Aug. 25 〜 Aug. 31,  2014

” Secret of Best Burger & Steak in NY”
NYの ベスト・バーガー&ステーキの極意! パット・ルフリーダ


今週末のアメリカは、レイバー・デイのを月曜に控えたホリデイ・ウィークエンド。
レイバー・デイは、アメリカでは夏の終わりを意味するホリデイで、9月の第1週目の月曜日。 今年は それが9月1日と例年より早いため、夏が短くなったような気がしてしまうけれど、 実際のところ、毎年レイバー・デイを挟んだ2週間のスケジュールで行われるテニスのUSオープンが、 8月末で半分終わっているというのは珍しいこと。
年に2回のニューヨーク名物のショッピング・イベント、バーニーズ・ウェアハウス・セールにしても 毎年最終日はレイバー・デイ。 このため同セールは今年は8月半ばにスタートしており、常連のニューヨーカーにとっては全くピンと来ない スケジュールになっているのだった。

そんな中、今週大きく報じられたニュースの1つが11年間 連れ添ったアンジェリーナ・ジョリーとブラッド・ピットが遂に 南フランスのシャトーで挙式をしたというニュース。
でもこの2人は 婚約してから2年半が経過する上に、2人の間には既に子供が6人。 その上、ウェディングは8月23日、土曜日に極秘で行われて、それが報じられたのは5日後の木曜。 このため、大騒ぎという規模の報道ではなく、5日前の過去の出来事として 落ち着いた報道に止まっていたのだった。

それよりソーシャル・メディア上で大きなインパクトをもたらしていたのが、 木曜に行われた イラク&シリア情勢についてのプレス・カンファレンスでのオバマ大統領と、大統領が着用していた ベージュのスーツ。
英語では、Tan / タンと表現されるのがこのカラーであるけれど、緊迫した国際情勢についてのプレス・カンファレンスにも関わらず、 記者や 一般国民の関心が集中したのが この大統領の意味不明なワードローブのチョイス。 通常、米国大統領ファッションと言えば、殆どのオケージョンで ネイビー・スーツとホワイト・シャツ、 レッドのネクタイで、アメリカ国旗と同じ愛国カラー、レッド、ホワイト&ブルーをスーツ姿で表現するのが定番。
でも ”サマー・スーツ”と称した この日のオバマ氏のファッションは、 米国大統領というよりも、 中古車販売のセールスマンか、70年代の不動産業者のようで、ソーシャル・メディア上では あっという間にジョークの対象になっていたのだった。
中には、オバマ大統領のワードローブの方が、「シリアやイラク情勢よりも深刻だ」と指摘する声も聞かれており、 翌日、金曜にホワイト・ハウスで行われた ジョシュ・アーネスト報道官によるプレス・カンファレンスの席でも オバマ氏のスーツに対する質問には、結構な時間が割かれていたのだった。





さて、先週末に私が友人に連れられて出かけたのが、アメリカ人宅の超グルメ・バーベキュー。
私は、建国記念日の週のフェイバリットのコラムにも書いた通り、アメリカ人宅のバーベキューというというのは、 粗悪なひき肉とケミカルで作ったスポンジのようなパンを用いたハンバーガーや、肉より混ぜ物の方が多いソーセージを挟んだホットドッグなど、 「これを食べていたら、健康な方がおかしい!」というような食べ物ばかりが出てくるので、 極力行かないようにしているけれど、 このアメリカ人は大変なグルメで、そのバーべキューは きちんとした肉屋から肉をオーダーして、 パンはメゾン・カイザーやバルタザールという私のお気に入り ベーカリーだと聞いたので、 興味津々で出かけたのだった。
すると、なるほどハンバーガーはパティを焼いている最中から、ビーフ独特の素晴らしいアロマ。 食べてみると、肉の味わいと言い、滴る肉汁の味と言い、さすがに肉屋から取り寄せただけある 極上のパティ。 でも味わっているうちに、ふと思ったのが 「つい最近食べたシェルシュ・ミディのバーガーの味に似ている…」 ということで、訪ねてみたところ、やはりそのパティの出所は シェルシュ・ミディのバーガーと 同じブッチャー(肉屋)。
私はこの時に初めて、かの有名な ”Pat LeFrieda / パット・ルフリーダ” の肉が、 インターネットでオーダー可能であることを知ったのだった。

パット・ルフリーダは、1922年にスタートしたニューヨークの老舗ブッチャー。 現在はビジネスが拡大して ニュージャージーに移っているけれど、 パット・ルフリーダの名前を一躍有名にしたのが、 今年10周年を迎えた ニューヨークで人気 No.1のバーガー・チェーン、シェイク・シャック
シェイク・シャックが、パット・ルフリーダに カスタム・ブレンドのひき肉のパティをオーダーし、 そのシャック・バーガー(写真上、上段左)が空前のヒットになったことから、レストラン業界がこぞって注目し始めたのがパット・ルフリーダなのだった。

とは言っても、老舗ブッチャーのプライドが故に、10年前に 当時はまだ1店舗だったバーガー・スタンド、 シェイク・シャックからのパティのオーダーが寄せられた際には、当時のオーナーが涙して嫌がったとのこと。 それでもビジネスのためには、その時点で1日1200食のパティの注文を断るわけにも行かず、やむなく引き受けたのが 現在のメガ・サクセスへのターニング・ポイントになっているのだった。

