Sep. 1 〜 Sep. 7 2008




” バストか? ヒップか? ”


今週は先週の民主党大会に引き続き、共和党の党大会が行われていたけれど、それと同時にアメリカ南部をハリケーン ”ハナ” が襲っていたため、共和党党大会の初日は ハリケーンのための寄付集めの様相を呈していたのだった。
さすがに大統領選挙を控えているとあって、もし以前のカテリーナの時のような惨事が起これば 有権者の共和党離れが予想されただけに、 今回はブッシュ政権が 早め早めに手を打っている様子が感じられたけれど、 そのハリケーン、ハナがニューヨークに大雨をもたらしたのは昨日の土曜日。 このせいでU.S.オープン・テニスの日程が延期になり、今朝、日曜の新聞には ブルックリンでバスが半分水に沈みながら走っている写真が掲載されていたのだった。

さて、アメリカで今週最大のニュースとなったのが、共和党の副大統領候補、サラー・ペイランの17歳になる娘、 ブリストルが妊娠5ヶ月であるという報道。彼女は子供を出産して、子供の父親である17歳のボーイフレンドと結婚するとのことで、 マケイン候補は、サラー・ペイランを副大統領候補に選ぶ段階でこの事実を承知していたという。
この発表が行われたのは共和党党大会の初日で、大会にやってきていた党員の中には、 失望を露わにする人々もいたけれど、どうしてこんなタイミングで サラー・ペイランが娘の妊娠を明らかにしなければならなかったか?といえば、 この日発売のUSマガジンが 「サラー・ペイランが4月に出産し、ダウン症が報じられる5人目の子供が、実はブリストルの子供で サラー・ペイランは事実を隠すために 自分が妊娠したと装っている」 というスクープを報じたため。
でも現在妊娠5ヶ月であるブリストルが、4月に生まれた子供の母親であることは事実上不可能な訳で、 USマガジンの報道はこれによって真っ赤なウソであることが立証されたのだった。 この報道に腹を立てた共和党支持者からは、USマガジンの定期購読をキャンセルしたいという クレームが相次いだというけれど、 これが大ニュースとなったために、ブリストル・ペイランのボーイフレンド、レヴィー・ジョンストンが急遽、共和党大会に現れることになり 事態はメディアが喜ぶ 茶番染みた様相を呈していたのだった。
ところで、アメリカには 「マイ・スペース」 というウェブサイトがあって、メディアが犯罪者や突如スキャンダルで有名になった人間を リサーチする際に 必ずチェックするのが その人物がマイ・スペースに自らのページを持っているか?ということ。 当然のことながら、ブリストル・ペイランの子供の父親であるレヴィー・ジョンストンのマイ・スペースのページも、 直ぐにメディアがチェックすることになったけれど、そのページというのが Fワード(放送禁止用語)が何度も 何度も 登場する過激なもので、彼が 子供の父親とか 娘の結婚相手として 理想的な存在とは 冗談でも言い難いことを露呈していただけでなく、 彼はこのぺージで ブリストルの妊娠を予期していたかのように 「子供なんて欲しくない」 ときっぱりと宣言しているのだった。
共和党のマケイン・チームは 、サラー・ペイランを副大統領候補として発表する前に、ウィキペディアのページを 急いで書き換えたことが報じられているけれど、サラー・ペイランの娘のボーイフレンドのマイスペースのページまでは手が回らなかったようで、 このページは突如消去される前に しっかり数多くのメディアによってチェックされ、報じられてしまったのだった。

この報道によって今週のアメリカでは、昨年から突如再び増加し始めた ティーンエイジャーの妊娠についての論議が飛び交っていたけれど、 もし妊娠したのがバラック・オバマの娘だったら 大バッシングを展開するであろう共和党支持のコンサバティブな人々が、 彼らが日頃から反対する「ティーンエイジャーのセックス」には 一言も触れずに、 中絶より出産を選んだ ブリストルを評価しているのは、本末転倒とも言える滑稽な様子に映っていたのだった。
メディアの中にはティーンエイジャーとして母親になることよりも、ティーンエイジャーとして結婚することの難しさを指摘する声もあったけれど、 今週この件について話した私の友人達の間では、「2人の婚約は絶対に選挙用のジェスチャー」、 「選挙が終わればこの婚約は解消されるか、結婚しても 直ぐに別れるだけ」という声が殆どであった。 でもマケイン氏が勝利した場合、「義理の母親が副大統領」というのは アラスカ出身のホッケーしかしてない高校生にとっては 明るい将来展望の 切り札になる訳で、私個人の見解では 2人の関係は選挙の行方に掛かっているように思えるのだった。
その一方で メディアでは、今回のレヴィー・ジョンストンが ティーンエイジャーにセイフ・セックス(コンドームを使用したセックス)を呼びかける 格好のモデルになる という ジョークが飛び交っていて、「コンドームを使わずセックスして、相手が妊娠して、その家族が共和党だったら、 一生が台無しになる! と思えば、誰だってコンドームを使うはず・・・」 といったジョークに 人々が大笑いしているのだった。

