Aug. 30 〜 Sep. 5 2010




” Beige on Beige ”


今週末のアメリカは、夏の終わりを意味するレイバー・デイを月曜に控えた3連休。
ニューヨークは心配されたハリケーンの影響も殆ど無く、晴天かつ 過ごし易い気温の絶好のお天気となっているのだった。
そんな中、目下ニューヨークで行われているテニスのU.S.オープンは、今年も観客動員数記録を5年連続で更新することが見込まれているとのことで、 リセッションに入ってからも、利益を伸ばしている数少ないスポーツ・イベント。
その理由は、開催時期がレイバー・デイ・ウィークエンドを含む夏の最後のバケーション・シーズンに重なっているため、 旅行者が沢山訪れること。2週間に渡って行われるイベントであるため、観客が日程を調整して訪れ易いこと。 加えて、、コーポレート・スポンサーがPR経費削減のため、小さなイベントのサポートを取り止める代わりに、 USオープンのようなメジャーなイベントに絞って予算を使うようになっている傾向が挙げられているのだった。
またアメリカのテニス人口の増加も U.S.オープンの商業的サクセスに一役買っていると指摘されるけれど、 1週間ほど前のニューヨーク・タイムズでは、ニューヨークには数多くのテニス・プレーヤーが居るものの、 コートが足りなくて プレーが出来ない人々が多い実情が記事になっていたのだった。

さて、レイバー・デイの休日が終わると アメリカは学校が新学期/新学年を迎え、 ファッション・ウィーク、フットボール・シーズンが開幕。そしてTV業界も 夏の間の再放送が終了して、 人気番組がシーズン・プレミアを迎えるなど、ありとあらゆる世界が 夏の間のヴァケーション・モードから ビジネス・モードになるのは毎年のこと。
なので、このレイバーデイ・ウィークエンドに この夏 最後の息抜きをするアメリカ人は非常に多いけれど、 それはファースト・ファミリー、すなわちオバマ大統領ファミリーとて例外ではないこと。
そのオバマ・ファミリーがヴァケーションを楽しんでいる間にホワイト・ハウスで行われていたのが、 ”オーバル・オフィス”の通称で知られる 大統領執務室のインテリアのリノベーション。
大統領執務室が ”オーバル・オフィス”と呼ばれるのは、その名の通り この部屋の形が楕円形(オーバル)であるためだけれど、 オバマ・ヴァージョンのインテリアに改装された執務室が メディアに公開されたのが 今週半ばのこと。


写真上がその新しい執務室のインテリア。見ての通り、ベージュを基調に退屈なまでに落ち着いたインテリアに仕上がっているのが オバマ・バージョン。
オーバル・オフィスは大統領が替わる度に リノベーションが行われてきたけれど、 そのインテリアが 大統領のパーソナリティを反映している というのは、メディアやインテリアの専門家が今回に限らず指摘してきたこと。
例えば、写真下左側はジョージ・W・ブッシュ大統領時代のオーバル・オフィス、そして右側はビル・クリントン大統領時代のオーバル・オフィスであるけれど、 これがそれぞれの大統領のパーソナリティを感じさせるものであることは、アメリカ人ならば誰もが感じるところ。
過去2人の歴代の大統領のオフィスに比べて、オバマ大統領の執務室が地味に仕上がっている理由の1つは、 失業率が高く、深刻な経済問題を抱える状況を反映してのこと。リノベーション費用に国民の税金は使われていないものの、 贅沢さや華美な印象を与えるインテリアは、人々の反感を買って 大統領のイメージダウンに繋がると考えられているのだった。


でも、この地味なインテリアが好評かと言えば決してそんなことはなく、「無難に仕上がっている」というのが 褒めている人々のリアクション。
「部屋のインテリアなんてどうでも良いから、大統領にきちんとした仕事をして欲しい」、「大統領執務室を訪れたゲストは、通常、インテリアなど覚えていないもの。 だからインテリアはさほど大切ではない。」というのが、褒めてはいないものの、けなす必要も無いという人々のリアクション。 
それ以外は、「ブティック・ホテルのロビーみたいだ」、「中流家庭のTVルームのようなインテリア」、「大統領としての威厳や、パワーが感じられない」といった 不評が聞かれており、ケーブル・チャンネル、HGTVのインテリア番組で知られるデザイナー、タニヤ・ナイヤックなどは「ベージュ・オン・ベージュ・オン・ベージュ」と、 ベージュだらけの眠い色彩のインテリアを馬鹿にするようなコメントをしていたのだった。

