Set.. 11 〜 Sep. 17




”ニューヨーカー、朝のルーティーン ”




先日ニューヨーク・ポスト紙を読んでいたら、ニューヨーカーの平均的な起床時間がボロー別 (ニューヨーク市は、マンハッタン、ブルックリン、クイーンズ、 ブロンクス、スタッテン・アイランドの5ボローで構成されている)に記載されていた。
それによれば、最も早起きなのがクイーンズとスタッテン・アイランドの住人で、その平均的な起床時刻は午前6時34分。 その次がブロンクスで6時40分、4位がブルックリンで6時44分。上位4ボローが10分以内の間に固まっているのに対して、 マンハッタンの住人は通勤時間が他のボローより 掛からないせいか、7時1分という結果が得られていたのだった。

でもこれが郊外、すなわち同じニューヨーク州でも ホワイト・プレーンズやウエスト・チェスターといったエリアからマンハッタンに通勤する人々になると、 さらに早まるようで、このただでさえ早い起床時刻は、ここ数年でどんどん早まる傾向にあるという。
その理由は混み合った通勤電車を避けると同時に、オフィス内が静かなうちにひと仕事終わらせて、代わりに早く帰宅したいという人々が 増えてきているのからで、午前5時台のグランド・セントラル行きの電車に乗る利用者は、5年前に比べて25%もアップしているという データも得られている。

ところで、男性と女性では、例え起床時間は同じでも、往々にして 家を出る時間には大きな差が出てしまうもの。 この差とは、言うまでも無く 男性と女性の支度に掛かる時間の長さによって生じるものである。
インターネットの旅行サイト、ラスト・ミニッツ・ドットコムが、3000人の男女を対象に行ったアンケート調査によれば、 女性が朝、家を出るまでの支度に掛かる時間は平均54分であったのに対して、男性はその半分以下。 女性が54分の朝の支度を1年間 毎日行ったとすると、1年365日のうちの13.7日を費やしていることになるけれど、 その内訳は、朝食に5分、シャワーに8分、スキンケアとメークに15分、ブロー&ヘア・スタイリングに18分、そして着替えに8分とのこと。
これに対して男性は女性がブロー&ヘア・スタイリングをしている間に、ほぼ全てを済ませて出掛けてしまうことが可能である。 でも逆に言えば、殆どの女性にとって、それほど時間を掛けなければならない 大切な部分が髪の毛という訳で、 事実、別のデータでは 平均的な女性は一生のうちの最低2年はヘア・サロンに居る時間で費やすという結果が得られているという。

さて、私はと言えば、マンハッタンの住人のアベレージより1時間遅い午前8時が起床時刻。私はボディ・クロックが完全に夜型にセットされていて、 遅くまで起きていることが多いので、これ以上 早く起きるのは不可能だとさえ考えていたりする。 なので、ミーティングでも 歯医者のアポイントメントでも、午前11時前にはセットしない主義。
先日も、知人の紹介で人に会うことになったけれど、そのミーティングの時間として指定されたのがなんと午前9時。 その人が滞在しているホテルのレストランで「朝食でも取りながら・・・」とのお誘いだったけれど、結局は その約束を午後2時にしてもらうことになったのだった。 その理由は私が 午前9時に人に会おうと思ったら、日頃より2時間早い 朝6時には 起きなければならないから。
私はマンハッタンに住んでいるので、タクシーを使えば、マンハッタン内の何処へでも30分以内で到着することが出来るけれど、 その移動時間は別として、朝の出掛ける前のルーティーンをこなすのに最低2時間半は必要なのである。

こう言うと 私が朝、洗濯をしたり、ランチの準備までして出掛けると勘違いしてしまう人も居るけれど、私が朝の2時間半に何をするかと言えば、 ステップ別に説明すると以下の通りである。

Step 1 :TV をつける。その後、歯を磨きながら玄関の扉の外に置いてある新聞を取りに行く
私は洗面所の前でジッと歯を磨いていることが時間の無駄に思えるので、必ず新聞を取りに行ったり、窓のブラインドを開けたりしてしまうことになる。
人によっては歯を磨かずに朝食という人も居るけれど、私は睡眠中に口の中で「バクテリアが増殖している」ことを考えると どうしても歯を磨かずして朝食が食べられないのである。

Step 2 : 朝食 & 新聞を読む
私は朝食は何が何でも食べる主義で、濃いコーヒーとパン&チーズというのがここ数年のパターン。コーヒー豆はゼイバースの ダーク・エスプレッソでないとダメだけれど、パンとチーズはいろいろな種類を試すことにしているので、何年続けても飽きないのがこのブレック・ファスト。 週末はこれにオレンジ・ジュースかフルーツが加わることもあるけれど、食後に必ず取るのがサプリメント。
新聞は、ニューヨーク・タイムズを始めとする3種類を読むことになるけれど、これは重要な仕事の一部。私は本は全くと言って良いほど 読まないし、雑誌もそれほどチェックしないけれど、新聞だけは毎朝欠かさずに読んでいるのである。

