Aug. 29 〜 Sep. 4 2016

”Sexless and the City !? ”
セックスレスになるニューヨーカー、その原因は?


今週のニューヨークで、週明けに大きな報道になっていたのが、ニューヨークの元下院議員で、 市長選にも立候補していたアンソニー・ウィーナーが、妻でありヒラリー・クリントンの長年の側近として知られる フマ・アバディンに離婚を言い渡されたニュース。
アンソニー・ウィーナーはかつては未来を嘱望された有能な政治家であったものの、インターネットを通じて知り合った女性に 自分の身体の写真を送付するという ”セクスティング”でその議員職を追われた最初の政治家。 一度は、改心したかのように見えた彼は、NY市長選に立候補した際に 再びセクスティングのスキャンダルが浮上。 それでも夫をかばう立場を貫いたフマ・アバディンとの間には、4年前に男児が生まれていたけれど、 今週再度浮上したセクスティング・スキャンダルで 問題になったのが その幼い息子が眠っている様子と共に自分の勃起した性器を捉えた写真。
これがニューヨーク・ポスト紙の表紙を飾ったのが今週の月曜で、その日の夜には 遂に堪忍袋の緒が切れたフマ・アバディンが 離婚を発表。 しかしながら、2人は既に極秘で別居生活を続けており、実質的に既に別離状態にあったことも その後明らかになっているのだった。

アンソニー・ウィーナー側は、今回の写真は服を着た状態で撮影していたこともあり、 「何も不適切なことはしてない」と反論していたものの、その写真の送付相手の女性に、 自分の息子のことを「チック・マグネット(女性を引き寄せるマグネット)に利用している」と メッセージを送付するなど、彼のセックス・アディクト(中毒)ぶりが 政治家としてだけでなく、父親としても失格と言える 深刻なものであることが明らかになっていたのだった。

 




でも、今週発表になったニューヨークのヘルス・デパートメントのデータによれば、ニューヨークではアンソニー・ウィーナーのような セックス・ドライブが盛んなタイプは時代と逆行した存在。 最新の2014年度の調査によれば、ニューヨーク市の成人人口の3分の1が、「過去1年間、オーラル・セックスを含む 一切のセックスをしていない」と答えており、これは調査を開始した2002年以来、最多の数字になっているのだった。
特にセックスから遠ざかっている年齢層は18〜24歳で、本来ならば最も活発にデート&セックスをしているはずのジェネレーション。 男女別にみると、セックスレスが多いのはやはり女性で35.8%。数字的な見地からは相手に困らないはずの男性側のセックスレスは24.6%で、 約4人に1人の割合。
人種別では、最もセックスから遠ざかっているのがアジア人で43%。この数字は黒人&ヒスパニック層よりも11%多く、白人層よりも14%多いとのこと。
ちなみに、2012年のデータによれば 過去1年セックスから遠ざかっていると回答したニューヨーカーは成人人口の18%で、 2年の間にその数が2倍弱に増えていることが分かるのだった。

セックスをしている人々については、57%がセックス・パートナーは1人と回答。セックス・パートナーが2人と回答したのは5%、 3人以上と解答した人々は7%。 マンハッタン内でセックスの回数が多いエリアはアッパー・イーストサイド、ファイナンシャル・ディストリクトを除くダウンタウン。 子供を抱えたファミリーが多いアッパー・ウエスト・サイドは、セックスの回数が少ないエリア。
要注意と言えるのは、ニューヨーカーの50%以上がコンドームを使用せずにセックスをしていると回答していることで、 特にブルックリンのグリーンポイントでのコンドームの使用率が極めて低いことが明らかになっているのだった。




セックスレスになりつつあるのはニューヨーカーに限ったことではないけれど、 その原因と言われるのは、以下のようなこと。

1. 時間と体力が無い & ストレス
既婚者がセックスレスになる理由に多いのが 時間と体力が無いという理由。 また「ストレスで、その気になれない」という声がある一方で、 約40%のカップルがセックスよりも それぞれにEメールのチェックや、翌日のスケジュールのチェックなどをベッドで 行うことを優先させると答えており、それで機会を逸しているのもセックスレスの理由になっているとのこと。

