Aug 4 〜 Aug. 10 2008




” Hedge Fund Kind Of Money ? ”


今週の金曜、現地時間の2008年8月8日8時8分から 北京オリンピックの開会式がスタートし、 遂に中国政府と 世界中の中国人民が待ち望んだ 北京オリンピックが華々しく 開幕したのは周知の通り。
アメリカでは NBCが 開会式を 現地時間から12時間以上も遅れたプライム・タイムに放映したため、 多くの人々が 中国の国力と経済力を誇示するかのような 近年で最も お金と人力が投じられた開会式の模様を インターネットのビデオ・ダウンロードで 一足先に見ていたことが報じられていたのだった。
これを受けて、日本円にして900億円以上の放映権料を支払っている NBCは、YouTubeに対して オフィシャル・ソース以外からのオリンピック関連の ビデオを全て排除するよう要請したことが伝えらているけれど、アメリカでは同様の問題は やはり半日の時差があったシドニー・オリンピックの 際にも起こっていたこと。この頃は未だビデオ・ダウンロードは行われていなかったけれど、 これからNBCが放映しようとする競技の結果が 全てインターネット上で先に報じられてしまったために、 NBCはシドニー大会で大きく視聴率を落としていたのだった。

でも、さすがに中国VS.アメリカのバスケットの試合は今朝、日曜の朝にライブ・ブロードキャストされており、 NBAプレーヤーを揃えていたにも関わらずアテネ大会で銅メダルに泣いたアメリカと、 ここ数年バスケット・ボールに最も力を注いできた中国 の試合は世界中で10億人もの視聴者を獲得。 歴史上、最も視聴者数の多いバスケットボール・ゲームの記録を打ち立てたという。
アメリカのオリンピック・バスケットボール・チームは、マイケル・ジョーダンやマジック・ジョンソンを含むNBAプレーヤー でチームが構成されたバルセロナ大会以来、ずっと 「 ドリーム・ティーム 」 とニックネームされてきたけれど、 アテネで屈辱の銅メダルとなったため、今回のチームは 「 リディーム(Redeem : 回復、取り返し)・ティーム 」 とネーミングされており、「アテネ大会後 アメリカに帰るのが恥かしかった」というNBAプレーヤー達が 今も世界のトップとして通用するのか?は アメリカ人にとっても興味深い部分なのである。

ところで 開会式に話を戻せば、NBCの報道では 選手入場の際に最も激しいブーイングが見込まれていた国は、 チベット自治区に対する弾圧を受けて、一番最初に開会式ボイコットの可能性を打ち出したフランス。 結果的にはブーイングは無かったものの最も拍手や歓声が少ない国と指摘されていたのだった。
またNBCのカメラが最も長時間映像を映し出したプレーヤーは 中国人NBAプレーヤーのヤオ・ミン。 それに次いで長かったのはスペインのテニス・プレーヤーで今年のウィンブルドン・チャンピオンでもある ラファエル・ナダル。 そして、日本選手団が登場した際には 洞爺湖サミットの報道でも殆どアメリカのニュースに登場しなかった 日本の福田総理の映像が3秒ほど捉えられていたのだった。

でもアメリカ国内で今週末最も大きく報じられていたのはロシア軍のジョージア(グルジア)の侵攻で、 一般市民をも巻き込んだ 戦争状態になっているというニュース。 どうしてこのようなことが起こったかと言えば、早い話が元ソビエトの一部であったジョージアの経済を立て直し、 西側諸国並みに軍備を整えたミハイル・サーカシュヴィル大統領の 政権が気に食わないロシアと、これに反撃するジョージア軍の間で状況が悪化しているとのこと。 ブッシュ大統領は 北京オリンピックのために中国入りしていたプーチン大統領に対して 正式に抗議をしたことがレポートされているけれど、ジョージア側では世界中の国々の指導者が オリンピックやバケーションに出かけている時期を選んで 同国のような小さい国に侵攻するタイミング についてもロシアを批判しているとのことだった。
この報道は過去2日のニューヨーク・タイムズの1面トップとなっていたけれど、 それと同時にアメリカ国内のニュースで大きく報じられていたのは、一時は民主党の大統領候補で、 バラック・オバマ候補の副大統領候補の可能性も指摘されていたジョン・エドワーズが、ずっと否定し続けてきた不倫を認めた ニュース。 この元愛人の女性にはちょうどエドワーズと不倫をしていた頃に妊娠したと思しき子供も居ることから、 エドワーズが父親なのでは?という憶測が飛び交っていたけれど、本人は自分が父親であることは否定しており、 元愛人の女性も子供のDNAテストを拒んだために、真相は分らず終いといった印象。 でもこれによってエドワード副大統領説は遠のいたという見方が有力になっている。

