Aug. 10 〜 Aug. 16 2015

” Men Need To Be Beautiful ”
男性に美しさが問われる時代 !?


昨今のニューヨークで 大報道ではないものの、コンスタントにニュースになるのが 増加するホームレスの問題。
ホームレスの数は、現在のデブラジオ市長の政権下で大きく増えているけれど、 ここへ来てニューヨーク市民が大きく問題視しているのが その悪質化。
例えば、写真上左は7月にニューヨーク・ポスト紙の表紙にフィーチャーされた 白昼、公道のど真ん中で放尿するホームレス。 ホームレスによる放尿は、イースト・ヴィレッジ、ウェスト・ヴィレッジなど、ダウンタウンではかなりの問題になっているけれど、 同じくイースト・ヴィレッジのトンプキン・スクエア・パークや、クーパー・ユニオン・エリアでは ジャンキーのホームレスがドラッグの取引を繰り広げていることも問題視されているのだった。 写真上中央は、そんなクーパー・ユニオン・エリアのホームレスを NYポスト紙が捉えたスナップであるけれど、 記事を読まなかったら ゾンビ映画の撮影ロケと思ってしまうような光景。
またアグレッシブに物乞いをするホームレスも増えている一方で、先週にはチャイナタウンで 女性が 精神錯乱したホームレスと 口論になり、顔を殴られて アゴを骨折するという事件が発生。
ニューヨークには、日本の110番通報にあたる ”911” 以外に、緊急を要さない事件や問題の通報用に”311”という番号が設けられているけれど、 2015年に入ってから ”311”にレポートされたホームレス問題の数は8月9日の時点で 2万件以上。 1日約90件というペースで通報が寄せられているのだった。




話は替わって、7月に報じられたのが すっかり痩せてスリムになったシンガー、サム・スミス(写真上、左側)がバレンシアガのメンズ・ウェアの モデルとして起用されたというニュース。
彼は、以前もこのコラムで書いた通り、ニュートリショナル・セラピストのアメリア・フリアーからのアドバイスと、 ウェイト・トレーニングで、14日間で7キロを落として話題になったけれど、先週のメディアで そのダイエットの成功談が話題になっていたのがラッパーのエミネム(写真上、右側)。
彼は2007年に処方箋薬の中毒となり、その副作用を紛らすために 高カロリー、高脂肪のものばかりを食べていたそうで、ふと気付くと 173cmの彼の体重が104キロに達していたとのこと。 エミネムは そんなドラッグのオーバードースで死に掛けたのがきっかけで リハビリ入りしており、 以来過去8年の間に、数回に渡って大幅な減量を行っているのだった。
その減量で最も効を奏したのはランニングで、彼は何と1日27キロを走り、それに加えて腹筋運動をして、1日に2000カロリーを燃やしていたという。 本人曰く、当時はランニングの中毒になっていたそうで、彼は程なく40キロの減量に成功。
しかしながら、毎日のように長距離を走り続けた筋肉疲労から 怪我をした彼が 取り入れるようになったのがウェイト・トレーニング。 そんな彼に最もインスピレーションを与えたのが ”Body Beast / ボディ・ビースト”という ベストセラー・ワークアウトDVD。 そのDVDを見ながら トレーニングを続けた結果、彼の体重は67キロで安定。ライフスタイルもすっかりヘルシーになって、 ラッパーとしてのシャープなルックスを取り戻しているのだった。

このストーリーは、「エミネムのようなセレブリティが パーソナル・トレーナーを雇うのではなく、 一般男性同様にDVDを見ながら自宅でトレーニングをしている」ということで話題になったけれど、 かつては ワークアウトDVDで売上げが高かったのは、ヨガやピラテス、スーパーモデル・エクササイズ等、 女性をターゲットにしたもの。 ところが過去数年の間に、その人気が ”P90X”や エムネムがお気に入りの”ボディ・ビースト”等、 メイン・ターゲットを男性にしたものにシフトしており、男性達がボディ・コンシャスになっている現状を反映しているのだった。

この背景として、スーツからカジュアル・ウェアまで、メンズウェアがどんどんスリムなカットになってきていることが挙げられるけれど、 過去数年の間に そのシルエットが大きく変わったことを受けて、売上げをどんどん伸ばしているのがメンズウェア。 特に若い世代ほど ウエストを細くカットしたシャツやジャケット、ヒップラインをセクシーに見せるパンツのシルエットに拘る傾向にあり、 かつてのようなゆったりしたラインのスーツは、「トレンディではない」というよりも、過去の遺物になりつつあるのだった。






男性が女性並みにルックス・コンシャスになっている様子は、男性が受けるボトックスを始めとする美容施術の急増ぶりにも現れているけれど、 今週、ニューヨーク・ポスト紙が報じたのが NFLクォーターバックのトム・ブレイディに影響されて、 ヘアトランスプラント(植毛)を受ける男性が増えているというニュース(写真上左)。 トム・ブレイディと言えば、スーパーモデル、ジゼル・ブンチェンの夫であり、 アグ・オーストラリアやジレットの広告に出演したり、この夏封切られた「テッド2」等で映画出演も果たしており、 スポーツ界ではデヴィッド・ベッカムと並んでルックスの良さで知られる存在。
その彼の頭髪が薄くなり始めたのは 2006年前後のことで、 レポートによれば 彼は2008年と2010年に ヘアトランスプラントの専門家を訪ねているとのこと。 トム・ブレイディ本人はヘアトランスプラントについて認めたことは無いものの、その憶測が飛び交うようになったのは、 彼の頭髪が急激に増え始めた2009年を前後してのことなのだった。