2. デートがアプリ・ベースになって、本当の出会いが無い
ティンダーのようなデート・アプリで セックス・パートナーを探す”フックアップ・カルチャー”が指摘される一方で、 出会った相手と関係する前に終わってしまうケースが多い デート不毛時代の昨今。 加えて女性が街中で 常にスマートフォンで話していたり、メッセージをチェックしていたり、もしくはヘッドフォンで音楽を聴いているので、 リアルライフで男性が女性にアプローチする機会が激減していることもセックスレスに繋がっているという。

3. インターネット・ポルノやヴァーチャル・セックスの氾濫
頻繁にセックスをしていることをひけらかす必要が無い男性を セックスレスでも満足させているのが インターネット・ポルノやヴァーチャル・セックスの存在。

4. セックスよりドラッグでハイになる方を好む
処方箋薬やコカイン、MDNAなどのデザイナー・ドラッグがレクリエーショナル・ユーズに用いられる現在、 パーティー・シーンでは「セックスよりもドラッグでハイになる方を好む」風潮が顕著になっているとのこと。




5. 「SATC」時代のような、セックスをしなければならないプレッシャーが無くなった
2008年のリーマン・ショックを境に消えたのが、「セックス・アンド・ザ・シティ」に描かれていたような セックス相手探しが社交の中心、友達に出会えばセックス談義をするような社会風潮。 逆にミレニアル世代が「Sex is over-rated(セックスは過大評価されている)」と豪語する時代になったことで、 セックスレスであることに対する罪悪感やコンプレックスが希薄になったのは紛れも無い事実。

6. Netflix and Chill?
「ネットフリックス・アンド・チル」とは、セックス・パートナーを自分の家に誘う際にミレニアル世代が使う表現。 2014年くらいから徐々に使われ始めたセンテンスで、「ネットフリックスで映画やドラマを見ながら、リラックスしない?」と いう意味。ミレニアル世代の”ブーティー・コール”と言われるのが「ネットフリックス・アンド・チル」だけれど、 ドラマのビンジ・ウォッチングがいつの間にか本来の目的になってしまって、本当に「ネットフリックス・アンド・チル」だけで終わるケースは少なくないようで、 ネットフリックスを口実に相手を誘うこと自体が間違いという指摘も。

7. STDのリスク
ここ数年のアメリカで再び増えているのがSTD(性病)。 2014年にはアメリカ国内で140万件のクラミディアが報告され、これは米国疾病予防センターに過去に寄せられた感染症数の 最多記録を塗り替えた数字。それだけでなく同年の梅毒の症例数も1994年以来最多の2万件。 淋病の数も2013年から5%アップして35万件。
それだけでなく、HIV/AIDSの感染リスク、B型肝炎、アメリカで2015年にアウトブレークした細菌性髄膜炎B、 昨今ではジカ・ウィルスなど、セックスをするということがかなりの健康面でのリスクになっているのが実情。
ニューヨークの成人10人に1人が何らかのSTDに感染しているといわれるけれど、それが20代の若い世代になると、その割合は 10人中2人にアップすることも指摘されているのだった。

ちなみに、ニューヨークでは旅行によるジカ・ウィルスの感染者数が500人を超えており、 そのうちの約350人が女性で、妊婦はそのうち約70人。この数はニューヨーク市の800万人という人口に比べれば 微々たるものであるけれど、 ジカ感染のグラウンド・ゼロとなっているマイアミでジカ・ウィルスをキャリーする蚊が3匹見つかったことから、 アメリカ国内からジカ・ウィルスを撲滅するためには向こう2年を要するという見込みが明らかになったばかり。
ちなみにジカ・ウィルスは女性が感染すると、まずウィルスが生殖機能にダメージを与えるけれど、 その影響は生涯に渡って持続するという説がある一方で、 8月中にはジカ・ウィルスが成人の脳にアルツハイマー的な症状をもたらすことも指摘されているのだった。

特にSTDのリスクについては、昨今かなり深刻に捉えられるようになってきているので、 それを考えると 不特定多数をパートナーにする 「SATC」のサマンサのようなセックス・ライフは今や人には決して自慢できないもの。
アメリカ全体でも都市部から徐々にセックスレスの傾向が広がっているけれど、 それを反映してか、女性のランジェリーの売上げも同時に下降線を辿って久しい状況になっているのだった。



執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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