さて、今週水曜のプライムタイムに放映されたのがそのサラー・ペイランのスピーチであるけれど、バラック・オバマのスピーチと同じくらいの 高視聴率を獲得したというこのスピーチが行われていた夜に、私が出掛けていたのがルーフトップ・バーでのパーティー。
このパーティーは、私の女友達がつい最近 別のパーティーで知り合ったパーティー・プロモーターの男性によってホストされていたもの。 どうやら私の友人はこのプロモーターの男性をすっかり 気に入ってしまったようで、 この日は、日頃あまり肌を露出したアウトフィットを着用しない彼女が、背中が大きく開いたセクシーなホルターネックのトップを着用していたのだった。 しかもNu-Braでも着けているのかと思いきや、ノーブラで この日のパーティーにやってきた私を始めとする彼女の友達は皆、 彼女のプロモーターへの入れ込みようを まざまざと見せ付けられてしまったのだった。
とは言っても彼女が着用していたトップはフロントにドレープが寄っていたので、ニップル(乳首)が見えるような大胆なものではなかったけれど、 それでも男性は直ぐに彼女がノーブラだと気付くようで、彼女自身、「自分の胸にこんなに視線が集中したのは初めて!」と言っていたのだった。

やがて、私達は ソファー・エリアで そこで初めて会ったヘッジファンダーの男性グループと、ブレスト・インプラント(豊胸手術)を始めとする 女性のボディについて語り合うことになってしまったけれど、彼らによれば ブレスト・インプラントをした胸は直ぐに分るそうで、 傷を調べるまでも無く、手触りの固さ、横になった時の胸の形がバロメーターであるという。
また 身体が痩せているのに胸が大きい体型は ブレスト・インプラントをしていると考えて間違いないのだそうで、 彼らのうちの1人は「胸のふくらみは皮下脂肪なんだから、身体の他の部分に脂肪が付かないのに、 胸にだけ付くなんてことはあり得ない」 と まるで美容整形医のように説明してくれたのだった。
中には若い頃のスーパーモデル、クラウディア・シファーのように 痩せているけれど胸が大きいというケースもあるけれど、 実際そういう体型だった私の友人によれば それは20代までの話。 胸が大きい というのはやはり皮下脂肪がつき易い体型なので、年齢と共にメタボリズムが下がってくると どうしても太り出すのだそうで、 それを防ぐためにダイエットやエクササイズをすると、スリムな体型が保てる代わりに 胸はどんどん小さくなっていく とのことだった。
したがって、このヘッジファンダーの説は 「20代のごく一部の女性を除いては 正しい」 と言えそうなものなのだった。
さらに 彼らは 「ブレスト・インプラントをした女性というのは、胸のコンプレックスが取り除かれた反動で、 胸を見せたがるので、胸が露出した服装を 時にノーブラで着用している」 とも語っていたけれど、これも非常に当たっている分析なのだった。 というのも こうした服装は私の友人でブレスト・インプラントをした女性たちに共通して言えるもので、 友人の胸の大きさなど日頃気に留めていない私が、その豊胸手術に気付く きっかけになるのが ワードローブの変化なのである。
でもこの日ノーブラだった私の友達に関しては、彼らは「君の胸はナチュラルだって直ぐ分るよ」と言っていたけれど、 それを聞いた友人が「私の胸が下がっているっていうこと?」と訊き返すと、 「違うよ、豊胸手術をした胸だったら ナチュラルを装っているサイズでも もうちょっと大きいから・・・」と 決して 慰めになっていない返事をしていたのだった。