実際、私が勉強した風水の見地からも、オーバル・オフィスのような仕事の場、それも世界の一大事の決断を下すべき場所が ベージュ・オン・ベージュというのは、あまり好ましくないインテリア。
仕事場に限らず、見た目には纏まっていても、トーン・オン・トーンでアクセントに乏しいインテリアの部屋に居ると、 気持ちが ダレて来るのが人間心理なのである。
カラーと人の心理状態というのは密接に関係していて、赤、オレンジ、黄色は食欲をそそるカラー。 なので、アメリカのファスト・フード店は赤や黄色を そのロゴやインテリアに用いているチェーンが圧倒的に多いもの。
逆に食欲を抑えるカラーはブルー。なので ダイエットをしたければ、キッチン・ガジェットや食器にブルーを用いることが奨励されているけれど、 これは時に食欲が不完全燃焼になって、逆にそれがストレスになる場合があるという。
仕事の場に相応しいのは寒色で、オバマ大統領の執務室のような 眠く、柔らかい色調が向くのはベッドルーム。 逆にベッドルームに赤など、気持ちや意識を高揚させるカラーを使ったり、衝撃的なアートを飾ったりするのは、 たとえ照明を消して真っ暗にした場合でも 睡眠を妨げる とされているのだった。

さらに私が勉強した風水の見地から、オバマ大統領の執務室の問題点と言えるのは、カラーと同様に大切とされる エレメントのバランスが取れていないこと。 風水には、火(ファイヤー)、水(ウォーター)、木(ウッド)、金(メタル)、土(アース) という5つのエレメントがあって、 これらが空間の中でバランス良く調和している状態が理想的とされるもの。
オバマ執務室の場合、アースのエレメントであるブラウン&ベージュ、ウッドのエレメントである木目の床、デスク、コーヒー・テーブルなどが 見られるけれど、メタル、ウォーター、ファイヤーが欠落している、もしくは極めて弱く見受けられるのだった。、 特に5つのエレメントの中で最もパワフルと言われ、エネルギーと情熱、人気をつかさどるファイヤーのエレメントに乏しいのは 非常に気になる点。
なので、今後オバマ大統領がこの執務室で支持率を益々下げていったとしても、それは不思議ではないように思えるのだった。


かなり以前に このコーナーに書いたことがあるけれど、まともな精神をしている人が 本能にしたがって インテリアを決めた場合、往々にして風水の見地からも正しいことをしている場合が多いもの。
人間というのは個人差はあっても自分を守り、自分を幸せにする本能を持ち合わせているもの。 なので、第一印象で好ましくない人は やがて不幸や問題を運んでくることになるし、 逆に好ましい印象を受けた人は 無理や努力をしなくても良い友達になれる場合が多いのである。
新しく引っ越しをする際も、候補の物件に足を踏み入れた途端に 「ここが好き! ここに住みたい!」と思えばそこは 幸運を運んできてくれる物件であるけれど、 そう思った物件が手に入らず、妥協をして 好きになる努力を強いられるような物件は、 暮らしているうちに不幸の連鎖を招くことになりかねなかったりする。

そうして新居に引っ越して、「ここに この家具を置きたい」というイマジネーションが沸いた場合は、 それに従ってインテリアを決めていれば、先述のように風水のセオリーにかなっているケースが多いけれど、 逆に、「これがここにあった方が便利」というような実用を優先させた見地でインテリアを決めると、 風水が悪くなってしまう場合が多いもの。
でも1人暮らしで 自分の意志でインテリアが決められる場合は、間違っている点を悟りさえすれば 比較的簡単に問題を 修復することが出来るけれど、難しいのは カップルで暮らしていて、 片方が風水を信じていて、もう片方、もっぱら男性の方が信じていないというケース。
そんなカップルが、 お互いの家具を持ち寄って 一緒に住み始めたような段階は、 特に風水のディズアスター(大災害)を招くケースが非常に多いと言われるのだった。
この場合、男性はリヴィングでTVを心地好く見る環境を優先させる傾向にあり、女性の方が 全体のバランスや見た目をトータルに考える傾向が強いという。

今週、風水のことを書くことになったのは、実は私は 昨年の10月に一緒に暮らし始めたばかりのカップルのアパートで行われたパーティーに出かけており、 その時に、カップルの見地からはアパートの風水が良いとは言えなかったので、その場に居た友達に 思わずそれを指摘してしまったのを 良く覚えているのだった。
そして今週、2人を良く知る友人と話していて、2人が今年4月に別れたものの、その後の事後処理が泥沼状態になっていることを初めて聞かされたのだった。

