July 25 〜 July 31 2016

”Truth Behind… ”
メラニア・トランプ夫人全裸ヌード掲載の背景!?



今週のアメリカで最大の報道となっていたのは、民主党党大会で ヒラリー・クリントンが女性として史上初めてメジャー政党の大統領候補に正式に指名されたニュース。
月曜から木曜の4日間の日程で行われた同大会は、毎日のようにトランプの家族しか出て来なかった先週の共和党党大会とは打って変わって、 オールスター・ラインナップ。 初日からミシェル・オバマ夫人がメディア&ソーシャル・メディアがこぞって大絶賛したスピーチを行ったけれど、 それ以外にこの日はバーニー・サンダース、エリザベス・ウォーレンという民主党のプログレッシブ派が登場。 その翌日はビル・クリントン元大統領、3日目はオバマ大統領、ジョー・バイデン副大統領、元NY市長マイケル・ブルームバーグ、 副大統領候補のティム・ケイン。 そして最終日がチェルシー・クリントン、ヒラリー・クリントンと、メイン・スピーカーだけでも知名度に雲泥の差があるラインナップだったのに加えて、 メリル・ストリープ、リナ・ダンハム、エヴァ・ロンゴリア、エリザベス・バンクス、アリシア・キーズ、イディナ・メンゼル、ケイティ・ペリー等、数え切れないほどのセレブリティが スピーチやパフォーマンスで登場。
会場にも数多くのセレブリティが姿を見せていたけれど、その姿を映像で捉えられて思わぬバッシングを受けたのがブラッドリー・クーパー(写真右、中央)。 というのも彼は 映画「アメリカン・スナイパー」で元海軍海兵隊のクリス・カイルを演じていたために、 多くの共和党支持者は、彼がクリス・カイル同様の銃規制反対、コンサバティブな共和党支持者だと思い込んでいたようで、 現在交際中のモデル、イリーナ・シアックと共に観客席に居る彼を見た共和党支持者は、 こぞって「失望した」、「もう彼の映画には一銭も払わない」、「自分にとって彼は死んだも同然」等とツイート。
これに対して民主党支持者は「アーノルド・シュワルツネッガーはロボットじゃないし、ジュリア・ロバーツは娼婦でもない」と 「ターミネーター」、「プリティ・ウーマン」を例に挙げて、俳優の支持政党と映画で演じるキャラクターが異なることを共和党支持者に諭していたのだった。

その党大会で「俳優並みのグッドルック」と讃えられて一躍ソーシャル・メディアでセンセーションになっていたのが ヒラリー・クリントンのランニング・メイト(副大統領候補)である ティム・ケインの若き日のスナップ(写真下、左側)。
水曜の彼のスピーチの際に映し出された彼の若かりし頃の写真は、 スーパーマンを演じるヘンリー・カーヴィル(写真下、右側)と比較する人までいて、グーグルでは”Tim Kaine Young”が トレンディングなサーチになっていたのだった。 ちなみにそのティム・ケインは市長、州知事、上院議員とステップアップしてきた人物で、選挙に一度も負けたことが無いという 経歴を誇っているのだった。






そんな民主党党大会で 最も感動的であったと同時に、強烈なインパクトをもたらしたのは、 スター政治家でもセレブリティでもなく、イラク戦争で命を落としたイスラム教のアメリカ軍大尉、フマユン・カーンの父親のスピーチ(写真上左)。 合衆国憲法を片手にドナルド・トランプに対して「貴方はこれを読んだことがあるか?」と抗議をした父親のスピーチは、 会場から大喝采を受けたけれど、それに対して またしてもトランプが メディアでのインタビューで侮辱と言える反論を展開。 それに対する批判が高まると、話の焦点を摩り替えるというお馴染みの手法を見せていたけれど、 これは週明けにトランプがロシアに対して ヒラリー・クリントンをハッキングするようにと促したことについても然り。 外国政府のスパイ行為を奨励したことに批判が高まった翌日には、トランプは「ただ皮肉として言っただけ」と弁明しているのだった。

しかしカーン大尉の父親のスピーチは これまでに無いリアクションをもたらしており、 特に彼がトランプに対して語った「You have sacrified nothing and no one / 貴方は何も、そして誰も犠牲にしたことが無い」 というメッセージは特に印象的で、多くのメディアが報じたのがこの部分。
でも今回トランプが 何時に無く カーン大尉の両親に対する侮辱発言について激しく弁明をしなければならないのは、 彼がアメリカ社会におけるタブーを犯したため。 それはアメリカ兵を批判することで、例えイラク戦争やアフガン駐留に反対していても、 アメリカ人が決して批判をせず、常に感謝と賞賛を惜しまないのが 軍の命令に従って戦地に出向くアメリカ兵士。
したがって戦地で命を落とした兵士やその家族に対する侮辱は、アメリカ社会ではタブー中のタブーと言えるもので、 これは退役軍人を支持者基盤にする共和党の大統領候補であれば尚のこと。
ちなみにカーン大意の父親がスピーチの際に掲げた合衆国憲法の小型書籍は、その後アマゾン・ドット・コムであっという間にベストセラーになっているのだった。




