Aug 26 〜 Sep 1, 2013

” Separation of the Week ”


今週末のアメリカは レイバー・デイのホリデイ・ウィークエンドで、事実上、夏の終わりを意味する週末。
その週末を控えて、今週は株式取引が消極的であったことが伝えられるけれど、 それに加えて市場の不安材料になっていたのがシリア情勢。
果たしてオバマ大統領が、シリアのアサド政権による自国民に対する化学兵器使用に対する 制裁の意味で、武力行使をするか 否かが見守られていたのだった。
そんな中、そのオバマ大統領は8月31日 土曜日に ホワイトハウスで 異例のアナウンスメントを行い、その中で シリアに対して軍事的制裁を加える用意があること、しかしながら その実施にあたっては 米国議会の承認を仰ぐことを明らかにしているのだった。
オバマ大統領は、シリアに対する軍事制裁の理由として 人道的な見地と同時に、 このまま 独裁者の化学兵器使用を黙認すれば、近隣の友好国に危険が及びかねないこと、 そしてこれまで アメリカが中心となって築いてきた世界秩序が崩れる危惧を訴えていたけれど、 アメリカ世論は 先週のこのコラムでも書いた通り、「人道的な理由からシリア国民を救済すべき」という声と、 「これ以上、中東における無意味な戦争は避けるべき」という意見で大きく2分されているのだった。

オバマ大統領の週末の声明を受けて、多くの政治評論家は「米国議会が軍事制裁を可決するであろう」と 予測しているけれど、同時に憶測を呼んでいるのが 大統領が下院の夏休み明けを待つことによって 時間稼ぎをしているのではないかということ。
夏休み休暇を終えて下院議員がワシントンに戻るのは9月9日の月曜日。そしてそれから、 アサド政権が化学兵器を使用したという証拠の提示や、アメリカ政府の軍事介入がもたらすインパクト、 費用の問題が審議された上で、下院が投票を行なうとされており、 多くの政治関係者は、それまでの間にシリアをめぐる情勢に変化が見られることを予測しているのだった。
今のところ、イギリスは軍事介入をしないことが議会で可決され、アメリカと同調の姿勢を見せているのはフランスのみ。 たとえ地上戦を避けて、時間的制限をつけた軍事力の行使でも、アメリカ国内には反対意見が非常に多いだけに、 本来、独断でそれが実行できる立場にあるオバマ大統領が、あえて議会の承認を仰ごうとしている背景には、 様々な政治的背景が入り組んでいると見られているのだった。


でも今週、TVニュースだけでなく、インターネット上、ソーシャル・メディア上で、最も報道と話題が集中していたのは、 先週日曜に行なわれたMTVビデオ・ミュージック・アワードにおけるマイリー・サイルスのパフォーマンス。
パフォーマンス中のTPM(ツイート・パー・ミニッツ/1分間のツイート数)が史上最高記録の 30万6,100に達した トレンディング中のトレンディングと言えたのが同パフォーマンスで、その間の総ツイート数は450万。 それが翌日になっても 2日後になっても、増え続けていたけれど、メディアやツイッターを含む ソーシャル・メディアのリアクションは 極めてネガティブなもの。 その要因になっていたのは、Twerk/トゥワークから、口から飛び出した巨大な舌、ヒップがはみ出したレイテックスのビキニ、 スタイロフォームの巨大なフィンガーを使ったジェスチャーなど、彼女がパフォーマンス中に行なった全ての行為。 ちなみに ”トゥワーク”、もしくは ”トゥワーキング” とは、ヒップを振って 性的に挑発するようなダンスのこと。ヒップ・ホップのビデオやストリッパーの振り付けに 頻繁に登場するもので、世の中一般では下品と見なされるムーブ。でも、昨今はその控えめなバージョンをあえて ふざけてやっているセレブも多いのが 実情。

このパフォーマンスやマイリー・サイルス本人に対してはケリー・クラークソン、ニック・キャノン、ケリー・オズボーン、ブルックリン・デッカー、ブルック・シールズ、ジョーン・リヴァース等の セレブリティからも、ネガテイブ・コメントやリアクションが聞かれたけれど、 その反応は会場でパフォーマンスを見せ付けられたセレブとて同じこと。 中でも、客席の同じセクションに座っていたリアナとワンディレクションの冷めきった表情、ウィル・スミス一家の唖然とした表情(写真上右側)は、 同時に話題と笑いを提供して、今週のソーシャル・メディアに何度となく登場していたのだった。



