June 28 〜 July 4 2010




” Addiction's Everywhere ”


今日、7月4日のアメリカは言うまでも無く、建国記念日。
なので、例年通り コニー・アイランドでのホットドック早食いコンテスト、メーシーズの花火大会など恒例行事が 30度を超える暑さの中で行われていたのだった。
今年は建国記念日が日曜ということで、翌日の月曜を振り替え休日にするところも多いけれど、再び悪化した失業問題、 止まらない原油流出とその状況を悪化させるハリケーンシーズンの到来、リセッションから回復しきらない状況で 再びリセッションに逆戻りするであろうという先行きの暗い観測が発表されるなど、 経済問題を考えるとあまり明るい気分で迎えられたホリデイではないのが実情なのだった。

そんな経済状況で、人々が惜しまずにお金を使っているのが アイパッドとアイフォン。
中でも、6月24日に発売になったアイフォン4は初日から記録的な売り上げとなっていたけれど、その発売初日から 苦情が多発していたのが、電話が途中で切れてしまうという問題点。 当初アップル側は、「電話が切れてしまうのは電話の持ち方のせい」として別売のアイフォン・ケースを使用すればこの問題が 防げるとしていたけれど、今週に入ってからは そのシグナル・ミーターに問題があったことを認めており、 購入者の間ではアップル社を相手取って 集団訴訟が5つも起こされる事態にまで発展しているのだった。
アップル社側では購入者に対して30日以内であれば全額返金の返品を受け付けるとしているけれど、この一件で 胸を撫で下ろしたのは 現時点で アイフォンのエクスクルーシヴ・キャリアーになっている全米最大手のコミュニケーション企業、AT&T。 というのも、アイフォンの接続が悪いという問題は、アイフォン4に始まったことではなく、以前から指摘されていた問題。 実際、多くのアイフォン4ユーザーは、同モデルの問題を考慮したとしても、 以前のモデルに比べて アイフォン4の方が電話を掛け易くなった というリアクションを示しているという。
でも、この問題が浮上する以前は アイフォンの接続が悪い理由はAT&Tの3Gネットワークのせいにされてきており、 AT&Tはこの汚名を払拭するために、同社の3Gネットワークが最も早く、しかも全米をくまなくカバーしていることを しきりにTV広告等でアピールしなければならなかったのだった。


さて、今週も引き続き スポーツの世界ではワールド・カップとウィンブルドンが大きく報じられていたけれど、 昨今、最もセレブリティ・ウォッチングが効率良く出来るといわれているのがスポーツ・イベント。
6月に行われていたNBAファイナルのLAレイカーズVS.ボストン・セルティックスの試合も、コートサイドにセレブリティが多数見られることが 大きな話題になっていたけれど、ワールドカップも イングランドが負けても 未だ観戦を続けているミック・ジャガーに始まり、 シャリース・セロン、レオナルド・ディカプリオといったセレブリティの姿が捉えられており、 一方のウィンブルドンではローリング・ストーンズのロン・ウッド、オーランド・ブルーム、デヴィッド・ベッカム、ベン・スティラー、 冬季オリンピックのゴールド・メダリスト、リンジー・ヴォーンなどの姿が試合の合間に映し出されているのだった。
またウィンブルドンでは、プレーヤーがワールドカップの試合のスケジュールに合わせて練習をしていたことが伝えられており、 今日、7月4日に男子シングルス2度目のチャンピオンに輝いたラファエル・ナダルを始め、ロジャー・フェデラー、 アンディー・マーレーといったクォーター・ファイナル(準々決勝)を6月30日に控えたプレーヤー達は、前日 29日の練習を 日本VS.パラグアイ戦の前に 終えていたことがレポートされていたのだった。


