Aug 19 〜 Aug 25, 2013

” The Rape Capital of the World ”


今週のアメリカで最大のニュースになっていたのは、先週までのエジプト情勢に替わって、 アサド政権による自国民に対する化学兵器使用疑惑が持たれているシリア情勢。
オバマ政権当局者は、現地の被害者の状況や様々な情報源からの事情聴取の結果、 化学兵器が使用されたのはほぼ間違いないとして、これまで静観の立場を貫いてきたシリア情勢に 武力行使のオプションが出てきたことを示唆しているのだった。 これに対してアサド政権は化学兵器の使用を否定。国連調査団を受け入れを明らかにしているけれど、 既に時間が経過し過ぎて証拠が隠滅されている可能性があるのに加えて、 これから調べて分かるのは化学兵器が使用されたか否かで、誰が使用したかまでは 立証不可能であることから、国連調査団に対してはあまり期待が持たれていないのが実情。

でもアメリカが武力を行使した場合、反撃に出ることを既に明らかにしているのがイラク。 メディアでは その反撃がアメリカ軍に対するものになるのか、イスラエルに対するものなのか、それともテロを意味するのかという 憶測を呼んでいるけれど、アメリカ国内では 人道的な立場からシリアをサポートするべきという世論と、 事態を慎重に見守るべきという世論に分かれているのだった。


もう1つ 今週のアメリカで大きなニュースになっていたのが北カリフォルニアで起こっている大規模な山火事のニュース。
2013年は 温かい季節に入って以来、毎週のように大規模な山火事のニュースが報じられているアメリカであるけれど、 現在起こっている山火事が特に関心を集めている理由は、8月17日に200エーカーほどを焼き尽くす規模で始まった火事が、 今週末までにシカゴの街を焼き尽くすのに匹敵する 1万3500エーカーの規模に達し、その被害がヨセミテ国立公園にまで 及ぼうとしているため。
現地では 4000人を超える消防士が消火活動に当たっており、現時点ではヨセミテ国立公園の樹木は守られているというけれど、 各自治体は、今年に入ってからの山火事ラッシュで消火活動の予算を既に使い切っており、山火事は樹木や住宅の被害に加えて 地方自治体の財政にも大きなダメージをもたらしているのだった。



さらに今週 木曜には、またしても インドで起こったレイプ事件が報じられていたけれど、 このところレイプ事件の報道が信じられないくらい多いのがインド。
その事件は、 イギリスの雑誌社にフォトグラファーとして勤める22歳の女性が、 閉鎖されたテキスタイル工場を取材で訪れ、5人の男性にギャング・レイプ(集団レイプ)されたというもの。 女性フォトグラファーは、男性ジャーナリストに同行して工場を訪れたというけれど、 その工場に居合わせたのが5人の男性。彼らは まず 男性ジャーナリストが 手配中の殺人犯に似ているという理由で 彼を縛り上げてから 女性の レイプに及んだとのことで、 日曜までに5人全員が デリとムンバイで逮捕されているのだった。

これまでにも、サウス・アフリカ、コンゴ、スーダンといった国々で、多発するレイプが問題になってきたけれど、 過去数年で レイプ報道が最も増えているのがインド。
中でも デリでは、2013年に入ってから3月31日までの3ヶ月間に起こったレイプの件数は393件。 そのデリでは今年4月だけで、2歳半から15歳までの極めて幼い年齢層をターゲットにしたレイプが5件も報告されているけれど、 そのうち1件の犠牲者は5歳。誘拐され、2日に渡って水も食糧も与えられないままレイプをされ続けたとのことで、犯人は25歳。 2歳半の乳児をレイプして 逮捕されたのも25歳の若者。
残り3件は顔見知りによる犯行で、5歳児をターゲットにしたレイプの犯人は 保育園の男性教師、32歳。 もう1件は15歳の少女が犠牲者で、登校中に誘拐されてのギャング・レイプ。この事件では3人の犯人のうちの1人が親類。 残りの1件の犠牲者は10歳の少女で、レイプ犯は彼女の隣人であったという。
この他、デリでは3月にも13歳の少女が自宅前で誘拐され、8人の男性にギャング・レイプされる事件が起こっているけれど、 何とそのうちの4人が顔見知りであったという信じられない状況が繰り広げられているのだった。

