Apr. 15 〜 Apr. 21, 2013

” 21Days of Vegan & Gluten Free ”

今週は、月曜に起こったボストン・マラソンの爆弾テロ事件の報道に終始していたアメリカ。
事件の容疑者はチェチェン出身の兄弟、タメルラン・ツァルナエフ(26歳)と ジョハル・ツァルナエフ(19歳)で、 兄のタメルランは18日夜中にMIT(マサチューセッツ工科大学)で起こった銃撃戦で死亡。 その時点で負傷しながらも、逃走した 弟のジョハルを捜索するために、 翌日金曜のボストンは、街全体がロックダウン(閉鎖)。 交通機関がストップしたのはもちろん、スポーツの試合も中止、市民は外出も許されず、全てのオフィスや店舗もクローズ。 人口100万人以上の都市で、このようなロックダウンが行なわれるのは極めて異例なことで、これによって街の経済に 30億円以上の 損失がもたらされているのだった。
結局、逃走中だったジョハルは、ウォーター・タウンの民家に置かれたボートの中に隠れているところを逮捕され、 逮捕直後の現地では、捜索に当たった地元警察を 市民が歓声を上げて讃える光景が見られていたのだった。

今回のテロで、政府関係者や人々に ショックを与えているのは、 2人の容疑者が共にアメリカで育ち、弟のジョハルは 昨年市民権を獲得しているアメリカ人であったということ。 更に兄のタメルランについては、イスラム系過激派の疑いで、FBIがロシアの捜査当局から警告を受けており、 2年前には FBIが本人とのインタビューを行い、その時点ではテロリストの疑いは無いと判断されていたという。
しかしながらタメルランは、昨年ロシアで数ヶ月を過ごしたのをきっかけに、その後、YouTube上に イスラム系過激派を支持するビデオをアップするなど、 徐々にテロリストとしての遍歴を見せており、FBIでは 彼のロシア滞在中の足取りやコンタクトを調べ始めていることが伝えられているのだった。

今週は、このボストンのテロ報道でメディアが振り回された週でもあり、まず水曜にはCNNとFOXが共に 犯人逮捕の 誤報を伝えて批難を浴びるという一幕があったけれど、木曜にはNYポスト紙が、事件とは全く関係の無い 地元の青年2人を 「FBIの重要参考人」として表紙に大々的にフィーチャー(写真上、右)。 でも幸い、この日のうちにFBIが ツァルナエフ兄弟の写真を容疑者として公開したため、無実の青年達の潔白は 直ぐに立証されることになったのだった。
ニューヨーク・ポスト紙が容疑者を勘違いした理由については、ウェブ上で現場の写真やビデオを集めて、FBI紛いの捜査分析を独自に行なっていたサイトの 情報を 「確認することなく鵜呑みにしたため」と指摘されており、 CNNやFOXについても、一番に特ダネを伝えるために、 事実関係のチェックを怠って報道に踏み切るという、非常に危険な体制が問題視されていたのだった。



話は全く変わって、昨今、史上最高値を記録していたダウとは 正反対の方向に株価が動いている企業の筆頭に挙げられるのがアップル。
昨年9月には700ドル台をつけた株価が、今週は遂に400ドル台を割る値下がりを見せていたけれど、 この株価下落の要因になっていると指摘されるのが アイフォン、アイパッドの需要ダウンなのだった。
アップルほどの大企業ではないものの、同じように需要低下で 株価が大きく値下がりしていたのが、 グルメ・カップケーキのチェーン店、「Crumbs / クラムス」。 カップケーキ・ブーム全盛時代の2011年には、13ドル台をつけていた同社の株価は、今週、僅か1ドル20セント台で取引されていたのだった。 同社については、急速過ぎる店舗網の拡大も株価下落の要因になっていると言われるけれど、 かつてのアメリカは ウェディング・ケーキまでもが カップケーキになるほどのブーム。 ありとあらゆるトッピングやフロスティングのバラエティが登場し、カップケーキの料理本が何冊も出版されたけれど、 さすがに今、カップケーキというと ”終わってしまったフード・トレンド”という印象は否めないのだった。

