーク・タイムズ紙のスポーツ欄によれば、ヤンキーズはボルティモアからフランチャイズ(チーム)が移ってきた1903年以来、 1万6500試合以上、約14万8500イニングをプレーしてきたけれど、1イニングに14点を失ったのはチーム史上初めてのこと。 また左の票は今日のニューヨーク・ポスト紙に掲載されたヤンキーズの大敗ワースト記録であるけれど、 18点差で敗れたというのは史上2番目のワースト記録タイとなっていたのだった。
でもこの草野球のようなスコア同様にファンを怒らせているのが、何から何まで高い新球場のお値段。 ヤンキーズのオーナー、ハル・スタインブレナーでさえ「新球場のチケットは高すぎるのでは?」とコメントしていたけれど、 フロント・ローのファンは2625ドルも支払って、この長くて悲惨な試合を見せ付けられた一方で、 多くのファンが90年代には36ドルだったチケットに今や150ドル以上も支払わなければならない状況。 旧球場のシーズン・チケットホルダーの中には、新球場では かつての2倍の金額を出しても 酷い席しか手に入らないために シーズン・チケットの購入を諦める人々が多かったという。
また野球と言えば、アメリカでは家族ぐるみで出かけるスポーツ・イベントであるはずだけれど、 ヤンキー・スタジアムではチケットが高すぎて、低所得者家族4人が 揃って野球観戦するのは もはや経済的に不可能とさえ言われているのだった。 しかも球場で売られているのは、リセッション時代にも関わらず ビールが10ドルもするような ぼったくりの フード&ドリンクで、 昔ながらのヤンキーファンであればあるほど、新しい球場 と その金取り主義の球場運営、 そして何よりヤンキーズというチーム自体に大きな失望を感じているのは紛れも無い事実のようである。
実際、私はヤンキー・スタジアムのシーズンオープナーを観てきた人と話したけれど、新球場は新しくてキレイなだけで、 以前のスタジアムの威厳やヤンキーズの名選手の魂が宿っているようなオーラが全く感じられなかったことを嘆いたのだった。
そんな状態なので、今日のニューヨーク・ポスト紙の第一面には、マスター・カードのコマーシャルを真似て、 「スタジアム $1.5ビリオン、選手の給与 $200ミリオン、 チーム Worthless / ウォースレス(価値が無い)」 という見出しが躍っていたのだった。

その一方で 同じく新球場に移ったニューヨーク・メトロポリタンズ(メッツの正式名称)は、 今シーズンはワールド・シリーズも夢では無いと期待される存在。しかも新球場のフードは、CUBE New York のダイニング・セクションの記事でも紹介しているけれど、 アメリカのスポーツ・スタジアムの中で 文句なしのベストと言われ、 シェイク・シャックのホットドッグの価格はシェイ・スタジアム時代よりも2ドルも安いのに、”味は抜群” と指摘されていたりする。
でも二ューヨーカーがメッツの新球場を唯一好まない点は、国民の税金からのベイルアウト・マネーを散々受け取っている シティ・バンクが同球場のネーミング・ライツを買い取っているため、シティ・フィールドと名付けられていることである。
実は私は日本への一時帰国から戻って、JFK空港からタクシーに乗って自宅に帰る際に、 タクシーの運転手がメッツ・ファンであったため、 頼みもしないのに新球場が良く見える道を通ってくれて、 シティ・フィールズの全景を眺めることが出来たけれど、 その日は天気が良かったせいもあり シェイ・スタジアムより遥かに明るくて 雰囲気が良い球場だという印象を 個人的には抱いたのだった。