ところで 4人のヘッジファンダーのうち、自分の「シリアスなガールフレンド」 がブレスト・インプラントをしていても構わない という意見は1人で、 その1人も 「もし不自然なインプラントだったらお断り」とのこと。 「シリアスな ガールフレンド」以外ならば、フェイクでもナチュラルでも どうでも良い」とのことだったけれど、 この時点で 逆に彼らから 「どうして女性は男が胸ばかり気にしていると思っているの?」 と訊かれてしまったのだった。
私の友達はそれに対して、「職場でもプライベートでも、男性が胸のサイズをチェックしているのを感じるから・・・」と答えていたけれど、 彼ら4人が全員、 「女性のボディ・パーツで最も気になると同時に 大切なチェックポイント」 と語っていたのは 胸ではなくてヒップ。
実際、ニューヨーク・ポスト紙が2週間ほど前に掲載したニューヨーカーに対するセックス・アンケートでも、男性にとって 「女性の最もセクシーなボディ・パーツ」とされていたのが ダントツでヒップで、アンケート対象の44%がこの回答を寄せていたのだった。 第2位がバストで24%、第3位が脚で19%、4位が目で9%、5位が首で5%というのが トップ5。
これに対して女性が 男性のボディ・パーツで最もセクシーだと考えるのは、第1位が目で36%、2位が胸で22%、3位がヒップで15%。 4位が手で13%、5位が腕で11%であったという。
ちなみに、このニューヨーク・ポストのアンケート調査でも、豊胸手術をした胸をセクシーと答えたのは僅か16%で、 84%の男性が 「セクシーだと思わない」という見解を示していたのだった。
その男性の好みのカップサイズは?という質問では、キアラ・ナイトリーに象徴されるAカップと答えたのは僅か2%。 パメラ・アンダーソンに代表されるダブルDカップも 同じ2%という回答で、 大きすぎても、小さすぎても不人気なのは見て取れるもの。 最も人気があったサイズはCカップで55%。次いでBカップで30%、第3位がDカップで11%という結果になっていたのだった。 (ちなみに、アメリカのカップサイズは日本のサイズより 大きいので、念のため!)
すなわち、ブレスト・インプラントをセクシーではないというだけあって、少なくともニューヨークの男性は 比較的リアリスティックなサイズの胸を好むことがこのアンケートからも理解できるのだった。

この日出会ったヘッジファンダーの男性によれば、女性と喋っている時に、しばしば胸に視線を落としてしまうことはあるけれど、 女性が立ち上がった時などには 絶対ヒップをチェックするし、クラブのダンスフロアなどでも 踊っている女性のヒップに視線が釘付けになることが多いとのこと。
そうした男性の好みを良く理解しているのが ストリッパー達で、 ラップダンスの際は胸よりもヒップを強調したダンスをして 彼らを喜ばせてくれるとのことだった。
さらに、そのヘッジファンダーのうちの1人が指摘したのが、「大切なのは全体的なバランスだけれど、ヒップがカッコ良い女の子は、 往々にして 胸が大きい女の子よりも 魅力的なボディをしている」ということで、 私達は それぞれに頭に浮かぶイメージも手伝って 一斉に「ふーん、なるほど・・・」 とうなってしまったのだった。

やがてクラブから出て、タクシーを拾おうと歩いている時に 女友達の1人が言ったのが 「明日からジムでヒップアップのワークアウトを 集中的にやらなきゃ・・・」ということ。 確かにストリッパーのラップダンスまで例に挙げられたら、男性の目を引き付けるには 「バストよりヒップ」という説は かなり説得力があったのは事実だけれど、リサーチ好きな私が ヘッジファンダーの1人に 魅力的なヒップについて質問していたところ、 「魅力的なヒップを語る際に 細く引き締まったウエストラインはマスト!」という厳しい条件が付いていたのだった。
ふと考えると、女性にとって男性の最もセクシーなボディ・パーツである ”目” は、エクササイズもダイエットも要らない部分。 私は男性に生まれたいと思ったことは一度も無いけれど、こういう男女の価値観を見せ付けられるにつけて、 「男性は楽で良いなぁ・・・」 と考えてしまうのだった。





Catch of the Week No. 5 Aug. : 8 月 第 5 週


Catch of the Week No. 4 Aug. : 8 月 第 4 週


Catch of the Week No. 3 Aug. : 8 月 第 3 週


Catch of the Week No. 2 Aug. : 8 月 第 2 週






執筆者プロフィール

秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。
丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、1989年渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。