Step 3 : コンピューターを立ち上げてメールをチェックする
メールは、急ぎのものだけ この時点で返事を出すけれど、それ以外は仕事を始めてから返事をする場合が殆ど。

Step 4 : シャワー & モイスチャーライジング
シャワーには もちろんシャンプー&コンディショニングが含まれていて、余裕がある日は全身スクラブも朝のシャワーでするようにしている。 以前は夜に行っていたけれど、眠くてサボるクセがついたので、今は朝、週2〜3回は全身スクラブをするのがスケジュール。
シャワーから出てくると、顔と身体のモイスチャーライジング。顔については、私はオイリー・スキンなので、先ずトーナーで拭き取ってからセラム、 アイクリーム、モイスチャーライザーで全4工程あるけれど、昨今ではアモーレ・パシフィックのバイオ・エンザイム・リファッションイニングを 使いだしてしまったので、5工程に増えてしまった。でも1工程増えても、コレはお薦め! 肌がツルツルになります。

Step 5 : ジムに行く & ワークアウト
エクササイズ・ウェアに着替えて、日焼け止めを塗って、シャンプーで濡れた髪をポニー・テールに束ねるだけでノーメイクで出掛けてしまうのがジム。 ジムは自宅のビルの中にあるので、通い時間はほぼゼロだと思っているけれど、実際に測ってみると、往復に5分は掛かっていることになる。 ジムは毎日欠かさず行く代わりに、「30〜40分しかワークアウトをしない」と決めているので、休憩無しでエクササイズをこなして、 「もうちょっと続けたい」と思っても、時間が来たら止めることにしている。

Step 6 : 再びシャワー & モイスチャーライジング
この時のシャワーはジムでかいた汗を洗い流すだけで、髪も濡らさないように気をつけるので、所要時間は2分程度。 傍から見ていると、このリピート・シャワーとリピート・モイスチャーライジングは時間の無駄以外の何者にも見えないらしく、 「どうしてジムの前のシャワーを省いて、1回のシャワー&モイスチャーライジングで済まさないのか?」を訊かれるけれど、シャワーを浴びないと 身体が目覚めないのでジムに行く気になれないのである。それにワークアウトをしている30分間に、 丁度ブローをし易い状態までに髪が乾いてくれるのも私にとっては魅力なのである。

Step 8 : ベッド・メイク
私は睡眠中あまり動かないので、ベッド・メイクは極めてラクで1分以下。下がったコンフォーター(掛け布団)を引っ張って、ピローとクッションを 並べ直すだけ。
起きてから直ぐにやらないのは、ベッドに体温が残った状態でベッド・メイクすると湿気が残るから。

Step 8 : ブロー・ドライ、メーク & 着替え
ブローは、先述のように髪が半乾きの状態で始めるけれど、私の場合、ロングヘアなので、どうしても8〜10分は掛かってしまう。 加えて前髪のスタイリングに5分。
メークは、ちゃんとしたオケージョンでなければ7分程度。きちんとしたオケージョンの場合はマスカラとアイシャドウを念入りに着けるので5分増し。
着替えは殆どの場合、前の日から着て行くものを考えているから、全くといって良いほど時間は掛からなくて、せいぜい3分程度。

Step 9 : アクセサリー&フレグランス
アクセサリーをつけるというのは意外に時間が掛かるもので、私の場合、時計、ブレスレット、リング(最低3つ)、アンクレット、ペンダントが 通常のラインナップ。すごく急いでいる時は、これらをタクシーの中で付けることもあるけれど、失くすと困るので なるべく家でつけるようにしている。
フレグランスは、つけ忘れた時用にサンプルを持ち歩いていたこともあったけれど、やはりきちんとスプレーする方が、きちんと香るもの。 一番良くつけるコンビネーションはシャネルのNo.19とジョー・マローンのレッドロージズのレイヤーで、急いでいる時は何も考えずにこの2本をスプレーしているけれど、時間があって、気分を変えたい場合は、別のフレグランスをつけるようにしている。 秋冬の夜のオケージョンはシャネルのCocoが多くなるけれど、Cocoはファースト・ノートよりミッド・ノート、ラスト・ノートが良い香りなので、出掛ける直前ではなく、30分から1時間前にスプレーすることになる。

Step 10 : スケジュール&持ち物の確認
ミーティングで出掛ける場所の住所や相手の電話番号を持ったか?、必要なもの、渡すものを持ったか?という確認は意外に時間が掛かるもので、 それ以外にも雨が降りそうな時に傘を持ったり、充電したアイポッドや、携帯電話を置き忘れないようにするのにも気を使うもの。
私は、2〜3個のバッグをローテーションで使っているけれど、バッグの荷物の入れ替えは朝よりも前夜に行うのが常。


