July 1 〜 July 7, 2013

” My Exercise Adventure ”


今週のアメリカは、独立記念日を木曜に控えていたとあって、週明けからホリデイ・モード。 猛暑だったニューヨークも 旅行者は多いものの、 ニューヨーカーは街を離れているという雰囲気なのだった。
したがって、国内情勢のニュースが少なかった分、エジプト軍のクーデターによる ムハンマド・モルシー前大統領の 権限剥奪と 混乱が続く現地の情勢が 大きく報じられていたのが今週のアメリカ。 ニューヨーク・タイムズ紙は写真上左の7月4日付けを含む、今週月曜〜土曜までの写真入り一面トップが 全てエジプト情勢の記事になっていたけれど、だからといってアメリカ国民の関心が高いかと言えば、そうでも無いのが実情なのだった。

その一方で、お金が有り余る人々の間でちょっとした話題になっていたのが、6月に心臓発作で死去した ジェームス・ギャンドルフィーニの遺産についてのニュース。
総資産の見積もりが約70億円と見られる彼は 遺書を残していたけれど、それによれば 彼の遺産の80%を相続すると言われるのが、 昨年秋に生まれたばかりの娘と彼の姉。残りの20%が配偶者&その他 という遺産の割り振り。 彼がローマのホテルで倒れているところを発見した13歳の息子には、課税対象にならないトラスト・ファンドで約7億円、 それとは別に妻と息子には やはり課税対象外のファンドでキャッシュが残されているとのことなのだった。

でも、その遺産の大半を 相続税率が最も低い配偶者ではなく、娘と姉に残しているために 税金が大幅にアップしているのがこのケースで、 70億円の資産のうち 税金で消えてしまうのは何と30億円。 遺産は課税後に 相続人に振り分けるように遺書で定められていることから、 本来、相続税率が最も低いはずの配偶者が、全くその恩恵を受けないのがこのケースで、 非配偶者の高い相続税を支払った残りからしか 遺産が振り分けられないという 配偶者にとっては悪夢、IRS(国税局)にとっては実入りの多いシナリオになっているのだった。
相続人達は、9ヶ月間の支払い期限までに 多額の相続税を収めるために、遺産として受取った 不動産や有価証券の売却を迫られるのが通常であるけれど、この報道がきっかけで、 これまで自分が死んだ後の税率など 深く考えてもみなかった人々が、 税理士に遺書の見直しを相談するようになるのでは?とさえ 言われているのだった。



さて、私が4月に大腸内視鏡検査を受けて、その再検査のために断食と流動食、 加えてクレンジング・プログラムを続けたことは以前のコラムに書いたけれど、この時の約1ヶ月間に 10%以上落ちてしまったのが私の体重で、これは不健康と言えるハイ・ペースの減量。
もし体重を落とすのが目的であれば、もっとスロー・ペースの減量を試みたと思うけれど、 当時の私は 1回500ドルも掛る大腸内視鏡の再検査を控えていた状態。 検査までに 腸内を完璧にキレイにしなければ、バーゲン価格のマノーロ・ブラーニック1足分のお値段が、再検査の度に出て行ってしまう訳で、 私の意識が集中していたのは腸内をキレイにするということだけ。 体重については、検査が終わってから チェックして、自分でもビックリしていた状態なのだった。

そんな短期間に 体重が10%以上落ちてしまった私に何が起こったかと言えば、 まず脳と胃が全くコミュニケートしていないという状態。
断食やクレンジングで、食べたい物を我慢していただけに、頭では 「アレを食べたい」、「コレを食べたい」という願望があるものの、 胃がそれを受け付けなくて、直ぐに満腹になるだけでなく、特に野菜を食べると妊婦のようにお腹が膨れてしまうのだった。 こうした不快感は、ヴェジタリアンやヴィーガンになろうとしている人にありがちな症状。
実際のところ、当時の私は 断食&クレンジングの直後、いきなり胃に負担を掛けるのを避けるため、 肉や魚を控えて、まるでヴィーガンのような食生活をしていたのだった。

その結果、動物性たんぱく質が食事に加わるまでの間、以前のコラムに書いたようにスタミナ不足、 深刻な冷え性という問題に見舞われたけれど、私にとって 最も苦しかったのは、 野菜や果物ばかり食べていると、満足感が得られないために、お腹は膨れても 食欲に”待った”が掛らないということ。
これは 断食後に食欲を我慢していた緊張の糸がプッツリ切れて 「何を食べても美味しい」という状態とは違っていて、 「胃は苦しいけれど、頭が食べ物を欲していて、自分でも どうして食べたいのかが分からない」という実に不可解 かつ不快な状態。
ヴェジタリアンやヴィーガンの中には、そのフラストレーションを砂糖で満たして、糖尿病になってしまう人が少なくないというけれど、 私は今回の経験から、それが非常に納得できたのだった。

