May. 9 〜 May. 15 2011

” Truth About Liposuction”

今週も、アメリカではオサマ・ビン・ラディン関連の報道が多かったけれど、中でも話題になっていたのが、 オサマ・ビン・ラディンが過去5年を過ごしたというパキスタンの隠れ家での暮らしぶり。
報道によれば、ビン・ラディンはあごひげを染めており、3人の妻と暮らしていたにも関わらず、その隠れ家から大量に応酬されたのポルノ。 また庭では大麻が栽培されており、コカコーラを好んで飲んでいたことも報じられており、 「Death To America (アメリカに死を!)」と謳っていたアルカエダの指導者が、 実はアメリカ人男性と さほど変わらないライフスタイルをしていたことが明らかになっているのだった。
一般にポルノの普及度は、政情安定のバロメータとも言われ、イラクでもアメリカ軍侵攻と共に、そのカルチャーに普及させたと言われるのがポルノ。
でも 「ジハード」を掲げて、禁欲と連携したアグレッシブな精神状態をテロ攻撃に利用してきた アルカエダの指導者が、こともあろうに大量のポルノに囲まれて暮らしていたという事実は、今週のアメリカでは トークショーなどで 格好のジョークのネタになっていたのだった。

その一方で今日、日曜のニューヨーク・タイムズ紙、ニューヨーク・ポスト紙などのトップを飾ったのが、 IMF(国際通貨基金)のマネージング・ディレクター、ドミニク・ストロス・カーンが、ニューヨークのミッドタウンのホテルでメイドに襲い掛かり、性的暴行に及んだ罪で、 土曜の午後に JFK空港のエール・フランス機内で逮捕されたというニュース。(写真上、右側)
フランスの政界ではDSKの通称で知られる同氏は、現在はTVキャスターを務める3人目の妻と暮らしているものの、 これまでにも彼にインタビューを行なった女性ジャーナリストに 性的暴行を行なったという疑いが持たれるなど、セックス・スキャンダルとは決して無縁ではない存在。
NYポスト紙の報道によれば、今回の事件は、ストロス・カーンが部屋に居ないと思って、掃除に入ったメイドに、 バスルームから裸で出てきた同氏が襲い掛かり、逃げるメイドを廊下まで追いかけて部屋に引きずり戻した後、 ベッドに押し倒して性行為に及び、次にバスルームでオーラル・セックスを強要。 しかし、その後メイドがストラス・カーンを押し退けて部屋から飛び出し、 ホテル・スタッフが警察に通報したというのが その経緯なのだった。
ストロス・カーン氏は、予約無しでエール・フランスのどの便のファースト・クラスにも搭乗できるステータスを与えられており、 逮捕を逃れるために、部屋に携帯電話等の所持品を残したまま、慌てて飛行機に飛び乗ったものの、 駆けつけた警官に機内で逮捕されているのだった。
ストロス・カーン氏は2012年に控えているフランス大統領選挙で、サルコジ現大統領の対立候補とも見なされていた人物。 現在支持率が30%台に低迷するサルコジ大統領側では、選挙をにらんで ストロス・カーン氏の贅沢三昧の浪費ぶりなどを 攻撃し始めたところであったけれど、今回の事件で 同氏の大統領選出馬の可能性は極めて薄くなったのは事実なのだった。



今週、もう1つ大きく報じられたのが 前カリフォルニア州知事で、ハリウッドのアクション俳優でもあったアーノルド・シュワルツネッガーが 妻で元ジャーナリスト、ケネディ家の一員でもあるマリア・シュライバー夫人との25年間の結婚生活に終止符を打ったというニュース。
夫人の存在は、シュワルツネッガーのハリウッド・キャリア、及び政界進出に大きく貢献しており、 事実、シュワルツネッガーはその演説の中で、「サクセスを収める秘訣は アメリカに来ること、ハードワーク、そしてケネディと結婚すること」と 語っていたほど。
シュライバー夫人は、献身的にシュワルツネッガーのキャリアに尽くしてきたものの、決して幸せとは言えない 生活を強いられていたことが伝えられており、2人は離婚発表以前から既に別居していたこともレポートされているのだった。

25年の結婚生活の間、夫人が繰り返し行なってきたのが鼻の骨を細く削り、頬骨を高くするなどの整形手術。 過去数年は、夫婦で競うようにボトックスやフィラーなどの注入トリートメントを行なってきたことも指摘されているけれど、 実際2人の顔は、結婚当時に比べて不自然な変化を遂げているのだった。
一部には夫人の度重なる整形手術が、美しくなることによって、夫の関心をつなぎ止める努力だったとも言われるけれど、 今、アメリカで増えているのが 夫に離婚された女性が、整形手術を受けて美しくなるという リベンジ・サージェリー。 妻達が出産後、家事や子育てに追われて、自分に構う時間が無いままに結婚生活を続けるうちに、体重が増え、 年齢より年老いて見えるようになってしまった一方で、夫は離婚をして さっさと若い女性と再婚するケースが珍しくないのは 今に始まったことではない話。
それに対する「復讐」として、ライポサクションやボトックス、フェイスリフトで若さと美しさを取り戻し、 夫の居ない自由な生活を謳歌しようというのが このリベンジ・サージェリーなのだった。

それとは別に、今アメリカで増えているのが、30代、40代の女性の拒食症や、過食嘔吐。
この症状の女性の一部は、ティーンエイジャー時代に拒食症や過食嘔吐を経験し、 それが再発しているケースであることが伝えられるけれど、こうした女性達が スリムなボディに強迫観念を抱く理由は、自分と同じ30代、40代になって、メタボリズムがスロー・ダウンしているにも関わらず、 スリムでセルライトも無いボディを保っているセレブリティの完璧なイメージ。 もちろん、こうしたイメージの殆どは、フォトショップで修正された 架空のもの。
でも、アメリカのティーンエイジャー同様、30代、40代の女性も これらの架空の完璧さに憧れて、 マスター・クレンズに代表される無理なダイエットを行なったり、オーバー・エクササイズになる傾向が強く、 なかなか思い通りに痩せられないジレンマから、拒食症、過食嘔吐になる例が現在増え続けていると言われるのだった。



