July 19 〜 July 25 2010




” I met this guy at a club … ”


今週も、アメリカはニューヨークだけでなく アメリカ各地で猛暑となっていたけれど、そんな中 最も大きく報道じられていたニュースと言えば、 農務省のジョージア州農村開発局長であったシャーリー・シェロッド氏(写真右)がそのスピーチの中で 人種差別発言をしているビデオが 19日、月曜に保守系のアンドリュー・ブレイトバートのブログで公開され、 これを受けて 農務省が釈明の機会も与えず その日のうちにシェロッド氏を解雇。 ところが、同ビデオが保守派の陰謀で、巧みに人種差別発言に受け取れるように編集されたものであったことが発覚したため、 2日後の21日にビルサック農務長官はシェロッド氏に謝罪。 また、このスキャンダルが大きく取り沙汰されたことを受けて オバマ大統領自身も シェロッド氏に個人的に電話を掛け、 7分に渡る会話の中で、謝罪と新しいポジションのオファーを行ったという報道。
新しいポジションとは、事実上、シェロッド氏のために 政府が新設したポジションで、 本人はその再雇用を前向きに検討していると同時に、ビデオを公開したアンドリュー・ブレイトバードに対する訴訟を 検討しているとコメントしているという。
でも今回の問題で、スピーチの内容をきちんと調べることなくシェロッド氏をクビした農務省、及び オバマ政権は、 まんまと保守派の策略に引っかけられた形となり、かなり体裁が悪いのは明らかな事実。 11月の中間選挙で、民主党が議席と過半数を失うかもしれないと予測される中で、 オバマ政権の焦りを露呈したような事件となってしまったのだった。

さて、夏のニューヨークのナイト・シーンと言えば 過去数年、ルーフトップ・バーが 人気を集めてきたけれど、先週、今週は夜になっても気温が30度近い日が多く、 ルーフトップ・バーの醍醐味である夜風と開放的な雰囲気を楽しみながら飲むというには ちょっと暑すぎるといった印象。
加えて、昨今のルーフトップ・バーは旅行者が多く、スタンダード・ホテルやグラマシー・パーク・ホテルのルーフトップなど ちょっと敷居の高いスポットを狙わないと、ニューヨーカーがマジョリティという雰囲気が味わえないことも指摘されているのだった。

そんなルーフトップ・バーは、ニューヨーカーの間では夏の間のデート・スポットとしても好まれている場所だったりもするけれど、 7月1週目のニューヨーク・タイムズ紙のサンデー・スタイル・セクションに掲載されていたのが、 今やデートというのは、単にカップルが一緒に時間を過ごすものではなくて、何かを一緒に楽しむもの。 相手にどんなデートを提案するかで、自分の個性やテイストをアピールするようになってきているという 記事。
確かにデートにはトレンドというものがあって、そのトレンドはフードであったり、ドリンクであったり、アクティビティであったりするけれど、 この記事によれば、5月にトレンディだったフードはロブスター・ロールで、その後はオイスターに移行したとのこと。 その前の3月はタコスがファースト・デートのトレンドだったそうだけれど、正直なところ私だけでなく、友人の20代の女の子に訊いても これは初耳のトレンドなのだった。

明らかに最近盛り上がってきているアクティビティの1つはピンポンで、スーザン・サランドンと彼女の20代のボーイフレンドが経営する パーク・アベニューのスピン(写真左)は、要するに 卓球場だけれど、クラブのようなセッティング。 それ以外にもピンポン・テーブルを設けるカジュアルなバーは増えているけれど、 黒人&ヒスパニック系カップルの間では サルサなどのラテン系ダンスが楽しめるイベントやスポットに出掛けるのも人気のデート。
もちろん今も マジョリティが好むデートは映画、グルメ・レストラン、ビーチや公園の散歩であるけれど、 こうした ありきたりのデートではなく、ワイン・テイスティングや 陶芸/ペインティングのクラス、 エクササイズのクラスを取る、ユニークなところではタロット・リーディングに出掛ける等、 何かを一緒に体験するデートがメイン・ストリームになりつつあるという。
この背景には、「相手が興味を示しそうなものに誘って、デートの約束を取り付ける」 という考えもあるというけれど、 「自分がやりたいアクティビティをデートに選んで誘えば、デートに失敗しても 少なくとも自分はそのアクティビティが楽しめる」 という、 もっと自分本位に時間とデートを使う傾向が顕著になっているのだった。

でもデートに辿り着く以前のステップとして、まずは”出逢い” というものがあるけれど、 カップルがパーティー等で 初対面の人に出会った際に必ず尋ねられるのが、 「どうやって出会ったの?」、もしくは 「何処で出会ったの?」という質問。
聞こえが良いのは、一緒に何かのクラスを取っていたとか、知人の紹介、もしくは知人宅のパーティーで出会ったというような 安全な出逢い。
また過去数年で、飛躍的に ”まとも度” を上げたのは、オンラインのマッチメイキング・サービスによる出逢いで、 かつてオンライン・マッチメイキングと言えば、既婚者が浮気相手を探す手段だったり、 収入や経歴にウソをついたプロフィールが多く、現れた人間は写真とは似ても似つかなかない、といった 信憑性の薄い出逢いを提供するサービスであったのは記憶に新しいところ。
でも、こうしたマッチメイキング・サイトに登録する人々の年齢層がアップし、 「離婚後、再婚相手を探している人」、「伴侶に先立たれて、余生のパートナーを探している人」、 「仕事が忙しくて、出逢いの機会が全く無い30代、40代」等、 真剣な出逢いを求めているメンバーが増え、かつてこうしたサービスを利用していた若い層が 彼らの離婚した親のプロフィールを登録してあげるような時代になってからは、 オンライン・マッチメイキングで出逢って 結婚するカップルが飛躍的に増えて、 浮気や遊び目的のメンバーが減ったことが指摘されているのだった。