以来、ニューヨークのベスト・バーガーに用いられているパティと言えば、パット・ルフリーダによる カスタム・ブレンドと相場が決まっていて、 シャック・バーガーと同様に有名なのは、ウェスト・ヴィレッジの人気レストラン、ミネッタ・タヴァーンのブラック・ラベル・バーガー(写真上下段、左側)。 27ドルというお値段のこのバーガーは、ミネッタ・タヴァーンがオープンして以来、ずっと人気の名物メニューになっているのだった。
ミネッタ・タヴァーンのオーナー、キース・マクナリーは、 ニューヨークで、バルタザール、パスティスといった長寿の人気レストランを手がけてきたレストランターとして知られるけれど、 彼が今年6月にオープンしたばかりの、シェルシュ・ミディ でも、真っ先にメニューの中で評判になったのがハンバーガー(写真上下段、右側)。





シェルシュ・ミディのバーガーも、もちろんパット・ルフリーダによる カスタム・ブレンドのひき肉パティを使っていて、70%がショート・リブ、30%がプライム・リブのひき肉。 これを30日掛けて熟成させているのが、シェルシュ・ミディのカスタム・バージョンのひき肉。

そのシェルシュ・ミディのバーガーは、ディナー・クラブで出かけて味わった直後に、もう1度味わったばかりなので、 味が鮮明に記憶に残っているけれど、肉汁に感じられたのが 何とも言えない ほのかな甘み。 私はこれが バーガーにトッピングされていたキャラメライズ・オニオンの味かと思っていたけれど、 パット・ルフリーダのオーナーによれば、肉もブレンドによって 甘みを演出することが出来るという。
そのオーナーによれば、最も美味しい パット・ルフリーダのバーガーの食べ方は、 パティを塩、コショウだけの味付けで グリルして、ケチャップなど使わずに味わうこと。 もし味付けに使うとすれば、彼自身はケチャップより マヨネーズを好むと語っているのだった。

私が出かけたアメリカ人宅のバーベキューでは、 パット・ルフリーダから取り寄せた ブラック・アンガスのポーター・ハウス・ステーキも グリルされていたけれど、30日ドライ・エイジさせたというその肉は、 ヒマラヤン・ソルトを手で擦り込んで強火でグリルして、レアで味わったところ、一口食べて 倒れそうなくらいの美味しさ。
決してお値段は安くないけれど、それを支払っても 後悔しない最上級のクォリティなのだった。

こんな芸術的な肉を食べる至福の喜びを味わってしまうと、ヴェジタリアンが気の毒にさえ思えてしまうけれど、 今やレストラン業界だけでなく、一般の人々の間でも 最高級の肉のブランドとして知名度を上げているのが パット・ルフリーダ。
ニューヨークのレストランでは、メニューに ”パット・ルフリーダ”の名前を記載するだけで、その肉料理の値段がアップ出来るという認識さえ広まっているのだった。


それだけでなく、パット・ルフリーダの肉が 店のアトラクションになるケースもあって、 その好例が ニューヨークのセレブ・イタリアン・シェフ、マイケル・ホワイトのカジュアル・レストラン、Osteria Morini / オステリア・モリーニ。
ソーホーに位置する同店では、何と120日もドライ・エイジさせたパット・ルフリーダのリブアイ・ステーキ(写真上、2枚)を、 毎週金曜日のみサーヴィングしていて、そのせいで金曜日の予約だけがめっぽう取れない状況になっているのだった。
このスペシャル・メニューは、以前は水曜日にサーヴィングされていたもので、 2人分115ドルと、決して安くないお値段。にも関わらず、あっという間にソールドアウトになってしまう大人気ぶり。 120日エイジングさせたステーキというのは、パット・ルフリーダのウェブサイトでも販売されていない長い熟成期間。
オステリア・モリーニは、このメニューの宣伝をした訳ではないにも関わらず、 まず味わった人々の口コミ評判が広がり、やがてメディアやフード・ブロガーが注目するようになったとのこと。
大の肉好きの私としては、是非トライしてみたいのが このステーキであるけれど、 残念ながら 今のところは予約が取れない状況が続いているのだった。

ニューヨークには、有名な老舗ブッチャーは他にも何軒かあるけれど、 これほどまでにパット・ルフリーダが商業的なサクセスを収めているのは、やはりシェイク・シャックや一流レストランの高額バーガーのひき肉を担当しているため。 今や 卸売りのパティの数だけで、1日に7万5000食以上というパット・ルフリーダは、 ニューヨーク・ポスト紙が ニューヨークの ”メイヤー・オブ・ミート=肉の市長” とさえネーミングしているほど。
もうすぐ、そのサクセスについて書かれた本も出版されることになっているけれど、 レストラン業界と言えば、通常 その成功がフォーカスされるのは シェフやレストランターばかり。 ブッチャーとして、ここまで登りつめるのは極めて稀であると同時に、 いかにもニューヨークらしいサクセス・ストーリーと言えるのだった。



Will New York 宿泊施設滞在



執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。




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