この10ステップに私は少なくとも2時間半を掛けている訳だけれど、エクササイズを除けば、全てを大急ぎで済ませて、新聞を握り締めて家を出て、 タクシーの中や、ランチタイムに読むようにすれば、女性の平均である54分間で家を出ることは決して不可能ではなかったりする。
それでも、朝からバタバタと時間に追われるのはやはり嫌だし、ストレスになるのと、1日の始まりをきちんとしないと、 1日中 ダラダラしてしまうことになるので、よほどの事がない限りは、この2時間半のルーティーンは決して崩さないようにしているのである。
ちなみに女性ニューヨーカーの間では2時間半の朝のルーティーンというのは最も長い方で、最短の女性は僅か20分程度だというけれど、 朝、ジョギングやヨガをやったり、きちんと朝食を取って、新聞を読むというルーティーンを行っているニューヨーカーは決して少なくないのが実情で、 ことにエクササイズについては、「朝やった方が気分が良い」とか、「身体を目覚めさせるため」といった理由で、朝 行う人は多いという。

ところで気になるのは、朝のルーティーンをキッチリ持っている人の方が、平均的に裕福で、健康であるというデータ。 これは、2年ほど前に朝食用のシリアルの会社がマーケティング会社に依頼して行ったリサーチで得られた結果で、 社会的批判を配慮して"健康"についてのデータは使っても、”裕福”についてのデータは広告に使用しなかったというけれど、 これによれば、朝起きて、急いで身づくろいをしただけで、仕事に飛び出して行くような生活を送っている人々は、 低所得者に多いのだという。
だからと言って、私のようにルーティーンが長かったら、大金持ちになれるという訳ではないけれど、確かに ちゃんと朝食を取って、頭と身体が目覚めていれば、仕事の効率が上がるし、女性でも男性でも、身だしなみにある程度の時間を掛ければ、 きちんとした印象になるのは事実。 なので、この1日の数十分の時間のゆとりが 10年、20年と積み重なるうちに、経済的な格差となって現れて来ても 決して不思議はないのである。


さて、人間ならば誰でも、毎朝 同じことをしているのに、遅れてしまう日があったり、頭で見積もった以上に物事に時間が掛かってしまう場合が あるけれど、その最大の要因となっているのは、「忘れる」という行為。その忘れには以下の4種類がある。

1. 既に済ませた行為を忘れる
既に歯を磨いたのを忘れてしまって、もう一度磨いてしまったり、シャンプーを2度してしまう等。 通常、2度目の行為をし始めて、 既にそれを済ませたことに気付くものである。

2.目的を忘れる
何かを取りに行って、その物がある場所に来た時に 何を取りに来たかを忘れたり、物事をしようとして別の部屋に行ったけれど、 他のことに気を取られて、戻ってきた時に目的をし忘れたことを思い出す 等。 これは家の中を不必要に歩き回って時間を無駄にする原因となる。

3.置いた場所を忘れる
携帯電話、鍵、TVのリモート、外出時に持参する大切な物などを、無造作に何処かに置いてしまい、その場所が思い出ないというケース。 鍵やTVのリモコンなどは、日頃置く場所を決めていても、ふとしたきっかけでいつもと異なる場所においてしまうと、 それが探せなくなってしまう。
人間は一生のうちの1週間はTVのリモートと鍵を探していると言われるけれど、アメリカではこれを受けて、リモートやキーホールダーに取り付ける ビーパー(紛失時に音を出して在り処を知らせてくれるもの)が販売されているほど。

4.忘れ物
人間が最も忘れ場所をするのは自宅。どの程度大切なものを忘れたかにも寄るけれど、ニューヨーカーが取りに戻るのを厭わないのは、 自分の住んでいるビルを出るまで。交通機関に乗ってしまったら、よほど大切なものでない限りは 決して戻ららないし、忘れた物が無くても 大丈夫なようにする方にエネルギーを使うのが一般的。


こうした”忘れ” による遅刻を防ぐ特効薬は やはり ”よく眠ること”。 十分な睡眠が取れていないと、注意力が散漫になって、物を置き忘れたり、既にやったことを忘れたりするし、何より目覚めが悪いので、 起きてからも1つ1つの行動をする間に ボーットするため、時間を無駄にしてしまうことになる。
要するに、朝を気持ちよく迎えて、効率的に過ごすには、まず 十分な睡眠を取る事から始めなければならないのである。





Catch of the Week No.2 Sep. : 9月 第2週


Catch of the Week No.1 Sep. : 9月 第1週


Catch of the Week No.4 Aug. : 8月 第4週


Catch of the Week No.3 Aug. : 8月 第3週






執筆者プロフィール

秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。
丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、1989年渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.設立。以来、同社代表を務める。