新ヤンキー・スタジアムでもシティ・フィールズでも 女性ファンにとって有難いのは、女性用トイレの数が増えていることで、 2球場合わせて トイレの数は以前よりも1500も増えているという。
アメリカン・レストルーム・アソシエーション(全米トイレ協会)によれば、女性はトイレの使用に 男性の2倍の時間を要するとのことで、 この理由は、衣類の着脱や生理、トイレット・ペーパーの使用などによるもの。 それだけに コンサート・ホールやスポーツ・アリーナで 見られがちなのが 男性用トイレには 人が入れ替わり立ち代り入っては 出て来るのに、女性のトイレには長蛇の行列が出来ているという状態である。
そもそもアメリカでは古い建物を中心に 女性用のトイレの数が 男性用より少なく設置されていることは以前から指摘されていること。 またアメリカのトイレ業界というのは、今も女性のニーズを省みる必要性をあまり感じていない男性中心の世界であるという。
でも、トイレの待ち時間が女性の健康に悪影響を及ぼし、女性客をスポーツやシアター・イベントから遠ざけてしまうことは明らかな事実。 これを受けてニューヨーク市で2005年に可決されたのが、新たに建設、もしくは大幅な改装をする公共&レジャー施設などは、 男性のトイレ数の2倍の女性トイレを設置しなければならないという法律である。
このためシェイ・スタジアムよりも1万2000人キャパシティが減って、 4万5000人を収容するシティ・フィールドは 男性トイレ152に対して、女性トイレが303設置されているという。 一方、5万2325人の観客を収容するヤンキー・スタジアムでは、法律で定められている最低のトイレ数は 女性用358、男性用176。でもこのミニマムさえ満たしていれば、女性2:男性1の割合を守る必要は無いとのことで、 実際にヤンキー・スタジアムに設置されたトイレの数は女性用が369、男性用が396。これに加えて ラグジュリー・スウィート用に ユニセックス・トイレも設置されているとのことだった。

さて、先述のマスター・カードのコマーシャルに話を戻すと、本来のCMは ニューヨーク・ポスト紙の見出しの "Worthless" の部分が ” Priceless / プライスレス (値段が付けられない)” という言葉になっているのは 日本でもお馴染みのこと。 そもそも このCMのコピーは クレジット・カードによって簡単に買い物をしてしまう罪悪感を 取り除くための心理効果を狙って 発案されたものだという。
でもそれが功を奏し過ぎてか、今やアメリカ人全体のクレジット・カード負債の総額は2兆6000億ドル(約257兆9500億円)。 プライスレスどころか、とんでもない巨額に膨れ上がっているのだった。
しかも2008年に入ってから増え続けているのが支払いの滞りで、その数は2005年から2008年末までの間に60%も増えているという。 これを受けて いち早くアクションを起こしたのがアメリカン・エクスプレスで、 同社は2月に支払いが滞り気味のカード・ホールダーに対して、300ドルを支払う代わりに カードをギブアップしてもらうという プログラムをスタート。この報道を知って 「300ドルもらえるなら アメックスなんて喜んでギブアップする!」 と そのオファーを待っている人は私の周囲に 何人も居たけれど、待っている人には往々にしてそういったオファーはやって来ないものである。
でもカード会社にとって、利用者の支払いの滞りは深刻な問題で、アメリカン・エクスプレスやキャピタル・ワンといった企業は こぞって負債を計上し、株価を下げているのだった。 またバンク・オブ・アメリカ、JPモーガン・チェイスといった銀行でも、カード負債が深刻な問題になっていることが伝えられているけれど、 その一方で、これらのカード会社や銀行は昨今、年利をどんどん引き上げており、中には年利 29% というところまで出てきているのが実情。 でも そんな年利の引き上げを行って アメリカの消費者を苦しめている中には 国民の税金からベイルアウト・マネーを受け取って、 経営危機を逃れている銀行も多い訳で、そういった倫理的矛盾が 国民の金融機関に対する悪感情を更に高めているとも伝えられているのだった。

ところで 私を含め、アメリカに居る移民が祖国の家族や友人と話すと、このところ 必ずといって良いほど指摘されるのが、 「アメリカは景気が良くなってきたみたいじゃない」ということ。
これはもちろん、ニューヨーク・ダウ平均の数字から指摘されているものだけれど、 事実、いい加減な予測で知られる CNBCの番組ホストは、 4月2日の時点で 「リセッション・イズ・オーバー!」 などと高らかに宣言をしていたのだった。
でもダウ平均というものはウォールストリートの関係者が信じているほどは経済の指標にはならないもの。 庶民の中にはダウが8000ドル台を回復したことなど知らない人も多い訳で、 それよりも景気の回復というのは 失業者が減り、雇用と消費が増えることによって実感されるべきものである。
しかしながら今のアメリカでは 失業者は増え続けているし、消費は冷え込んだままで、 春を待たずしてニーマン・マーカスやブルーミングデールズが春物の 25〜40%オフのセールを行っているのは、それを何より証明するところ。
コンシューマー・コンフィデンス(消費者信頼度指数)に関しては、リーマン・ブラザースの破綻以来、 初めて若干アップしたことが伝えられているけれど、 私は個人的に これは春で気候が良くなった分、人々が楽観的になっただけなのでは?と思っていたりする。
そもそも 経済危機というのは春夏シーズンには起こりにくいもので、この理由は 金融のエグゼクティブや政治家達のバケーションが緊急の召集で中断されないようにするため とさえ 勘ぐられているけれど、欧米のカルチャーでは 夏というのは1年のうちのウィークエンドのような存在。
昨年にしてもベア・スターンズの破綻(3月)からリーマン・ブラザースの破綻(9月)までは、悪いながらも若干のブレイクがあったのと同様、 「今年も夏の終わりまでは悪いながらもこのまま行くのでは?」 というのが つい最近私が話した金融関係者の意見なのであった。

