July 16 〜 July 22, 2012

” Terms Of Longevity ”

今週のアメリカでは、 金曜深夜にコロラド州デンバー、オーロラの映画館で、銃乱射事件が起こったため、 週末の報道は その事件1色になってしまったけれど、 そんな中 7月17日 火曜日のニューヨーク・タイムズの紙の インターナショナル・セクションの第一面に大きく写真入りでフィーチャーされたのが、 前日月曜に 東京の代々木公園で行なわれた反原発デモの様子。
これまでにも 日本で反原発のムードが盛り上がってきていることは、何度かニューヨーク・タイムズ紙が報じてきたけれど、 この日の報道は 「Tokyo Rally Is Biggest Yet to Oppose Nuclear Plan」というタイトルで、主催者側の発表で17万人の人々が デモに参加し、過去最高規模になっていることが報じられていたのだった。

海外から見ていると、こうしたデモによって 日本で国民が「声」を上げようとしているのは とても新鮮なこと。
こういったデモは日本の世論を動かそうという意図で行なわれているとしても、海外のメディアに対してアピールするのも非常に大切だと思うのだった。 中東の民主化運動でも、西側諸国のメディアが注目したことが、国内情勢に影響を与えてきたことは紛れも無い事実な訳で、 それを考えた場合、もっと英語のプラカードやのぼりを立てた方が、海外メディアうけが良いのはもちろん、 海外でこうした報道を見る人々にストレートにメッセージが伝わるように思うのが個人的な意見。
でも、英語をフィーチャーしたプラカードが写真に2枚しか写っていなくても、ニューヨーク・タイムズのような 世界で最も影響力のあるメディアに、デモの様子が大きくフィーチャーされたのは歓迎すべきこと。 というのも、今までは 国民が大人しすぎて、決まった政党に投票するのが日本の民主主義のように捉えられていて、 海外諸国からは、 日本は政治家さえ脅したり、手なずけたりしていれば、どうにでもなる国だと思われがちだったのは否定できない事実。 それによって、不利な外交を強いられてきた印象があるだけに、日本国民も政治運動をすることを 海外にアピールすることは、これからの日本のためには 非常に意義あることだと思うのだった。

また週末には、ニューヨーク・タイムズ紙の日曜版についてくるニューヨーク・タイムズ・マガジンが、日本の男子体操の内村航平選手に関する記事を6ページを費やして掲載。 「ロンドン・オリンピックで最も確実な金メダルは、マイケル・フェルプスでも、ウサイン・ボルトでも、USAのバスケットボール・チームでもなく、 23歳の日本の男子体操のウチムラであろう」という書き出しで始まった記事には、 内村選手が北京大会の個人総合で銀メダルに輝いたこと、過去3回の世界選手権の個人で、大きく水を開けて金メダルを獲得していることなどが紹介され、 かつてのアメリカのゴールド・メダリストで、現在は体操の解説者になっているティム・ダゲットが「ロンドン・オリンピックが終わる頃には、 彼(内村選手)は史上ベストの体操選手と言えるだけのメダルを獲得しているだろう」と予測するコメントが掲載されているのだった。
内村選手については、私も日本に一時帰国中に、報道番組で2回ほど特集を見たけれど、 内村選手率いる日本チームが、1960年〜78年まで5大会連続で団体金メダルを獲得した栄光を取り戻すであろうと、 アメリカのメディアが注目してくれるのは非常に喜ばしいこと。
というのも、オリンピックに最大の選手団を送り込んでいるアメリカでは、アメリカ以外の国の選手が 放映時間を獲得するのは、 もっぱらメディアが注目するメダル・コンテンダー(候補者)である場合。 なのでロンドン・オリンピックでは、少なくとも男子体操においては、日本選手の活躍が アメリカに居てもじっくり見られることが期待できるのだった。

ところで、オリンピックと言えば、 先週のこのセクションで アメリカ選手団のユニフォームが中国製であることが問題になっていることをお伝えしたけれど、 その後、ユニフォームを手掛けたラルフ・ローレンは 次の2014年の冬季オリンピックのユニフォームはアメリカ国内で生産すると表明。 その一方で、アメリカン・アパレルという企業が オリンピック・ユニフォームの作り直しをオファーする動きも見られていたのだった。
でも、NBCの夜のトークショー・ホスト、ジェイ・レノはこれをジョークのネタにして、「アメリカ人なのだからメイド・イン・アメリカを着用するべきだと言っても、 今時アメリカ製の服を着ているアメリカ人なんて何処に居る?、中国製のチープなアパレルを着用している方が、よほど現代のアメリカを象徴する姿だ」と語り、 会場の爆笑を誘っていたのだった。



ところで、そのアメリカで肥満が社会問題になっているのは周知の事実であるけれど、日本に久々に一時帰国して驚いたのは、 日本人の「太っている」という基準が非常に厳しいこと。
それを実感したのが、久々に会った学生時代の男友達の体型に対する解釈の違い。 私は彼を 「スリムではないものの、ほぼ標準的」だと思ったけれど、その場に居た友人達はこぞって彼に対して「太った」を連発していたのだった。 私が彼を擁護して「アメリカでこの程度で太っているなんて言ったら、怒られる」と言うと、「だってアメリカは、度を越えた肥満が多いから・・・」 というコメントが返ってきたけれど、そのアメリカでは肥満の人々が多いせいか 「Fat」、すなわち「太っている」という言葉は人に向かってそう簡単には言わない社会。
かなり以前のことだけれど、私が地下鉄に乗っていた際に、空いている椅子に座ろうとした女性が、その直ぐ横に座っていた大柄な女性に対して 「あなたが太っているから 座る場所が狭い」と吐き捨てるように言ったので、私を含め その場に居た乗客は、驚いて目を見合わせてしまったけれど、 その次の駅で停車した際に降りていく乗客のうちの3人が、 太っていると言われた女性に「あなたは太ってなんていないわ、Have a nice day!」などと 彼女を気遣って声を掛け、 同時に彼女を太っていると言った女性に対して 抗議するかのような態度を見せたのだった。

