Sep 19 〜 Sep 25 2011

” Cheap Date In No Man's Land ”

ずっと グズついたお天気が続いていた今週のニューヨークでは、毎年恒例の国連総会が行なわれていたけれど、 最も注目を集めたと同時に、アメリカのメディアの報道が集中したのが、国連への加盟申請書を提出したパレスチナ自治政府のアッバス議長 (写真左) のスピーチ。
パレスチナを国家として認め、国連への加盟を認めるようにと訴えた同議長のスピーチは、 パレスチナ暫定自治区のラマラ中心部の広場でライブ放映され、現地では人々が涙しながらそのスピーチに聞き入っていたけれど、 そのパレスチナの国連加盟の障壁となっているのがイスラエルとの紛争問題。
イスラエル寄りの姿勢を取るアメリカは、オバマ大統領がイスラエルとの問題を放置したままのパレスチナ国連加盟はあり得ないとして、 承認の採決において拒否権を発動することが見込まれているのだった。

そのアッバス議長のスピーチが行なわれた木曜には、ヨーロッパの経済不安を受けて、一時ダウ平均が527ポイントもダウン。 この日は 結局、391ポイント、3.5%の下落に落ち着いたけれど、この日は、シルバーの価格が9.6%、オイルの価格が6.5%、 ゴールドでさえ3.8%価格を下げており、「投資家たちが持っているものを全て売り逃げしようとしている」とさえ指摘されていたのだった。



その一方で、土曜日には 「オキュパイ・ウォール・ストリート」という ウォール・ストリートに対する抗議デモが ダウンタウンのユニオン・スクエアで行なわれ、 約80人の参加者が逮捕されているけれど、大きく報じられたのがデモ参加者に対する警官の乱暴な対応に加えて、 参加者の目的意識の散漫ぶり。
それもそのはずで、このデモに参加しているのは、ニューヨーク以外からやってきた20代の若い層が殆ど。 住宅ローンに追われて、家を差し押さえになった世代や、失業して、 ホームレスになったような人々ではなくて、学校は出たものの仕事に就けない若者がソーシャル・メディアを通じて 集まったのがこのムーブメント。
したがって、デモの目的もベイルアウトで優遇されたウォール・ストリートに対する抗議という参加者もいれば、単に何らかのスペクタクルを起こしたいという人々も居て、 この夏ロンドンで起こった暴動のように コントロールが効かないムーブメントではないものの、何を目的に、何を求めて行なっているデモなのかが はっきり定まっていないことが指摘されていたのだった。 同ムーブメントは9月17日の初デモを皮切りに、ウォール・ストリートの傍のズッコッティ・パークを基点に行なわれているけれど、 その参加者の多くがアップルのパワーブックをパークで使用しているのを目にしたウォール・ストリートのトレーダーが、 「アップルは世界最大の独占企業の1つで、その株が市場で1株400ドルで取引されているのを彼らは知っているのだろうか?」と 冷やかに語っていた様子を ニューヨーク・タイムズ紙は伝えており、 デモに関する記事も、「ウォール・ストリートに銃を突きつけてはいるものの、その標的が誤っている」というタイトルになっていたのだった。



話は全く変わって、私がニューヨークに来たばかりの頃は、シングル女性とシングル男性の割合は3:1と言われていて、 それが2000年代に入ってからは5:1などと言われるようになったけれど、 今日のニューヨーク・ポスト紙に掲載されていたのが、ニューヨーク・シティの中でも女性の住人が多いエリア。
これは2010年の国勢調査のデータを纏めた結果で、それによればマンハッタンのチェルシー(写真右上)では、 20代の住人の78%が女性。加えてこのエリアは ゲイ男性が多く住むことでも知られており、 記事ではチェルシーに暮らしているシングル女性が、このエリアのバーやジム、スーパーマーケットやブック・ストア等で シングル男性に巡り会う確率が極めて低いことを指摘していたのだった。
それに次いで20代の女性の住人の割合が、同年代の男性を大きく上回っているのはアッパー・イーストサイド(写真左上)。 記事では、このエリアに若い女性が多いのは「セックス・アンド・ザ・シティ 」の中のサラー・ジェシカ・パーカー演じるキャラクター、キャリーのライフスタイルのファンタジーを 描く女性が多いため と指摘されていたけれど、実際、キャリーが暮らしていたような アッパー・イーストサイドのウォークアップ(エレベーター無し)の古いアパートは、ダウンタウンに比べてレントが手頃。 したがって、20代の女性の給与でも 支払えるレントになっているのだった。

30代前半の住人のデータになると、女性の割合が多いエリアのトップ3は、全てブルックリンに移行していて、 スターレット・シティ、ウィリアムスバーグがその上位を占めているのだった。
マンハッタン全体を年齢に関係なく見た場合、女性の人口は53.1%。男性は残りの46.9%。 ここから既婚者と、ゲイ人口を差し引いた数字が、どうやったらシングル女性とシングル男性の5:1になるのか?と 疑問に思う人も居るかも知れないけれど、ニューヨークにシングルとして暮らしていると、 この5:1という数字は非常に納得できるものなのだった。

