July 2 〜 July 8 2018

”American Dream & Job Market”
日本の雇用市場にもやがて影響が及ぶ!?
アメリカのジョブ・マーケットの現状



今週は水曜日にアメリカが242回目の独立記念日を迎えたとあって、 このホリデイを利用してサマー・ヴァケーションに出掛けている人が多かったけれど、 そんなアメリカ社会で意外に知られていないのが IRS(国税局)に 5万1000ドル(約563万円)以上の税金を滞納しているアメリカ人は パスポートの発行や更新を断られるという法律。
この法律が制定されたのは2015年のことで、その施行が正式にスタートしたのが今年の2月から。 アメリカでは32万6000人以上が税金を滞納していると言われ、 既にIRSは 全米各州に税金滞納者のリストの送付をスタートしているとことが伝えられるのだった。 パスポートが無ければ 当然の事ながら 海外旅行も海外出張も出来ない訳で、既に1400人が 税金返済ローンを組んだと言われ、中には1億円以上を一括で返済した人も居るとのこと。 滞納者のうちの220人以上は日本円にして12億5000万円以上の税負債を抱えているとのことで、 これにはしっかり利息が科せられるのは言うまでもないこと。
アメリカでは同様に子供の養育費を滞納した場合、免許の更新が出来ないという法律もあり、 車社会のアメリカではこれが大きく功を奏しているのだった。




さて7月6日 金曜にはアメリカの6月の雇用統計が伝えられたけれど、それによれば6月に新たに生まれた雇用は21万3000と 予想を上回るもの。しかしながら失業率は5月に記録した史上最低レベルの3.8%から は0.2%アップして4%になっているのだった。
雇用が増えて失業率がアップする理由は、これまで仕事探しを諦めていた人々が、 再び仕事を探し始めたためで、実際に現在のアメリカの雇用は売り手市場。 企業が人材を確保するために産休を増やしたり、子供の学費のサポート・プログラムを設けるなどして、 雇用条件を改善しているのが現在。
でもそんな買い手市場の雇用マーケットを利用してアメリカ人が行っているのは、条件の良い企業や仕事に移るよりも、 自分の好きな仕事、やりたい仕事に転職すること。 それが明らかになったのが つい最近ネットクォート・ドットコムが1000人を対象に行った調査で、 74%ものアメリカ人が自分の満足感や生き甲斐、目的意識が得られる仕事にキャリア・チェンジをしている様子がレポートされているのだった。
現在のアメリカで 最も就労者が仕事を辞めたがっている業界のトップ5は、 小売業、レストランやホテル等のサーヴィス業、金融&保険業、医療&健康保険業界、そして教育関連。 特に教育に関して言えば、教員の給与は過去15年近く据え置き状態にも関わらず、政府の補助金がトランプ政権下で激減し、 教員が自腹を切って生徒たちの教材を購入しなければならない有り様。このため教師達が仕事への遣り甲斐や、 子供の教育への使命感を感じながらも 自分の生活のために職場を去るケースが非常に多いことが伝えられているのだった。




逆に どんな仕事に人気があるかと言えば、圧倒的に多いのがアート&エンターテイメント業界やメディア関連、 デザイン、レクリエーション、テクノロジーといった分野の仕事。
また仕事や職場に求めているものは 遣り甲斐、決断やクリエイティブ面における自分の裁量、 自分の存在が企業に評価されていること、そして時間のフレキシビリティ。 こうしたキャリア・チェンジをしているアメリカ人の平均年齢はぴったり30歳で、ミレニアル世代に関しては20代前半にして 既にキャリア・チェンジをしているケースが少なく無いのだった。

失業率が低下して 雇用が売り手市場になってくると、当然減ってくるのがアントレプレナー。 というのも自分で起業すれは、自費で全てを賄うことになるけれど、 求人が増えている今ならば 自分のやりたい仕事が企業の中で、企業のエクスペンスを使って 給与が保証された状態で出来る可能性が高いため。 加えて自営業だと ひっきりなしに働くことになるけれど、企業に勤めてしまえば 週休2日が確保されるのはほぼ確実。
そのため起業していた人が 再び企業の職場に戻り始めているのが現在で、 今月の失業率アップの背景には 思ったほどの稼ぎが得られず 疲れ果てたアントレプレナーが より安定した収入と短い労働時間を求めて 再び仕事を探し始めたというケースも少なく無いのだった。




こうした状況で閑古鳥が鳴き始めるのが 起業のし方やキャリアアップのレクチャーやコンサルタントをするビジネスで、 これは起業家が減って 雇用が増えれば当然起こるシナリオ。 それと同時に減少傾向を辿るのが、手に職をつけるクラスを受講する人々で、 例えば2008年のファイナンシャル・クライシス(日本でいうリーマン・ショック)の直後には、 ウェイティング・リストに名前が連なっていたマッサージ師の資格を取るクラスも、失業率が低下し始めてからはガラガラ。
今では多くの人々が 「ジョブ・トレーニングは仕事の実践を通じて行うべき」、「それ以上の技術は自分を雇う企業が提供するプログラムで 身につけるべきで、自分の出費や借金を増やしてまで行うべきではない」と考えるようになっているのだった。

さて「アメリカン・ドリーム」と言えばハードワークで財産を築き上げることを意味し、 長年そのゴールとして掲げられてきたのが「ミリオネアになること」。 でも 今や「一桁のミリオネアが庶民」と言われる時代を反映して、ミレニアル世代にとっては 「ミリオネアになる」のは夢ではなく、 彼らの祖父母であるベイビーブーマー世代が 「ミドルクラスになるのが当たり前」と考えていたような意識。 その証拠に、バックグラウンドや経済レベルとは無関係に 53%のミレニアル世代が 自分がミリオネアになると信じているとのこと。 更に興味深いのは同世代の25%が「決して結婚しない」、30%が「決して子供を作らない」と回答していることで 時代は確実に変わりつつあるのだった。
近年のアメリカでは 多くの先進国同様に出生率が下がり続けているけれど、 その理由のトップ3は、「自分が仕事に出ている時の子供の世話代が高額である」、 「既にいる子供との時間を増やしたい」、「経済的な不安」。 それに次いで「政治&社会情勢、環境悪化による未来への不安」が出生率低下の大きな要因になっているのだった。



執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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