May 15 〜 May 21 2017

” Unsuspected Killers in Life "
カフェインで心不全?、豊胸手術で発がん?、
思わぬ死因が命を縮めている実態!



今週のアメリカも引き続き、内部通報によってどんどん真相が明らかになるトランプ陣営とロシアの癒着を巡るスキャンダルが大ニュースになっていたけれど、 それと同時に大きく報じられたのが、木曜の正午過ぎにタイムズ・スクエアで起こった自動車暴走&突入事件のニュース。
この日の正午のニュース番組は こぞって同事件現場からの中継となり、現場に居合わせた一般の人々へのインタビューが ライブ放映されていたけれど、私がこれを観て実感したのは、目撃証言というものが如何に曖昧かということ。
暴走車を運転していた容疑者は現場で逮捕されているけれど、その現場を目撃したという男性の証言によれば、 容疑者はシャツを着用した年取った男性。でも実際には容疑者が着用していたのはTシャツで、その年齢は26歳なのだった。

元服役兵で現在無職のこの男性は、マリファナとゾンビ・ドラッグと言われるPCP(フェンサイクリディン)のミックスでハイになっており、 このコンビネーションは極度な被害妄想や凶暴な行為を触発することで知られ、オーバードースのリスクも 極めて高いもの。過去にも2度飲酒運転で逮捕されているこの男性は、自分が精神的に病んでいることを自覚しており、 事件の前の週には、元服役兵のための精神カウンセラーに助けを求めるコンタクトをして、 「自分の人生を建て直して、仕事とガールフレンドを見つけたい」と思っていたとのこと。 ところがこのカウンセラーが約束した日を過ぎてもコンタクトしてこなかったことから、自暴自棄になってきた容疑者は 木曜の午前中に「自分の頭をクリアにしたかった」という理由でドラッグをミックスしたマリファナを服用したとのこと。
このバックストーリーを考慮すると、1人の死者と22人の怪我人を出した惨事であるものの、 検察側が既に明らかにしている第二級殺人罪での訴追は難しいと思われるのだった。




タイムズ・スクエアという場所柄、事件に巻き込まれたのは旅行者が多く、死亡したのはミシガン州のティーンエイジャー。 また足の骨折、骨盤損傷等の重症を負ったニュージャージー州のティーンエイジャーは クラス・トリップで、たまたまタイムズ・スクエアを訪れていたとのこと。
タイムズ・スクエアと言えば、歩行者天国エリアが設けられて久しいだけに まさかそこでこれだけ大勢が車に跳ねられる事件が起こるとは 想像も出来なかったけれど、今週のアメリカではそれ以外にも カフェイン入りのドリンクを大量に飲んだティーンエイジャー(16歳)が心不全で死亡するという やはり予期せぬ死亡のニュースが報じられていたのだった。
このティーンエイジャーはやや肥満体型ではあるものの、心臓病の持病などは無かったとのことで、 まず約500mlのマクドナルドのラテを飲み、約600ml入りの炭酸入りソフト・ドリンク、マウンテン・デューを飲み、 その後、どのブランドかは不明であるものの、約500ml入りのエナジー・ドリンクを飲み干したとのこと。 平均的に健康な大人であれば、1日に摂取して安全なカフェインの量は400r。これはコーヒー4杯に相当するけれど、 このティーンエイジャーが摂取したのは、マクドナルドのラテに含まれていたカフェインが142r、マウンテン・デューに含まれていたのは90mg、 そしてエナジー・ドリンクはブランドにより異なるものの、カフェインの量は86mg〜240mg。 合計しても大人の安全量と大差無い量のカフェイン。
しかしながら、それが死亡原因になったと理由として指摘されるのは、まず彼が未だ16歳で成長段階であったということ、 次にこれだけのカフェインを僅か2時間の間に飲み干しているということ、 さらにラテとマウンテン・デューを飲み干して、既に心拍数が高まっている状況でエナジー・ドリンクを飲んだという コンビネーションの問題。
この事件は、ソフト・ドリンクやエナジー・ドリンクでカフェインを多量摂取する傾向にある昨今のティーンエイジャーに 警鐘を鳴らす出来事になっているけれど、大人とてカフェインの量やそのコンビネーションに注意が必要であることが警告されているのだった。

そうかと思えば 先週アメリカで報じられたのが、23歳の男性が テキーラ・ボトルの一気飲みと引き換えに630ドルを受け取る賭けを友達として、 それを飲み干した後、意識不明となり、そのまま死亡したというニュース。 その場に居た友人達は、まさかそんな事になるとは思ってもみなかったようで、男性がテキーラを飲み干す様子を ビデオ撮影しているけれど(写真上右)、男性は最後の一滴を飲み干し、630ドルを受け取った途端に1人で立っていられない状態となり、 ほどなく意識不明となって病院に運ばれ、そのまま死亡しているのだった。
前述のティーンエイジャーの場合は、カフェインが死を招くとは予測できなかっただけに理解と同情に値するけれど、 テキーラの一気飲みについては、これが如何に危険な行為かは常識があれば判断できるというもの。 にも関わらず、賭けをした本人同士だけでなく、その様子を撮影し、飲み干す様子を囃し立てていた人々が 全くその危険を省みなかった様子を考えるにつけ、まともな人生と長生きのためには友達を選ぶ必要があることを痛感してしまうのだった。




