Aug. 18 〜 Aug. 25,  2014

” New York:City Never Sleeps ”
眠らない街、ニューヨークの実態


今週のアメリカのメディアは、アメリカ人ジャーナリスト、ジェームス・フォーリーの処刑ビデオをYouTubeで 公開したテロ集団、 ”ISIS/アイシス”の報道が大半を占めていたけれど、 日曜にそのアイシスに替わってトップニュースとなったのが、サンフランシスコのベイ・エリアを襲った地震のニュース。
マグニチュード6の地震が起こったのは、現地時間、日曜の午前3時20分で カリフォルニアが大規模な地震に見舞われたのは 1989年以来、25年ぶりとのこと。 25年前は 62人の死者を出す大惨事であったけれど、今回の地震では 約120人が怪我で 病院に運ばれ、重傷は3名。怪我人の殆どは、上から降って来た物に当たった打撲や切り傷といった軽傷であることが 伝えられているのだった。

中でもダメージが大きかったのは、カリフォルニア・ワインのキャピタル、ナパのダウンタウンで、 地震直後は 約7万人が電力を失い、火災が起こった他、ガス管や水道管のダメージも見られたものの、 日曜の午後には、停電世帯の数が2万にまで減ったことも伝えられているのだった。 現地では、今後ある程度の余震が見込まれているとのことだけれど、 今回のような地震は、カリフォルニアでは「いつ起こっても不思議ではない」と言われ続けてきたもの。
それだけにカリフォルニア州では、地震予測に力が注がれて久しい状況。 今回の地震も、カリフォルニア大学バークレー校の予測システムが地震の10秒前に その警告をカウントダウン・スタイルで発していたことが明らかになっているのだった。




そのカリフォルニアの大地震が起こる前までは、今週のアメリカのトップ・ニュースとなっていたのが、 前述のアイシス。
ISIS / アイシス は、The Islamic State in Iraq and Syria / ジ・イスラミック・ステート・イン・イラク・アンド・シリアの略で、 10年ほど前から活動を始めていたと言われる テロ・グループ。 アイシスが力を増したのは 米国軍のイラク撤退後で、 最もエクストリームなジハーデスト(反イスラム教に戦いを挑む勢力)集団として知られる存在。
その4000人と言われるメンバーの多くは、最低70人のアメリカ人、400〜500人のイギリス人を含む オーストラリア、カナダ、サウジ・アラビアといった西側諸国を中心とした外国人。
こうした西側諸国出身のメンバーは、イラクで テロリストとしてのトレーニングを積んだ後、約半分が 自国に戻っており、そんな西側諸国のパスポートを持つアイシスのメンバーの存在は、西側諸国のテロ対策を非常に難しくしているのだった。

アイシスの脅威については2年前に米軍のイラク・スペシャリストが既に警告をしており、メディアが注目するようになったのは ここへ来てイラクの主要都市を支配下に収めて以来。 それまでは、水面下で各国政府に対して 人質の身代金を要求して巨額の利益を上げながら、ソーシャル・メディアを使って、 世界各国からメンバーをリクルートしてきたことが伝えられているのだった。
今週 アメリカ人ジャーナリスト、ジョン・フォーリーが処刑された際に、 「アメリカ軍がイラク攻撃を止めなければ、新たにアメリカ人ジャーナリストを処刑する準備がある」と アイシスのメンバーが語っていたけれど、 これは、アメリカ政府がテロリストとの交渉に応じないという国家のポリシーを貫いて、身代金の支払いに応じなかった結果とも 指摘されているのだった。
ちなみに、アメリカ軍はジョン・フォーリーの処刑に 何の措置も行わなかった訳ではなく、数ヶ月前に現地に囚われている アメリカ人の救出作戦を試みていたとのこと。しかしながら、人質を拘束していると見込まれていたロケーションが空っぽで、 作戦が失敗に終わっていたことも明らかになっているのだった。