一方、先週の共和党党大会で オバマ夫人のスピーチと全く同じセンテンスを盛り込んでバッシングを受けたメラニア夫人は、 今週、スロヴェニアの大学でデザインと建築を学んだという学歴が、実は1年大学に通っただけで、大学卒業を偽っていたという事実が発覚。 これを受けて、夫人の偽りの学歴を掲載していた彼女自身のウェブサイトが今週閉鎖されたけれど、 今日7月31日、日曜日のNYポスト紙の表紙を飾ったのが、1995年に撮影された夫人の全裸ヌード。
これはフランスの廃刊になった男性誌のために撮影された全裸写真で、NYポスト紙の表紙があまりに露骨なので 「フォトショップをしたジョークかと思った」というリアクションもあったほどなのだった。 NYポスト紙は、FOXやFOXニュースを傘下に収めるニューズ・コーポレーションの傘下で、新聞というよりは タブロイド。なのでその表紙を女性のセミヌードが飾ることは決して珍しく無いのが実情。
しかしながら、NYポスト紙と言えばブルーカラーの共和党メディアの代表選手。 連日のようにトランプの賞賛と、ヒラリー・クリントンのバッシング記事をありとあらゆる角度から展開しているメディア。 にもかかわらず、何故メラニア夫人の20年以上前の全裸写真を掘り出してきて掲載するかと言えば、 これが選挙の直前の最悪のタイミングで公開されて、選挙の行方に影響するのを避けるため。
夫人の全裸写真は、ニューヨーク・ポスト紙がその版権をエクスクルーシブでフォトグラファーから入手しており これが意味するのは、これらの写真を掲載できるのはニューヨーク・ポスト紙のみであるということ。 NYポスト紙が入手したヌード写真の中には、1995年当時フランスの雑誌に掲載されなかった未公開フォトも含まれているとのことであるけれど、 それらは選挙直前の2016年11月号でアメリカの男性誌が掲載することもなければ、 今後ソーシャル・メディアに流出することもなくなり、 トランプ側にとって 夫人の全裸ヌード写真が選挙にダメージを与える心配は殆ど無くなったと言えるのだった。




また、その公開のタイミングも夫人の党大会のスピーチ・スキャンダルと学歴詐称の直後。 これが最悪のタイミングかと言えばそうでもなく、メラニア夫人はプロのモデルであったので、 全裸のヌード写真はショック・バリューはあっても、偽りやスキャンダルではないため、 攻撃対象にはなり難いのが実情。 したがってスキャンダルが2つ続いた現時点のタイミングで公開した方が軽視されるのは言うまでもないこと。
通常、選挙に不利な写真の買取りは候補者側が極秘に自らの資金を使って行うものであるけれど、 メラニア夫人のヌード写真の場合、20年前とは言え既にフランスの男性誌で公開されているだけに、 何時何処から出てくるかが分からないもの。それだけにダメージを防ぐには、 メディアが最も無害なタイミングと無害なプレゼンテーションで先に公開してしまう以外に方策は無かった訳であるけれど、 選挙の資金繰りに追われるトランプ陣営にとっては、NYポスト紙のバジェットを使って夫人のヌード写真の買取が出来るという 願ったり、叶ったりの状況になっているのだった。

ヌード写真と共に掲載された記事には、これを撮影したフォトグラファーの「メラニアはとてもプロフェッショナルでナイスだった」というコメントと共に、 写真はトランプがメラニアに出会う以前に撮影されたもである説明、 そしてトランプによる「メラニアは最もサクセスフルなモデルの1人だ」というコメント等が掲載されており、 通常この類の写真をスキャンダラスに掲載する際のNYポスト紙の意地悪な視点とは打って変わって好意的な内容になっているのだった。

このように、スキャンダルをあえて身内のメディアがエクスクルーシブに、ダメージを最小に報じるという手法は、 選挙の際には頻繁に用いられる常套手段。
その20年以上前のヌード写真の掲載によって、確実に明らかになったのは夫人の美容整形で 垢抜けなかった1995年の頃とは鼻の形が全く異なっているだけでなく、唇の形も注入トリートメントの形跡が見られるのは専門家でなくても気づくところ。 笑い顔の輪郭に沿って寄る不自然なシワは フェイスリフトの影響と言われるけれど、ドナルド・トランプと 夫人が同じ美容整形医にかかっているのはニューヨークでは2000年代前半から有名な話。
それだけに、年々2人の顔がどんどん似てきているのも納得が行くところなのだった。



執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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