実際に、アメリカ人は太った体型を形容する際に、「Big」とか「Thick(厚みがある)」、「Stocky(ずんぐりした)」という表現を使う場合が多くて、 よほどカジュアルな会話で、本人が目の前に居ない時でなければ、人の体型を 「Fat!」 とは言わないもの。 なので 気を遣わない友達同士とは言え、久々に会った本人を目の前にして「太った」を 何回も連発する会話に、私はかなりビックリしてしまったのだった。

確かに 日本人は全体的に痩せていて、アメリカに居るような極度の肥満は1日中街を歩いても見かけないもの。 とは言っても、現在のアメリカは経済の貧富の差が開いているのと同様、肥満とヘルス・コンシャスの人々の体型やライフスタイルにも どんどん開きが出ていて、 肥満の人々がシリアルやファスト・フードを食べて太り続けている一方で、ヘルス・コンシャスの人々は 仕事の前や後に プロ・アスリートのようなトレーニングをこなし、コーヒーの替わりに野菜ジュースを飲んで、非常にフィットした素晴らしいボディになっているのだった。
でも、日本と欧米では理想的なボディ、憧れるボディの基準がかなり違うのも事実。 欧米、特にアメリカは 女性でも男性でも、筋肉質で引き締まったボディがもてはやされて、細いだけでは不健康と見られるケースの方が多いのだった。

例えば、写真上左側は既に金メダルを2つ獲得している USオリンピックの女子陸上選手のサニア・リチャーズ・ロス。 シティバンクの広告に使われている この彼女の写真を見ると 欧米人のリアクションは「She has a great figure!(素晴らしいボディをしている!)」だけれど、日本人は「筋肉質すぎる」という反応。 一方、写真上右側のモデルの写真に対する欧米人のリアクションは「典型的な拒食症モデル・ボディで魅力が無い」というものだけれど、 日本人の 特に女性は「スリムで羨ましい」ということになってしまうようなのだった。
でもこのスリムな体型のせいで30代で更年期、50代でくしゃみをしたら骨が折れたというのは決して珍しくない状況。 なので丈夫で長生きを信条とする私としては、欧米の Nice Bodyのスタンダードを目指したいと思っているのだった。



ところで、私は20代の時点で既に100歳以上まで生きると決めていたので、 自分の周囲やメディアにフィーチャーされる 長生きする人と、短命な人を 観察分析するのを 長年に渡って趣味としていて、科学的根拠が全く無い 長生きする人間のプロファイルを自分なりの解釈で纏めているのだった。
その一部を御紹介すると、まず長生きする傾向にあるのは以下の人々。
このうち記憶力については、100歳を超えた人々のインタビューを見ていて気付いたことだけれど、 100歳以上の人々というのは、昔のことを とにかく良く覚えているのだった。 実際、記憶力と長生きの関係には科学的根拠があって、記憶力が良いというのは脳が活発に活動していること。 そもそも身体というのは神経から全ての感覚に至るまで、脳がコントロールしている訳であるから、記憶力が良い人が身体の機能にも 恵まれるのは筋が通った説明なのだった。
基本的に長生きの秘訣は、人生を幸せに 楽しんで生きていること。そしてその幸せを長続きさせる努力をしている人が 長生きをしている というのが私の分析結果なのだった。

その一方で、短命とは言わないまでも、長生きが出来ないタイプは以下の人々。
同じ人生を送るにしても、ストレスを貯め易い性格で、自分に甘く、長い目で健康を省みるより タバコやお酒で刹那的な欲求を満たしてしまう人というのは、48歳で死ぬことは無くても、63歳で死んでしまったりするもの。 また長身というのは、特に女性の場合、骨に老化が来るので長生きには不利な条件。
最後の「くじ運が良い」というのは 本当に科学的根拠が無いけれど、 アメリカでは宝くじに当たってから人生の転落が始まるケースが非常に多いもの。 それだけでなく、 くじ運というのは 良い意味でも、悪い意味でも「当たり」を引いてしまう人を指すというのが私の考え。
例えば、「飛行機事故で命を落とすというのは、宝くじに当たるほどの確率」とよく言われるけれど、このどちらかにでも当たってしまうのが「くじ運の良さ」。 この他、世の中には落雷にあったり、今週コロラドで起こったの銃乱射事件のような無差別殺人、動機が理解出来ないような犯罪など、 まさかの事態や事件に巻き込まれて命を落としてしまう人々が居る訳であるけれど、 これは誰にでも起こり得るものの、ほんの一握りの人々にのみ起こってしまうという点で、ネガティブな当たりくじを引いてしまったと解釈が出来るのだった。
なので、事件に巻き込まれる、巻き込まれないは別として、くじ運など 良くない方が長生きができるというのが私の持論。 実際、私は未だ 「100歳以上で くじ運が良い」という人にはお目に掛ったことが無いのだった。
そもそも長生きというのは 運の力ではなく、意志の力と努力の賜物。 中には「人間の寿命は運命で決められている」と考える人も居るけれど、そう考える人は 往々にして長生きしないのもまた事実なのである。





執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。


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