June 22 〜 June 28 2015

”What Makes Man Ultra Rich ”
男性をウルトラ・リッチに見せるポイントとは?


今週のアメリカでは、国際ニュースとしてギリシャ金融支援策の行方や、金曜にフランス、チュニジア、クウェートで同時に起こったテロ事件が 報じられていたアメリカであるけれど、これらの報道は簡略的なもので、 もっぱら報道時間が割かれていたのが、今週 連邦最高裁が下した2つの判決。
まず25日、木曜には 最高裁が ”オバマ・ケア”こと、医療保険制度改革法における、低所得者に対する政府補助金支給を 合憲であると判断。 これによって事実上、最高裁が「健康保険はそれを購入出来る人々だけのものではなく、国民の権利である」ことを 認めたことになったけれど、もしここで違憲判決が出ていた場合、オバマ・ケアを根本から覆すチャンスを 野党、共和党に与える結果になっていただけに、同法案を推し進めてきたオバマ政権にとっては、非常に大きな勝利判決なのだった。
ちなみにオバマ・ケアが最高裁で審議されたのはこれが2度目のことで、1度目は2012年。 健康保険の加入を義務とすることが、国民の自由を保障した合衆国憲法に違反していないかを問う裁判。 健康保険未加入の国民に対して、ペナルティではなく、税金を科すシステムのオバマケアは、 この時にも9人の最高裁判事のうちの5人の支持を得て、合憲を勝ち取っているのだった。

でも今週、それよりも遥かに大きなインパクトを与えたのが、金曜に下された 同性婚を合衆国憲法で合憲と見なす判決。
アメリカでは既に36州で同性婚が認められていたけれど、最高裁で合憲と見なされることが何を意味するかと言えば、 全米のどの州においても、同性愛者が結婚する事が出来、その婚姻ステータスが認められるだけでなく 税金を夫婦として申告したり、養子縁組の際にカップル2人の名前を両親として登録することが出来る他、 国民年金の支給や、健康保険においても 異性カップル同様の配偶者待遇が受けられることになり、 これまでの同性婚のハンディキャップが全て排除されることになるのだった。

この2つの判決に加えて、今週のアメリカでは、コンフェデレーション・フラッグ(先週のこのコラムでも説明した 南北戦争時に奴隷制を支持する南部が掲げていた旗。 白人至上主義者の間で人種隔離や人種差別のシンボルとされてきたもの)の掲揚が禁止され、 この1週間は人種差別問題、同性婚、医療保険制度改革法に取り組んできたオバマ政権にとって、 大きな功績を達成したと言える7日間。 これによってオバマ氏が、「米国大統領として偉大なレガシー築いた」と評する政治評論家が少なくないと同時に、 「アメリカという国が これほどまでに大きくシフトしたのは、1960年代以来」との指摘も聞かれていたのだった。

当然のことながら オバマ・ケアと同性婚に反対する キリスト教 保守派を支持基盤にする野党 共和党は、 この2つの最高裁判決に猛反発しており、2016年の大統領選に立候補しているテキサス州の上院議員、 テッド・クルーズは、2つの判決が出た木曜から金曜にかけてを、「アメリカ史上、最も暗い24時間」とコメント。
共和党側は、今後 同性婚に賛同しない教会や、結婚関連のビジネスに対して、 その同性挙式の拒否権利を擁護することにより、同性婚を阻止する姿勢を見せているのだった。
でもコンフェデレーション・フラッグの廃止については、共和党内にもこれを支持する政治家が少なくないのが実情。 その共和党は、今週さらに2名が大統領選出場に名乗りを上げ、現時点では14人の候補者がひしめいている状態なのだった。




話は替わって、5月半ばに Cube New Yorkで不動産コラムを書いて下さっている松村京子さんの オープンハウス・ツアーに出かけた時のこと。
まず最初に出かけたのが、ミッドタウンのハイライズ・ビルディングの中のワンベッドルーム・アパートメント。 見るからにバチェラー・パッド(独身男性宅)という感じのアパートのクローゼットには、高額スニーカーが何十足も並んで、 スーツは殆ど無く、ブランド物のレザー・ジャケットやTシャツが沢山吊ってある状況。 男性の独り暮らしなので、当然 ホーム・エンターテイメントにはお金が掛かっていて、 加えて高額ビデオゲーム・ガジェットがリヴィングのプライマリー・ロケーションに陣取っていたのだった。
料理は全くしないようで、キッチンにはプラダやランバンなどの箱が積み上げられていたけれど、 そんなかなりファッション・コンシャスな アパートのオーナーの職業について、 ツアーに参加したメンバーは、こぞって 「IT関係では?」と推測していたのだった。 ところがブローカーに訊いてみると、意外にもこの男性の仕事はファイナンス。 スーツやタイの着用が必要無い金融の仕事をしている30代の男性とのことなのだった。

それとは別に、少し前にインテリア・デザインの仕事をする友人のパーティーに出かけた時のこと。 服装から眼鏡、完璧にグルーミングされたフェイシャル・ヘア(要するにヒゲのこと)など、 見るからにクリエイティブ系の仕事をしていると思しき男性に、職業を尋ねたところ 返ってきた答えは マーケティング、それも戦略系の比較的お堅い仕事。
特に 彼が戦略のターゲットとするのは18〜49歳で、アメリカの広告主が最もアクセスしたがるジェネレーション。 マーケティングというと、かつては金融系よりは遊び心があるスーツをビシッと着こなしたクリーン・シェイブ(ヒゲ無しの状態)で クライアントに対応するイメージがあったけれど、 今では、クライアントである大企業のエグゼクティブと大差が無い出で立ちでは、逆に仕事に不利になるという。
そう語る彼は、ビジネス・カジュアルを纏い、服によって眼鏡を替えて、 大企業勤めとは明らかに異なるヘア・カットで、週に一度はプロがヒゲの手入れをしているそうで、 そうやってファッショナブル&モダン、かつ個性的に装うからこそ、クライアントが 「自分達には理解できないジェネレーションを攻略する術を知っているに違いない」と、彼を信頼するようなのだった。