これに替わって、2013年は「グルメ・ポップコーンの時代」 と言われているけれど、それとは別に 今、ベンチャー・キャピタリスト達が、どんどんお金をつぎ込んでいるのが ジュース・ビジネス。
今年の年明けには、ニューイヤー・レゾルーションの一環として、ジュース・クレンズをするニューヨーカーが非常に多かったことは 当時のこのコラムにも書いたけれど、3日〜5日程度のジュース・クレンズが終わった後も、 ジュースを ”ミール・リプレースメント”、すなわち食事の替わりとして飲み続ける人は多く、 今やジュース・ビジネスは、アメリカで猛然と拡大を続けているのだった。

特に、写真上右側のブループリント・ジュースは、オーガニックの野菜と果物のみを原料にしていることをウリに、 1日〜6日のクレンズ・プログラムを提供しているけれど、細々とスタートした同ビジネスは、今やベンチャー・キャピタリストの 投資のお蔭で、年商20億円のビジネスに成長。 この他、スターバックスもジュース・ビジネスに参入するために、”Evolution Fresh / エヴォルーション・フレッシュ”という ブランドを買収。一方、”ユニオン・スクエア・カフェ”、”グラマシー・タヴァーン” 等のNYの人気レストランに加えて、グルメ・ファースト・フードの ”シェイクシャック” でも知られるレストランター、ダニー・メイヤーも、このジュース・ブームに乗り遅れまいと、”Creative Juice / クリエイティブ・ジュース” というブランドを立ち上げているのだった。

ジュース・クレンズは、10年ほど前までは 一部のセレブリティやモデル等が行なっていたもの。 それがここ数年で、あっと言う間にメインストリームになってしまったけれど、ジュース・クレンズ・プログラムとして 最も普及している ブループリント・ジュースは、1日に6種類のジュースを飲むというもの。 その総カロリーは、1日約1200カロリーで、決して低くはないのだった。
このため 空腹感はさほど感じないものの、3日で1〜2キロの体重を落とすことは可能とのことで、1日当たりの費用は65ドル。
専門家によれば、3日程度クレンジングが適しているのは、ホリデイ・シーズンに増えた2〜3キロを手っ取り早く落としたいというようなオケージョン。 増えたばかりの体重は比較的落とし易いため、3日程度のクレンジング・プログラムで簡単に落とせるケースが多いという。
でも3日では 体質改善を望むのは無理。内臓を休めるには良いけれど、3日程度の短いクレンジング・プログラムの落とし穴は、 食欲を抑えているピークで終了すること。このため、クレンジング中に食べたいと思って我慢していた ステーキやハンバーガー、ケーキやアイスクリームなどを、プログラム終了後にご褒美として一気に食べてしまうことによって、 クレンジングの効果を帳消しにしてしまうケースは少なくないようなのだった。



さて、私がこのコラムを書いている4月21日に終えたのが、21日間のクレンジング・プログラム。
この21日間は、最初の2日間が腸内洗浄のための断食の準備。その後6日間断食をして、 断食終了後の6日間は スープとスムーシーだけという流動食。 今週に入ってから、やっと固形食を食べ始めたけれど、最初の2日間は野菜のみ。 その後、グルテン・フリー・ブレッド、キノアといった炭水化物を加えていって、今日でプログラムが終了。 明日から、やっと 肉や魚といった動物性たんぱく質の摂取を始めることになっているのだった。

