Apr. 18 〜 Apr. 24 2011

” Online Dating Dabate ”

今週のアメリカで、毎日のようにトップに報道されていたのが、連日値上がりを続けるガソリン価格のニュース。
週末の時点で全米平均のガソリン価格は1ガロン当たり、3ドル80セント台であるけれど、 ニューヨーク、カリフォルニアなど多くの州では既にその値段が4ドル台に突入しており、 2009年には1ガロンが2ドル台、2011年の年明けには3ドルだったことを思うと、 これはドライバーの大きな経済負担になっているのは言うまでも無いこと。
しかも価格は 先述のように数セントずつ、毎日上がり続けており、 週半ばには オバマ大統領がそのスピーチの中で、この急激な石油価格上昇について、かなり痛烈な懸念を表明していたのだった。

しかも値上がりしているのは石油だけでなく、食料品にも言えること。そもそも今年に入ってからは、 砂糖や小麦粉、コーヒーなどの価格が上昇していたけれど、ガソリン代の値上がりが輸送費上昇に繋がる結果、 更なる食料品の値上がりを招いているのだった。
こうした石油、食料品のインフレ傾向は、リセッション前の給与レベルに戻っている金融関係者などにとっては、痛くも かゆくもないものだけれど、 リセッションが明けたと言われても苦しい生活を強いられている多くのアメリカの一般世帯にとっては、深刻な問題。 この状況を受けて、以前より経済状態が悪くなっているとアンケート調査で答えているアメリカ国民は44%に上っているのだった。


さて今週、2011年の第2四半期に日本円にして2兆円以上を売り上げ、利益も前年同期に比べて95%アップという 著しい好業績を発表したアップルであるけれど、それと同時に報道されたのが、 アイフォン、3Gネットワークを使用するアイパッドが、及び、アイタッチが利用者の居場所をファイルに記録し、 そのデータを集めたファイルがアップル側に発信されていたという事実。
これはアップル社が頻繁に変更を重ねている利用者の規約には違反していないとのことで、 違法行為ではないというけれど、この事実を知って同ファイルをチェックした利用者の中には自分の出かけた場所のデータが、 昨年6月からずっと記録されていたという事実に、愕然としている人も居たのだった。
アップル社が、このデータを何の目的に使おうとしていたのかは不明であるけれど、 専門家はこれが著しいプライバシーの侵害に当たると懸念を表明しており、 その一方で、アップル社が同件について一切のコメントや釈明を避けている点も、様々な憶測を誘っているのだった。


今回のアップルにしても、フェイスブックなどのソーシャル・ネットワークにしても、 知らない間に自分のプライバシーが盗まれているというのは、インターネット時代にはありがちなこと。
でも、ソーシャル・ネットワークの場合、自分から進んで自分のプライバシーを公開しているケースも多い訳で、 その情報が個人情報を使った犯罪行為に利用されるのは 昨今では日常茶飯事。 今や空き巣にしても、フェイスブック上で公開されているヴァケーションのスケジュールをチェックして、犯罪に及ぶケースが 少なくないと言われるほど。
そんな中、今週明けに大きく報じられたのが、全米最大の出逢いサイト、マッチ・ドット・コムが、 同サイトで出逢った男性に 2度目のデートで性的暴行を受けた女性の訴えを受けて、 サイトのメンバーに性犯罪者が含まれて居ないかのチェックを行なうことにした というニュース。
この女性は、過去にマッチ・ドット・コムで 数人の男性に出逢い、デートをした経験があることから、 「まさか性犯罪の前科者と出会うとは思ってもみなかった」と語っていたけれど、 今回ポリシーを改めるまでは、マッチ・ドット・コムは一切のメンバーのバックグラウンド・チェックを行なっていなかったのだった。

私がこの報道に個人的に興味を持ったのは、つい最近オンライン・デート・サービスについて 友人と論議をしていたため。
私の友人のユダヤ教の31歳の女性、キリスト教の27歳の男性は、共に週に1〜2回は Eハーモニー、マッチ・ドット・コムといったマッチメーキング・サイトで出会った相手とデートをしており、 既にその状態が何ヶ月も続いているけれど、交際というレベルまで至った例は共にゼロ。
でも2人とも、過去数ヶ月で40人以上とデートを重ねており、私は2人のことを「Serial Dater / シリアル・データー(連続デート魔)」 と冗談で呼んでいるのだった。