数年前までは 男性が平日にカジュアルな服装をしているとバーテンダーか?、ブティックの店員か? という目で見られる傾向にあったけれど、今や高学歴で高収入の仕事をしている男性が 平日にバリバリ仕事をする服装がこうしたカジュアル。 もちろんカジュアルと言っても、時に Tシャツが400ドルであったり、スニーカーが800ドルであったりするけれど、 スーツやネクタイを着用していない男性の方が、遥かに年収が高いというのは 昨今のニューヨークでは顕著になりつつある傾向なのだった。

それを裏付けるようなシーンがフィーチャーされていたのが、私が唯一、DVDでシリーズ録画しているリアリティTV、「ミリオン・ダラー・リスティング・ニューヨーク」(同番組については、以前フェイバリットのコーナーについて書いているので、こちらをクリックしてご覧下さい) のエピソード。
そのエピソードでは、番組に登場する不動産ブローカーの1人、ライアンが15億円以上の ミッドタウンのコンドミニアムを売るために、オープンハウス兼 ケータラーを入れたパーティーをホストしていたけれど、 そこに彼が招待したのが、”シリコン・アレー”と呼ばれて久しいニューヨークの IT関連のアントレプレナーやビジネス・エグゼクティブ。というのも、そのアパートが ハイテク・ガジェット好きの独身男性にピッタリの バチェラー・パッドのイメージだったためで、 その超高額コンドミニアムを 確実にキャッシュで買える客層ということで、 彼がターゲットを絞ったのが IT関連の若い男性達なのだった。

そのオープンハウス・パーティーは、これまで 「ミリオン・ダラー・リスティング・ニューヨーク」にフィーチャーされてきた パーティーの中で、最もドレスコードがカジュアル、というか ステータスが殆ど感じられないファッションのクラウドで溢れていたけれど、 その中でブローカーのライアンが 部下にこっそり告げていたのが、 「ああいうヒゲ面タイプがお金をたっぷり持ってるから…」という指示。
そんな男性のうちの何人かは、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグのように、フーディーズを 着用していたけれど、そんな服装やフェイシャル・ヘアが 今のニューヨークでリッチを嗅ぎ分ける目印になっているというのは、 ニューヨークに暮らしている私にさえ、少々意外な印象なのだった。




ふと考えると、警官による黒人射殺事件の走りになった、トレヴォン・マーティン事件のトレヴォンが、 フロリダ州の住宅街で ボランティア警官に尾行されるきっかけになったのが、フーディーズを着用していて、見るからにあやしい雰囲気だったため。
ところが それとほぼ同じスウェット・フーディーを着用した男性が、3年後のニューヨークで 15億円のコンドミニアムをキャッシュで買える客層として パーティーに招待されているというのは 興味深いを通り越して 冗談のような話。
でもフェイスブックのマーク・ザッカーバーグによれば、彼が毎日 同じようなTシャツやフーディーズばかりを着用している理由は、 企業のCEOとして、毎日のように様々かつ、重要な決断に迫られているので、 その決断力を 毎日の服を決める程度のことに費やしたくないと考えるため。
もちろんマーク・ザッカーバーグの場合、誰もが知るビリオネアであるだけに、 あえて服装で財力を示す必要なども無いけれど、 私が 「ミリオン・ダラー・リスティング・ニューヨーク」のライアンの選んだ客層に一理あると思うのは、 15億円のコンドミニアムのオープンハウス・パーティーに、フーディーズ姿で臆する事も無く 現れる自信というのは、 財力やビジネスの成功に裏付けられているケースが多いと考えるからなのだった。

ニューヨークには、見るからに大金持ちそうなファッションで、家柄も良さそうなエリートが、 実は銀行に1000ドル程度のキャッシュしか無く、住んでいるアパートの建物は立派でも、中は空っぽという話がある一方で、 ごく普通のアパートに住んで、ごく普通の暮らしをしている人が、 何十億円もの資産運営をウェルス・マネージメントに任せているという例は 珍しくないのが実情。
前者が空威張り的な態度を取るのに対して、 後者は 堂々とした自信の持ち主で、物事に動じずにマイペースが保てる人物なのだった。

そんなこともあってビジネスに通じているアメリカ人、特にニューヨーカーは、 大してリッチに見えないのに、自信に満ち溢れた人に出会うと、 その自信の出所が一体何なのかを探求したがる場合が多いもの。 「親が実力者なのか?」、「強力な人脈やバッカーが居るのか?」、 「何かこれから大きなプロジェクトを成功させようとしているのか?」、 それとも「隠し財産が沢山あるのか?」など、 その人物の自信の背景に 「何かがあるに違いない」と興味を示すのがニューヨーカー&ビジネス・サヴィーなアメリカ人。
したがって、男性の場合、自分をリッチに見せようと思ったら 服装や時計、車などにお金を掛けるよりも、揺ぎ無い自信に満ちた振る舞いをするのが最も効果的。 でも それを財力や地位、人脈などの後ろ盾無しに実践するのは、かなり難しいのも また事実なのだった。

Will New York 宿泊施設滞在



執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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