ふと考えると 過去の21日間、私はヴェジタリアンどころか、ヴィーガン、それもグルテン・フリーのヴィーガンだったことになるけれど、 これは結果的にそうなっただけで、意図したプログラムではないのだった。
私は4月15日、月曜に大腸内視鏡の再検査を控えていたため、「この日までは固形食を食べない」と誓って、 断食後、6日間続けたのが流動食。 この間、食欲よりも抑えるのが大変だったのが、「物を噛んで食べたい」という欲望。
なので、検査が終わって 野菜を食べた時は 本当に嬉しかったけれど、嬉しく感じたのはこの日だけ。 2日目になると、もっとお腹に貯まるものが食べたいという欲望が出てきたのだった。 そこで、デトックス・プログラムの炭水化物のチョイスから私が選んだのがグルテン・フリー・ブレッド。
理由は、私はグルテン・フリーのパンを 今まで食べたことが無かったためで、 どんなものなのか興味があったのだった。 ちなみに、どうしてデトックス=クレンジング中に 通常のパンを食べてはいけないかと言えば、 グルテンはセリアック病ではなくても、消化が難しい食物。 したがって 消化器官を休ませて、身体をリセットするためのクレンジング中には、摂取を控えた方が無難と見なされているのだった。

そこで、2種類のグルテン・フリー&ヴィーガン・ブレッドを買ってきたけれど、1つ目はパンプキン・ブレッドで、これはふっくらしたパウンド・ケーキのようなパン。 こちらは問題無しに食べることが出来たけれど、2つ目に選んだサンドウィッチ用のローフは、一口かじって あまりの不味さに唖然としてしまったのだった。
私は、「パンが無いと生きられない」というほど、美味しいパンをこよなく愛しているけれど、グルテン・フリーのヴィーガン・ローフは 味と言い、テクスチャーと言い、「ここまでは食生活を落とせない!」というレベルで、私は自分にグルテン・アレルギーが無いことを真剣に神様に感謝してしまったのだった。
でも、そのままだと不味くて食べられなかったグルテン・フリーのヴィーガン・ローフも、カリカリにトーストしてみたところ、パンとしては許せないものの、 クラッカーとしてなら食べられるようになって、クレンジング中、アボカドとトマトを乗せたオープン・サンドを作って味わうことになったのだった。





こうして私は21日間、火が通ったものを食べていたのでロウ・ダイエットではないけれど、 完璧なヴィーガン&グルテン・フリーの食生活をすることになったけれど、それで身体にどんな変化が起こったかといえば、 まず低体温。
私は体温が高いはずなのに、流動食とヴィーガンのダイエットを続けている間、とにかく寒いだけでなく、エクササイズをしても 殆ど汗が出ないという 私としては極めて異常な状況になってしまったのだった。 今日も、ヨガ・クラスの後、サウナに入っていたけれど、薄っすら汗ばむまでに20分を要するというのは自分でも信じられないことなのだった。
確かに、スムージーやサラダは体温を下げるけれど、火が通った野菜や、スープも食べていたし、 ハーブ・ティーもホットで飲んでいたけれど、こうした温かい食べ物や飲み物で身体が温まるのは一時的なもの。 直ぐにまた寒くなってきて、真冬でも室内ではノースリーブやタンクトップで過ごす日頃の自分とは全く逆。 冷え性がいかに辛いかを生まれて初めて悟ったのだった。

加えて 感じたのは無気力ではないけれど、エネルギー不足。
これを一番感じたのはウェイト・トレーニングをした際。流動食の段階のエクササイズは、あえてランニングとヨガだけにしていて、 この2つは断食中でも出来るほどなので、固形食を食べ出してからは益々問題なし。 ところが、固形食を食べ始めてからウェイト・トレーニングをしてみたところ、いつものウェイトが物凄く重たく感じられて、インターバルを長めに取ったり、 ウェイトを軽くしなければ続けられない状況で、断食と流動食の間に、筋肉が衰えたことを実感してしまったのだった。
逆に向上していたのはオーガナイズ力で、生活の中の細かい無駄が事前に機転を利かせることによって、 省くことが出来るようになったのだった。 それと、特に流動食の最中は 「身体に無理をしないように」と心掛けた結果、 早めに仕事を切り上げたり、外出先から早めに帰宅するようにしていたせいで、非常に規則正しい生活が出来ていたのだった。