そもそもニューヨークはアメリカで最もシングル人口が多いだけでなく、一度も結婚したことが無いシングル女性が人口の42%を占めており(2010年調べ)、 この数字は2006年の39%から3%のアップ。もちろんアメリカ全体でも、一度も結婚したことが無い人口が増えつつあるけれど、 その傾向にますます拍車を掛けようとしているのが、”ジェネレーション Y ” と呼ばれる現在ティーンエイジャーから30代初頭の年齢層。
このジェネレーションは、大卒の女性と男性の割合がアメリカ史上初めて逆転し、女性の方が高学歴になった世代。 大学に在学中から、男子学生の方が数が少なく、女性は卒業して社会に出てからも、自分と同等の学歴の男性に巡り会える確率が低いジェネレーションであり、 逆に同年齢層の高学歴、高収入の男性にとっては、より取り見取りと言える買い手市場になっているのだった。

企業エグゼクティブの男性が ルックスが良くて若いモデルや、高級レストランのウェイトレスといった比較的低学歴の女性と結婚する例は、 歴史的に決して珍しくないけれど、今後、女性エグゼクティブが増えていったとしても、自分より学歴が低いウェイターや、 アパートの管理人と結婚するという例は、上昇志向をパートナーに求める傾向が強い 女性としての本質が変わらない限りは、 そうそう増えるとは思えないもの。
その結果、自分より学歴やソーシャル・ステータスが低い男性と結婚するよりも、シングル・ライフを続ける女性が増えると見込まれているのが ジェネレーションY なのだった。

その一方で、今日のニューヨーク・ポスト紙に掲載されていたのが、”Cheap Dates” という記事。
同記事には ”How The 'Price' Sex Has Dropped Record Lows / セックスの’価格’が如何に記録的に低くなったか” という副題が付いていたけれど、 記事の内容は、ジェネレーションYの女性が あまりに簡単にセックスをするようになったため、男性側はお金や愛情を注ぐことなく、 かつて無いほど簡単に女性と関係することが出来るようになったというもの。 しかも、特に若い世代では男性の方が女性よりも経済的に不安定なので、結婚のように経済的責任が生じる関係になるの拒む傾向にあるけれど、 それでもセックス・パートナーには事欠かないので、男性側はどんどん理想だけが高くなっていって、結婚できない体質を形成しつつある様子が記載されていたのだった。

記事の中に紹介されていたデータによれば、現在のアメリカの大学生のうち、女性の50%、男性の62%が、 「特に好きでもない相手とセックスをする」と答えていたけれど、 そのセックスで、「オーガズムに達した」と回答した男子学生が42%であったのに対して、女子学生は僅か19%で、 女性側にとっての満足度は極めて低いもの。
加えて半分以上の53%の女子学生が「セックスの後、相手から敬意が感じられなくなった(相手が冷たくなった)」と回答しており、 これは同じ回答をした男子学生24%と大きな開きを見せているいのだった。
一方、大学に通っていない18〜23歳の女性に対するアンケートによれば、28%が男性と出会って1週間以内にセックスをすると回答。 そのうちの15%は、「ファースト・デートでセックスをする」という回答であったという。


ジェネレーションYは、そもそもテック・サヴィー(テクノロジーに精通している)であるものの、 フェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションが苦手と言われる世代で、 そのせいか、デートとセックスの区別が付いていないとも指摘されるジェネレーション。 なので、男性側はジェネレーションX以前の世代がしていたように、女性に花を贈ったり、 高額なバーやレストランに連れて行ったりすること無く、時にスターバックスのコーヒー1杯で 簡単にセックスが出来てしまうようになっているのだった。
でも「イージー・カム・イージー・ゴー」とは良く言ったもので、簡単に手に入るものには 思い入れを抱けないのは当然のこと。 なので、男性側は一度セックスした女性に興味が薄れてしまい、相手の女性から送られてきた携帯メッセージを無視し続けることになるけれど、 女性側にとっては、セックスの後、男性が冷たくなるというのは屈辱的に感じられること。
また、男性にとっては 女性に対する興味や欲望は 最初のセックスの段階でピークに達するけれど、 女性の場合は、たとえオーガズムを経験しなかったとしても、それらが高まるのは最初のセックスからで、 こうした男女間のズレが 女性のラブ・ライフ&セックス・ライフを益々不幸なものにしているのだった。