インドにおけるレイプの問題は、世界的に注目を集めるようになって来ているけれど、 その決定打となったのは2012年に報じられた 2つのギャング・レイプ事件。
1件は、2012年12月半ばに起こった 23歳の学生を 5人の男性がバスの中でギャング・レイプした後、走行中のバスから放り捨てたという非常に暴力的な犯罪。 同事件については 日本でも バイオレンスの度合いが かなり抑えられたバージョンで報じられていたけれど、 事件の重要性と悲惨さを理解して頂くために、あえてアメリカで報じられている通りに お伝えすると、その全容は以下のようなもの。

デリでは、公共交通機関であるバスが 時に特定顧客のチャーター・バスの役割も果たすとのことで、 犠牲者となった23歳の女性と、彼女の男友達は 映画を観終わった後、帰宅しようとして、チャーター・バスとは知らずに乗り込んでしまったという。 それもそのはずで、バスはあえて公共バスを装って バス停に居た2人をピックアップし、2人に乗車料金までチャージしていたのだった。
バスをチャーターした6人の男性が、何故そんなことをしたかといえば、その時点で かなり酔っ払っていた彼らが、 その夜の ”娯楽 の対象=犠牲者” を探していたため。 女性と男友達がバスに乗り込んだ直後から、2人は彼らに言いがかりをつけられ、程なく始まったのが暴力とギャング・レイプの惨劇。 2人は 彼らが予めバスの中に持ち込んでいた 鉄パイプで殴られ続け、女性はギャング・レイプの最中に、 膣とアナルに 鉄パイプを突き立てられるという ソドマイズ行為 を受け、 その時に致命傷を追ったことが伝えられているのだった。 そして、犯人達は 2人が死亡するであろうことを承知で 走行中のバスから 放り捨てているけれど、その時点で女性の膣とアナルからは 内臓の一部が 飛び出す悲惨な状況であったという。

その後 2人は病院に収容され、女性は インドでの治療が不可能ということで、直ぐにシンガポールの病院に搬送されたけれど、 運ばれた段階で 現地のドクターは直ぐに 「助けることは不可能」と判断せざるを得なかったそうで、 女性は 2週間後に死去。
でも、こんな悲惨な事件が起こってから 1ヶ月も経たないうちに、現地では29歳の女性がバスの運転手に連れ去られ、運転手、車掌を含む6人の男性にギャング・レイプされるという 事件も起こっているのだった。

もう1件、2012年9月ににニューヨーク・タイムズ紙が第一面で報じた事件は、16歳の少女が 8人の男性に頻繁に 連れ出されては 「警察に通報したら殺す」と脅されて、長期間に渡って ギャング・レイプをされ続けていたという事件。
同事件が明るみに出たのは、 犯人の1人が携帯電話で撮影した レイプの様子を収めたビデオが 村の男性の間で広まり、それを見た少女の父親が ショックを受けると同時に 恥に耐えかねて、農薬を飲んで自殺したことがきっかけ。
ニューヨーク・タイムズ紙の記事によれば レイプ犯は地元の実力者達で、 カスト制度に代表される、階級意識が根強いインドでは、 身分が低い父親は 自分の娘がレイプの被害者になっても、加害者に対して 何をすることが出来ないことが説明されていたのだった。
またこの事件とは別に、2012年11月に複数犯に ギャング・レイプされた17歳の少女は、犯人が全員逮捕されたものの、 警察に起訴を取り消して、レイプ犯の1人との結婚するようにと圧力を掛けられ、 それを苦にして 毒を飲んで自殺を図ったことが伝えられているのだった。



