June 13 〜 June 19 2011

” Mommyrexia ?! ”


今日、6月19日は父の日であるけれど、この日のニューヨーク・タイムズ紙、ニューヨーク・ポスト紙の表紙を飾ったのが、 ワシントンDCで行なわれた2つのゴルフ・イベントのニュース。
そのうちの1つは、オバマ大統領、ジョー・バイデン副大統領、ジョン・ボーナー下院議長、そしてオハイオ州知事、ジョン・ケイシックの 4人が党派を超えた賭けゴルフのラウンドを楽しんだというもの。
大統領に選出されてから、ゴルフに凝り出したオバマ氏のハンディキャップは17。これに対して共和党のジョン・ベイナー下院議長は、 ハンディが7.2の腕前。一方のジョー・バイデン副大統領は、ワシントンDCで29番目の腕前というハンディキャップ6.2 (USGAのオフシャル・ハンディキャップは小数点1桁がまでの数字で表示されます)。 アメリカの政界のトップが シングル・プレーヤーというのはちょっと意外な印象であるけれど、 アメリカという国はハイスクールでもカレッジでも学業だけ出来て、スポーツをしないというのは奨励されないカルチャー。
なので、企業のトップや、サクセスフルなアントレプレナー達が運動神経抜群であるケースは少なくないのだった。

なので、そうした企業トップのスポーツの趣味が、スポーツ・イベントのスポンサーシップに反映されることが多いのも アメリカのビジネス界にありがちな傾向だけれど、 今週DCで行なわれていた もう1つのゴルフ・イベントが、ゴルフのUSオープン。
こちらは、初日から飛ばしていた北アイルランドのロリー・マッキロイが、4日間通算 268安打という全米オープン史上、最小ストロークの記録で優勝。 22歳になったばかりの彼は、ジャック・ニクラウスよりも3ヶ月早く ビッグトーナメントに優勝したということで、 ニクラウスが持つ18回のトーナメント優勝記録を破れるとも期待されている久々の若きスーパースター。
私も今日はヨガのクラスから戻ってきて、終わりのハーフの彼のプレーを観ていたけれど、 独走状態だったこともあり、彼が優勝を決める以前から、ジャック・ニクラウスが電話インタビューで、またグレッグ・ノーマンや 今回怪我で出場しなかったタイガー・ウッズがテキスト・メッセージやコメントで、マッキロイの勝利を祝福していたのだった。

22歳の割りに大人びているロリー・マッキロイは、ニクラウスによれば非常に謙虚で、ライカブルな (人に好かれる) キャラクターとのこと。 それを証明するかのように、ジェイソン・デイ、セルジオ・ガルシア等、トーナメントを争っている同僚のゴルファー達からも、 「今年は彼が優勝することを願っている」というサポートのコメントが聞かれていたのだった。
新しいゴルフ界のスター誕生に これだけメディアが騒いだのはタイガー・ウッズ以来と言えるけれど、 ちなみに言えば、アメリカのスポーツ・キャスターや、他のプロ・ゴルファー達は、 彼のラストネームを「マッキロイ」ではなく、 「マッカロイ」と発音しているのだった。


今週のアメリカのメディアで最も大きく報じられていたのは、過去2週間このコラムでも取り上げてきた、NYの下院議員、 アンソニー・ウェイナーが、複数の若い女性にセクスティングを行なっていた責任を取り、正式に議員を辞職したというニュース。
週明けには、オバマ大統領までもがインタビューで、辞任要請をほのめかすコメントをしていただけに、 ウェイナーの辞任は、記者会見の模様がTV生中継されるほどの大報道になっていたのだった。
アンソニー・ウェイナーは、次期ニューヨーク市長の最有力候補と言われ、 ミドル・クラスのために本当に戦っていたと言われた敏腕政治家。 その彼が、本業と無関係なセクスティングが原因で職を追われたことを残念がる声は、特に彼の地元のクイーンズから 聞かれていたのだった。
でも ウェイナーのように、本業以外のスキャンダルでダメージを受けた場合、

