July 2 〜 July 8 2007
” トウ・リーディング ”
少し前のニューヨーク・ポスト紙が掲載していたのが「トウ・リーディング」なるもの。
手相を読むことを英語ではパーム・リーディングというけれど、このトウ・リーディングはいわゆる”足相”を見ること。
私も子供の頃に、「もし足の人差し指が親指より長かったら 親より出世する」などと言われたことを覚えているけれど、
このトウ・リーディングも、指の長さ、形、指同士の間隔、爪の大きさなどで人間性や金運などを占うもの。
足の指には、それぞれ名前が付いていて、親指が "Great Toe / グレート・トウ (もしくは Ether Toe / イサー・トウ)"、
人差し指が "Air Toe / エア・トウ"、中指が"Fire Toe / ファイヤー・トウ"、薬指が "Water Toe / ウォーター・トウ"、そして小指が "Earth Toe / アース・トウ" で、
親指以外の エア(風)、ファイヤー(火)、ウォーター(水)、アース(地)は風水と同じように表現されるもの。
それぞれの指が表すものは、グレート・トウ (親指) が運命、エア・トウ (人差し指) がコミュニケーション、ファイヤー・トウ (中指) が決断、ウォーター・トウ (薬指) が愛情関係、そしてアース・トウ (小指) が
信頼を示すといわれている。
そのトウ・リーディングによれば、足の指が曲がらずに まっすぐな形をしている場合は、自信や自己が確立されていることを表すという。
また足の指同士が重なり合っていたり、ぴったりくっついている部分がある場合は、その指が示すものに対する
依頼心の強さを示すという。すなわち、愛情を示すウォーター・トウが信頼を示すアース・トウにくっついている場合、愛情を感じる相手や信頼する相手に対して依頼心が強くなることを示しているという。
さらに足の爪が小さい人は、コンサバティブで、地道なタイプ。逆に爪が大きめな人は自己表現が上手く、特に爪が丸く盛り上がっている場合は楽観主義者であるという。
果たしてこれが当たっているかどうかは別として、世の中では違った意味でのトウ・リーディングというものが、シューズを含めた足元全体のプレゼンテーションに対して行われているのが実情である。
日本語でも「手は生活を表す」という言葉がある通り、手と足という身体の末端は 様々な国において人々の生活レベルを反映するボディ・パーツであると捉えられがちなのである。
高級なビューティー・サロンのネイリストは、手足がキレイな顧客は グッド・チッパー、すなわちチップを沢山払ってくれると
判断しがちであると言うし、バーグドルフ・グッドマンのような高級デパートのシューズ・セクションでは
ペディキュアをしていない来店客は、よほどスタッフが暇な時でない限りは積極的に接客されないものである。
これも仕方ないと思うのは 高級デパートや、ミートパッキング・ディストリクトのジェフリーズなど
高額シューズを扱うブティックのセールス・スタッフは 給与がコミッション制、
すなわち シューズの売り上げの何パーセントかが給与がになる訳で、シューズが売れなければそれだけ給与が減ってしまう訳である。 なのでセールス・スタッフは
短時間に高額のショッピングをしてくれる顧客を相手にした方が遥かに効率よく給料を稼ぎ出せることになる。
したがって 彼らにしてみれば生活が掛かっている訳であるから、迷った挙句買わない客 と
高額シューズを短時間で買う客を 様々なポイントから嗅ぎ分けている訳である。
そのシューズ売り場におけるトウ・リーディングによれば、足にお金を掛けない女性というのは やはりシューズにもお金を掛けないものだそうで、
ペディキュアをしていない女性が、シューズにお金を掛けるとは判断し難いもの。
シューズ・セクションのセールス・スタッフによれば、女性はネールサロンに出掛ける前の剥げかけたネールでは
決して高額のシューズを買いには来ないものだそうで、
”ペディキュアをしていない=シューズにお金を掛けない” というフォーミュラは 常に正しいものだという。
またシューズを買いに来た時に女性が履いている靴も 彼らの顧客判断の基準になると同時に、
どんなシューズを薦めたら買っていくかを見抜くヒントにもなるという。
さらにセールス・スタッフによれば、ファッションのコーディネートの一環としてではなく、日常から肌色のストッキングを愛用しているような女性も
理想的な顧客とは見なされないもの。
ニューヨークではパンプスを履くにも、ブーツを履くにも素足がメイン・ストリームになって久しいご時世なだけに、
ストッキングを履いている女性というのはとかくコンサバティブであるか、コンサバな職業についている場合が多いそうで、
