May 1 〜 May 7 2017

”Stealthing? Compulsive Spending Disorder?”
”新セックス・トレンド&ジョニー・デップが患う 強迫性浪費障害とは?”


今週のアメリカのメディアが報じたのが 「Stealthing/スティールシング」が新たなセックス・トレンドになっているというニュース。 アメリカ人にも馴染みが無いこの言葉が意味するのは Safe Sex、すなわちコンドームを使用したセックスをすると合意しておきながら、 1.女性が妊娠するために意図的にコンドームにダメージを与える行為、 2.セックスの最中に男性が女性に悟られることなく コンドームを外す行為 を意味するけれど、現在トレンドになっているのは後者の男性が行為中にコンドームを外す行為。
このスティールシングはミレニアル世代を中心に、ティンダーなどのデート・アプリで知り合った者同士が、相手を良く知らないまま セックスに及ぶ現代においては、女性側に妊娠、およびエイズやB型肝炎などのSTD(性病)に感染するリスクをもたらすのは言うまでもないこと。
たとえそれらの難を逃れたとしても 「相手に欺かれた」という心の傷や、そんな相手とセックスした自分に対する自己嫌悪による 精神的なダメージは、頭で想像する以上と言われるもの。

もし男性側が何らかのSTDに感染しているのを自ら承知の上で この行為に及んだ場合は、犯罪として刑事責任が問えるけれど、 そうでない場合は女性が泣き寝入り状態になるのが一般的。でも法の専門家によれば、 事前に”Safe Sex”を確約して性行為に及んだにも関わらず スティールシングが行われた場合は、 セックスの合意に違反するため、合意の無いセックス、すなわちレイプとして男性を訴追する権利が女性にはあるとのこと。 とは言っても妊娠、性病感染といった実質的な被害が生じていない場合は、訴追が難しいのが実情なのだった。
でもアメリカでは、たとえ一晩の関係でも子供が生まれてしまえば男性側は18歳まで養育費を支払う義務が生じる訳で、 スティールシングにリスクが伴うのは男性とて同様。 にも関わらず、これがトレンディになる理由としては様々な説があるけれど、最も全般的にあてはまるのが 「男性はセックスに関しては後先のことを考えない」という説明なのだった。




今週のアメリカのニュースに登場したもう1つの聞きなれない言葉は「Compulsive Spending Disorder / 強迫性浪費障害」という サイコロジストも「一般には聞かない言葉」という珍しい精神障害。
これを患っているとして訴訟を起こされたのが俳優のジョニー・デップで、事の発端はジョニー・デップが彼のビジネス・マネージメントを担当する TMGに対して1月に起こした訴訟。 その訴訟の内容は、TMGが彼との合意無しに2800万ドル(約31.6億円)のフィーを請求したこと、同社が税金の支払いを怠ったために、 560万ドル(約6億3000万円)の追徴金を請求されたこと、 そしてジョニー・デップがTMGによる勝手な投資や不正行為に対する支払いをするために、自らの資産を処分しなければならなかったというもので、 TMGの詐欺行為に対して2400万ドル(約27億円)の賠償金を請求したのだった。

これに対してTMGがジョニー・デップを相手取って起こしたのが 未払いのコミッション、およびクレジット・カードフィーを含む 56万ドル(約6300万円)の請求訴訟で、 今週裁判所に提出された書類の中でTMG側は、ジョニー・デップの資産トラブルは同社の責任ではなく、彼自身の 「Compulsive Spending Disorder / 強迫性浪費障害」 による莫大な出費が原因であるとして、精神鑑定とエキスパートの証言でそれを立証する用意があることを明らかにしていたのだった。
「強迫性浪費障害」と指摘されたジョニー・デップの月々の出費額は約200万ドル(約2億2400万円)で、その資産も含めた 彼の浪費ぶりは以下のようなもの。






ジョニー・デップ自身は、彼が膨大な資金で購入してきたワインや不動産、アート、プライベート・アイランド等については、 「投資であって、浪費ではない」としているけれど、TMG側は「どんなに高額の良いワインでも、買った途端に飲んでしまう場合は 投資とは呼べない」と反論。また彼のが所有するフレンチ・シャトーやプライベート・アイランドといった不動産についても、 「メンテナンスの費用が嵩む一方で、買い手が極めて少なく、今後値が上がる見込みも無いことから、 彼のエゴを満たす出費であり、投資物件とは考え難い」とも指摘。
その上で月々2億2500万円の出費は、現在の彼の収入だけでは支払いきれないことを説明しており、 彼が陥る資金難は、本人の責任ではあっても TMGの責任ではないとしているのだった。
加えてTMGは、今年1月にジョニー・デップが妻のアンバー・ハード(写真上)との離婚に際して 700万ドル(約7億9000万円)を支払う羽目になったことについても、 同社のアドバイスを聞いて 結婚前に通称”プレナップ”と呼ばれる離婚後の財産の分配を取り決める協約を 結んでおけば、その支払いを免れたはずであるとも指摘。同社が常にクライアントの利益を守る姿勢を貫いてきたことを主張しているのだった。

ところで、ジョニー・デップの出費の中で風変りなものと言えたのは ”ダイアログ・バトラー”、すなわち彼の映画の台詞だけを担当する召使いを雇い、 その人物に対して自分が映画撮影をしていない時でも、フルタイムの給与を支払ってきたということ。 ジョニー・デップはダイアログ・バトラーを既に何年も起用しているそうで、バトラーが撮影現場で彼に台詞を囁いてくれるお陰で、 ジョニー・デップ自身は一切台詞を憶える必要が無くなったそうで、たとえ仕事をしていなくても”ダイアログ・バトラー”をキープするために フルタイムの給与を支払うことは彼自身が強く主張しているとのことなのだった。




英語にはショッピング中毒を意味する単語で ”ショップアホリック”というものがあり、これを心理学用語に直すと 「Compulsive Buying Disorder / 強迫性購買障害」。 これとジョニー・デップの Spending Disorderとでは、果たして何がどう違うのかは サイコロジストでさえ定かでないと言うけれど、 基本的には同じもの。
ショップアホリックと呼ばれる人々は、通常自分をより良く見せるため、自分のコンプレックスをカモフラージュするために 服や化粧品などを買い続け、その購買欲がコントロールできない人々を指す言葉。 ジョニー・デップの場合、その出費が桁外れで多岐に及んでおり、必ずしも購入だけとは限らないため、 Buyingの替わりに、心理学の世界でも殆ど使われていなかった Compulsive Spending Disorderという言葉が用いられたようなのだった。

ジョニー・デップと言えばディズニー映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」のシリーズに主演し、かつてはハリウッドで最もギャラが高額だった男優。 でも同シリーズ以降は出演作品がことごとく不作で、ここ数年は 映画の興行収入とギャラの割合から算出される 「最もギャラが無駄遣いになる俳優」のNo.1に選ばれるようになっていたのが彼。
それを思うと大金の無駄遣いをしているのはジョニー・デップだけでなく、 彼をキャスティングして、多額のギャラを支払うハリウッドの映画製作会社とて同じ事をしていると言えるのだった。

執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

Shopping
home
jewelry beauty health apparel rodan

PAGE TOP