という4つのステップを経て、カムバックすることが可能だといわれているのだった。
それほどに、アメリカ人が好むのが ”カムバック” というコンセプト。 旧日本軍による真珠湾攻撃の屈辱は、今でも持ち出してくるアメリカ人であるけれど、スキャンダルなどで身を滅ぼした政治家や セレブリティがカムバックしてくると、かつての愚行は全て水に流して、暖かく迎える傾向があるのがアメリカ社会なのだった。

ところで、アンソニー・ウェイナーのセクスティングを不適切として 腹を立てていた人々でも、認めざるを得なかったと言われるのが、 ウェイナーが なかなか鍛えられたフィットしたボディの持ち主であるということ。
ワークアウトで身体を鍛えている人というのは、鏡の前の自分のボディをチェックするのはもちろん、その鍛えたボディを 人にひけらかしたい ナルシストが多いとも言われるけれど、 今週、TVのトークショー・ホストが語っていたのが、「アメリカ人は初対面の人に出会うと、最初の20秒で、 そのボディ・イメージ、 すなわち、太っている、痩せている、胸が大きい、脚が長いといった印象を即座に捉える傾向がある」ということ。

実際、私の友人の若い男性は、先日マッチメーキング・サイトで知り合った女性とミッドタウンのバーで待ち合わせをして、その日 初対面の彼女を探していたところ、 「I'm in a blue dress」という携帯メッセージが届いたという。 そして、ふと前を見ると、”ペアシェイプ”(肩幅が狭くヒップが大きく、脚が太い ”洋ナシ”の体形のこと)に ”エレファント・レッグ”(象のように膝から足首までが同じ太さの脚)という、彼の最も嫌いなボディ・タイプがブルーのドレスを着て、彼に背中を向けて立っていて、 周囲を見回しても、他にブルーのドレスの女性が居らず、頭の中で、「NO〜!」と叫んでしまったと言っていたのだった。
彼は「顔を見る前に帰りたくなった」と言っていたけれど、かつては男性の70%が 「ボディより 顔を重んじる」と言っていたのもの。 でもこのデータは90年代前半のもので、今や男性は 顔もボディもどちらも大切で、どんな美女でも肥満体では困るし、最高のボディでも 顔がアグリーでは愛情が沸かないので、双方が一定レベルに達している女性でないとダメとのこと。 加えて昨今の男性は、自分達がウェブサイトや、マキシム・マガジンで眺めている女性たちの水着姿が フォトショップで修正されていることなど 少しも考えずに、「痩せていてもヒップが魅力的な女性」などと、 無理難題を理想として押し付けるので、女性にしてみるとハードルがどんどん高くなっている印象を抱かされるのだった。

でも女性のボディ・イメージのハードルを高くしているのは、男性よりも むしろ女性。
「太っていたらセクシーに見えない、自分に自信が持てない」、「太っていたら、トレンディなクラブに入れない」として、 スリムなボディに固執する傾向は、女性の間でどんどん高まっているという。
その結果昨今、指摘されているのが 「Mommyrexia / マミーレクシア」という現象。
これは、昨今メディアが取り上げ始めた新語で、体型を心配して妊娠中もダイエットをし、出産後は激しいワークアウトと 超低カロリー・ダイエットで、1ヶ月に15キロ前後を落としてしまうという恐ろしい母親達のこと。 マミーレクシアは「Mommy / マミー」と「Anorexia / アノレキシア (拒食症)」をくっつけた造語であるけれど、 その現象の発端となっているのは、スタイリストのレイチェル・ゾーや ヴィクトリア・ベッカムなど、 体重に固執して、妊娠中もスリムな上に、子供を生む前から出産後の減量プログラムが組まれている といわれるセレブ達の存在。