私は、2週間ほど前に 31歳の女友達とディナーをしたけれど、彼女は付かず離れずで、ずっと友達付き合いをしてきた男性と、 次のステップに進むこと、すなわち彼をボーイフレンドにすることをもくろんでいて、 彼女によれば相手は大金持ちの御曹司。彼のファミリーはニースにサマー・ハウスを持っていて、彼のガールフレンド、いずれは彼の妻になって、夏休みを 毎年ニースで過ごすのが目標と語っていたのだった。
その彼女は、10月に彼の親友が結婚する際に、彼が自分をウェディング・デート(結婚式に一緒にカップルとして出席する相手)に 選んでくれると見込んでいて、私に しきりに訊いて来たのが 「ウェディング・デートに自分を確実に選んでもらうために、彼と寝るべきか?、 それとも ウェディングに一緒に出かけた後、その日に彼とセックスして、自分を結婚相手として印象付けるべきか?」という質問。
私は、これは いかにもジェネレーションYらしい、短絡的な質問だと思って聞いていたけれど、 彼女の友人達の意見は、真二つに分かれていて、唯一、彼女の ”フレネミー” のみが、 「セックスしようと、しまいと、貴方と彼はどうにもならないわよ」と言ったそうで、 友達はそのコメントにはめっぽう腹を立てていたのだった。

恐らく、そのフレネミーはジェラシーから彼女にそんなことを言ったのかと思うけれど、 話を深く聞くと、まんざらフレネミーのコメントが外れているとも言えないのだった。
友達が狙っている大金持ちの御曹司は、ルックスが良く、長く特定のガールフレンドが居なかったとのことで、 私の友達とは、知り合って5年ほど。その間、彼女は何度も彼と頻繁に会う時期があって、 お互いにケミストリーを感じてはいるものの、ずっと友達のまま来たというのだった。
私が友達にアドバイスしたのは、「もしウェディング・デートに自分を確実に選んでもらうために 彼と寝てしまったら、 その後、彼女は彼がウェディングに誘ってくれるのをパラノイア状態で待つことになって、 結局、彼はウェディングには誘ってこないだろう」 ということ。 加えて、「ウェディングの日に彼とセックスしようとしたら、相手に拒まれる」というセンテンスが喉まで出掛かったけれど、 それは彼女が実際にウェディングに誘われるまで 言わないことにしたのだった。

私がこう考えるのは、もし彼が簡単に女性とセックスするタイプの男性ならば、彼女が自分に興味があるのを知りながら、 5年も友達関係を続けるはずが無いと思ったのが理由の1つ。また彼が、私の友達を特別に思っていても、いなくても、 親友が結婚して、自分がベストマン(新郎の付き添い)という大役を務める日に、わざわざ彼女と 初めてのセックスをする必要は無い訳で、 そんな日に彼に迫ったら、彼女が拒まれるのは目に見えているのだった。
私には、どうして セックスをする度に往々にして捨てられたり、惨めな思いをしているジェネレーションYの女性達が、 それでもセックスを切り札のように思っている理由が理解できないけれど、 先に触れたニューヨーク・ポスト紙の記事でも、女性達が簡単にセックスをしてしまう習慣を改めない限り、 デートシーンにおける男性の優位は続くだろうと書かれていたのだった。

事実、この記事の中では、現在、アメリカ人男性の性関係の約30%がデートやロマンスとは全く無縁の、 単なる肉体関係、すなわちお金の掛らない娼婦状態であることが指摘されていたのだった。
もちろん、こうした男性のパートナーになって、ロマンス不在のセックスをしている 女性の中には、 男性同様にセックス・ライフを楽しもうと考えるタイプも居るようで、 80年代のマドンナの登場、90年代後半からの「セックス・アンド・ザ・シティ 」ブームで、女性のセックス観が 変わってきた結果、これまでのジェネレーションになく、セックスをドライに受け止めている人々も存在するとのこと。

セックスを切り札のように考える傾向については、ハリウッド映画などに、女性がセックスを武器に自分が欲しいものを手に入れたり、 男性を繋ぎとめたりする様子が頻繁に描かれているのを鵜呑みにしている女性が多いためとも指摘されるけれど、 映画の中ではエンターテイメント性を高めるために登場したセックス・シーンで、女性が男性を意図する通りに操る ストーリーが描かれていても、実際の人間関係で 女性が男性を操るには、映画のシーンでは描ききれないような精神的な結びつきが必要なのは言うまでもないこと。
肉体関係がある妻よりも、ペットの犬の方を溺愛している男性が多いことを思えば、男性との強い結びつきに 必ずしもセックスが必要ではないことは明らかなのである。

私は、よく 友達に 「男性に愛されたかったら、犬のように振舞うこと」とアドバイスしているけれど、 何時でも 会えば尻尾を振ってハッピーに振舞い、飼い主が忙しい時は大人しく見守り、 暇そうな時はエンターテイメントを提供し、常に忠誠心を見せるのが犬。言葉が喋れなくても、 飼い主の男性が心を開いて何でも話すのが犬なのである。
私は動物が苦手で、ペット派ではないけれど、犬と飼い主の男性の関係を見ていると、 犬の方が 女性よりも遥かに巧みに男性の心を捉えていると思えるのだった。





執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。


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