そんなサクセス例が無い2人が、揃って私に薦めてくるのがオンライン・デート・サービス。
理由は、「普通に生活していたら 出逢いなんて月に1回あれば良い方だけれど、オンライン・デート・サービスを利用すれば、 短期間にいろいろな人に出会える」ということで、「もし本当に結婚したいなら、出逢いの可能性を増やしておいた方が それだけ確率が高くなる」 というのが2人の共通した意見なのだった。
これに対して私がオンライン・デート・サービスを利用したくない理由として挙げたのが、以下の3点。

  1. 相手がバックグラウンドを偽っていたり、最悪の場合、犯罪者であるケースが見込まれる。

  2. 私自身、特に結婚がしたい訳ではなく、「結婚したい人が現れたら、血迷ってするかもしれない」程度の結婚願望なので、 特に時間を無駄にしてまで、無意味なデートを重ねる必要性が見い出せない。

  3. オンライン・デート・サービスは利用が長くなればなるほど、 恋愛が出来なくなる体質になって行く傾向がある。




1)のバックグラウンドの偽りや犯罪歴については、オンライン・デート・サービス利用者は出会う前に 相手をグーグルするのは当たり前。一度出会って、相手が気に入った場合も有料のバックグラウンド調査を行なうケースは 少なくないという。今週のマッチ・ドット・コムの被害者の報道にしても、ツイッターでのリアクションの多くは、 「デート・サービスに頼らず、自分できちんとバックグラウンド・チェックをするべき」という、被害者に対して厳しい意見が 数多く見られていたのだった。

年齢が若い利用者の方が、見知らぬ相手に出会うことに対してはかなりオープンであるけれど、 男性については女性にレイプされるという可能性は極めて低いだけに、あまり身の危険を心配せずに デートを重ねられるのは事実。その分、男性はスターバックスで出会うにしても カフェでランチをするにしてもデート代は往々にして支払わなければならないので、 デートが増えれば出費も増えることになるのだった。

一方の女性側は、「2人きりになるような場所に行かなければ大丈夫」、「犯罪歴があるような人は、プロフィールで偽っても、会えば大体分かる」などと たかをくくって、「失敗デートでもディナーやドリンクはタダ」と楽観的に構えているケースが多いけれど、 万一、レイプされるような事件が起こった場合、デート・レイプは極めて犯罪の立証が難しいケース。 加えて精神的、肉体的ダメージで、どれだけの時間を回復に要するかを考えれば、リスクを考慮しておくべきというのが私の考えなのだった。

2)の結婚願望については、オンライン・デート・サービスには申し込みの段階で、相手との交際に何を望んでいるかを選ぶオプションがあるそうだけれど、 結婚を望まず、カジュアルな交際を選ぶと セックスが目的で相手を探していると判断されても仕方が無い訳で、 そんな女性を探している男性など、ろくな人が居るとは思えないのが実情。
でももし、真剣な交際を選んでしまうと 特に結婚したい訳ではなくても、結婚相手を探すプログラムに巻き込まれてしまう訳で、 交際を続ければ「いずれは結婚」ということになってしまうし、結婚する気が無いのに、相手を繋ぎとめておくのは失礼というもの。 そもそも、オンライン・デート・サービスは結婚願望が強い人のためのサービスであるから、 人の体験談を聞けば、聞くほど、私にとっては居場所の無いサービスであることを実感してしまうのだった。

3)について言えば、私が知る限り、オンライン・デート・サービスのサクセス例、すばわちマッチ・ドット・コムなどで出会って結婚、再婚をしている人々というのは、 サービスを利用し始めて比較的、短時間で相手を見つけて、真剣な交際を始め、お互いのプロフィールを デート・サービスから除去するプロセスを行なっている例が非常に多いのだった。
すなわち、サクセス例というのは 失礼な言い方かも知れないけれど、「明日の100より、今日の50」というコンセプトで、 「デートを重ねれば、もっと良い人に出会えるかも・・・」という希望的観測よりも、 一度出会って気に入った相手との関係を重んじている人たち。 これが出来るのは、往々にして子供が居る離婚経験者や、伴侶が死去した年配の利用者など、条件的に相手を見つけるのが難しい人々や、 自らの離婚経験等を通じて、「完璧な相手など存在しない」ことを理解している人々。

