Aug. 24 〜 Aug. 30 2015

” Why Trump Surges In Poll? ”
暴言を吐いても支持率が上がるトランプと、マイリー・サイラスの共通点 !?


今週は 月曜のニューヨーク株式市場の大暴落で幕を開けたアメリカ。 取引開始直後に1000ポイント以上の下落を見せた波乱ぶりは、TVの臨時ニュースで報じられたほどなのだった。
この週明けの暴落で「401Kが 201Kになった」というようなジョークが聞かれていたけれど、 それよりも今週大きく報じられることになったのは、水曜日早朝のTV番組の生放送の真っ最中に、 女性レポーター(24歳)と男性フォト・ジャーナリスト(27歳)が射殺されたというショッキングな事件。 犯人は、同じTV局を2年前に解雇された黒人レポーターで、人種差別をされたという理由で 2人を逆恨みしており、 インタビューをしていた2人に忍び寄って銃口を向け、何発も銃弾を浴びせた様子は、 ABC系列のヴァージニア州のローカル局の朝6時45分にライブ放映される結果になってしまったのだった。
犯人は、この様子を自らのアイフォンでもビデオ撮影しており、自殺を図る直前にソーシャル・メディア上にアップしていたけれど、 それは後にフェイスブック、ツイッターなどが 削除しているのだった。

アメリカでは、2012年12月にコネチカット州のサンディフック小学校で起こった 20人の子供達と6人の学校関係者が射殺された銃乱射事件以来、 銃規制を求める声が高まってはいるものの、同事件以降の 銃乱射事件の犠牲者数は 何と8万4,523人。 また職場や元職場の人間に対する怒りや復讐のための殺人件数は、1997年以降、アメリカ国内で約900件起こっているとのこと。
ニューヨークでも先週金曜にソーホーのフェデラル・ビルディングで、以前そのビル内にある労働省で働いていた男性による 発砲事件が起こっていたけれど、怨恨にしても、無差別にしても、あまりに多過ぎるのがアメリカにおける銃犯罪なのだった。




さてアメリカでは、毎日のように民主、共和両党の大統領選候補選びのニュースが報じられているけれど、 これまで民主党のトップを走ってきたヒラリー・クリントンが、国務長官時代にプライベートなEメール・サーバーを使って 国家機密情報をやり取りしていた疑惑で 支持を落としている中、急ピッチの追い上げを見せているのが 今年74歳になるバーニー・サンダース上院議員。 加えて、今週にはジョー・バイデン副大統領の立候補も本格的に噂されるようになり、その場合、オバマ大統領がバイデン副大統領と、 ヒラリー・クリントンのどちらを支持するのかに、早くも関心が集っていたのだった。

その一方で、共和党側はドナルド・トランプが引き続き 支持率のトップを走っているけれど、 日本から来た知人から、アメリカに住む友達にまで 頻繁に意見を求められるのが、何故ドナルド・トランプが あれだけ暴言を吐きながら、共和党候補中で最高の支持率を集めているのかということ。
ドナルド・トランプは、出馬宣言でメキシコ政府やメキシコ移民に対する批判を繰り広げ、 普通の候補者ならば謝罪せざるを得ないほどに メディアやスポンサー企業から叩かれたにも関わらず、 謝るどころか その暴言はさらに酷くなるばかり。 共和党のライバル候補者を攻撃するだけでなく、ジョン・マケイン元大統領候補、共和党メディアであるフォックス・ニュースの人気女性ジャーナリストのミーガン・ケリー、彼の立候補について冷めたコメントをしたスーパーモデルのハイディ・クルム等、自分を少しでも批判するようなコメントをした人間を 片っ端からこき下ろすのがドナルド・トランプ。
それでいて、ハリウッドが自分の映画を製作するとしたら、「自分役を演じる俳優は、とてつもなくハンサムでなければならない」と語るなど、 それを報じるジャーナリストが呆れるようなコメントを次から次へと繰り広げる有り様。 加えてその政策には、具体性やリアリティが欠落していることも指摘されており、その最たる例が 「アメリカ国内に居る1,100万人の不法移民を全員 国外追放する」という ”厳しい” を通り過ぎて、”不可能” と言える移民政策。 でも、それをどうやって実現するかについては アメリカのトップ・ジャーナリストが何度問い詰めても、 取り合わずに、答えないというふてぶてしさなのだった。

しかしながら彼のクレージーな言動に拍車が掛かれば掛かるほど、彼の支持率がアップする状況には 政治評論家達も驚いており、出馬当時は彼を ”茶番扱い”していたメディア関係者も、 今では トランプの何が国民にアピールしているかの分析に明け暮れているのだった。
それによれば、人々がトランプを支持する理由は オバマ政権のソフト・アプローチに飽き飽きした国民が、 強いアメリカの復活を求めているというもの。また従来の政治家による 国民を省みない政権に不満をつのらせた人々が、 これまでとは異なる型破りな指導者を求めているという説も有力なのだった。