ニューヨークでは、5〜6年前に 体重の増加とストレッチ・マーク(妊娠線)が出来るのを恐れて、子供が母体の中で大きくなる前に、 帝王切開で未熟児として出産してしまう母親が増えていることが指摘されていたけれど、 こうした生まれてくる子供の安全や健康を顧みない無謀な妊娠、出産を試みるのは、もっぱら裕福で、 プレステージの高いキャリアを持つ、高学歴の女性。
かつては、「子供を産んだ」ということは、ある程度までは太っていても 仕方が無いと見なされる言い訳であったけれど、 今では、ありとあらゆるセレブリティが出産後、数週間程度で、スリムなボディに戻ってビキニ姿などを披露する時代になっており、 セレブに影響され易いアメリカのカルチャーでは、今やそれをスタンダード、もしくは目指すべきゴールと考える傾向にあるのだった。
私の親友の1人が、90年代半ばに出産した際は、ダイエットなどせずに 体重を上手くコントロールしていたにも関わらず、 胎教のクラスなどに行くと、「8ヶ月でそのお腹?、きっと未熟児よ!」などと、 丸々太った妊婦達にいびられまくったと言っていたけれど、 今や時代は全く逆。8ヶ月でも小さめのお腹だと、どんな食事やエクササイズをしているのか、質問攻めにあうという。
これを受けて、 エクササイズ・ウェアのメーカーは 妊婦用のウェアにかなり力を入れているし、 ジムやヨガ・センターも、妊婦や出産後の女性のためのクラスやプログラムを設けて、マミーレクシアのトレンドを 利用したマーケティングを行なっているのだった。



ところで、私は絶対に自分がガリガリの身体には なれない体質であることを熟知していることもあり、 拒食症の心配など 全くせずに、ダイエットを趣味にしていたりするけれど、一番最近トライしたのは、HGCダイエット。
HGCダイエットは、そもそもHGCを注射して食欲を抑制して、超低カロリー・ダイエットをして痩せるというコンセプト。 でも数年前からは注射ではなく、HCGを飲んで服用することによって 同じ効果が得られ、しかも安全なプロダクトであるとして、 日本、アメリカを含む世界各国でもてはやされているダイエットになっているのだった。
HGCは殆ど無味、無臭で、そもそもは身体が作り出しているホルモン。 副作用が無く、食事の15分前に、HGCを7〜10滴程度 服用するだけという簡単なものなので、 始めてみようと思ったけれど、私にとっての落とし穴は HGCダイエットでは 何と1日500カロリーのダイエットを続けなければならないということ。
1日 500カロリーのダイエットをすれば、誰でも痩せるのは当たり前だけれど、HGCのサクセス・レートが高いと言われるのは、 HGCが食欲を抑制するので、さほど空腹感を覚えずに済むため。
でも私の場合、1日1時間はランニングかエクササイズをして、その1時間で500カロリーは燃やすので、500カロリーしか摂取していなかったら、 エネルギー不足な上に、筋肉が衰えて、骨や髪の毛にも影響が出るのが懸念されたので、自己流で勝手にカロリーを増やすことにしたのだった。

HGCダイエットは スタートするにあたって、最初の2日間、脂肪分の多いものを中心に 食べまくることになっていて、 説明書を読んだ途端、私はこの2日間に何を食べようかとワクワクしていたのだった。 ところが、いざ脂肪分の多いものを食べて良いと言われても、 そういう時に限って、何故か納豆とか、サラダ等がむしょうに食べたくなるのは 人間心理の不思議なところ。
しかもHGCが効いているのか何だか分からないけれど、過食をしようとしても出来なくて、 この2日間が不完全燃焼に終わったまま、1200〜1300カロリーのダイエットを試みたのだった。 でも1週間が経過しても体重は0.5キロ程度しか減らず、2週間目に入ると 肌に不思議なブツブツが出来始めて、 これがHGCのせいなのでは?と思った私は、直ぐに摂取を止めてしまったのだった。
案の定、そのブツブツは直ぐに消えたけれど、私はそもそもホルモン絡みのサプリは絶対に摂取しないという主義。 にも関わらず、HGCをトライしてしまった自分の愚かさを情けなく思ってしまったのだった。

HGCダイエットは、運動をしないで 500カロリーの食事を続けられる人であれば、肌のコンディションがどうなっているかはさておき、 効果が出ているようだけれど、私に言わせれば、身体が痩せても 運動をしなくなって、 筋肉や肌、骨が衰えてしまったら、本末転倒。
なので、インターネット上では もてはやされているダイエットであるけれど、私はHGCは人には薦めないのだった。





執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。


PAGE TOP