スポーツの世界では、今週からテニスのU.S.オープンが、クイーンズにあるビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニス・センターで スタートしているけれど、先週日曜に私が出掛けてきたのが そのプラクティス・デイ。 これはU.S.オープンがスタートする前日の日曜に、プロ選手の練習の様子がチケット無しに見られるイベント。
友人と私は、そこで暫し 髪の毛をフューシャに染めたヴィーナス・ウィリアムスの練習に見入っていたけれど、 ヴィーナス&セリーナのウィリアムス・シスターズのストーリーを語る際に欠かせない存在が、彼女らの父親、リチャード・ウィリアムス(写真左側、中央)の存在。
私が以前ニューヨーク・タイムズ紙で読んだ記事によれば、テニス・スタジアムでセキュリティの仕事をしていたリチャード・ウィリアムスは、 テニス・プロ達が いかに稼いでいるかを知って、既に3人の連れ子が居た当時の妻に 「あと2人、子供を産んでくれ」と懇願したという。
やがて2人の子供が生まれると、近くのテニス・クラブから中古のボールを借りてきて、ドラッグの取引が行なわれていることで 知られる近所の公園で、自分が生まれてから1度もプレーしたことが無いテニスを子供に教え始めたという。 彼は、子供が生まれる前から 70ページにも及ぶ、テニスで世界No.1になるためのマニフェストを 書き上げ、テニス界のマイケル・ジョーダンを2人育成しようと決心していたとのこと。
ここまでの話だけを聞くと、テニス・スタジアムのセキュリティが 非現実的な夢を追いかけていただけのように聞こえるけれど、 そうして育ったのが ヴィーナス&セリーナ・ウィリアムスとなれば話は別。 2人合わせて勝利した グランドスラムのシングル・タイトルは 23(ヴィーナス 7勝、セリーナ 16勝)、ダブルスのタイトルは13で、オリンピック・ゴールド・メダルは3つ。 特にセリーナは31歳の現在も、史上最年長の世界ランキングNo.1プレーヤー。今回のU.S.オープンでも No.1シードで、優勝候補。
ヴィーナスはシングルでは既に敗退してしまったものの、2人はダブルスでも優勝候補と見なされているのだった。

セリーナと同じ1981年生まれの スター・プレーヤーには、ロジャー・フェデラーが居るけれど、今や彼は第7シードで メンズのトップ4の残りの3人、ノヴァック・ジョコヴィッチ、ラファエル・ナダル、アンディー・マーレーよりも ワンランク下と 見なされつつある存在。
現在のメンズ・テニス・ブームは彼とラファ・ナダルのライバル関係が築いたと言っても決して過言ではないけれど、 何とこの2人はU.S.オープンでは 未対決のカード。 でも2人が順調に勝ち進むと、それが遂に実現するのが9月4日の水曜日なのだった。
今年もU.S.オープンは 観客動員記録を順調に更新中で、昨日土曜日(8月31日)には デイ・ゲームのセッションだけで 観客数は3万8000人以上。 ベースボールやフットボール並みの数字になっているのだった。



また、今週は様々なカップルが別離を明らかにした週でもあったけれど、 そのうちの1つは、イタリア人女優のモニカ・ベルッチと、フランス人俳優のヴァンサン・カッセル(写真上、左側)の結婚14年後の離婚。
ハリウッドからは、クリント・イーストウッド(83歳)と夫人のディーナ・イーストウッド(48歳、写真上 中央)が、17年間の結婚生活の後、 現在別居中であるというニュースが報じられており、2人の関係が暗礁に乗り上げていたのは数年前から知られていたこと。夫人はそのストレスからうつ病状態となり、 治療のためにリハビリ入りしていたけれど、 2人は 未だ離婚の手続には入っていないのだった。

同様の状況で、今週大きく報じられたのが、俳優のマイケル・ダグラス(68歳)とキャサリン・ゼタ・ジョーンズ(43歳、写真上 右)の別居。 2000年に結婚した2人は、4ヶ月以上一緒に公の場に姿を見せておらず、離婚が噂されていた中での別居報道。
スポークスパーソンは この別居が 「お互いの結婚生活を見直す期間であって、現時点では離婚する訳ではない」 と説明しているけれど、マイケル・ダグラスは2010年に喉頭がんを煩い、 キャサリンも躁うつ病でリハビリ入りを複数回繰り返す状況で、過去数年は お互いに健康問題を抱え続けていたのだった。

このようにハリウッドのスター・カップルは、そう簡単には離婚に踏み切らないケースが多いけれど、その理由の1つは、財産があり過ぎるためで、 クリント・イーストウッドの場合は約300億円、マイケル・ダグラス&キャサリン・ゼタ・ジョーンズの場合は 約275億円の資産があり、 離婚をするとなると たとえプリナプチャル・アグリーメント(離婚後の財産分与を決めた協約書)にサインしていても、 共有の不動産や子供の養育費などをめぐる 泥沼の訴訟になり、お互いに大きく財産を減らすのは珍しくないこと。
このため、時間を掛けて財産問題をクリアにしてから正式に離婚に踏み切るケースが非常に多いのだった。