人によってはここで 「一気に減らした体重が少しくらい戻っても大丈夫」と考えるようだけれど、実はそれは大きな間違い。 当時の私のように急激に体重を落とした場合、脂肪と一緒に落ちてしまうのが筋肉。 その後 体重を短期間に戻した場合、身体に付くのは100%と言って良いほど脂肪。
すなわち この体重の上下動のせいで、断食&クレンジング前よりも 筋肉に対する体脂肪の割合が多い身体になってしまう訳で、 それが意味するのは身体の老化&メタボリズムの低下。 せっかく腸がきれいになっても、以前よりも痩せ難い体質になってしまうのでは メリットが激減してしまう訳で、 それもあって私は 断食やクレンジングの最中も エクササイズを続けて、筋肉が落ちないようにしていたのだった。

いずれにしても、私がこの時点で痛感したのが、そろそろ長期展望で自分に合った理想の体重と体脂肪率を見つけて、 それに合わせて 身体を作り変えるべきということ。 というのも年齢を重ねれば、重ねるほど ボディの維持は出来ても、ボディの改革が難しくなるのに加えて、 体重が増えればストレッチ・マークになり、体重が減れば皮膚のたるみやシワになって、 度合いによっては それがパーマネント・ダメージになり得るため。
私がダーマ・ヨガ・センターで知り合った男性は、 ヴェジタリアンになって ベスト・パフォーマンスのボディを構築するために 1年半を費やしたと言っていたけれど、私のリサーチでも多く人々が 体質とボディの改善を実現するのに費やしているのが1年半から2年の月日。 そこで私も焦らず、根気良く、1年半〜2年を掛けて 生涯維持するべきボディを構築するためのプロジェクトに取り組むことにしたのだった。


そのプロジェクトは食事、精神面、そして肉体面=エクササイズの3つの要素で構成されるけれど、 体重だけを減らすことが目的なのであれば、最も効果的なのは 食事=ダイエット。 でも太り難い体質を作ろうと思った場合に大切になってくるのが、精神面と肉体面。 ストレスと食欲をコントロールするのが精神面。そしてカロリーを燃やし、 筋肉を付けてメタボリズムをアップさせるのがエクササイズであるけれど、 エクササイズには、脳のストレス・ホルモンを抑える働きがあり、ミトコンドリアに働きかけてアンチエイジングを実現するもの。
ナショナル・インスティテュート・オブ・ヘルスが 「People who exercise regularly not only live longer they live better / 定期的にエクササイズをする人々は長生きをするだけでなく、より良い人生を送る」と、そのライフスタイル・リサーチの結果を 謳う一方で、マッカーサー・ファンデーション・スタディ・オブ・サクセスフル・エイジングによる 10年に渡るリサーチでも、 「誰にでも効果を発揮する 唯一のアンチ・エイジング手段」とレポートされたのがエクササイズなのだった。

したがって自分に合ったボディの構築だけでなく、アンチ・エイジングのためにも マスト!なのがエクササイズであるけれど、 ここ4年近く 同じエクササイズ・プログラムを続けてきた私は、これ機会に自分に不足しているエクササイズ、 自分に合うエクササイズを再検証してみようと思ったのだった。

私が続けてきたのは、以前このコーナーにも書いた通り、ランニング、ヨガ、ウェイト・トレーニング、テニスであるけれど、 テニスのように頭と身体を一緒に使わなければならないスポーツをもっと増やすべきと考えた私が 先ずトライしたのが カーディオ・キックボクシングのクラス。
カーディオ・キックボクシングは、施設によっては 本当にグローブを付けて、サンド・バッグをパンチするものもあるようだけれど、私が取ったクラスは キックボクシングのムーブメントのエアロビのクラス。 したがって、ジャブ、フック、アッパー といったボクシングの腕の動きに、キックを組み合わせたムーブメントで構成されるもので、 音楽に合わせて行なうため、 ダンス・クラスのようでもあるのだった。

このカーディオ・キックボクシングで 何故頭を使うかと言えば、一通りのムーブメントを学んだ後は、 それを様々な コンビネーションで行なうことになっていて、それを 間違えずに実践するには 身体よりも むしろ頭と集中力が問われるのだった。
頭で分かっていても、腕が違う動きをしたり、キックのステップのタイミングが合わなかったり、 バランスがズレたりで、頭と身体の動きを一致させるのに苦労するのがこのクラス。
元ヘビー級世界チャンピオンのマイク・タイソンは、実際に会ってみると 非常にインテリジェントな人物とのことだけれど、 彼の場合、何十パターンものパンチのコンビネーションを対戦相手の動きを読んで、瞬時に使い分けていた訳であるから、 頭が悪いはずが無いと思うのだった。