また、昨今アメリカで報じられている思わぬヘルス・リスクが、ブレスト・インプラント(豊胸手術)が原因の ガンが増えているというもの。 これは1990年代後半から2000年代に 写真上左のような半透明のシリコンのインプラントを受けた女性の間で認められる ALCLと呼ばれる稀なタイプのガン。
がん細胞によって免疫システムが破壊されるため、初期は風邪の症状に似ていて、人によっては ホット・フラッシュ(過度のほてり)を経験するけれど、これらは メノポーズやプレメノポーズを迎えている女性には気付き難い症状。 ガンと診断された女性達の多くは、幹細胞の移植と化学治療で回復が伝えられるけれど、 過去6年にアメリカで約360件が報告され、そのうち9人が死亡するというのは、 このタイプのインプラントを受けた女性の数との割合を考慮すると、決して軽視できない発ガン率。

表面がスムーズな透明のシリコン・インプラントでは、このガンが認められていないことから、 医師の間ではザラザラしたシリコン表面のテクスチャーが発ガンの引き金になっているという見方が有力。 実際のところ、ガン患者から摘出されたシリコン・インプラントは茶色に変色しているのだった。

その一方で、意外に知られていないのがアメリカで心臓病、ガンに次いで死亡原因の第3位になっているのが 医療ミスであるという事実。1999年には9万8000件ほどであった医療ミスによる死者数は、今では約20万人に達しており、 中でも問題視されているのが院内感染と薬の処方のミス。
前者はメディカル・スタッフが次の患者を診る前に、手を洗ってグローブをつけ直すといった基本的な衛生プロセスを怠ったり、 病院の不衛生な環境が原因と言われるもの。 年間1万4000人が病気や怪我を治療するはずの病院における院内感染で命を落としているのだった。

処方ミスについては、間違った薬品の処方もさることながら、アメリカで社会問題になって久しいのが 痛み止めの過剰な処方。今や処方箋薬によるオーバードースの年間死者数が、 コカインとヘロインによるオーバードースの年間死亡者数の合計を上回っている状況で、 製薬会社とドクターがドラッグ・カルテルの役割を果たしているのが現在のアメリカ。
したがって必ずしも病院に行けば病気が治る訳ではないのだった。

ちなみにアメリカで近年医療ミスが増えている背景の1つと言われるのは、殆どの健康保険で2度目の治療がカバーされるため。 すなわち病院側は医療ミスとその修復で2回の支払いを受けられることから、 問題に対処する姿勢が欠落していることが指摘されて久しい状況なのだった。




でも医療機関ばかりを責められないのは、多くのアメリカ人が病気の予防や再発を防ぐ努力を怠って 不健康な生活を続けることによって、自ら健康を害する道を選んでいるという現状。
今週には、アメリカがん協会がステージ3の大腸ガン患者1000人を過去7年間フォローした調査結果を発表しているけれど、 同協会では延命とガン再発を防ぐため、比較的簡単にフォローできるライフスタイル・ガイドラインを患者たちに指導しており、 それは以下のようなもの。 


この3点だけを実践した人々は、そのサバイバル率が42%アップ。ガンの再発率も31%低下するという効果が得られているのだった。 また医療関係者を驚かせたのは、この3点に加えて「夕食時にアルコールを1杯飲む」という習慣を加えた場合、 そのサバイバル率が51%にまでアップしたという結果。
でも問題は、ステージ3のガンが深刻な病であることを知りつつも、このガイドラインをフォローしていたのが 全体の僅か10%であったという情けない状況。
アメリカでは心臓病だけでも、予防と再発防止の努力をすれば年間に20万人の命が救えると指摘され、 それに応じて医療費、引いては国民の健康保険料が大幅に削減出来るのは明らかな事実。 にもかかわらず、多くの人々が不健康な食生活とライフスタイルを送り、 たとえ深刻な病気を患ってもそれを改善しようとしないのは、自虐的としか思えない有様なのだった。

最後に再び、タイムズ・スクエアの事故関連に話を戻せば、アメリカでは2015年に史上初めて 自動車事故による死因のトップが飲酒運転から、ドラッグ・ドライヴィングに入れ替わっており、 飲酒運転による自動車事故死が全体の37%なのに対して、ドラッグ・ドライヴィングは47%。
これまではマリファナの服用は飲酒ほどは運転能力に影響しないと言われてきたけれど、 決してそれが事実では無いことが立証されているのだった。

執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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