これに対して、何時の時代でも聞こえが良くないのはバーやクラブでの出逢い。
でも同じバーやクラブでも、例えば「パリのリッツホテルのバー・ヘミングウェイで出逢った」、 「ドバイのブルジュ・アル・アラブのスカイ・ビュー・バーで出逢った」 等、海外の高級バーやクラブだと いきなりポイントが高くなるのは不思議なところ。
恐らく ニューヨークのバーやクラブだと、そのセッティングやそこに来ている客層、 そこで行われている男女のハンティング・アクティビティが容易に想像できるために、 「ああ、そういう出逢いね」的な見下し方をされるのかもしれないけれど、 特に30歳を過ぎたカップルがバーやクラブで出逢ったというと、 そのカップルが居なくなった途端に 冷やかなコメントをする人間が存在するのはパーティーではありがちな光景であったりする。

私がつい最近その光景を目撃したのが、ワールドカップ・ウォッチ・パーティーの際。
年齢は分からないけれど、どうみても30代ぽいカップルが 出逢ったというのがMEPA(ミート・パッキング・ディストリクト)のクラブ ”1オーク”。
見た目が結構地味な男性側は「僕はしょっちゅうクラブに出掛けるけれど、彼女みたいなきれいな子に携帯番号をもらえるチャンスなんてそうそう無くて・・・」と 彼女を持ち上げるコメントをしていて、 彼が言うほどには ”きれい”という訳ではない女性側は 「彼が翌日直ぐディナーに誘う電話をくれて、それからずっとデートを続けているの」などと、 出逢って1ヶ月足らずの 初々しいカップルぶりを披露していたのだった。 でも 突っ込んで聞いてみるとファースト・キスは出逢った途端のダンスフロアで 踊っている最中に済ませているとのこと。
なので2人が去った途端に、口の悪い男性ゲストが 冗談めかしながらも 女性のことを ”ホア”(売春婦のスラング)、男性のことを”ルーザー”(負け犬)と いったので、思わず苦笑いをしてしまったのだった。
実際、 いくらニューヨーカーがセックスに対してオープンマインドであっても、 女性が出逢った途端にダンスフロアでキスしてくるような男性と その後も付き合うのは、「酔っていたのではなく、 誰とでも そうやって遊んでいる」、「ディナーに連れて行ってくれる男性をクラブで引っ掛けている常習犯」 という見方をされても不思議ではないもの。
一方の男性側については、通常、プレーヤー(遊び慣れている男性)であったら クラブで簡単に誘いに応じてくる女性のことは、 最初からセックス目当ての遊びと割り切って付き合うもの。 目標を達成するためにデートに誘ったとしても、 友人のホームパーティーにガールフレンドとして連れてくるほど 真剣には捕らえないのが普通で、要するに 彼はクラブに しょっちゅう 出かけているかもしれないけれど、日ごろは収穫が無くて、 やっと餌に飛びついてきた女性を ディナーに連れて行ってあげることによって 関係を繋いでいるものの、利用されているのに気付かない ”ルーザー” と 見なされてしまった訳である。

もちろん、クラブで出逢っても 中には真剣な交際に発展する稀なケースも存在する訳で、 私に言わせれば、このカップルは もし男性側が女性に尽くして、時間とエネエルギーとお金を使える立場にあるのだったら、 少なくともある程度の期間の交際は可能と思われるパターンなのだった。
逆に私が良く耳にする ”クラブで出逢った”系の話は、女性側がプレーヤーに遊ばれているケースが殆ど。
このケースの場合、女性側は「I met this guy at a club」と友達に相談し始めるけれど、一方の男性側は「I picked up this girl at a club, last night」 と友人に自慢していたりするのが一般的で、既に女性の「met / 出逢った」、男性の「picked up / 引っ掛けた」 という言葉にそれぞれの見解が表れているというもの。
この場合、女性が持つ唯一の切り札はセックスであるけれど、それを最悪のケースではその晩のうちに、 そうでなければ2度目、3度目のデートで 「相手を繋ぎとめるため」に使ってしまうのが クラブでの出逢いを信じている女性達の実態。
一方、男性側は一度ミッションを達成してしまえば、 その女性に対する興味が無くなって 次のターゲットを探す、 もしくは既に ”同時進行のプロジェクト=別の女性”を抱えていたりするので、 それ以降2度と電話や携帯メッセージを送って来なくなるのは当たり前。
これに対して女性側は、次の2週間ほどを相手からの連絡を待って 携帯電話を見つめて暮らし、それまでに待ちきれない場合は、 自分から携帯メッセージを送ってしまうけれど、返事など来るはずもなく、ますます落ち込むことになるのは 判でついた様な結末なのである。

なので、ワールドカップ・ウォッチ・パーティーに来ていたカップルの男性側は、女性の立場から見れば かなり良心的な存在。
でも出逢いを信じてクラブに通う女性というのは、往々にして もっと女性の扱いに慣れた 手ごわい男性を 好むので、男性側がよほどグッド・ルッキングだったり、リッチでないかぎり、 その実直さを重たく感じて、愛想をつかせてしまうケースが殆ど。
要するにハッピー・エンディングは極めて難しいのである。







Catch of the Week No. 3 July : 7月 第 3 週


Catch of the Week No. 2 July : 7月 第 2 週


Catch of the Week No. 1 July : 7月 第 1 週


Catch of the Week No. 4 June : 6月 第 4 週





執筆者プロフィール

秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。
丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、1989年渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。





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