処刑ビデオに登場していた覆面のテロリストは、ブリティッシュ・アクセントの英語で、 ビデオ公開直後から、イギリスの情報局が最新の声認識テクノロジーを駆使して そのアイデンティティの割り出しを行っており、それが明らかになるのは時間の問題とのこと。
その一方で、オバマ大統領はアイシスのメンバーが現在拠点にしているシリアを、軍事攻撃する可能性を示唆しており、 共和党のタカ派は「グズグズせずに直ぐに実行に移すべき」と、これを後押し。 しかしながら 国民の大半と 与党、民主等の議員は、アメリカによる諸外国の問題への介入を 嫌う姿勢を示しているのだった。

そんな中、日曜の午後には やはりイラクで囚われていたアメリカ人ジャーナリスト、 ピーター・カーティスが、アイシスとは無関係のテロ・グループによって釈放されたニュースが 朗報として伝えられたけれど、彼がどういった経緯で、釈放されたかについては未だ不明なのだった。




今週報じられたニュースの中で、個人的に興味深かったのは、 ニューヨーカーが パリ、北京、モスクワ、ドバイ、東京、マドリッドの人々よりも 早寝早起きである というデータが得られたという報道。
これは、フィットネス・トラッカー、Jawbone / ジョウボーン(写真上左)が 睡眠パターンのデータを 各国の都市別に分析した結果、明らかになったもの。
それによれば、最も睡眠時間が短かった都市は東京で、5時間44分が平均睡眠時間。 これに対してニューヨーカーの平均睡眠時間は、それよりも1時間ほど長くなっているけれど、 平均就寝時間が 午後11時と 非常に早い一方で、朝起きるのも非常に早いのがニューヨーカーの特徴。 最も朝寝坊なのは、モスクワの人々で 平均的な起床時間は午前8時8分であることがレポートされているのだった。

このニュースで メディアが 意外視していたのは、ニューヨーカーが 他都市の人々よりも早寝であるというデータ。 というのも、ニューヨークには「City Never Sleeps」、すなわち ”眠らない街” というニックネームがあるためで、 実際に、ニューヨークほど 遅くまでナイトシーンに活気がある街はないし、 地下鉄も24時間動いていて、たとえ何時であろうと、人が乗っていない車両など無い状況。
にも関わらず、ニューヨーカーが早寝というデータが得られた最大の理由は、 恐らく 夜遊びをする人、遅くまで働く人は ジョウボーンを身につけるようなメンタリティや、ライフスタイルではないため。 正直なところ私は、ジョウボーンをつけているニューヨーカーを殆どと言って良いほど見たことがないので、果たしてこのデータが 何人のニューヨーカーを対象に得られたのかに興味があるけれど、 ニューヨーカーが早起きであるのは紛れも無い事実。

私がメンバーになっているジムは、朝6時からのヨガやスピニングのクラスがあるし、 セントラル・パークのテニス・コートや、私が以前メンバーになっていたテニス・クラブのコートは、朝の6時や6時半からしっかり埋まっていて、 午前10時のコートを取るより競争率が高いのが実情。
セントラル・パークのランナーについて言えば、朝の時間が早ければ早いほど、シリアスなランナーが多くて、 午前9時以降に走っているランナーに比べると、午前7時に走っているランナーの方が、平均的なスピードが遥かに速いのだった。

さらに、私が好んで観ているリアリティTVに、「ミリオン・ダラー・リスティング・ニューヨーク」という不動産ブローカーを メイン・キャラクターにした番組があるけれど、ここに登場するセレブ・ブローカーのスケジュールにしても、 朝4時半に起きて、5時にはジムでワークアウト、6時に自宅に戻ってシャワーを浴びて、午前7時にはスーツ姿でオフィスに居るのが 毎日のスケジュールとのこと。
でもこのブローカーは、ジョウボーンをつけるようなタイプではないので、毎晩ディナーやイベントに出かけた後、 夜中まで仕事をして午前1時までには眠るようにしていると番組の中で語っていたのだった。

彼のようなスケジュールのニューヨーカーは決して珍しくなくて、午後に15分ほど昼寝をしたり、 フェイシャルやマッサージの時間に眠るという人も居るけれど、私の知るニューヨーカーの多くは、 アーリーライズ&ステイアップ・レイト(遅寝&早起き)型。 中には「この人は、一体何時眠っているんだろう」と思う人も居るけれど、 私が知る限りでは、睡眠時間が短い人の方が、ライフスタイルがアクティブなのは紛れも無い事実なのだった 。