スポーツの世界では今週のニューヨークでオリンピック並みに大きく報じられていたのは、 元グリーンベイ・パッカーズのスーパーボウル・クォーターバックで、 先シーズンを最後に引退を表明していた38歳のブレッド・ファーブがニューヨーク・ジェッツに移籍したニュース。 オリンピックが2日目にして、ニューヨーク・ポスト紙が始めて一面でオリンピックについて触れたのは、 USAのバレーボール・チームのコーチの父親で北京を観光中だったアメリカ人旅行者が刺殺された事件のみとなっている。


さて、話は全くオリンピックから外れるけれど 先週私を含む女友達5人で食事に出かけた際、そのうちの1人が 「後から女友達がジョインするかも・・・」と言っていて、その約1時間後に現れたのが かなりの美女。
私の友達が 「Hey, Glam Girl !」 と声を掛けて彼女を私達のテーブルに呼び寄せていたけれど、 女性の私でも惚れ惚れするような長い脚を益々長く見せるサンローランのプラットフォーム・サンダルに、 超ミニのドレスという出で立ちで、爪やヘアカットにもお金が掛かっているし、 バッグはこれからCUBE New York でも導入を検討している サンローランのミューズ2バッグを持っていて、 ファッションにもお金が掛かっているのは明らかに見て取れるのだった。
そんなルックスなので、彼女がレストランの中を歩くと ウェイターから来店客まで 男性達が視線を注ぐのが感じられたけれど、 何故 彼女がその日、 私達のディナーに飛び入り参加することになったかと言えば、 デートする予定だったドクターに 突然仕事が入ってしまったからだそうで、次のデートの時間までの 時間繋ぎをしようと 私の友達に電話をしてきたとのことだった。
すなわち彼女はデートをダブル・ブックしていた訳だけれど、 仕事でデートをキャンセルしたドクターというのは建国記念日のバーベキューで出会ったばかりのハンサムな26歳だそうで、 夜の11時に彼女とミッドタウンのバーで落ち合う予定の男性は ドクターより遥かにルックスが劣る32歳のヘッジファンダー。
彼女は金融関係のリッチな男性としかデートをしない主義を貫いてきたそうで、 私の友人が 「そのドクター、どの程度稼いでるの?」と質問したところ、 彼女の答えというのが 「 Not Hedge Fund Kind Of Money 」(ヘッジファンダーほど稼いでいないという意味 ) というものだった。