そうした女性は お金の使い方もコンサバティブなのだそうである。
それでもバーグドルフ・グッドマンで もう何年も私の担当になってくれているセールス・パーソンによれば、
彼には シンプルなマノーロ・ブラーニックのパンプスだけを買い続けている女性ビジネス・エグゼクティブの顧客が居るそうで、
その女性はいつも電話1本でシューズをオーダーしてきて、自宅に配達するのがお決まりだそうで、コンサバは必ずしもお金を使わない顧客の条件ではないようである。
加えてシューズ・セクションのセールス・スタッフの目からは、スペシャル・オケージョンのためのフォーマル・シューズを探して、
日ごろは履かないマノーロやジミー・チューを買いに来る客というのも一目瞭然だそうで、
こうした来店客はリピーターにならない上に、1足のシューズを買うのに非常に時間が掛かる上、
時に1回の来店では決まらないことも多いので、頼まれればヘルプするけれど、あまり近寄らないようにするという。
要するにシューズ・セクションで良い扱いを受けたかったら、きちんとペディキュアをした足に、ファッショナブルなシューズを
履いて出掛けるべきということになるけれど、私が思うにバーグドルフ・グッドマンとバーニーズに関しては、
たとえ化粧品を買いに出かけてもセールス・スタッフが財力をチェックするためか?、シューズとペディキュアをさり気なくチェックしているところである。
セールス・パーソンやネイリスト以外に ”トウ・リーディング” をしている人々と言えるのは、ハイエンドなニューヨークのクラブのバウンサー(ドアマン)。
彼らが ゲスト・リストに載っていない来店客を 入店させるかをジャッジする際に、必ずチェックすると言われるのは足元である。
バウンサーの多くは男性であるけれど、彼らに言わせると ゲスト・リストをチェックするふりをして さりげなく足元を見れば、女性でも男性でも 残りの部分は見なくても推して知るべしであるという。
こうしたハイエンドなクラブは、スニーカーや男性のサンダル履きはそもそもドレス・コード違反であるけれど、
バウンサーたちは ナイン・ウエストのサンダルと、マノーロ・ブラーニックのサンダルを見分けるくらいには目利きであり、
もちろん真っ赤なソールを見ればルブタンであることくらいは当然理解している。
彼らに言わせると、マノーロ・ブラーニックやクリスチャン・ルブタンなどのシューズを履いている女性というのは 往々にしてマニキュア、ペディキュアもきちんとしていて、
カジュアルな服装でも時計やジュエリー、バッグにもお金が掛かっている女性が多いという。
でもバウンサー達の目は更に厳しいもので、彼らは、一張羅(いっちょうら)マノーロ、 二張羅ルブタンを履いている人も 見抜いてしまうという。
こう見なされてしまうのは、プレーンでベーシックなカラーやデザインで、どんなオケージョンでもそのシューズを履いてるのが想像できるほど クタビレかけたマノーロやルブタンを履いている場合で、
これらを見ると バウンサーたちはそれなりのジャッジをしてくるもの。
一張羅ルブタン、マノーロを履いている女性の所持品といわれるのがルイ・ヴィトンのアクセサリー・ポーチなど、ブランド物だけれど安価なバッグ。そしてグッチの一番安い時計などで、
取りあえずブランドもので身を固めている場合が多いという。
こうした一張羅ルブタンの来店客に対する見解は、高級レストランのメイトルディーなど、度合いに差はあっても、ある程度 人々がドレスアップしてやってくる場所で働いている人間の間では
共通したもののようで、こうした人々はあまりお金を落として行ってくれないし、それに応じてチップも少なめであるとジャッジされて。レストランではそれほど良いテーブルにはつけないようになっている。
更に シューズ&ペディキュアをチェックしてはトウ・リーディングをしてくる職業といえるのは、何と言っても美容整形医。
「ペディキュアも塗らない女性が、シワやシミや余分な脂肪をお金を払ってまで取ろうとするはずが無い」 というのが この世界の判断基準であり、
そうしたトリートメントを支払う経済力があるかを判断するのは、時計やバッグ、ジュエリーよりも ペディキュアであるという。
というのも時計やバッグというのはプレゼントかもしれないし、自分で払っていても一回の出費で購入し、物として手元に残るもの。
したがって自分に対してケチで お金を掛けない女性、さほど容姿にこだわらない女性でも、これらを所持している場合が多いという。
これに対してペディキュアというのは、定期的に繰り返し行い、物として残らないもの。
現在、アメリカで美容整形医が行う人気のトリートメントは、ボトックスを始め、レスティレーン等、メスを入れない代わりに定期的に行うものが多いこともあり、
