July 26 〜 Aug. 1 2010




” Don't sit on the chair! ”




今週メディアの報道が集中していたのが、昨日 7月31にニューヨークのアップステートの小さな町、ラインベックで行われた チェルシー・クリントンのウェディング。
父親が元大統領、母親が現役の国務長官というハイプロファイルの両親を持つと同時に、 成長期の8年間をホワイトハウスで過ごした元ファースト・ドーター、 そして両親の不倫スキャンダルの際には その仲を取り持つ役割を果たしたと言われるチェルシーの結婚式は、 まるでロイヤル・ウェディングのような報道体制。 クリントン夫妻やゲストの現地到着を逐一 生放送するニュース番組も見られたほどで、 2年前のブッシュ政権下に行われたジェナ・ブッシュの結婚式とは比べ物にならないほどの 大ニュースになっていたのだった。
当初は、ゲストとして オプラ・ウィンフリー、スティーブン・スピルバーグ監督夫妻を始めとする、クリントン夫妻の セレブリティの友人達が多数姿を見せると見込まれていたこのウェディングであるけれど、 実際には招待された450人のゲストの殆どは 家族&親戚と新郎・新婦の友人で、ハリウッド&ワシントンのセレブリティはごく僅か。 プライベート・パーソンとして知られるチェルシー・クリントンであるだけに、 メディア・サーカスとは程遠い、テイストフルなイベントになったことはメディアからも、ラインベックの地元の人々からも 好感を持たれていたのだった。

でも、何と言っても評判が抜群だったのはチェルシーが着用したヴィラ・ウォンのウェディング・ガウンで、 スカートがバラの花びらのように複雑に波打ったストラップレスのドレスは、ウエストにラインストーンの刺繍がベルトのようにあしらわれたもの。 既にインターネット上では、ベスト・セレブリティ・ウェディング・ドレスの呼び声も高いほどの好評ぶりが伝えられているのだった。
MOTB(Mother Of The Bride)のヒラリー・クリントン国務長官は、噂どおりオスカー・デ・ラ・レンタが手がけたローズ・カラーのドレスで登場し、 新郎でありインベストメント・バンカーであるマーク・メズヴィンスキー(写真上左側、一番左)はバーバリーのタキシード、 クリントン元大統領もバーバリーのタキシードを着用していたことが報じられているのだった。
マーク・メズヴィンスキーは両親が民主党の政治家で、チェルシーとの長年の交際が伝えられていた存在であるけれど、 ウェディング・スナップを見て一目瞭然の通り、やはりクリントン・ファミリーと並ぶとカリスマ性、スター・パワーで役者が違うところを 見せ付けられてしまうのは仕方が無いという印象。
式そのものは、ユダヤ教の新郎とキリスト教メソジストのチェルシーの双方の宗教のトラディションに従って 行われており、絶好のお天気に恵まれた中でのアウトドア・サンセット・ウェディングであったことが報じられているのだった。


ところで、2人が婚約したのは昨年のサンクス・ギヴィングの休暇中のこと。 そしてウェディングの日取りが決まったと同時にチェルシーが 父親であるビル・クリントン元大統領にリクエストしたのが、 体重を15パウンド(約7Kg)落として欲しいということ。
ヴァージン・ロードをエスコートしてもらうにあたって、父親にフィット&ヘルシーであって欲しいというのがチェルシーの思いだったようで、 これを受けてクリントン元大統領はチェルシーがリクエストした以上の20パウンド(約9キロ)の減量に成功したことが伝えられているのだった。

CUBE New York でも特に今年に入ってからは、ダイエットやエクササイズの記事に力を入れてきたけれど、 これは私自身が体重を落とすことで、生活の充実感が増すという思いを味わったため。 昨年の夏にテニスを再び始めたことによって 体重が落ち始め、それを受けて食事に気を配るようになり、そうするうちにまた体重が落ちると、 もっとエクササイズに熱心になるという ポジティブなサイクルを経験して、 過去にないほどに ストレスが少なく、食欲も安定し、夜も深く眠れるというベネフィットを体感するようになったのだった。
3月第2週目のコラム にも書いた通り、 一部の例外を除いて、男性でも女性でも、健康的に体重を落とすというのは、最も手っ取り早く 幸せが感じられる方法。 よほど痩せすぎな人でない限りは、少しでも体重を落とすと スッキリした自分の体型を見て気分が良くなって、 自分に自信が持てて、物事に積極的になったり、身体を動かすのを厭わなくなるもの。
すなわち生活の様々な側面がポジティブな方向に動き始める訳で、 物の価値観がどんどん変わっていく世の中にあって、自分が肉体的&精神的に健康であるということは お金に換算できない豊かさを実感させてくれるものなのである。