私がカップルのアパートの風水の何処が悪いと思ったかと言えば、まず玄関の扉からリヴィングまでの短い通路に飾り棚が置いてあって、 そのせいで、通路が狭くなっている部分があったこと。
次に気になったのはベッドルームのベッドの位置で、片側がピッタリ壁にくっついていたこと。 加えて、アパートの西南にトイレがあって、全体のレイアウトでも西南がくぼんでいたこと。 そして東南の壁にカップルの男性の自転車が縦に吊るように置かれていたことなのだった。
ちなみに マンハッタンではアパートのビルに駐輪場が無い場合、アパート内の壁に自転車置き場を設置するのは珍しくないこと。 でも車輪にドロが付いた自転車が財産や収入を意味する東南に置いてあるのは、個人的に非常に気になったのだった。

通路の飾り棚は、歩く時にぶつかり易いこともあるけれど、通路のように”気”が流れるところに物を置くと、物事や人間関係の渋滞を意味するので 風水の世界では嫌われるもの。 でも、カップルは出掛ける前や、帰宅直後に バッグやコートをここに置けるのが便利だと思っているようなのだった。
ベッドルームについては、彼らのベッドの位置は写真下の左のような状態。 部屋を広く使いたいことを理由に、ベッドの片側を壁にくっつけてしまうカップルは少なくないけれど、 こうした単なるベッドの配置が カップルの関係に大きな影響を及ぼすのである。
この位置のベッドで眠れば、壁側で寝ている方は、ベッドの足の側まで行くか、そうでなければ眠っているパートナーを踏み越えなければ ベッドから出れなくなる訳で、当然壁側の人間のフラストレーションが溜まってくるもの。 でも 相手が起きる度に、踏み越えられたり、ベッドの端から出ようとする相手のせいでブランケットを引っ張って行かれる側にしても、 決して気分が良いはずはなく、こうしたちょっとしたストレスがカップルの関係をギクシャクさせていくのである。
「まさかそんな事くらいで!」と思う人は少なくないけれど、アメリカのカップルの喧嘩の原因となっているのは、 トイレの便座の上げ下げ、エアコンの強さの好みが合わない、男性がTVのチャンネルを頻繁に変え過ぎるといった 非常に些細なことなのである。
カップルにとっての理想的なベッドの環境は写真下、右側のようにどちらの側にも通路とナイト・テーブル、ランプがあるというシンメトリーの状態。 寝る前にベッドで本が読みたいと思ったら、自分のベッドサイド・テーブルにおいてある本を取り出して、自分の側のランプを点けて読めるような状態で、 相手のスペースに踏み込んだり、相手に頼んでランプを点けたり、本を取ってもらったりすることなく、 全てのニーズが お互いに自分の側でまかなえる状況が好ましいとされているのだった。



西南のトイレと、部屋のレイアウトで西南がくぼんでいるのがカップルにとって好ましくないのは、西南が愛情や恋愛を意味する場所で、 そこにトイレがあるというのは、トイレを流す度に 愛情・恋愛運が流れていってしまうような状態。
加えて レイアウトでその部分がくぼんでいるということは、その部分が意味するパワーが欠落してしまうことを意味しているのである。
くぼんだスペースは、通常鏡などを置いて 視覚的な奥行きを出して補うのが 風水の手法として知られているのだった。

ベッドの位置に話を戻せば、シングルであれば ベッドの片側が壁にくっついていても大丈夫かと言えば、決してそんなことは無くて、 こういうポジションのベッドで眠っていると、恋愛相手にも恵まれないとされているのだった。
なので、一生1人で、ボーイフレンドさえ要らないと決めている場合以外は、壁にベッドの片側をくっつけるのは奨励出来ないこと。
カップルが別れた話をしてくれたシングルの女友達も、やはりベッドの片側を壁にピッタリくっつけていたそうで、 アパートに戻った途端にベッドの位置をずらしたと話していたのだった。

もちろん、風水が少しくらい悪くても、それを上回るパワーを持つもの、例えば大きな水槽や、惚れ惚れするようなアートなどがあると、 それによってもたらされるパワーによって 幸運を呼び込める場合は多いもの。
逆に風水が良いアパートでも、そこに運気を落とすようなボーイフレンドが転がり込んでくれば、 せっかくの風水の効果も台無しになる訳で、風水だけでは 人の今後の運勢がジャッジできないのは紛れも無い事実。
なので、たとえベージュ・オン・ベージュの退屈で眠いインテリアの 執務室であっても、 オバマ政権の今後に期待が持てないとは言い切れないけれど、 現状だと風水を考慮しなくても、その先行きが厳しいのは紛れも無い事実なのである。





Catch of the Week No. 5 Aug. : 8月 第 5 週


Catch of the Week No. 4 Aug. : 8月 第 4 週


Catch of the Week No. 3 Aug. : 8月 第 3 週


Catch of the Week No. 2 Aug. : 8月 第 2 週





執筆者プロフィール

秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。
丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、1989年渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。





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