June 16 〜 June 22,  2014

”Power of Soil”
ワールド・カップに見るソイル(土)と地磁気のパワー


急激に悪化しているイラク情勢を受けて、夏のバケーション・シーズンを前に ガソリン価格の急騰が伝えられているアメリカ。 今週は政治絡みのニュースも、イラク情勢が中心であったけれど、 それ以外で報道時間が割かれていたのは やはりワールド・カップ。

今大会は、スペイン、イングランドといった強豪が予選ラウンドで姿を消す一方で、 優勝最有力候補のブラジル、それに次ぐドイツが、それぞれ堂々たる戦いぶりのメキシコ、ガーナと引き分けるなど、 アンダードッグの健闘ぶりが目立つ大会。 試合自体も、エキサイティングでレベルが高いゲームが多いと指摘され、世界各国の クリティックがこぞって、「これまででベストのワールド・カップ」と讃えているのが今大会なのだった。
また 今週末までのスケジュールをこなした時点で、史上最多得点のワールド・カップになっているのも今大会。 その鍵を握っていると言われるのが、アディダスが開発した”Brazuca / ブラズーカ”とネーミングされたボール。 ブラズーカは、アディダスがワールドカップのために製作した12個目のボールで、史上初めてファンによってネーミングされたモデル。

4年前の南アフリカ大会のためにデザインされたジャブラニが、「何処に飛んで行くか分からない不安定さ」が指摘され、 選手の間で大不評であったのを受けて、 今回はアディダスが NASAのエアロダイナミックス(空気力学)専門家と共にデザインに取り組んだもの。 6枚の全く同じ形のポリウレタンのパネルを縫い合わせたブラズーカは、試合環境に影響されない 正確なコントロールと、時速約100キロのシュートを可能にする 重さ437グラムのボール。
5角形の32枚のブラック&ホワイトのパネルを縫い合わせたオリジナルのサッカー・ボールとは 似ても似つかないルックスであるものの、 既にプレーヤーに高く評価されている同モデルのスピードとコントロールを可能にしているのは、 パネルを張り合わせている縫い目をあえて長く、深くしていることだとNASAの専門家は説明しているのだった。






ところで、今大会のアンダードッグの中でも、特にサプライズの強さを見せているのがチリ。
そのチリの強さの源になっているかは定かではないものの、今週のアメリカを始めとする世界各国、およびソーシャル・メディア上で 大きな話題になっていたのが チリ代表チームを応援するために バンク・オブ・チリがクリエイトしたTVコマーシャル。 YouTubeにアップされたCMビデオは、わずか6日間に110万人がダウンロードしているのだった。

このCMに登場しているのは、2010年8月5日に起こった坑道崩落事故で 炭鉱に閉じ込められた33人の鉱夫たち。 事故から69日後の10月13日に全員が救出され、”奇跡の33人”と呼ばれた彼らが、 再び事故現場に集まって撮影されたのがこのコマーシャル。 現地の土をコンテナに詰めるシーンをフィーチャーしながら、スペイン語のパワフルなメッセージで訴えられているのは 以下のような内容。

この地に 我々は70日閉じ込められた。この地が我々を飲み込み、我々の真の強さが問われる時だった。 でも我々は何百万人ものチリ国民が自分たち(の生還)を信じていることを感じていた。この土がその証人だ。 だから我々は、 この土をブラジルの我が国代表チームの練習用フィールド持って行き、希望と勇気でその地を満たす。 「チリ人にとって不可能なことは何も無い」と世界中に立証するために。 スペインが強い? オランダが手ごわい? 我々は、死のグループ(自国のチームにとって勝ち目が無い、強豪が揃うグループのこと)なんて恐れない。 我々は既に死を負かし、それを乗り越えて来たんだ!

私も今週、このコマーシャルを英語の字幕で初めて観て、 世界中のサッカー・ファン同様、あまりの迫力に 思わず涙ぐんでしまったけれど、 同コマーシャルは ”史上最もインスピレーショナルなワールド・カップCM”として メガ・センセーションを巻き起こしているのだった。


こんなコマーシャルと炭鉱の土で応援されたら、選手達が試合中にどんなに苦しくなっても 33人の炭鉱夫のことを思って 奇跡を起こす勢いで頑張ると思われるけれど、 実際に今回のワールドカップにおけるチリ代表の勢いは、サッカー関係者を驚かせるもの。
予選リーグでの敗退が決まったイングランドは、セラピストを同行させて選手の精神面の管理していることが伝えられていたけれど、 ワールドカップのようなステージでチームの士気を高めるには、 愛国心や不屈の生命力、揺ぎ無い勝利への確信といったピュアなモチベーションが大きなパワーを発揮することが、 このCMで立証されているように思うのだった。