でも私は、そうした真面目な政治評論家とは少々異なる見解を持っていて、ドナルド・トランプの支持率の高さを 説明する例として私が挙げるのが、マイリー・サイラスやキム・カダーシアン。
そのマイリー・サイラスは、私がこのコラムを書いている最中の、8月30日に行われている2015年MTVビデオ・ミュージック・アウォード(以下VMA)で ホスト役を務めているけれど、 彼女を現在のスターダムにのし上げたのが、2年前 2013年のVMAで見せたパフォーマンス。(写真上左)
ヌード・カラーのレイテックス・ビキニを着用し、ロビン・シックと共に「ブラード・ラインズ」のパフォーマンスを行ったマイリー・サイラスには、 その下品さと羞恥心の無さに批判が集中。 そもそも彼女は ディズニー・チャンネルの「ハナ・モンタナ」というクリーンなキャラクターで世に出たこともあって、 多くの人々が このパフォーマンスを見て 彼女のキャリアの終焉を予測したのは記憶に新しいところ。
でも結果的には、それ以降の2013年は マイリー・サイラスがメディアに登場しない日は無いほどまでに 彼女が大センセーションとなり、 この年の年末のビデオ総集編では、ありとあらゆるメディアが 2013年を象徴する出来事の1つに彼女のVMAパフォーマンスをフィーチャーしていたのだった。
MTV側は、マイリー・サイラスがホストを務める今年のVMAが、最も物議を醸すアウォード番組になるだろうと宣言しており、 放送禁止用語をカットするために、ライブでありながら 数秒間の放映の遅れを設けることも明らかにしているのだった。

私に言わせれば、現在のドナルド・トランプの支持率の高さは、 マイリー・サイラスがVMAのパフォーマンスでスターダムにのし上がったのと全く同じ状況。 メディアが報じざるを得ないニュース性と、人々が嫌でも話題にするクレージーさ、 誰に何を言われても自分のスタイルや姿勢を曲げずに それを押し通す 神経の図太さが、 政治とエンターテイメントの区別があやふやなアメリカ社会でまかり通っているというのが私の意見なのだった。




私が個人的に ドナルド・トランプと、マイリー・サイラスやキム・カダーシアンの共通点だと思うのが以下のポイント。


上記の中でも、私が特に大切だと思うのは 一番最後の「ファンとヘイターの両方を沢山抱えている」という点。
マイリー・サイラスとキム・カダーシアンにファンとヘイターが多いのは、今に始まった現象ではないけれど、 ドナルド・トランプも共和党大統領候補者の中で、支持率と不支持率が最も高い存在。 それによって何が起こるかと言えば、トランプの支持者が彼のニュースや言動に関心を払うのと同様に、 トランプのヘイターも 彼を嫌うためのネタを得るためにその報道に関心を払わずにはいられないこと。
すなわち、支持者はいても ヘイターが少ない候補者よりも、遥かにそのニュースに関心を払う人々が多いことを意味する訳で、 メディアは新聞や雑誌を売るため、ウェブサイトへのアクセスを増やして広告料を得るためにも、 彼について報じなければならないのが実情。 加えて、支持者とヘイターが彼についての論議を戦わせてくれるお陰で、本人が言う事や やる事以外でもパブリシティや ソーシャル・メディア上のトレンディングを獲得して、一躍 ”時の人”になっているのが、大統領選挙に出馬してからのドナルド・トランプなのだった。

そんなファンとヘイターが多いセレブリティの中には、キム・カダーシアンの夫である カニエ・ウエスト(写真上)がいるけれど、 そのカニエ・ウエストは、2015年のVMAで ビデオ・バンガード・アウォードの受賞者としてステージに上がり、 非常に長かったスピーチの最後で宣言したのが 2020年の大統領選挙への出馬。 カニエ・ウエストと言えば、10年前に起こったハリケーン・カトリーナのチャリティ基金集めのTV番組で、 当時のジョージ・W・ブッシュ大統領に対して「ジョージ・ブッシュは黒人層のことなんて どうでも良いと思っている」 とコメントして物議を呼んだこともある存在。
果たしてカニエ・ウエストがどの程度真剣に大統領選挙出馬を考えているかは定かでないけれど、 今回の選挙に立候補している退屈な共和党候補者よりは、支持者とヘイターを集めて、 話題性とパブリシティを獲得するように思えるのだった。
事実、このスピーチを受けて ホストを務めていたマイリー・サイラスは、早くもVMAのステージ上で カニエ・ウエストへの支持を表明していたのだった。

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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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