私が個人的に嬉しく思っているのは、CUBE New York のお客様が ダイエット・プロダクトを試したり、ダイエットの記事を読むことによって、実際に減量とエクササイズに取り組んで 下さることで、 中には経過報告のメールやコメントを下さる方もいらっしゃること。
私はダイエットの難しさは誰よりも熟知していると思っているけれど、 まず大切なのはとにかく始めてみること。 世の中には「明日から」、「来週から」とダイエットを先延ばしにして、「それまでは好きなものを食べる」と決めて、 ダイエットを決心したことで逆に体重を増やしてしまう人も居る訳で、 CUBE New Yorkのサイトを見て、読者の方が実際にダイエットを始めて下さることは、 それだけで私にとっては朗報と受け取れることなのだった。
ダイエット・ドクターによれば、「体重というのは たとえ後でリバウンドしたとしても、 1キロでも一時的に落とすことはそれだけで健康にプラスになる」というから、 無理なダイエットでない限りは、トライする価値は大アリなのである。

一度、ダイエットをスタートした後、次に大切なことは 壁に当たったときの忍耐力。
男性は比較的コンスタントに体重を落とすことが出来るけれど、女性の場合は生理で月に1度ホルモン・バランスが崩れることもあって、 その時にダイエットの意志がプツンと切れてしまったり、生理のせいで浮腫んだ身体を体重が戻ったと思い込んで 失望してしまうなど、男性よりダイエットの障壁が多いのは仕方が無いこと。 大体、カップルが一緒に減量を始めると、同じ食生活をしていても男性のみが痩せて、女性の体型はそれほど変わらないというのはありがちなシナリオだったりする。
往々にして女性は3キロ落としたところで壁に当たって、その後あまり体重が減らなくなるものだけれど、 私に言わせると ダイエットで一番大切なのがこの段階の乗り切り方。
というのも、体重が減らなくなった時期というのは、身体が減った体重にアジャストしようとしている時。 なので、体重は減らなくても体型が変わり始めるのがこの時期で、周囲が「痩せた?」などと訊いて来るようになるのもこの時期。
ここで諦めてしまうと、体重がもとに戻ってしまうのは言うまでも無いけれど、ここを乗り切ると 再び 体重を落とせる段階がやってくる訳で、5キロ、10キロといった減量に成功している人というのは、 この時期にエクササイズを始めたり、運動量を増やしたりして、上手く乗り切っているのである。
また、体重計に頻繁に乗らないようにするのもこの時期の対処法のひとつと言えるのだった。

一度体重が落ちてくると、最初は痩せる目的で始めたダイエットでも、目指す最終目的になってくるのが健康と、健康的なライフスタイル。
そしてエクササイズとヘルシーな食生活、快眠を心掛けて、健康的なライフスタイルを実践し始めると、 単に細いボディよりも、 フィットしたボディになることに目覚めることになるけれど、 フィットしたボディというのは 新陳代謝が活発なだけでなく、脂肪を効率良く燃やし、血糖値やコレステロール値をコントロールする分子を 血液中に沢山含んでいるもの。この分子は 例え短時間のワークアウトでも 血液中で増えるとのことで、身体を動かせば、動かすほど健康になるというのは、 血液の見地からも医学的に証明されているという。
逆に、脂肪とカロリー、塩分&糖分の多い食生活は、新陳代謝を衰えさせ、酸化を促進し、血糖値やコレステロール値を跳ね上げるけれど、 たった一度の不摂生な食事でも身体に十分悪いというのが、私が今週見ていたTV番組の実験結果。
この番組では、同じDNAを持つ19歳の双子に食事をさせているけれど、1人が食べたのはサーモン、ブロッコリ、ライスという健康的なメニュー、 もう1人はフライド・チキン、フライド・ポテト、チョコレート・ケーキという 2000カロリーはありそうな高脂肪、高塩分、高カロリー、そして糖分もしっかり摂取する 不健康メニュー。
それぞれが食前、食後に採血を行っていたけれど、たとえ19歳でもフライド・チキンを始めとする高脂肪、高塩分、高カロリーの食事をした後の 血液は脂肪が混じってドロドロし始めており、これに対してサーモンとブロッコリを食べた側は食前と食後に採取した血液のコンディションが殆ど変わらないという 結果になっていたのだった。
また血液のコンディションだけでなく、フライド・チキンを食べた側は食後に「眠たくなった」と語っていたのに対して、サーモン&ブロッコリを食べた側は、 「元気が出てきた」と語っていたのも興味深かった点。 要するに、不健康な食生活をすれば沢山のカロリーと脂肪を摂取しているにも関わらず、逆にエネルギーが無くなってしまう訳で こうした食事を好む人が「エクササイズなんてまっぴら」と言っているのには それなりの理由があることが察せられるのだった。

