Sep. 21 〜 Sep. 27 2015

” Here Comes Gen Z! ”
生まれながらのテック・サヴィ&アントレプレナー、
ジェネレーションZの進攻が始まる !?


今週のニューヨークの報道の大半を占めていたのが、アメリカを初訪問したローマ法王フランシスコのニュース。
火曜日にワシントン入りし、木曜の夕方からニューヨークにやってきた法王は、まず 3年の月日を掛けて改築した5番街のセント・パトリック寺院でのイベントをこなし、翌日は国連でのスピーチ、続いて9・11メモリアルでのイベント、 その後ハーレムの小学校を訪問した後、セントラル・パークをパレードし、マディソン・スクエア・ガーデンでの2時間のミサを行うという 超多忙ぶりで、80歳を過ぎた年齢を全く感じさせないエネルギー。
ちなみにフランシスコ法王は私がニューヨークに住み始めてから、ニューヨーク入りした3人目のローマ法王であるけれど 今回の警備の厳しさと 人々のエキサイトぶりは過去に例を見ない規模。 ソーシャル・メディア上では、毎日のようにローマ法王関連のハッシュタグがトレンディングになっていたけれど、 フランシスコ法王は、環境問題や移民問題、カソリックの離婚についてなど、 新しいモダンな思想を打ち出す存在とあって、法王を一目見ようと沿道を訪れた人々の中には、 カソリックやクリスチャン以外の人々の姿が多数見られたとのこと。 全てのメディアが ”ロックスターのよう”と報じるほど、人々を熱狂させたのがフランシスコ法王なのだった。




さて アメリカでは9月が新学年の始まりであるけれど、それに向けて親達が子供の新学期に必要な衣類、 学習用具等を買い揃えるのが ”バック・トゥ・スクール商戦”。これはクリスマスに次ぐ 大きなショッピング・シーズンになっているけれど、 その消費者になっているのが ジェネレーションZ。
ジェネレーションZとは、1966年〜1979年までに生まれたジェネレーションX、1980年〜1995年までに生まれたジェネレーションY(別名:ミレニアルズ)に 次ぐ1996年以降に生まれた世代。 これまで同世代については、”ポスト・ミレニアルズ”や、2000年以降に生まれたという意味の”2K’s / トゥーケイズ”(英語でKは1000を表す文字) といったネーミングを定着させようという動きがあったものの、昨今では”ジェネレーションZ”に固まりつつあるのだった。

先週のニューヨーク・タイムズ紙のスタイル・セクションには、そのジェネレーションZの特集が組まれていたけれど、 私が驚いたのは、ジェネレーションYがもてはやされていたのが つい4年ほど前なのに、既に企業やマーケッターの関心が完全にYからZに以降していること。
HBOのコメディ「ガールズ」が、ジェネレーションYの脚本家兼、主演のリナ・ダンハムによってクリエートされ、2012年から 放映がスタートした頃は、同番組がY世代の特徴を的確に描いたコメディとして捉えられていたと同時に、脚光を浴びていたのは記憶に新しいところ。

そんなガールズのキャラクターに代表されるジェネレーションYとはどんな世代かと言えば、 経済的に豊かなベビーブーマーの親達に育てられ、9・11のテロ以前の時代に人格が形成がされ、 社会に出る段階になると、 リーマン・ショックやリセッションで就職難を味わい、大学を出てからも親元で暮したり、 親のスネをかじっていた世代。でも同世代からマーク・ザッカーバーグを初めとする IPOビリオネアが登場していることもあり、 自分が これから何かを成し遂げようとしている存在だと信じるナルシストが多いといわれるのがこの世代。 そのナルシズムを象徴しているのが、ソーシャル・メディアへのポストや ブログ、セルフィー。
嫌いな職業に就くよりは、クールな職場で無給のインターンとして働くことを好むものの、 仕事が長続きしない、チーム・プレーヤーではない、といった企業人としてのネガティブ・ポイントを最も抱える世代。 しかしながらグローバルなデータ分析やマーケット・アナリシス、自分をアピールするプレス・リリースの製作やジャーナリズムなど、 1人で掘り下げる仕事には能力と効率良いパフォーマンスを見せるスペシャリスト・タイプ。
セックスに淡白で、フェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションも苦手。 アテンション・スパン(注意力を注げる時間)が短いのもこの世代の特徴。

一方、ジェネレーションYの前のジェネレーションXは、ベビーブーマーにとって ”どんな世代かが理解出来ない、Xファクター的存在”であることから ジェネレーションXと呼ばれるようになったと言われるけれど、実際のところベビーブーマーを含む他の世代に比べて キャラクター性に乏しいといわれるのが ジェネレーションX。 その後に登場したジェネレーションY=ミレニアルズの方が、人口的に大きなグループであることや、 ベビーブーマー世代から デジタルエイジ世代に移行する”合間の世代”と見なされることから、広告やマーケティングの世界からは 忘れ去られた存在になりがちなのがジェネレーション X。
この世代は、比較的ベビーブーマーの価値観を継承していて、利益重視の企業人。企業単位でプランや解決策を 立てるのに適した最後のジェネレーションとも言われているのだった。 ジェネレーションYが仕事とライフスタイルをミックスする傾向にあるのに対して、 ジェネレーションXは 私生活と仕事がはっきり分かれていて、そのバランスを重視するタイプ。 ヨガ、環境コンシャス、ヴェジタリアン&ヴィーガンなど、身体と地球に優しいライフスタイルのトレンドを 定着させたのがこの世代なのだった。






