May. 15 〜 May. 21




SF & Napa トラベル・アットランダム




前回のこのコラムの最後でお伝えしたように、今週一杯私は旅行中、それも久々のドメスティック(国内)旅行に出ていて、 いつも同コラムを執筆している日曜夜は、帰りの飛行機の中というスケジュール。ニューヨークに戻ったのは今日、月曜 22日早朝で、 通常より1日遅れで書いているのが今週分のキャッチである。

私が出掛けていたのはサンフランシスコ&ナパ・ヴァレーで、今回の旅行の目的の1つは、現在CUBE New Yorkでクリスティーズの渡邊順子さんが 担当してくれている「Wine Sophistication / ワイン・ソフィスティケーション」の取材を兼ねたワイナリー巡り。 そしてもう1つの目的は、今やザガットの平均得点が、ニューヨークを上回って 全米トップとなっている サンフランシスコのグルメ・レストランをトライするというものだった。

私にとって、国内線飛行機による旅行は2年ぶりであったけれど、空港に行ってみて まずビックリしたのは、チェック・インがコンピューター・スクリーンを 利用したセルフ・サービスになっていること。(写真右)
Eチケットの番号を入力すると搭乗券がプリントアウトされて出てくるというのが このセルフ・チェックインのシステムで、荷物を預ける場合は ここで その個数を入力することになる。 さすがに預ける荷物を受け取って、行き先のタグを付ける作業は人間がやっていたけれど、 生き残りのために人員削減を迫られている アメリカの航空会社の実態をここで まず見せ付けられてしまうことになった。
また飛行機に乗ってみると、離陸直後と、着陸少し前にドリンク・サービスがあるのみで、西海岸への6時間のフライトで 機内食はおろか、 ナッツのサービスさえ無し。機内では、チーズやクラッカーなどを詰めたスナック・パックや、エッグ・ロールなるものが希望者に4〜5ドルで販売されていたけれど、 数には限りがあるとのことだった。さらに機内で使用するイヤホンにしても、個人で所有するアイポッドなどのイヤホンを使うというシステムになっており、 イヤホンを所持していない人には、2ドルを支払ってイヤホンを購入するか?、もしくは音楽やTVの音声を聴かないか?の選択が与えられることになる。

このように徹底して無駄を省いても、昨今の燃料費の値上がりのせいで、ニューヨーク〜サンフランシスコ間の往復に今回支払ったのは438ドルと、 決して安くはないお値段。
2週間前の報道によれば、今後、航空会社はその運賃を抑える努力の一環として、国内線エコノミー・クラスに スタンディング・ルーム、すなわち立ち乗り席を導入する計画もあるとのことで、これからの アメリカ国内の空の旅は、サービスが省かれるだけでなく、 利用客に体力的負担を強いるものになっていくようである。


今回の旅は、機内1泊を含めた7泊8日のスケジュール。このうち、ワイナリー巡りに当てたのは5日間で、 合計20のワイナリーと、4つのワイン・ショップをナパで巡って、身も心もドップリ ”ワイン漬け”になったのが この旅行だった。 一言でワイナリー巡りとは言っても、場所によってテイスティングだけを行っているところ、ワイナリーのツアーをしてくれるところ、ツアーとテイスティングの 両方を行っているところがあり、場所によってツアーやテイスティングが有料だったり、アポイントメント制だったりするもの。
でも そのワイナリー巡りを通じて、私が痛感することになったのは、「すっかり飲めない身体になってしまった」ということ。
1つには、仕事で忙しくて、ナパ入り前夜は一睡もしていない状態、それ以前から風邪や睡眠不足が続いていて、体調が今ひとつだったということもあるけれど、 以前は、「いくらでも飲めるし、食べられる!」のを自慢にしていた私としては、飲めない体質になりつつあることは、 健康に良いし、経済的でもあるのを自覚しつつも、何となく寂しいような、不完全燃焼的な気分を味わうことになるもの。
それと同時に感じるのはやはりエイジングで、「たっぷり食べて、飲んで、エネルギーに満ち溢れている」という状態は、私の価値観では若さの象徴。 今では、それほど食べないし、飲まない分、エネルギーも減りつつあるのが感じられるし、何より新陳代謝のスピードが鈍ってきているのは、 自覚せざるを得ないエイジングのサインなのである。