でも昨今では、睡眠時間は「長さよりも 深さ」という説が 医学界のマジョリティになってきて、 成人に必要な睡眠時間も、かつて言われていた8時間という説から、7時間に変わりつつあるのが実情。
また眠りの歴史の専門家によれば、睡眠障害などが存在しなかった昔の時代には、人々が横になる替わりに座って眠っていた時代や、 まず2時間眠ってから目を覚まして食事や入浴を済ませ、その後さらに5時間程度眠る というように、睡眠を 2回に分けて取っていた時代もあるとのこと。
それに比べると、現在の世の中は 快眠用のピロー、シーツ、マットレスに始まって、 部屋の温度調節や、快眠に導く照明、サウンド・システムなど、ありとあらゆる手法を駆使しているにも関わらず、 睡眠障害を訴える人々は史上最高の数。 処方箋の入眠剤の売り上げも過去最高になっているけれど、こうやって眠りをお金で買おうとする人の方が クォリティの低い眠り、すなわち浅い眠りに甘んじて、朝 目を覚ますと 「身体がだるい」、「疲れている」という思いを経験しているのが実情なのだった。


最も理想的な睡眠は、ベッドに入って5分程度に眠りについて、朝までノンストップで眠ること。 そしてアラームではなく、自然に目を覚ますこと。
私が知るアーリーライズのニューヨーカーの何人かが語っていたのが、たとえ予定の起床時間より15分早くても、 自然に目を覚ました時に、起き上がるべきということ。 もう少し眠っていられるからといって、再び眠りについて、アラームで目を覚ますと、かえって身体がダルく感じられるというのだった。
これは睡眠サイクルのうちのREM睡眠の最中に目を覚ますと、身体がダルく感じられるというセオリーともマッチしているけれど、 いずれにしても快眠のために大切なのは、枕や入眠剤よりも エクササイズと食事。
エクササイズは、朝に行うのが快眠のためには理想的で、身体を動かすことによって、朝は精神がリフレッシュして、脳が目覚め、 夜になると心地よい疲労によって、自然な入眠を促してくれるもの。 食事については 消化器官がビジー状態だと、当然のことながら眠りが浅くなるので、眠る前にヘビーな食事はご法度。 でも空腹で眠る必要も無くて、 バナナ等、ポタシウムが豊富な食べ物が 快眠に導いてくれると言われているのだった。

ちなみに、体型で言うと 比較的長い睡眠が必要なのは長身の人。 身長が低い人は、成長期に眠らなかったから背が伸びなかったと言えるけれど、 これは長時間の睡眠を取らずしてクォリティの高い睡眠が得られる体質を意味するもの。
またサクセスフルな人々というのも、長い睡眠を取らないことで知られているけれど、 古くはナポレオンが4時間睡眠で知られていた存在。
現代社会でもマーガレット・サッチャー元英国首相、Yahooの女性CEOメリッサ・マイヤー、 ツイッターの創設者ジャック・ドーシー、マドンナ、デザイナーのトム・フォード、 ニューヨーク不動産王、ドナルド・トランプ、コンドリーザ・ライス元国務長官、 マーサ・スチュワートなど、例を挙げたらキリがない各界のサクセスフルな顔ぶれが、こぞって4〜5時間の睡眠というライフスタイル。
なので、上昇志向が強いニューヨーカーが睡眠時間を削って、朝はエクササイズ、夜は仕事やソーシャライジング&ネットワーキングに 時間を費やしているのは、容易に納得が出来るところ。 そう考えると ジョウボーンのデータがどうであれ、やはりニューヨークは「City Never Sleeps / 眠らない街」であると思うのだった。

ところで、先週のこのコーナーで、今やアメリカでも自殺が社会問題になるほどに増えていることについて書いたけれど、 ニューヨークは、人によっては意外に思うかも知れないけれど、全米で最も自殺が少ない主要都市。
仕事のプレッシャーやストレスは大きい反面、何が起こっても不思議ではない街であるだけに、誰にでもチャンスが与えられるのがニューヨーク。 したがって、毎日の生活はハードでも 希望を持って生きていける街であるとも言えるのだった。



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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。




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