話は変わって、昨今では多くのセレブリティがドラッグ、処方箋薬、アルコールなど様々なアディクション(中毒)や依存症のために リハビリ入りすることが、全く珍しくないご時世。
こうしたアディクションに陥る要因として挙げられているのは 「心の乾き」、すなわち人生の目標や生きがいを失っている状態や 日常生活から満足や幸福感が得られない状況。 中毒というのは、ドラッグでもTVゲームでも何かに度を越えて夢中になっている状態と解釈をされる場合が多いけれど、 実際には自分自身に「これさえ与えておけば自分はハッピー、満たされる、もしくは駆り立てられる」という状態。 だから生活の中で満足感や幸福を得られない人々や、現実逃避をしたい人々が その簡単な手段として ドラッグを摂取したり、 アルコールを飲んだりという行為を続けることが中毒症状ということになる訳である。
そう考えると中毒というのは、人間の弱さや短絡的な幸福追求欲、怠惰な習性の結果論とも解釈できるけれど、 この中毒という状態は ありとあらゆるものに見られるもの。 ティーンの間では携帯メール中毒が問題視されている一方で、一般人に多いのは一定の食べ物のアディクション。 中にはアイスクリームの中毒になって、その食べ過ぎから体温が著しく低下して 凍死した人も居るというから、 危険性が侮れないのがフード・アディクション。 またエクササイズやランニングとて中毒になるので、身体に楽なもの、身体に悪いものばかりが中毒になるとは限らなかったりする。

昨今、アメリカで社会問題として浮上している中毒としては、買い物をしては返品するという リターナホリック / Returnaholic (返品中毒)。
ウォルマート、ザ・ギャップ、ホーム・デポといった全米にチェーンを擁するストアでは、こうしたリターナホリックの客に対して 「来店お断り」のショッピング禁止令を出す例が増えているという。 またこうしたリターナホリックの中には、悪質な返品をして3回も逮捕されたという刑事事件にまで発展しているケースもあるとのことで、 返品という消費者に与えられた権利も、中毒症状になりうることを立証しているのだった。
人々がリターナホリックになる要因として挙げられるのは、昨今のリセッション。好況時代には、カード負債を抱えてまで買い物をする ショップアホリック / Shopaholic (ショッピング中毒)が問題になったものだったけれど、 今では庶民はカードの残高を生活費に当てなければならないため、服や家電品など自分のためのショッピングがそうそう出来ないご時世。 なので商品を購入する経済力は無くても 買い物がしたいという人々が、 取り合えず購入するという行為でその要求を満足させて、支払いが出来ないので返品する というのが1つの症状として挙げられているのだった。
加えて 支払い能力の有無に関係なく、購入時に店員から受けるサービスや、関心を集めたいという気持ちから、特に欲しくもないものを購入しては 返品するというケースも多いとのことで、ここでも中毒者にありがちな 「満たされない心」の状態がその背景として存在しているのだった。