かく言う私は、1週間6マイル(約10キロ)からスタートしたランニングが、今や1週間 32マイル(約50キロ)にまで増えて、 先週末はハーフ・マラソンの距離が走れたことに 自分でも驚いてしまったのだった。
なので、今の自分が恐らく生涯で最も 長距離を走れる状態だと自覚しているけれど、 健康やエクササイズについての 過信は禁物 と思ったのがニューヨーク・タイムズ・マガジンと、ニューヨーク・ポスト紙が それぞれ掲載した 座ることがいかに身体に悪いか という記事を読んでのこと。
どんなに人体を研究してデザインされた椅子でも、長時間座っていることが身体に良くないことは 人間ならば多かれ少なかれ自覚しているもの。 仕事をしていても、TVを見ていても、椅子に長時間じっと座っている間に、体内の細胞が不健康なダメージを受けていくとのことで、 たとえエクササイズをしていても、座って過ごす時間の細胞のダメージは防げないという。
5月にジャーナル・メディシン&サイエンス・イン・スポーツで発表された研究結果によれば、 週に23時間をTVの前や車の中で座って過ごす人は、週11時間を座って費やす人よりも 心臓病で死亡する確率が64%もアップするという。
またアメリカン・キャンサー・ソサエティが過去14年に渡って12万3216人の男女を対象に 座っている時間と健康状態のリサーチを続けたところ、1日6時間以上を座って過ごす女性は 座る時間が短い女性より短命で、 座っている時間が長ければ長いほど命が短いことがレポートされているのだった。
男女で比較すると、座っている時間が健康に悪影響をより及ぼすのは断然女性。
ライフスタイルで最も差が出たのは、エクササイズをせずに、ソファーに座ってTVを長時間見たり、座って仕事をしている人と、 立っている時間が長くて、しかもエクササイズをする人で、前者は後者よりも94%も心臓病による死亡確率が高いとされているのだった。

なので、この記事を読んでから私が心がけているのが 極力 椅子に座らないようにすること。 でも これが思いの他 難しいのだった。 私の場合、メークやランチは 立ったままの方が時間が短く済むので、この時間は座らないけれど 仕事でコンピューターを使う時はどうしても座ることになるし、朝食とディナーはやはり座ることになるので、 過去数日チェックしたけれど、どう頑張っても最低で6時間は座って過ごすことになっているのだった。
でも、いけないのは座りっぱなしになることのようで、仕事の合間に立ち上がって動くことが大切とのこと。 そうすると仕事に集中するのが難しくなるように思えるけれど、 時々立ち上がってストレッチをしたり、歩き回ることは頭のリフレッシュに適しているのは事実。
なので、今週に入ってからはCUBE New York のスタッフにも座りっぱなしにならないようにとアドバイスしたばかりなのだった。
加えて、立っているのと座っているのでは 1時間の消費カロリーに50〜100カロリーの差が出るとのことで、 「痩せたければ椅子に座らないこと」という説を唱えるドクターも居るほどなのである。

ところで、ランニングに話を戻せば、 友人から昨今よく訊かれるのが、どうして あんなに走るのが嫌いだった私が長距離を走れるようになったのか?という質問。 実際、私は本当に走るのが大嫌いで、その状態から 今年の1月に 1日2マイル(3.2キロ)を走れるようになっただけでも 大満足していたのだった。
よくランニングの初心者へのアドバイスとして、 「苦しくなったら歩く」というのがあるけれど、 私の場合、これは 高齢者や心臓や足などに問題がある人以外には奨励しないこと。 苦しくなるようなスピードで走ること自体が間違っていると思うし、途中で歩く癖をつけるのも間違いだというのが私の考え。
この2つを続けていると 「走ることは苦しい」という先入観が身に付く上に、走るのを諦めて歩き始めた時の敗北感を定期的に味わううちに、 何でも諦める性格をデベロップしてしまう危険があると思うのだった。
逆に たとえ500メートルでも良いから、「今日はこの距離を走る」という目標を設定して、どんなにゆっくりでも良いから それを走り終えれば、達成感を味わうことが出来るわけで、走るという経験を ポジティブなものにするのが大切というのが私のモットー。 これを続けているうちに走ることに対する自信がついてくるし、”途中で止める”、”歩く”といったオプションが完全に消え去って行くのだった。

そして目標を達成した後に 余力と時間がある時に それ以上の距離を走ってみるようにすることによって、だんだんと走れる距離が増えてくるもの。 もちろん、走り慣れてきても 苦しいと感じる時や、足が重たいと感じることは多いけれど、 走ることは人生と同じで、苦しい時に頑張るからこそ ランナーズ・ハイの爽快感や走り終えた達成感に導かれるもの。
実際スポーツから得られる達成感や自信、苦しさを乗り越える精神力というのは、実生活に大きく生かされるもの。 特に女性の場合、スポーツで身体と精神を鍛えてきた人ほど、キャリアでも成功しているケースが多いことが明らかになっているのだった。
アメリカでは女性の社会進出が大きく進んだのも 女学生がチアリーダーではなく、実際にプレーヤーとしてスポーツをする世代が 世に出て、仕事を始めてから。
なので、たかがランニング、エクササイズと思って、苦しいからといって 途中でやめ癖をつけてしまうことは、 人生のためにもするべきではないというのが私の意見。 それでも トライせずに身を引いてばかりいるよりはべターだと思えるのも また事実なのである。





Catch of the Week No. 4 July : 7月 第 4 週


Catch of the Week No. 3 July : 7月 第 3 週


Catch of the Week No. 2 July : 7月 第 2 週


Catch of the Week No. 1 July : 7月 第 1 週





執筆者プロフィール

秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。
丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、1989年渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。





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