でも、忙しかったのが食材の調達。外食を殆どせず、1日2回スムージーを飲んで、 出来るだけ多くの種類の野菜を新鮮な状態で食べようとすると、やはり しょっちゅう野菜と果物を買い足す必要があって、 これが なかなかの手間。
でも食費は日頃より下がっていて、その理由は肉や魚、チーズを買っていないから。 野菜や果物ならば、オーガニックを選んでも値段が知れているけれど、 私が日頃買っていたオーガニックの肉やチーズは結構なお値段。そう考えるとヴィーガンは安上がりな食生活とも言えるのだった。

でも、実は私が行なっていたクレンジング・プログラムでは、固形食に入ってからは 鶏肉とターキー(七面鳥)ならば食べてもOK。 にも関わらず、あえてヴィーガンを通したのは、私が日頃から鶏肉とターキーを食べないためで、特にターキーに関しては、 自分で好んで買ったことさえ無い肉なのだった。
もし 世の中のダイエティシャンが指摘するほどに、肉が人間の身体に悪いとした場合、私にとってそのリスクを冒して食べる価値があるのは、 ビーフとヴィール(仔牛)、一部の豚肉料理とラム・チョップのみ。 鶏肉とターキーであれば、食べなくても全く問題は無いし、野菜からでも十分なたんぱく質が摂取できるのだった。

元プロ・ボクサーのマイク・タイソン等、ヴィーガンになったセレブリティの中には、「ヴィーガンになってからの方が 精神が穏やかになった」とか、「ヴィーガンになってからの方が、頭がスッキリした」と語る人が少なくないけれど、 私が21日間のヴィーガン・ダイエットを終えて思ったのは、「私は 動物性たんぱく質を摂取している自分の方が好きだ」ということ。
というのは、体温やエネルギーに象徴される 生命力を自分で実感出来るためで、 健康のためにやっていたとは言え、低体温だった自分には、健康であるという自信が持てないのだった。
でも 21日間のクレンジングが、身体のリセットは貢献したのは事実で、 食の好みはかなりヘルシーになったと思うし、今後 動物性たんぱく質を加えても、 全体の70%を野菜&果物にする食生活は、さほど無理なく実現できるように思うのだった。

また大腸内視鏡検査も無事にクリアすることが出来て、「前回より遥かにきれいな腸になった」と ドクターに言ってもらえたのは、断食とクレンジング・プログラムのお蔭。 そもそも、今回のクレンジングは、2週間前のこのコラムに書いた同検査が引き金になって始まったことなので、 私としては 腸がキレイになっただけでも目標達成と言えることなのだった。

したがって、自分がヴィーガンに向いていないことを 改めて確認した21日間のクレンジングではあったけれど、 食生活の改善には大きなプラスになったのは事実。
今日、友人が携帯メールで、「クレンジングが終わって、何が一番食べたい?」と訊いて来たけれど、 正直なところ答えに困ってしまったのだった。 2週間前の断食中だったら、「バゲットにバターを塗って食べたい」と答えていたと思うけれど、 今は、本当に美味しい野菜や肉&魚、パンなどをバランス良く食べたいと思っているのだった。

ところで、私にその携帯メールをしてきた友人は、今週ドクターにヴィタミンB12欠乏症と診断されて、 赤身の肉を食べるように言われたとのこと。彼女は過去半年、動物性たんぱく質は卵とヨーグルトしか 取らないようにしていたのだった。
結局のところ、人間は人それぞれ。ヴィーガンが合って居る人もいれば、 動物性たんぱく質を食べるべき人も居る訳で、どちらが良い、 悪いというレベルの話ではないというのが 私が感じるところなのだった。





執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。


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