さて、暖かくなってくると薄着、そしてスイムウェアの季節に備えてダイエットやエクササイズをする人が増えてくるけれど、 私の周囲でも 「もうすぐビキニ・シーズンだから・・・」と言って、レストランに出かけてもサラダしか食べない女友達が何人も居るのだった。
こうやって明けても暮れても ”サラダ After サラダ” の食生活をすることは 時に”マンハッタン・ダイエット”とも呼ばれるけれど、 その一方でアメリカの女性にとっては ”ビキニ・シーズン=ワックス・シーズン”。 冬の間ワックスをサボる女性は決して少なくないけれど、水着を着る季節になると脚とビキニ・エリアの ワックスにお金を使う女性は非常に多いのである。
ニューヨークでは 今でこそネール・サロンがワックスをやり始めたので、Waxer/ワクサーというと コリアン が多いというイメージが 定着しているけれど、かつては腕が良いワクサーといえば、何故かロシア人と相場が決まっていたのである。
TV版の 「セックス・アンド・ザ・シティ 」でもキャリーがウェスト・コーストでブラジリアン・ワックスをしてもらう ワクサーが ロシアン・アクセント(ロシア語訛り)であったけれど、私が日本に一時帰国した際にアートメークをしてくれる女性から聞いたのが、 最近では 日本でもブラジリアン・ワックスをする女性が増えつつあるという話。 彼女によれば、これは 「セックス・アンド・ザ・シティ 」の影響とのことだった。
私はニューヨークに来て直ぐに仲良くなった友達がサウス・アメリカンで、彼女の影響もあって ブラジリアン・ワックス歴は軽く10年以上になるけれど、もうワックス通いに すっかり疲れてしまったせいもあり、 現在はブラジリアン・レーザーで、永遠に”ワックス・フリー” になろうとしているところである。 これを日本に住む日本人の友達に話したところ、「もう毛が 生えてこなくなっても大丈夫なの?」 と訊かれてしまったけれど、 「過去10年以上必要なかったものが、これから先必要になるとは思えない」 というのが私の考えである。

さらに、アートメイクをしてくれる女性と話していて発見したのが日本とアメリカではボトックスの打ち方が違うということ。
アートメイクの女性によれば、日本ではボトックスを打つと「額が張る分、眉や瞼が下がってくる」と言われているとのことだった。 なので、私が 「今ボトックスを打って5ヶ月目で、あまり効いて居ない時だから、眉をあまり上に書いてしまうと、 次にボトックスを打った時に 眉が上がりすぎてしまう・・・」と言った意味が 彼女にはよく 分からなかったようで、アメリカでボトックスを打つと ブロウ(眉)・リフト効果があることを説明しなければならなかったのだった。
かく言う私は、年に2回のペースでボトックスを打ち続けているけれど、 注射の3週間後から10週間目くらいは眉間にシワが寄らない状態になるけれど、 その後はナチュラルな感じになるので、私にとってはこのペースがちょうど良いと感じられるのだった。 また、友達の中には「今時、ボトックスなんて誰でも打てるんだから、安いドクターが居たら どんどん替えていく」 というお値段本位の人も居るけれど、 私は ボトックスは 同じドクターに注射してもらうのを好む方で、その方が 「前回この部分が反対側ほどリフトしなかった」といった 細かいフィードバックが出来るためで、私は自分のドクターの少量を多数箇所に打つ手法を非常に気に入っていたりする。 このやり方だと、シワが出始めてきたエリアに少しだけ注入してもらうようなリクエストが出来るだけでなく、 眉と瞼がリフトされるので、顔の印象がはっきりした感じになるのだった。