カーディオ・キックボクシングのクラスは、ランニングに比べると 燃やせるカロリーが少なく、 ウェイト・トレーニングほどは 筋肉がデベロップ出来ないので、効率的とは言えないエクササイズ。 でも、楽しい体験だったのは紛れもない事実で、 これで新しいエクササイズのトライアルに目覚めた私は、次にエアリアル・ヨガをトライしてみることにしたのだった。
エアリアル・ヨガは、 アンチグラヴィティ(無重力)・ヨガとも呼ばれていて、写真上のように 天井から吊るされた布のストラップを使って、 体重を掛けずに行なうヨガ。ストラップは広げるとかなりの幅で、それを一杯に広げて ハンモックのように使うポーズも 含まれているけれど、最初は片脚からストラップに体重を掛けるところからスタート。
その後、徐々に身体全体をストラップで支えるポーズになっていき、ストラップに脚を巻きつけて逆立ち状態になったり、 ぶら下がったりするのがこのヨガ。体重がストラップで支えられているので、逆さになったり、反り返ったりする動きは、 写真で見るよりもずっと簡単なのだった。

でも45分が経過した辺りから、私は 徐々に気分が悪くなって来てしまったのだった。 理由は頭に血が上りすぎたためで、そもそも私はアーユルベーダのドーシャで ピタが最も強いとあって、 ヨガのインヴァージョン・プラクティス(逆さになるポーズ)を控えなければならないタイプ。 日頃取っているヴィンヤサ・ヨガのクラスでもインヴァージョン・プラクティスはミニマムにしていたけれど、エアリアル・ヨガのクラスは ポーズの殆どがインヴァージョン。
車酔いのような不快感に襲われた私は、ストラップを外して その場で少し休んでから、クラスが終わるのを待たずして、 インストラクターに事情を説明してスタジオを後にしたのだった。 インストラクターによれば、そのクラスは約80%のポーズがインヴァージョン。もしそれを最初から知っていたら 恐らくクラスを取らなかったと思うけれど、いずれにしても その不快感ですっかり懲りてしまった私は、 エアリアル・ヨガに限らず、インヴァージョンが多いエクササイズは 「健康のために 二度としない」と心に誓うことになったのだった。


エアリアル・ヨガで少々自信喪失気味になった私が 次にトライしたのは、TRX サスペンション・トレーニング。
実は私が最もトライしてみたいと思っていたのが このトレーニングで、 それというのも 同トレーニングは、全身のワークアウトを効率的に行なえるだけでなく、筋力を高めるのに 非常に適しているため。TRXは アメリカ軍、オリンピック強化選手、MLB、NFL等のプロ・スポーツ選手も導入しているのだった。
これは具体的には天井から吊ったハンドル付きの2本のストラップを使って、自分のウェイトを利用しながら行なうトレーニング。 マンハッタンでは ここ1〜2年で TRX サスペンション・トレーニングのスタジオが どんどん増え始めているのが実情。

私が取ったクラスでは、ストラップを使ったプッシュアップ(腕立て伏せ)や、サイドステップ、スクワット等、様々なムーブメントを 最初はゆっくりと1分間、その後 最もキツい ポジションで20秒ホールドしてから、次のムーブメントに移るというのが基本プログラム。
4種類のムーブメントを1セットにして行い、1セットが終わると 次は同じセットを 前よりもスピーディーにリピートするけれど、 1分が経過する度に キツいポジションで20秒ホールドするのは 前のセットと同じ。
私が出掛けたスタジオは、参加者が向き合ってワークアウトするようにストラップが吊ってあって、 挫折したり、手を抜いたりすると目立つデザイン。 このため参加者が 自己顕示欲 剥き出しで ムーブメントをこなしていたけれど、TRXはストラップの使用角度を変えることによって キツくなったり、楽になったりするのが特徴。従って、様々なレベルの参加者が一緒に同じワークアウトをすることが可能なのだった。

TRX と通常のウェイト・トレーニングが異なる点は、TRXの場合 ストラップを掴んで、身体のバランスを保たなければならない分、 体重を支える以上に 筋力が必要とされる点。 また気付いたのは、インストラクターも 参加者も、他の2クラスに比べて 遥かに鍛えられたボディをしていたことで、 実際のところ、3つのクラスの中で最も体力的にキツく、チャレンジを強いられたのがTRX サスペンション・トレーニング。
50分のクラスが終わった時には、すっかり汗ばんでいたけれど 気分は爽快で、特に腕の筋肉と コア(身体の中核)・ストレングスが 集中して鍛えられた感触を味わったのだった。

なので、TRX サスペンション・トレーニングをトライしたのは私にとっては収穫と言えるもの。
そもそも、私はエクササイズに関しては、英語で言う 「No Pain, No Gain / ノーペイン・ノーゲイン」(直訳すれば「痛みが無ければ、収穫なし」であるけれど、 要するに「苦しいからこそ、得るものが大きい」という意味) というポリシーの持ち主。 したがって 多少苦しくても 達成感があるエクササイズの方が、身体のためにも 精神のためにも 合って居ることを改めて学んだのだった。

TRX サスペンション・トレーニングの最中、あまりのキツさに 参加者の1人が 「皆、何故 こんな苦しい事にお金を払っているんだ?」と言ったので、全員が笑い出してしまったけれど、 ナショナル・インスティテュート・オブ・ヘルスがレポートする通り、エクササイズをする人は「Live Longer, Live Better」。
年老いてから心臓病等で 病院で苦しむより、 日頃から健康体でジムで苦しい思いをする方が、遥かに幸せだと思うのだった。





執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。


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