それ以外に変わった中毒症状としては、先週のニューヨーク・タイムズのサイエンス・セクションに掲載されていた日焼けのアディクショがあるけれど、 この記事によれば、アメリカの大学生の5人に1人、定期的にビーチでサン・ベイジング(日光浴)をする人々の50%、タンニング・サロンに通う70%の人々が 日焼け中毒の症状を示しているという。
美白がもてはやされている日本ではあまり想像がつかないかも知れないけれど、どうして日焼けが中毒になりうるかと言えば、 日に焼けた肌がもたらす 気分の高揚、肌を日に焼くという行為から得られるリラクセーション&ソーシャリゼーション、 そして欧米社会における日焼けのステイタス、すなわちリッチな人々ほど日に焼けているというソーシャル・ステイタス、及び 「日に焼けた肌=ヘルシー&セクシー」というイメージが働き、 日に焼けて紫外線を浴びている際に、 俗にハッピー・ホルモンと呼ばれる エンドーフィンズが脳にリリースされるという。
このエンドーフィンズ(endorphins)というのは、ランナーズハイをもたらすホルモンとしても知られるけれど、その語源は ラテン語で”Innner/内側の”という言葉に当たる エンドーとモルヒネ(Morphine)をくっつけた造語で、要するに身体の中に存在しているモルヒネという意味の言葉。
アルコール中毒でも、ドラッグ中毒でも、欲しているものを得た時に脳がリリースするエンドーフィンズが 人間をリラックスさせたり、幸福感、満足感を与える訳で、脳にエンドーフィンズをリリースさせるものには 全てに中毒性があると考えてよい訳である。
したがってエンドーフィンズをリリースさせる日焼けという行為も、科学的にも中毒性があることが立証されているというのが このニューヨーク・タイムズの記事の内容なのだった。
肌の老化が早まる以外には、一見 社会的には無害に見える日焼け中毒であるけれど、昨年1年間だけで世界中で新たにメラノーマ(悪性黒色腫)、 もしくはスキン・キャンサー(皮膚がん)と診断された人々の数は350万人。そのうち6万8000件がアメリカ国内での症例であるとのこと。 そして、これがアメリカの健康保険システムの大きな負担となっていることを考慮すれば、新たにタンニング・サロンでの日焼けに増税されることになったのも、 仕方が無いといえば仕方が無いのである。

タンニング・サロン以外にもニューヨークでは財政難のため、ただでさえ全米で最も高かったタバコ税がさらに増税されて、 7月からはマルボロ1箱のお値段が何と14ドル。ニコチン中毒のニューヨーカーもさすがに禁煙を考え出したと言われるけれど、 数ある中毒の中でも 社会的に無害であるという市民権を獲得しているものと言えば、何と言っても チョコレートアホリック / Chocolateaholic。すなわちチョコレート中毒。
そんなチョコレートアホリックをターゲットにしたチョコレート専門店はニューヨークに数多く存在するけれど、 新たにノリータにお目見えしたのが、その名も The Best Chocolate Cake In The World / ザ・ベスト・チョコレート・ケーキ・イン・ザ・ワールド という チョコレートケーキの専門店。
同店は既にスペイン、ブラジルなどにも進出しているチョコレート・ケーキのチェーンで、ポルトガル国内だけで年間に売り上げているケーキの 数は15万個(スライスではなくホール・ケーキの数)。少なくとも売り上げの点では 文句なしに世界一と言えるケーキなのだった。
同店で売られているのは2種類のチョコレート・ケーキ(写真下)で、その2種類は基本的には全く同じケーキ。チョコレートに含まれるココアの量が 10%ほど異なるだけの違いとなっている。


このケーキの何がベスト・チョコレート・イン・ザ・ワールドに値するほど特別かと言えば、ケーキとは言え典型的なスポンジ・ケーキではなく、 メレンゲがケーキのレイヤーを構成していることで、チョコレート・メレンゲとチョコレート・ムースのレイヤーの上にチョコレート・ガナッシュの トッピングが掛っている というのがこのケーキ。メレンゲの部分は柔らかくてチューイーな部分とサクサクした部分があって 異なるテクスチャーが楽しめるようになっている。
実際の重さが軽いだけでなく、食べた感触も軽いのが特徴であるけれど、 満腹感が持続することを思うと かなりのカロリーがあると思われるもの。
でも、真夏にチョコレート・ケーキを食べて美味しいと思うことはあまり無いので、チョコレート・ケーキに目が無い友人に勧めたところ、 早速中毒になっていて、何と 「先週は4回も食べた」と言っていたのだった。