比較的経済的に恵まれていて、苦しいダイエットや、エクササイズをせずに スリムなボディを保ちたいという女性、 どんなにダイエットやエクササイズをしても、決して細くなることが無い太ももや下腹部の脂肪を取り除きたいと 考える女性が 選ぶのがライポサクション(脂肪吸引)という手段。
今ではライポサクションにも、スマート・ライポ、レーザー・ライポなど、いくつかのヴァラエティが登場。 それぞれに一回の施術で吸い取れる脂肪の量や、ダウンタイムが異なるけれど、 基本的に脂肪細胞を吸い取ったエリアには、再び同じような脂肪が付くことが無いというのがライポサクション。
今では年間に45万人が受けていると言われるライポサクションであるけれど、施術後に体重が増えた場合、 脂肪吸引をしたエリアには脂肪が付かなくても、 そのすぐ横のエリアには脂肪が付き始めるので、その2つのエリアの境目に不自然な脂肪の段差が出来ることは以前から指摘されていたのだった。

でも医療関係者の間で長くミステリーとされていたのが、脂肪吸引をした後、脂肪細胞の総数が減ったままの状態で保たれるのか?、 それとも、その脂肪細胞が再生されて戻ってくるのか?ということ。
脂肪細胞も、体内の他の殆どの細胞と同様、死滅と再生を繰り返している訳で、 その再生のサイクルは約7年と言われるもの。7年が経過して脂肪細胞が死滅すれば、 また新しい脂肪細胞がそれに変わって再生されるものだけれど、 ライポサクションで取り除かれた細胞は、果たして再生されるのか?というのは、 1974年から一般にライポサクションが行なわれるようになってから、 35年以上を経過した時点でも 疑問とされてきたのだった。



そんな中、つい先ごろ発表されたのが、新たにコロラド大学のテリー・H・ヘルナンデス博士とロバート・H・エッケル博士が、 ライポサクションを受けた 肥満ではない女性達を対象に行なった調査結果で、 これによれば ライポサクションで吸い取られた脂肪細胞は、1年の月日を掛けて全て再生されていることが明らかになっているのだった。
そもそも、人間の身体は その体脂肪の量を緻密にコントロールする機能があると同時に、 脂肪細胞の数もコントロールするように出来ているという。 なので、一時的にライポサクションで脂肪細胞を取り除いたとしても、その失われた細胞の数を補うために、 身体が新たに脂肪細胞を再生してしまう訳で、ライポサクションによる脂肪の除去は 一時的なものに過ぎないことが 立証されているのだった。

しかしながら、失われた脂肪細胞が戻ってくるのは、ライポサクションを行なった場所ではなく、それ以外の場所。
往々にして女性は下腹部と太もものライポサクションを行なっているけれど、そうした女性達に新たに再生された脂肪細胞が付くのは、 二の腕や肩、背中、上腹部。 ライポサクションが行なわれた場所は、皮膚の下で脂肪細胞を支えているフィッシュネットような構造が、 その施術によって非常に乱暴に破壊されるため、再生された脂肪細胞が元に戻れないことが指摘されており、 ライポサクションの効果が 同時に身体にとってのダメージであることも説明されているのだった。


そう考えると、ライポサクションの効果は脂肪吸引というよりも、約1年を掛けた「皮下脂肪の転移」という方が適切であるけれど、 そこで浮上してくるのが、もし下腹部や太もものライポサクションをした結果、腕や背中に脂肪が付いてしまったけれど、 それもライポサクションで吸い取った場合はどうなるのか?という疑問。
その答えの実例と言われているのが、ベイビー・ファットのデザイナー、キモラ・リー。(写真上)
彼女は、下腹部、太もものライポサクションの後、妊娠して体重が増え、出産後にさらなるライポサクションを行なったと言われるけれど、 その結果、再生された脂肪細胞が付いてしまったのが彼女の首。 キモラ・リーの 脂肪が盛り上がって段差が付いた首は、インターネット上で 「ソーセージ・ネック」、「ファット・ネック」などと呼ばれているのだった。
彼女はその後、ダイエットとエクササイズに取り組んだことが伝えられており、 それ以上の施術を行なったかは定かではないものの、ファット・ネックの状態は改善されたのだった。
とは言っても写真上一番右のように、彼女のプレス用の写真は、今や全て 首が不自然にフォトショップで修正されているのが見て取れるのだった。

今回のライポサクションに関する調査結果が発表されるまでは、 施術を受けた人々は最も気になる太ももや下腹部から脂肪が取り除けたことに満足し、その後二の腕や背中に脂肪が付いても、 それは、単にエイジングで新陳代謝能力が衰えて、脂肪が付いただけと思い込んできた訳である。
でも、これからはライポサクションを行なったエリアの脂肪が、その後身体の何処に付くのかを危惧しなければならず、 だからと言って、新たに脂肪が付いたエリアからも脂肪吸引を行なえば、 キモラ・リーの首のように、普通は脂肪が付かない場所に脂肪が付いて、不思議なルックスになってしまう可能性が大。
そう考えると、ライポサクションを繰り返し行なうことは、脂肪細胞の もぐら叩きゲームをしているようなもので、 大金を投じて吸い取っても、 脂肪細胞は後から後から 別の場所に再生されてくるのである。





執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。


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