Apr. 9 〜 Apr.15 2018

”Decording Success of Cardy B”
ストリッパーからスーパースターに転身した
話題のラッパー、カーディBのメガサクセス・ストーリー



今週末は、アメリカ、イギリス、フランス軍による シリアのアサド政権の薬物兵器の使用に対する武力制裁が行われていたけれど、 トランプ大統領の ”Mission Accomplished/作戦成功” という勝利宣言ツイートに アメリカのメディアが示していたのは冷ややかなリアクション。 実際のところ「今回の武力制裁がもたらすインパクトは未知数」という意見が圧倒的となっているのだった。
その一方で エンターテイメント・メディアの関心は、カリフォルニアで毎年行われる世界最大のミュージック・フェスティバル、 コーチェラの話題と報道に集中。 今年のコーチェラは、今週と来週の金曜から日曜までの 計6日間の日程で行われ、 敷地内に設けられた7つのステージでパフォーマンスを行うアーティストの数は250以上。 2017年には25万人の観客を集め、その売り上げが120億円突破したコーチェラは、 今回も それをさらに上回る売り上げが見込まれているけれど、 それもそのはずで 今年のヘッドライナーは、ビヨンセ、ウィークエンド、エミネムという豪華ラインナップ。
毎年多くのセレブリティが集まることでも知られるコーチェラであるけれど、 今年はビヨンセのコンサート目当てに、更に多くのセレブリティがコーチェラ入りしていることが伝えられているのだった。




今ではヘッドライナーのギャラが1〜3億円と言われるコーチェラであるけれど、ビヨンセがヘッドライナーに予定されていたのは 昨年のコーチェラ。 それをキャンセルせざるを得なかったのは、彼女が双子を妊娠していたためで、急遽その代役を務めたのがレディ・ガガ。
それだけに、コーチェラを1週間前に控えた先週土曜日に、現在大人気のラッパー、 カーディBが かねてから噂されていた妊娠を 人気番組「サタデー・ナイト・ライブ」の中で明らかにした際には、 「ビヨンセ同様にカーディBがコーチェラのパフォーマンスをキャンセルするのでは ?」と多くのファンが懸念したのだった。
そのカーディーBの人気は 今やアメリカでは 社会現象的な勢い。 とは言っても彼女に夢中なのは、ミレニアル世代を中心とした若い年齢層で、大人の世代は ようやく彼女の存在について学び始めた段階。 その様子は、レディ・ガガがメガ・スターになった時に非常に似ているのだった。

特に、今週はカーディーBの 初のアルバム「インベージョン・オブ・プライバシー」がリリースされたとあって、 そのプロモーションのために 彼女が様々なメディアに登場しており、 今時の音楽、特にヒップホップに疎い大人でも、彼女の存在を意識せずにはいられなかったほど。
カーディBは、デビュー・シングル 「ボダック・イエロー」が ビルボード・ホット100で No.1に輝いており、これは女性のソロ・ヒップホップ・アーティストとしては1998年のローレン・ヒル以来の快挙。 それだけでなく 、デビュー以来リリースした3曲のシングルが、 全て同時に ビルボード・トップ10入りを果たした 唯一のラッパーで、既にヒップホップの歴史を書き換える功績を デビュー間もない25歳の時点で築いているのだった。






カーディーBはブロンクス出身で、本名は Belcalis Almanzar /ベルカリス・アルマンザー。 母親はトリニダッド出身、父親はドミニカ共和国出身。
カーディーBという名前になったのは、彼女の姉の名前が”ヘネシー”であることから、 彼女は友人達から ラムのブランドである ”バカルディ” というニックネームで呼ばれていたとのこと。 でも それをソーシャル・メディアのアカウントネームにすると、本当のバカルディ社と間違えられるので、カーディーBにしたというのが そのネーミングのエピソード。
ハイスクールを卒業後、マンハッタン・コミュニティ・カレッジに通っていた彼女は、当初トライベッカの マーケットで レジのアルバイトをしていたものの、19歳でストリッパーになったきっかけは 当時のボーイフレンドから逃れて独立するため。 ストリッパーは基本的にフリーランスなので、クラブに場所代として100ドルを支払うのがルールで、 クラブの客足によっては 2000ドルを儲ける夜もあれば、場所代さえ稼げない夜もあったという。
その一方でカーディーBは、自分のストリッパー・ライフをインスタグラムにアップして あっという間に10万人のフォロワーを獲得。 それと同時に彼女が趣味にしていたのが、ビヨンセ等の楽曲の歌詞をよりセクシーにユーモラスに書き換えること。 それが現在のマネージャー、シャフトの目に留まり、彼がカーディーBにラッパーになるように薦めたのが サクセスの始まり。やがて彼女のソーシャル・メディアが ミュージック・ケーブル・チャンネルVH1の リアリティTV ”ラブ&ヒップホップ:ニューヨーク” のプロデューサーの目に留まり、 同番組に2シーズン、2017年2月まで出演した彼女は、すっかり番組の看板スターとなり、 同年6月にはアトランティック・レコードと複数億円で契約を交わしているのだった。
そして9月にはファースト・シングルで、トリプル・プラチナ・ディスクとなった「ボダック・イエロー」がリリースされ、 以来 スター街道をまっしぐらに歩んでいるのが彼女。 その波に乗る勢いを反映して カーディBのファースト・アルバムは、ビルボードのアルバム・チャートのNo.1に輝いただけでなく、発売1週間にして、既に 史上5番目に多くストリーミングされたアルバムになっているのだった。






ヒップホップの世界ではカーディーBのような存在をMCと呼ぶけれど、 これはMaster of the Celemonyの略。 ストリッパー時代から衣装に手を掛けて、 来店客を楽しませる才能があったという彼女は、 登場する度にヘアカラーやファッションが全く異なることでも知られるアーティスト。
でも彼女がこれほどまでに短期間に スーパースターになった理由は、 単にユニークな経歴やルックスによるものではなく、 彼女が自分自身のナチュラルなキャラクターで、シャープかつユーモアのあるラップや 発言をするため。 ニュースを毎日欠かさず見るというカーディBは、インスタグラムで政治的なメッセージを発信することもしばしばで、 その中にはトランプ大統領をからかうものがある一方で、妊娠中絶には反対の立場を取り、 自分の払った税金の使い道について政府に抗議をするなど、 リベラル派にも保守派にもアピールする主張を展開。 それを彼女独特の言い回しや、絶妙のタイミングで、ユーモアラスに、しかもブロンクス訛りで言ってのけるところが 彼女の大きな魅力になっているのだった。
リアリティTV出身のセレブリティというと、どうして有名なのか分からないキャラクターが多かったり、 話がつまらなくて 聞いていられないような存在が多い中、 カーディーBはラッパーとしての実力だけでなく、主張があって、喋りが面白く、しかもライカブルなキャラクター。 なので多くのメディアが、”2018年は彼女の年になる” と予言するのも 大いに納得が出来るのだった。



執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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