でも、初婚の相手を探している20代、30代の利用者については、オンライン・デート・サービスを使うのは、 より自分の理想に近い相手を、数多くの中から選ぼうとしている場合が多いのだった。
なのでファースト・デートが、ジョブ・インタビュー(就職面接)のようになるのは珍しくないこと。 相手の性格を知って、自分の性格を理解してもらおうというよりは、相手が自分の条件に見合うかをジャッジするのが デートの目的であるから、相手が気に入らなかったら デートをさっさと切り上げて、別の相手を探すことになるのは言うまでも無いこと。
でも、ファースト・デートが3時間のディナーだったとしても、それが2度目のデートに繋がる可能性は低いのが実情で、 長過ぎるファースト・デートもマイナス要因。 理由は、長く一緒に居れば、 それだけ自分の粗をさらす可能性が高くなるので、相手が後から自分の言ったことを思い出して、それに対して 腹を立てたり、嫌になったりするケースが出てくるのだった。
また中には、帰るきっかけが なかなか掴めなくて、結果的に一緒に長く居ることになってしまうケースもあるけれど、 オンラインでの出逢いを繰り返す人にありがちなのは、そこそこ会話が楽しめる相手と一緒に居る時は相手のことが気に入ったように 感じられるけれど、家に戻って頭を冷やしたら、舞い上がるほどの相手ではなかったと 思い直すケース。
さらに、特に若い層の利用者は、 複数の相手とのメールのやり取りやデートが同時進行している場合が少なくないので、自分がどんなに好印象を与えたと思っても、 相手が別のデート相手ともっと盛り上がってしまったら、その後、連絡が途絶えても不思議ではないもの。 さらに、そういう利用者は「この人だったら、一昨日デートしたあの人の方がマシ」のように常に比較対象を持ってジャッジするので、 常に誰かと比べられているということも考えなければならないのだった。

その意味では、本当にデートが就職採用のプロセスのようになるけれど、 人材採用同様、「募集すれば、もっと良い人が来るはず」と思っているうちは、気に入る人材が来るまで決まらないもの。 逆に、「人手が足りなくて、直ぐにでも誰かを雇わなければならない」という場合は、 ある程度の問題点に目を瞑って、採用を決めることになる訳で、そういう採用ポリシーであれば、 オンライン・デート・サービスで人材が見つかる可能性が極めて高いのである。

私の2人の友人が共通して語っていることに、「気に入った相手はこちらがコンタクトしても何の返事もなく、 自分が特にまた会いたいと思う訳ではない相手に限って、熱心にコンタクトをしてくる」ということがあるけれど、 私の意見では、このコメントは オンライン・デート・サービスを利用しすぎると、 「デートの勘が悪くなる」ということを象徴しているように思えるのだった。
普通の出逢いならば、通常、ある程度好意を持つ者同士であるからこそ、デートというステップに踏み出す訳で、 そういうコンディションで デートをした方が自分をアピールし易かったり、相手に適切なアプローチが出来ることになるけれど、 数回のEメールのやり取りで、初めて顔を見て話すのが「ファースト・デート」という状態だと、 よほどの会話上手でない限りは、それこそ就職面接のような質問しか出来なくなっても不思議ではないもの。
インターネット上には、オンラインで出逢った相手とのファースト・デートで、会話が途切れた時の話題、 適切な質問などのマニュアルが存在していたりするけれど、実際、オンライン・デート・サービスを利用して ファースト・デートを何度も繰り返していると、相手が変わっても 同じ話や同じ質問をするようになってしまうケースは多いという。

とは言っても、今やアメリカではカップルになる5組に1組、すなわち20%のカップルがオンラインで出逢っているというから、 そのうちの何パーセントが纏まっているかは別として、オンライン・デーティングが出会いの1つの方法として確立されているというのは 認めざるを得ない事実。
オンライン・デーティングに興味が無い私も、CUBE New York のスタッフの募集や、急遽テニスのヒッティング・パートナーが必要な際は、 オンライン・サービスを利用しているのだった。なので同じ ”人材” の募集なのであるから、オンラインのデート・サービスを利用したくないというのは おかしいと思われるかもしれないけれど、同じショッピングでもオンラインで出来るものと出来ないものがあるのと同様、 人材ハンティングも「オンラインに適しているものと適していないものがある」というのが私の考えなのだった。





執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。


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