ところで日焼けに話を戻せば、中毒でない限りは1日15〜20分ほど日に当たるのは身体には良いこと。
というのも日光に当たることによって人間はその体内でヴィタミンDを作り出すためで、ヴィタミンDが様々なガンや成人病を予防すると同時に、 カルシウムの吸収を良くすることは、少し前から今医学界で大きく注目されていたりする。 アメリカでは子供が外で遊ぶ時間が減ったことを受けて、子供がよく飲む牛乳やオレンジ・ジュースにヴィタミンDを含めることによって ヴィタミンDの欠乏症を防いできたけれど、最も理想的なヴィタミンDの摂取法やはり体内で作り出すこと。
なので、美白を考えて日光を避け続けている女性は、少なくともヴィタミンDをサプリメントで摂取しないと、どんなにカルシウムを摂取しても その吸収が悪いので、やがては くしゃみをしただけで骨が折れてしまうような骨粗しょう症になりかねないこともあるけれど、 ヴィタミンDがもたらす 様々な健康へのベネフィットも得られないことになってしまうのだった。

かく言う私は、週5日程度セントラル・パークを走ったり、テニスをしているせいで SPF100のサンブロックを使用していても、 どうしても徐々に日に焼けてしまっているけれど、これは思いの他、友人や仕事の関係者の間では評判が良いのだった。 「健康的に見える上に、痩せて見えるから 焼けていた方がベター」というのがそのリアクションで、 やはり欧米では「美白」より 「日焼け」 であることを痛感するばかりなのである。

それとは別に、久々に会った友人達が昨今 驚くのが私の睫毛がエクステンションを付けたように長くなっていること。 実際に多くの友達は 最初は私がエクステンションをつけているものだと思い込んで眺めているけれど、 それがラピッド・ラッシュの効果だという ”秘密” を打ち明けると皆こぞってビックリするのだった。
それまでの私と言えば、マスカラよりアイライナーの方が遥かに大事と考えているほどのライン派。 でもロレアル社の調べによれば、「男性が女性の目を魅力的だと思う要因は長い睫毛」なのだそうで、 その調査結果を読んでから、睫毛の育毛剤を試してみることにしたのだった。
とは言っても「ラティース」は副作用が多いし、処方箋の要らない睫毛の育毛剤でも効き目があると言われるものは1本150ドル。 そんな中、TVで見たのがラピッド・ラッシュで、値段が手頃な上に、たまたま使っていた友人もやはりエクステンションをつけたように睫毛が長くなっていたのだった。
そこで、効き目があったらCUBE New York で取り扱おうと思って使用を始めたのが3月末。 私はまだその1本目を使い切っていないけれど、5月に入った頃から目に見えて睫毛が長くなってきて、 抜けた自分の睫毛を見て その長さに驚くようになっただけでなく、 マスカラの下地を使うと不自然なほど睫毛が長く見えてしまうので、下地の使用を止めて マスカラ・オンリーになったのがこの時期。
さらに副産物と言える効果は、睫毛が長く、濃くなっただけでなく、ビューラーを使ったように上に向かってカールをし始めたこと。 CUBE New York のスタッフからも 「本当にビューラーを使わないでそんな風になるんですか?」と訊かれるようになったけれど、 これまで睫毛の威力を過小評価してきた私はビューラーなど長年使っていないので、何処に行ったか分からないのが実情。
最初は半信半疑だった私も、自分でその効き目を実感しただけでなく、あまりに睫毛に対する周囲のリアクションがスゴイので CUBE New York で取り扱うことにしたのだった。
ラピッド・ラッシュが眉にも効くことを聞いて、眉に使い始めたのは4月末だったと思うけれど、眉の方も 徐々に毛が増えてきていて、寝る前に、時々忘れることはあっても、欠かさずにアプライしているのがラピッド・ラッシュなのだった。
長い睫毛には日焼けのように中毒性があるかどうかは分からないけれど、今となっては 私にとってラピッド・ラッシュの使用を止めるという オプションは考えられない状態になっているのである。





Catch of the Week No. 4 June : 6月 第 4 週


Catch of the Week No. 3 June : 6月 第 3 週


Catch of the Week No. 2 June : 6月 第 2 週


Catch of the Week No. 1 June : 6月 第 1 週





執筆者プロフィール

秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。
丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、1989年渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。





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