ペディキュアのコンディションで顧客をジャッジすれば、大体間違いが無いという。
私の友人には、美容整形医にはお金があると思わせておいた方が絶対に良いので、ボトックスを打ってもらいに行くだけでも、
ペディキュアに気を使うのはもちろん、ジュエリーもわざと多めにつけて、さらにヴェルサーチやロベルト・カヴァーリのような
美容整形に熱心な女性が着そうなブランドをあえて着て出掛けるという人が居るけれど、
これは彼らの判断基準を逆手に取った戦略といえる訳である。
さて、本来のトウ・リーディングに話を戻すと、正式なトウ・リーディングというのは、人間の性格だけでなく、
その血色や肌のテクスチャーが、その時々の身体と心の健康や経済状態を示すものだそうで、
これは手相も同様であるという。したがって一般に 「生活レベルを如実に表す」 と言われる手足のコンディションであるけれど、健康のバロメーターになるというのも、また事実のようである。
そこで、ふと考えるのは 手や足をきちんと手入れしていれば、それなりの生活レベルや健康が手に入るか?ということ。
かつて豊臣秀吉は、天下を取るための手相を自らクリエイトするべく、指先の皮膚をカットしたことが伝えられているし、
生命線などは 線の弱い部分にわざとシワが寄るように心がけていると、病気や事故が防げると言われているものである。
そして、思い出したのが5〜6年前に私の友人が語っていたエピソード。
友人は、かつて会社をレイオフされ、ネールサロンに通うお金も無くなってしまい、手や足や爪がボロボロになってしまい、特に足の裏は人前に出せないくらいガサガサになっていたという。
そんな中、バーニーズ・ニューヨークのウェアハウス・セールに出掛けて、60%オフになったデザイナー・ブランドのサンダルを
鏡の前で履いていたところ、傍に居たアメリカ人の来店客に 「そのサンダルを履くには少し足の手入れをしないとね・・・」と言われ、その指摘があまりに当たっていただけに とても傷ついたという。
そこで彼女はサンダルを諦めて、その代わりにブリスに出掛けて 120ドルを掛けてフット・フェイシャルとマニキュアを行ってもらい、
その場で見て学んだスクラブやマッサージのテクニックを自宅で週1〜2回行っていたところ、1ヶ月を過ぎた頃には
手足が驚くほどキレイになって堂々と人前に出せるようになったという。
そして、その頃からフリーランスでやっていた仕事が増え始めて、ネールサロンにも月2回くらい出かけられるようになり、
その1年後には自分で起業し、すっかり金運がアップしてしまったのだった。
その後は、どんなに忙しくても気分転換をかねてネール・サロンに出かけてマニキュア&ペディキュアをして、それまで自分でしていたスクラブなども、ネール・サロンのフット・フェイシャルで行ってもらうようになったという。
その彼女が言うには、オープン・トウのシューズを履いているのにペディキュアをしていない女性というのは、やはり仕事でもどこか手抜きなのだそうで、
マニキュアにしても、剥げ掛かったネールでミーティングに現れる女性は、
よく観察したり、言う事を聞いていると、経済的にあまり楽ではなく、切り詰めた生活をしているのが分かる人が多いという。
彼女によれば、経済的に楽でないことが悪いことではないけれど、そういう人に限って、金持ち相手にビジネスをして成功しているように
振るまって、自分に有利に物事を運ぼうとする人が多いそうで、そうしたはったりを見抜くためにも 「ビジネスをする際は相手の手足を観察する
のが習慣になった」と語っていたのだった。
彼女の経験談は、見方を変えれば 「手足の手入れをして、経済的に恵まれた人々と同等の手足になれば、自分の経済状態もそれに追いついてくる」 ということになるけれど、
私もこの話を聞いてからは 人の指先やペディキュアを、かなり細かくチェックするようになってしまったのだった。
もちろんマニキュア、ペディキュアをする、しないには 個人の好みなどもあるけれど、それに関係なく手足がキレイな人というのは、やはり健康的で、
幸せそうなオーラを放っているものなのである。

執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。
丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、1989年渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に
ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.設立。以来、同社代表を務める。
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