June 8 〜 June 14 2015

”Who is Joyce Mitchell?”
殺人犯の脱獄を手助けをした人妻、
ジョイス・ミッチェルとはどんな女性なのか?


今週のニューヨークは、真夏のような気候であったけれど、そんな中で報道が集中していたのが、 ニューヨークのアップステートの刑務所から、2人の殺人犯が脱獄したというニュース。
事件が起こったのは先週末 6月6日のことで、舞台はカナダとの国境に程近いマキシマム・セキュリティ(最高警備)のクリントン刑務所。 したがって、ここに収容されているのは凶悪犯罪者ばかりであるけれど、 ここから脱獄したのが 殺人と拷問で25年の刑を受けて服役していたリチャード・マット(48歳、写真下左側)と 警官殺しで終身刑の判決を受けたデヴィッド・スウェット(34歳、写真下右側)。

2人の脱獄は、留置所の壁に穴を開けて、壁の裏のパイプをつたって逃げ出すというもので、 1994年に封切られた映画 「Shawshank Redemption/ショーシャンク・レデンプション(邦題:ショーシャンクの空に)」の中で、 ティム・ロビンス扮するメイン・キャラクター、アンディが脱獄したのと非常に似通った手段。 このため同脱獄事件は、メディアから”Shawshank Escape / ショーシャンク・エスケープ”と呼ばれるようになったのだった。








写真上のように 脱獄用の穴が開けられたパイプには、2人からの「Have a nice day」という 警察を嘲笑うようなメッセージが添えられていたけれど、 この穴は どう見ても何らかの道具でカットされたもの。
そこで、内部の人間の手助けがあったに違いないと判断した警察は、刑務所内の職員全員に聞き取り捜査を行った結果、 浮上した容疑者が 年収5万7000ドルで、服役囚に裁縫の技術を教えていたジョイス・ミッチェル(51歳、写真下)なのだった。

今年春に孫が出来たばかりのジョイス・ミッチェルは、クリントン刑務所に5年ほど勤務しており、 少し前には34歳のデヴィッド・スウェットとの 親密な仲が刑務所内で噂されていたという。 このため、彼女は刑務所側から彼と2人きりにならないように警告を受ける一方で、その2人の関係の調査が進んでいたとのこと。
でも彼女が恋愛感情を抱いていたことを認めたのは、48歳のリチャード・マットで、 彼は数ヶ月に渡って彼女を誘惑するような態度を取り続けていたことが伝えられているのだった。

ジョイス・ミッチェルは、2人のために懐中電灯付きのゴーグルを始めとする脱獄グッズを 彼らに提供。しかしながらパイプのカットに使われたと思しき 電気工具を与えた容疑は否定しているのだった。
彼女は当初、脱獄した2人が 地下のルートから地上に出る 発電所のマンホールで、2人を車で迎えて 自らその逃走ドライバーを勤めると同時に、彼らと一緒に逃げ出す予定であったという。 しかし2人が彼女の夫、ライルの殺人を計画していることを知り、怖気づいてしまい、結局2人を迎えには行かず、 その代わりに彼女が向かったのが病院。
長きに渡って計画していたことが実際に起こり、事の重大さを認識したのか、彼女は ナーバス・ブレークダウン状態、すなわち神経が錯乱してしまい、 メディカル・トリートメントが必要な状況に陥ってしまったのだった。

そんな彼女の入院中には、息子で空軍兵のトビー・ミッチェルが「母は脱獄犯を助けるような人物では無い。 もっと深い真相があるに違いない」とメディアにコメントしていたけれど、 ジョイス・ミッチェル本人は 「Thought it was love…」、「He made me feel 'special'」と リチャード・マットとの恋愛関係を認める供述を警察にしているのだった。




ジョイス・ミッチェルは、捜査には協力的であることが伝えられているけれど、 2人の殺人犯の脱獄の手助けをした彼女は、有罪になれば8年の禁固刑が言い渡される身。
その肝心のリチャード・マットとデヴィッド・スウェットは、脱獄から8日が経過した日曜の時点で、 800人もの捜査官がその行方を追っているにも関わらず、 一向に足取りが掴めず、一部では2人が既にカナダ、ないしメキシコなどのアメリカ国外に 逃亡している説も聞かれているのだった。

リチャード・マットは若かりし頃からルックスが良かったものの、数々の犯罪歴があり、服役中に脱獄を試みたのも これが初めてでは無いキャリア・クリミナル。 現在 彼が服役していたのは、78歳の元上司を誘拐し、 拷問&殺害した罪で、元上司の死体は切りき刻まれて発見されたとのこと。
一方のデヴィッド・スウェットは、違法の銃取引現場を警官に見つかったことから、彼に15発の銃弾を浴びせてから、 車で轢いた罪による終身刑。共に凶悪犯であることから、 警察はハイウェイに何箇所もの検問所を設けると同時に、民家を一軒、一軒回って調べるという徹底した捜査ぶり。 また、ハイウェイ沿いのエレクトリック・ビルボードにも彼らの手配写真が大々的にフィーチャーされ、 逮捕に貢献した通報者には1200万円以上の高額報奨金も用意されているのだった。




今週のアメリカでは、何故ジョイス・ミッチェルが2人の殺人犯の脱獄の手助けをしたのかが 話題になっていたけれど、一部で聞かれていたのが 「女性と隔離された最高警備刑務所の服役囚が相手ならば、 たとえ孫が居ても、年上でも、ゴージャスな容姿の持ち主でなかったとしも、ジョイス・ミッチェルは 自信を持って彼らと接することが出来たはず。そうするうちに彼女の方が 知らず知らずのうちに彼らに利用される立場になっていたのでは?」という指摘。
実際、彼女はこれまでにも服役囚に縫製技術を教えるうちに そのうちの何人かと親しくなり、 面倒を見ることで知られていたという。 しかしながらジョイス・ミッチェルが、「子供が仕上がって、平凡な何の刺激も無い生活を送っていた妻が、ルックスが良く、 自分より若い服役囚にチヤホヤされて、 舞い上がって利用された」というシナリオに当てはまるような、退屈な人妻であったかと言えば 決してそのような訳ではないのだった。

彼女の夫、ライル・ミッチェルはジョイスにとって2人目の夫。 息子のトビーは 彼女の1人目の夫との間に生まれた子供。 最初の夫と別れたきっかけはジョイスが浮気をしたためで、前夫の証言によれば、ジョイスは 彼との5年間の結婚生活の間に最低2人と浮気をし、そのうちの1人がライル・ミッチェルであったという。 彼女と前夫が離婚したのは、2人の間に生まれたトビーが1歳の時で、 前夫はジョイスが浮気の常習犯であることを証言しているのだった。

したがって、彼女が脱獄の手助けをするに至った動機は、ロマンスからご無沙汰していた人妻が、 久々に男性からの関心を注がれて、彼の言いなりになった訳ではなく、日頃からの惚れっぽさが災いしたと判断するのが妥当。
でもインターネット上では、もし彼女がリチャード・マットとデヴィッド・スウェットと共に逃走していたら、 彼女もやがて2人によって殺害されていたに違いないという意見が数多いのだった。


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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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