インドでレイプの被害者になっているのは現地の女性だけでなく、旅行者も同様。
2013年3月には、夫と旅行中だったスイス人女性39歳がやはり6人の男性にギャング・レイプされているけれど、このケースでは 犯人達は、 外国人旅行者が通常キャッシュを持ち歩いていることから、当初 強盗目的で彼らを襲ったという。 しかし、スイス人カップルが2万円弱程度のキャッシュしか持ち合わせて居なかったことから、 その犯罪目的が 腹いせのレイプに変わってしまったと説明されているのだった。
また、同じく3月には25歳のイギリス人女性の旅行者が、ホテルのオーナーにレイプされる危険を感じて バルコニーから飛び降りたこともニュースになっていたけれど、 現地のチャリティで働く アイルランド人女性の場合は、薬を盛られて意識不明になっている間にレイプの被害者となったとのこと。 それ以外にも、今年6月には 30歳のアメリカ人女性が ヒッチハイクをしようとして やはりギャング・レイプされているのだった。

これを受けて、昨今はインドへの外国人旅行者、特に女性の旅行者が激減していることが伝えられており、 国によって28〜68%の減少傾向を見せているという。

レイプの中でも、複数犯によるギャング・レイプが増えているのが インドにおける顕著な傾向であるけれど、 犯人の多くは 19〜25歳の若い男性で、職のない男性も少なくないのだった。
これについて、インド人作家のキシュワー・デサイは 現地紙の「ジ・インディアン・エクスプレス」に寄せた投稿記事の中で、 インドでは 一部の男性達が女性の社会進出、高学歴化、そして女性達の自立に対して 著しい反発と不快感を覚えていること、そしてギャング・レイプが そんな女性達の鎮圧と 男性の優位を知らせしめるための手段とシンボルになっていると分析。
また別のメディアでは デリの大学で社会学を学ぶ33歳の女性が、インドでは女性達が街中で頻繁に男性に追いかけられ、 公共交通機関における お咎め無しの痴漢行為が日常茶飯事でまかり通っていることを指摘して、 ギャング・レイプや痴漢行為が セックス目的ではなく、 力と暴力による権力、男性としての優越感の誇示であると分析しているのだった。

アメリカにおいてもレイプの犯行動機は、「セックスではなくパワー」と分析されて久しいけれど、 インドの場合、女性の社会的地位の低さ、女性蔑視が根強いカルチャーが、状況を悪化させているのは紛れもない事実。
さらにレイプだけでなく、インドでは年間に2万5,000〜10万人の女性が 持参金が少なすぎることが原因で 夫や義理の家族に殺害されていることが 報じられており、その殺害手段の多くは 可燃性の液体を掛けられて、火を付けられるというもの。
6月には 19歳のティーンエイジャーが、家族に内密に2年間交際した21歳の男性との結婚を望んだところ、 交際相手の父親を含む4人の男性に自宅で襲われ、「伝統に反する」、「年長者の命令に背いた」という理由で、やはり可燃性の液体を掛けられて、焼き殺されるという事件が 起こっているのだった。


でも、女性がこんな悲惨な扱いを受けているのはインドだけではなく、お隣パキスタンも同様。
レイプに関しては アラブ首長国連邦のドバイで、今年7月にレイプ被害者となったノルウェイの 女性旅行者(24歳)が現地の警察に通報したところ、逆に 婚姻関係の無い者同士のセックスを禁じる現地の法律に 背いたことで逮捕され、16ヶ月の禁固刑を言い渡されているのだった。
ドバイでは、外国人旅行者のレイプ被害者が 事件の通報によって逆に逮捕されるというケースが 以前にも何件か起こっているけれど、それだけでなく 公共の場での恋愛行為を禁じる同国では、 イギリス人の女性旅行者が、挨拶として男性の頬にキスをしただけで逮捕、拘留されているのだった。

現地の刑務所は冷房が無く、日中は40度以上でであったことが拘留された女性によって 証言されているけれど、こうした状況を考えると 文化が異なる国への旅行は、事前に治安だけでなく、法律やカルチャーについても 深く理解した上で 目的地選びをする必要があると言えるのだった。





執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。


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