アメリカでボトックスの美容目的の使用がFDA(食品医薬品局)によって認可されたのは2002年のこと。 もちろんそれ以前でも 先にボトックスが認可されたヨーロッパやサウス・アメリカでボトックスを打っていた女性、 あるいは他の医療目的で既に認可されていたボトックスを医師にこっそり 顔に打って貰う女性は多かったと言われているけれど、 そうした先発の女性達が 「顔が動かない」等とからかわれる一方で、 後発でボトックスを打ち始めた女性達は 遥かにナチュラルに、しかも効果的にシワを減らしているのだった。
そう思うと、ビューティー・トリートメントは新しいものに真っ先に飛びつくより、ドクターが使い方を熟知してから 取り入れた方が賢いと思えてしまうけれど、 そんな中、昨今アメリカで激増しているのは男性のボトックスの使用。 かつてはゲイ男性を中心に広まっていたボトックスであるけれど、現在では政治家や企業エグゼクティブなど、 ビジネスマンがボトックスを好んでおり、ジョー・バイデン副大統領、ジョン・ケリー元大統領候補が、 ボトックスのお陰で下がり気味の眉を修復したり、額のシワを減らしていることが指摘されているのだった。

日本に住む友人には、一時帰国の際に ボトックスに次ぐ何か強力な美容法が登場して居ないか とも訊かれたけれど、 この答えとして強いて挙げるとすれば、”ディスポート”である。
これは ボトックス同様、シワ取りの注入式のトリートメントであるけれど、 ボトックスよりずっと価格が安く、ボトックスより効き目の持続力があり、さらにナチュラルに仕上がると言われているもの。 既にディスポートを試験的に使用しているドクターやその施術を受けた女性の間では、 ボトックスよりベターと言われているのだった。
特にリセッションで、ボトックス注射を怠る女性が増えているご時世なだけに、 ディスポートは 価格が安く、効き目が長持ちという ”ヴァリュー” が医師の間でも期待を集める要因となっているけれど、 やはり これもボトックス同様、真っ先に飛びつくよりは利用者が増えるのを待ってから 自分に合うかをジャッジする方が 安全と言えるものである。

その一方で今やボトックスは、アメリカ国内では美容目的だけでなく、頭痛、脇の下の多量の汗、瞼の痙攣など、 5つの目的での使用がFDAに認可されており、その他16の医療目的の使用がアメリカ以外の国々で認可されているという。
この他、アメリカでは前立腺や膀胱への使用も現在認可待ちの状態で、ボトックスの製造元、アラガン社では これら意外にも食欲の抑制やストレッチ・マーク(妊娠線や肉割れ)対策としての特許も出願中とのこと。 合計では35の医療&美容整形用途が認可、もしくは検討されている状態である。
なので、かつてボトックスの毒性を危惧していた人々の主張はかなり薄らいで来ているけれど、 ボトックス信者の私でさえ感じるのは、「ボトックスは少量を使用している分には人体に害は無いけれど、 多量の場合はどうなるか分からない」ということ。 そもそもボトックスにしても整形手術にしても、 それで自分が美しくなったという実感を得ると、「もっと!」という気持ちから中毒状態に陥る場合が少なくないもの。 その結果、不自然な作り物になってしまうのはマイケル・ジャクソンを見れば分かる通りである。
だから私は ボトックスを過剰に打ちたがるドクターは信用しないし、 ボトックスは肌の老化を遅らせる程度に使うべきものだと考える主義。
45歳が26歳よりシワが少なくても、決して25歳に見えることは無い訳であるし、 たとえ顔がパンパンに張って、シワ1本無かったとしても、首や手など エイジングを隠せない場所は他にも沢山あるのである。






Catch of the Week No. 2 Apr. : 4 月 第 2 週


Catch of the Week No. 1 Apr. : 4 月 第 1 週


Catch of the Week No. 5 Mar. : 3 月 第 5 週


Catch of the Week No. 4 Mar. : 3 月 第 4 週







執筆者プロフィール

秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。
丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、1989年渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。





© Cube New York Inc. 2009