とは言っても、私はランチやブランチで、ワインやシャンパンを飲むのが大好きで、それを考えるからこそ、ワイナリー巡りで朝からワインが飲めるのを 楽しみにしていたけれど、やはり食事と一緒ではなく、ワインだけを飲むというのは、 たとえテイスティングの少ない分量でも、特に旅行中の疲れた胃には負担になるもの。 だから、酔うことはなくても、「これ以上 飲めない、飲みたくない」という気分は、毎日のように味わうことになってしまったし、 特に某ワイナリーで、期待外れのワインを味わった時には、本当に胃も心も疲れ果ててしまったのだった。
でもその直後に、スタッグス・リープ・ワイン・セラーに出掛けて、キャスク23のような いかにも私好みのワインを味わうと、 「やっぱりワインって美味しい!」と気分を取り直してしまう訳で、量が飲めなくなった今の私としては、 「本当に好きなワイン、美味しいワインだけを飲むようにする」 というのが、今回のワイナリー・ツアーで得た教訓の1つとなってしまった。

ところで今回の旅行では、ナパに宿泊したのは1日だけで、残りはサン・フランシスコに滞在して、ナパには毎日1時間以上を掛けて ドライブしていくことになったけれど、そのお陰で楽しむことが出来たのがサンフランシスコのレストラン。 サンフランシスコ・ザガットで、No.1の評価を得ているゲーリー・ダンコ、今最もホットと言われるマイケル・ミーナ、胃に優しいオーガニック料理の シェ・パニース、グラスで100種類以上のワインが楽しめるワイン・バー、バカー等、数は少ないものの、全米No.1のグルメ・シティ、サンフランシスコ・エリアの レストランの力量をチェックすることが出来た。
さすがにワイン・カントリーのお膝元だけあって、ワイン・リストが充実したレストランは多くて、 電話帳か?アルバムか?というような分厚いリストを見せてくれるお店もあったけれど、 そのお値段はと言えば、決して安いとは限らなかったし、これは現地のワイン・ショップやワイナリーで売られているワインの価格にしても同様のこと。 ことにワインの購入に関してはニューヨークのワインショップや、インターネットを通じての方が、 安い場合が少なくなかったのは ちょっと意外なことだった。
でもその分、ワイナリーに出向けば、そこでしか売られていないワインが手に入ることもあるし、レストランでは地元でしか流通されていないワインが 味わえたりするので、そういった地元ならではのワインに絞って、オーダーする方が賢明なチョイスと言えるもの。
レストランやワイナリーについては、今後の記事や「ワイン・ソフィスティケーション」のセクションでレポートさせて頂くことになるけれど、 ことにワイナリーについては、ブライアント・ファミリーやボンド、ドミナスといった一般には公開していないカルト・ワイナリーも、順子さんのクリスティーズの コネクションで、特別にツアーをしてもらえたので、その点は非常にラッキーでした。

さて、私にとってはナパもサンフランシスコも今回初めて出掛ける土地であったけれど、 ニューヨークに住む多くの日本人が、「ニューヨーク以外でアメリカに住むとしたら・・・」といって、まず挙げるのがサンフランシスコ。
ニューヨークに比べると、黒人層が圧倒的に少なくて、その代わりアジア人の人口が多いというのが サンフランシスコの人種的な印象で、 歩道の幅が広くて、ゆったりした安全そうな街だったし、とにかく人々がフレンドリーで、親切だったのも心に残った部分だった。
でも、最後の日曜は雨に降られてしまい、観光をする気分でもなかった私達が出掛けたのは、映画館。 何も サンフランシスコで ニューヨークでも観られる「ダヴィンチ・コード」をわざわざ観なくても・・・とも思ったけれど、ニューヨークより2ドル以上安い 8ドルで観ることが出来たのは、僅かながらの利点。
映画自体は、原作ほどは面白くなかったし、原作を読んでいないと分かり難い部分があったけれど、 多くの批評家がけなすほどは酷い作品ではなかったというのが私の偽らざる感想だった。 残念なのは、トム・ハンクスが以前のスターパワーをすっかり失っていて、私の描くラングドン教授のイメージとは かけ離れていたことに加えて、 オードリー・タトゥーもミス・キャストという印象。 また、カソリックからの圧力を考慮して、いかにもフィクションっぽく製作されている点がちょっと興醒めする部分だった。

こうして、映画館で時間をつぶしてから私達が乗り込んだのは、夜10時発のニューヨーク行きの直行便。 飛行時間は6時間だけれど、時差の関係で、ニューヨーク到着は朝の6時48分。 この西海岸を夜に発って、東海岸に早朝に到着する便は 通称「Red Eye / レッド・アイ」と呼ばれていて、 これは寝不足で目が赤くなった状態を差す言葉。
私は目こそは赤くはならなかったけれど、今日1日、この便の名称を実感するような思いで働くことになってしまった。





Catch of the Week No.2 May : 5月 第2週


Catch of the Week No.1 May : 5月 第1週


Catch of the Week No.5 Apr. : 4月 第5週


Catch of the Week No.4 Apr. : 4月 第4週






執筆者プロフィール

秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。
丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、1989年渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.設立。以来、同社代表を務める。