彼女によれば、ファイナンス関係の男性とばかりデートしていると、だんだんとファイナンス系の男性しか寄ってこなくなるのだという。 それは恐らく ファイナンスの男性はお金を稼いでいる分、彼女のような美女に声を掛けても 相手にしてもらえるという自信を持っていているから・・・ というのがその分析。
金融の男性というのは、往々にして 仕事の後に男性同士で飲みに行って 女性を引っ掛ける例が多いけれど、 そういう男性がどうやってアプローチしてくる例が多いのかと訊いてみると、結構程度が悪くて 「僕達の仕事を当てたら、次のドリンクはおごってあげるよ」 というものや、「この前のxxxx(新しいクラブの名前)のオープニングに来てたでしょ?」 と いうもの等々。
でも昨今明らかに変わってきたのは、ヘッジファンダー以外は 以前ほど ファイナンスを表に出してアプローチして来ないこと。 彼女や彼女の友達は 「今、メリル・リンチの人なんかに言い寄って来られたら、鼻で笑い飛ばしちゃう」のだそうで、 シティ・バンクなどは 去年の時点から論外。 理由は「何時まで仕事があるか分らない男性とデートしたって・・・」 という厳しいものだった。
なので、今年に入ってからというもの彼女はヘッジファンダー専門になってしまったそうだけれど、 そうは言っても昨今はヘッジファンダーとてそれほど稼いでいないことが伝えられるご時世。 今年はここ数年で初めてヘッジファンドの多くが損失を計上する年と言われていて、ヘッジファンドは大手の金融機関とは異なり 業績を公開する義務が無いので それほど業績が悪化しているイメージを持たれないだけで、 実際には投資家の財産をかなり減らして、信頼を失っているところが多いことが伝えられていたりする。
3週間ほど前のニューヨーク・タイムズ紙には 投資家の財産を失っただけでなく、 自分の資産も160億円以上も失って、遂にビジネスをクローズすることにしたヘッジファンドの経営者の記事が掲載されていたけれど、 彼は自分のビーチハウスも、ヨットも ガルフストリーム(プライベート・ジェット)も全て手放してまで、投資家の財産を取り戻そうとした、と 誇らしげにインタビューに応えていたのだった。
今週には元メリル・リンチの稼ぎ頭で、自らのヘッジファンド、ダイヤモンド・レイクをスタートさせるために 同社を去ったダウ・キムが、金融企業からの投資がことごとく滞ったために、 ヘッジファンドの設立を諦めたというニュースも報じられており、「ヘッジファンド=マネー」の図式は確実に崩れつつあるのは事実なのである。
それを彼女に話すと、「だから、ドクターともデートし始めたのよ」とあっさり言われてしまったけれど、 金融の男性が市場を読もうとするのと同様、彼らを狙っている女性側も 彼女にとっての市場を読んでヘッジしている訳で、 私はそのしたたかさを面白く思ってみていたのだった。

やがて11時少し前になって彼女は ヘッジファンダーとのデートに出掛けて行ったけれど、 彼女が私達の会話が聞き取れないくらい遠くに去ってから、友達がまず口走ったのが「What a Bitch ! 」というセンテンス。
私にとっては、こういう したたかな女性はあまり周囲に居ないので、いろいろ質問をして 彼女が得意気に喋っているのを聞いているのは 情報収集にもなって楽しかったけれど、これを聞いていた私の友達は 「なんて鼻持ちならない女!」 と、 彼女のことを疎ましく思っていたようだった。
彼女を知る女の子も、実は彼女のことは決して好きではないようで、 彼女が 「28歳を4年くらいやっていて、実は32歳のはず」と言い始めたのをきっかけに、 「彼女は全てがフェイクなのよ。年齢もフェイク、彼女は本当はへアもブロンドじゃなくて、あれはただ染めてるだけ。 胸も 本人はナチュラルだとウソをついているけれど もちろんフェイクで、 それが証拠に豊胸手術代を払わせられて その数週間後に彼女に捨てられたバンカー居る」 と 彼女に対するバッシングが次ぎから次へと 飛び出してきたので、逆にこちらがビックリしてしまったのだった。

こんな裏話を聞いてしまうと、私にとっては 益々彼女のキャラクターが興味深く思えてしまったけれど、 たった1つ聞き損ねて残念に思っているのは 彼女は一体年収 どれくらいのことを 「Hedge Fund Kind Of Money」と言っていたのか? ということ。
彼女が散々バッシングされていた様子を思うと、2度と彼女が 私の友達とのディナーにジョインすることは無いように思うだけに この質問をしなかったのは本当に悔やまれてならないのである。





Catch of the Week No. 1 Aug. : 8 月 第 1 週


Catch of the Week No. 4 July : 7 月 第 4 週


Catch of the Week No. 3 July : 7 月 第 3 週


Catch of the Week No. 2 July : 7 月 第 2 週






執筆者プロフィール

秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。
丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、1989年渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。