今や頭髪の植毛はアメリカ国内で年間25億ドル(約3,100億円)市場に成長しており、その急成長の80%を担っているのが男性。 施術の金額は日本円にして60万円から250万円で、実際に頭髪が成長し始めるまでには 半年から1年が掛かるとのこと。 ニューヨークでヘアトランスプラントを行っている ドクターのコメントによれば、 過去1年間の施術の50%は、30歳を迎える前の若い男性に対するものだったという。
男性は 特に若くして頭髪が薄くなると、そのルックスが老け込むこともあり、自信を失う傾向にあるのは当然のこと。 でも、ヘアトランスプラントによって再び頭髪が戻ってくると、 自信を取り戻すだけでなく、ライフスタイルや社交がアクティブになり、ファッションやグルーミングへの関心も高まることが指摘されているのだった。



ヘア・トランスプラントを行ったセレブリティとしては、写真上の俳優 ケヴィン・コスナー、NBAのスーパースター、ルブロン・ジェームス、 サッカー・プレーヤーのウェイン・ルーニー、デザイナーのトム・フォード以外にも、ジョン・トラヴォルタ、トム・ハンクスなど、 自ら公表しているケースから、そうでないケースまで数多いけれど、 そんな中でも、一般男性に最もインスピレーションを与える存在になっているのがトム・ブレイディ。
ネット上には、「トム・ブレイディのヘア・トランスプラントは 何本くらいであんな風になったのか?」等、 自分の施術の際の参考にしたいという男性からの質問で溢れているだけでなく、 トム・ブレイディがヘアトランスプラントをしなかった場合のシミュレーション画像(写真下左)なども見られるけれど、 顔が同じでも 写真下中央の状態から、右側のヘアになるのと 左側のヘアになるのとでは、 アスリートとしてのスター・ヴァリューにも大きな違いが出るというもの。
そもそもトム・ブレイディが ”デフレートゲート”や、それ以前の”スパイゲート”といった スポーツにおける不正疑惑を、 ファンを減らす事無く 乗り越えてきているのは、彼のルックスの良さに因るところが大きいのは言うまでもない事実なのだった。

そのトム・ブレイディは、今週”デフレートゲート”の裁判のためにNY入りしており、法廷内では写真撮影が禁止されていることから、 メディアが報道に際して掲載したのが スケッチ・アーティストによって描かれた法廷内の様子。
ところが その直後からソーシャル・メディア上で巻き起こったのが、彼のファンによるが「トム・ブレイディのルックスの良さがスケッチに反映されていない」 という意義を申し立てで、これに対して2日後には スケッチ・アーティストが ファンに謝罪するという異例の事態が起こっているのだった。






私は少し前に友人宅に滞在して、彼女の高校生の息子が使っている ヘア&グルーミング・プロダクトの数の多さに ビックリしたけれど、それより驚いたのは友人が息子のアクネ治療と美肌のために毎週フェイシャルに通わせていること。 かつては、「ルックスが子供の将来を左右する」と考えていたのは もっぱら女児の親達であったけれど、 今は男児の親でも同様の考え。 それを立証するかのようなエグザンプルが、写真上のセレブリティDJ、カルバン・ハリスなのだった。

写真上左は 2008年の彼で、色白の不健康な肌と ボサボサの黒髪、黄ばんだ歯で、全くグルーミングされていなかっただけでなく、 ファッションにも関心が払われていなかったのは一目瞭然。 その彼が、グルーミングやファッションを気遣うようになっただけでなく、 ワークアウトで身体を鍛え始め、ルックスを向上するにつれて スターダムをのし上がって来たのは周知の事実。 今や世界で最高給取りのDJになったカルバン・ハリスは、エンポリオ・アルマーニの広告モデルにも起用されているけれど(写真中央)、 このルックスとスタイリッシュさを手に入れたからこそ実現したのが、現在のテイラー・スウィフト、その前のリタ・オラとの交際なのだった。

アメリカでは引き続き、デート・アプリの中では ”Tinder/ティンダー” の人気が最も高いけれど、 同アプリは純粋にルックスだけを見ながら 相手を絞り込むというもの。 したがって どんなに財力がある男性でも、ルックスが良くなければ デート相手が探せないことになるけれど、 財力がある男性ほど、ヘアカットからグルーミング、ファッション、ワークアウトやダイエットに至るまでにお金をかけて、 ルックスを向上させる努力をしているのが実際のところ。
そんな男性達が 女性並みにルックス向上の努力をするようになった昨今、 アメリカ人の女友達が 男性のルックスの良さを語る際に使うのが、”ハンサム”とか”グッド・ルッキング”といった言葉よりも、 ”He's a beautiful man”というような ”美しい”という表現。 これは、トークショーのホストが 男性ゲストを紹介する場合にも見られる現象なのだった。

では 男性に美しさが問われる今の時代に、女性に何が問われるかと言えば、その答えは キャリアや収入&財産。
先日、友人グループが久々に再会した時のこと。その中の男友達が ソーシャル・メディアで出会った女性と真剣にデートを始めたというので 質問攻めにしていた際に、その場に居たメンバーの関心が集中していたのは もっぱら彼女のキャリアや収入。 その場のメンバーは、なかなかの美人である彼女の写真を見た時は ポジティブではあったものの ドライなリアクション。 ところが 彼女が金融業界に勤め、若くして10万ドル(約1,240万円)以上の年収があり、ブルックリンにアパートを所有していると聞いた時には、 全員がこぞって感嘆の声をあげていたのだった。

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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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