でも、今週の別離報道の中で 最もインターネット上のセンセーションを巻き起こしていたのは、グーグルの創業者セルゲイ・ブリン(40歳)の不倫報道。
セルゲイ・ブリンは、2007年に夫人であるアン・ウォイッキ(40歳)と結婚しており(写真上左側が夫妻)、夫人が起業した遺伝子研究のベンチャー”23andMe / トゥエンティスリー・アンド・ミー”には、 グーグル社が かなりの投資をしていることで知られているのだった。 そのセルゲイ・ブリンの不倫相手は、グーグル社内のスタッフで、2012年5月からグーグル・グラスのマーケティング・マネージャーを務めていた アマンダ・ローゼンバーグ(26歳、写真上中央、写真右は 彼女と デザイナーのダイアン・フォン・ファーステンバーグ、セルゲイ・ブリン)。
イギリス出身のアジア系ユダヤ人であるアマンダが シリコン・ヴァレーにやってきて、グーグルに入社したのは2012年1月のこと。 その後、セルゲイ・ブリンの下で、グーグル・グラスのプロモーションを行なってきた彼女は、 表向きには同社のアンドロイド部門の副社長であるフューゴ・バラと交際関係にあり、 彼は、今回のスキャンダル発覚直後に、 グーグルを辞めて、中国の携帯電話会社 Xiaomi に移ることが発表されているのだった。
とは言っても これはあくまでキャリア上の決断で、 セルゲイ・ブリンとアマンダとの不倫とは一切無関係であるとのこと。 アマンダ・ローゼンバーグについては、スキャンダル発覚前に セルゲイ・ブリン直属のポジションから外されていることが 明らかになっているのだった。

セルゲイ・ブリン夫妻は、今週のスキャンダル発覚の遥か以前から別居しており、既に数ヶ月が経過しているとのこと。 セルゲイ・ブリンとアマンダが出会ったと当時と思しき 2012年の雑誌インタビューで、アン・ウォイッキ夫人は 「夫が6時に帰宅して、子供達と一緒にディナーをして、 子供を寝かせてから、お互いに 夜11時まで仕事をするのがいつもの生活。 週末は家族で散歩をするのが憩いの一時」と 平穏な結婚生活ぶりを語っていたけれど、 アマンダによれば セルゲイ・ブリンの結婚生活は 「外から見るより ずっと複雑な様相を呈している」とのこと。
そのアマンダ・ローゼンバーグは、スキャンダルが報じられて以来、グーグルのトップ・サーチのリストに入るほど、 一般の人々の関心をそそっていたけれど、グーグル社内でも、入社して僅か8ヶ月ほどの間に 社内の2人の上司と関係する行動力(?)が 話題になって久しい存在。彼女を知る人々は、アマンダが「男性の扱いに長けている」と証言しているのだった。

セルゲイ・ブリン夫妻も、別居は伝えられていても 離婚の話が出ていないのは、クリント・イーストウッドやマイケル・ダグラス同様。
セルゲイ・ブリンと言えば、俳優の2人よりも遥かに財産が多いビリオネア。財産があればあるほど、そう簡単に離婚をする訳には行かないのが アメリカの夫婦関係なのだった。
でも今週、別居が伝えられた どのカップルが 正式に離婚に至ったとしても、6月にこのコーナーでふれた ニューズ社のルパート・マードックほどは 離婚で財産を失うことは無いと思われるけれど、ルパート・マードックの場合も、38歳年下の若い妻と14年間 結婚した後の離婚。
年が離れたカップルが離婚、別居というと、「若い方が見切りをつけた」というイメージが持たれがちであるけれど、 クリント・イーストウッド、マイケル・ダグラス、ルパート・マードックのケースは、いずれも遥かに年上で、遥かにリッチな夫側が 別れを望んでいると言われるケース。いずれのケースも夫側に離婚歴があることを考えると、 「どんなに若い女性と結婚しようと、離婚する男性は 離婚を繰り返す」という説の正しさを実感してしまうのだった。

前述のヴィーナス&セリーナの父親、リチャード・ウィリアムスにしても、彼の2人目の妻であった、ヴィーナス&セリーナの母親と2002年に離婚し、 自分の娘達より僅か1〜2歳年上の女性と交際をスタートしたのが2009年のこと。その後、2010年12月に結婚した2人の間には、 今年、2013年に入ってから子供が生まれており、リチャード・ウィリアムスは71歳にして 再び新生児の父親になっているのだった。

恋愛の専門家によれば、「ほんの一部の例外を除いては カップル間の恋愛感情が持続するのは3年間。 離婚の危機が訪れるのは 約7年目置きのサイクル」とのことであるけれど、今週の別離報道が立証していたのが、 このデータがまんざら 外れではないということ。
マリリン・モンロー主演映画のタイトル「7年目の浮気 (オリジナル・タイトル ”The seven-year itch”)」にあるように、 7年、14年という 7年周期は、確かに結婚生活のターニング・ポイントと言えるかも知れないのだった。





執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。


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