ちなみに今回のワールドカップで 私が士気の高まりを感じるチームは、 チリに加えて、コロンビアとベルギー。 いずれもセカンド・ステージに駒を進めたチームなので、取って付けたようだけれど、 勢いがあるチームの試合は、特に応援している訳でなくても 見ていて楽しめるもの。
その意味では、チームUSAとメキシコも悪く無いと思って見ているのだった。





少なくとも、現時点では 33人の炭鉱夫がコンテナに詰めてチリ代表チームに送った土は、 大きなインパクトをもたらしていると思われるけれど、実際のところ土、それもパワーがある土地の土や砂、石には 人間の肉体や精神に思わぬ効力を発揮する地磁気があって、それは湧き水も同様。
私は母が占いをする関係で、 その時々の 恵方から 日と時間を選んで、湧き水や土、石などを持ってくる 「方位取り」というものを 母と一緒に何度か行った経験があるけれど、自分1人ではリバースできない悪運に見舞われている時や、 自分で振り絞れる以上の力が必要な時に、本当に効用をもたらすのがこうした土や湧き水等のナチュラル・パワーなのだった。

子供騙しのように思う人も多いかもしれないけれど、 こうした自然界のパワーの効果は有形無形で現れるもの。
個人的に最も興味深く思ったのは 私が高校時代に引退した某プロ・スポーツ選手のエピソード。 この選手は、かなり以前に母が勉強のために通っていた占い師のクライアントで、 あと2〜3年で彼が引退 という段階で チームの監督になったのが、犬猿の仲だった元チームメイト。
したがって、この選手のトレードは誰の目からも時間の問題と思われていたけれど、彼が所属していたのは 非常に人気の高い都市部のチーム。 そのチームの一員として引退すれば、引退後も高収入が見込めるけれど、 トレードされて地方のチームの一員として引退した場合、収入が激減するのは目に見えていること。
そこで 選手の妻が行っていたのが、 その監督宅の前に 早朝こっそり地磁気を浴びた砂と水を撒きに行くという行為。 その結果、このスポーツ選手はトレードされずに 人気チームの一員として引退しただけでなく、 引退後には コーチとして雇われて、スポーツ選手としては ほぼ理想的なリタイアメントをすることになったのだった。

つまり自分にパワーを与えてくれる砂や水は、自分の敵や、味方につけたい人の家に撒いても、自分に有利に働くという訳で、 私はこのエピソードを聞いて以来、地磁気のパワーに非常に興味を持つようになったのだった。
そうした地磁気のパワーというのは何処の水や砂でも同じではなく、やはり有名な神社がある山や、世界遺産になっているような土地の パワーは卓越したもの。 Cube New Yorkで、新たに取り扱いをスタートしたトカイ・ブレスレットも、エベレストと死海という自然界の最高地と最低地の パワーをコンセプトにして生まれた通り、自然界の土や砂、水には 確実に侮れない何か存在しているのは、多かれ少なかれ事実。
とは言っても、こうした自然界の力は必ずしもポジティブとは限らず、ネガティブ・パワーが宿った土地の砂や水からは、 やはりネガティブな効用がもたらされることになるのだった。


ワールド・カップに話を戻せば、学校や病院の建設を後回しにして、 国民の税金でサッカー・スタジアムを幾つも新設した今大会に対する抗議活動は、 引き続きブラジル国内で続いている状況。
それでも、何とか無事に運営されてはいるけれど、 これが2年後、2016年に予定されてオリンピックになると話は全く別。

既に国際オリンピック委員会は、現地の視察を行った結果、これまでで最も準備が遅れている大会として その開催を危惧するコメントを発表。アメリカのメディアの取材によれば、 乗馬用のフィールドは工事さえ始まっていない状態。ウィンドサーフィンの競技予定地になっているベイは、 水中がゴミだらけで、そのゴミ回収はとても2年では終わらないことが専門家によって指摘されているのだった。 そのベイで今年に入ってから練習をしているブラジル人ウィンドサーファーも、 「こんな劣悪なコンディションでトレーニングするのは初めて」と語る有り様。 しかも、水中に浮いているのがゴミだけではなく、そのウィンドサーファーが 浮いている死体に遭遇した回数は 既に4回とのこと。

したがってワールドカップについては無事に終了することを願うばかりであるけれど、 2016年のオリンピック開催については、現実的な見地から かなり不可能に近い状況。 その代替候補としては、2012年大会のホスト、ロンドンが有力視されているのだった。





執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。


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