これに対してジェネレーションZは、 「ジェネレーションY ウィズ・ステロイド」、すなわちジェネレーションYにステロイドを注入した世代とも言われるけれど、 それほどまでに”オン”と”オフ”が無く、常に ”オン”の状態といわれるのが ジェネレーションZ。 同世代はインターネットに1日10時間以上コネクトし、1日に合計51億件のグーグル・サーチを行う一方で、 YouTubeでのビデオの視聴数は1日約40億。 コンピューター、タブレット、スマートフォンなどのマルチ・スクリーン・タスクを難無くこなし、 「テクノストレス ゼロ」と言われるのが ”デジタル・ネイティブ”のこの世代。
ポスト9・11に生まれた、もしくは人格が形成された世代で、サイバー・テロを含む テロへの警戒や、自分の身の安全に敏感といわれ、 楽観的であったジェネレーションYに比べて遥かに現実的で、危機感の意識が強いジェネレーション。
ジェネレーションZは、Y世代の就職難を「明日は我が身」と思って見ていたこともあり、 大卒率が最も高い世代で、ジェネレーションXの大卒が4人に1人、ジェネレーションYの大卒率が3人に1人であったのに対して、 ジェネレーションZは、2人に1人が大卒になることが見込まれているのだった。

さらにジェネレーションZは、新しいテクノロジーをいち早く取り入れて、より効率的に作業や学習をする傾向にあり、 学生時代からのハードワーカー。でも企業人には全く憧れない世代で、自分の趣味を仕事にしたいという アントレプレナー・タイプ。クリエイティブで、「自分が生み出す何かで世界を変えたい」という夢を強く持つのもこの世代。
ジェネレーションYとは異なり、パーソナル・コミュニケーションを好むのがジェネレーションZなのだった

また幼少期や成長期に、黒人大統領が8年間政権を握り、同性婚が社会の理解を得て、最高裁で合憲と見なされる時代を迎えているとあって、 これまでの世代に比べて移民を含む人種問題や、同性愛者に対して非常にオープンな考えを持っているのがジェネレーションZ。 また、ジェネレーションYの世代で、男女の大卒比率が逆転し、女性が男性同様の収入を得る時代になっていることもあり、 ”デートは男性が支払う”、”夫の稼ぎで家庭を支える”といった伝統的な男女の役割の意識が希薄で、”結婚して 子供を作る” といった人生の一般的シナリオにも捉われないことから、出生率の低下が見込まれているのだった。






消費者としてのジェネレーションZは、Y世代よりもインディペンデントで 子供の頃から自分で決断したものを 親に買ってもらう傾向が強く、ジェネレーションYが ショッピング・モールでたむろすのを好んだのに対して、 ジェネレーションZは オンライン・ショッピングを好む世代。 でもアテンション・スパンが短かったジェネレーションYより、さらにそれが短いので、 詳細な商品記述よりも写真、文字よりは絵文字 というのがこの世代にアピールする手段。
アメリカでは、ドミノ・ピザがスマートフォンにピザの絵文字を打ち込んでメッセージを送付するだけで、 事前に登録されている好みのピザのデリバリーをするシステムをスタートさせたけれど、 これはまさにジェネレーションZを攻略する手段と云われるものなのだった。

ファッションについては、トレンドやブランドには左右されないので、 スタートアップのオンライン・アパレルに大きな攻略チャンスがあると言われる世代。 そもそもクリエイティブな志向が強いので、自分のテイストが取り入れられるカスタマイズを好むのもジェネレーションZ。
ファッションの傾向としては、EDMブームの影響で90年代のレイブ・ファッションの焼き直しとも言える”ネオ・レイブ”や、 スティーブ・ジョブスのタートルネック&ジーンズを彷彿させるような、ごくごく普通の服装で スタイルを静かに主張する”ノームコア”がこれまで彼らが好んできたもの。

ソーシャル・メディアについては、ジェネレーションYがフェイスブックや、インスタグラム、ツイッターの メインユーザーであったのに対して、ジェネレーションZはフェイスブック離れをしている世代。 ウィスパー、スナップチャットなど、よりインティメートでプライベートなメディアを好むといわれるのだった。

ジェネレーションYに比べて、用心深いジェネレーションZは、アルコールやドラッグのトラブルが激減している世代でもあるけれど。 その理由としては、親の世代がよりオープンに、アルコール、ドラッグ、セックスなどについて子供に教育するようになっていることも 挙げられているのだった。
そんなジェネレーションZにとって、ドラッグよりも危険なのは肥満。 そもそもインターネットの使用時間が長く、身体を動かさない世代であるのに加えて、 ジェネレーションZは、X,Y世代に比べてグルメで、食に対してもクリエイティブな考えを持っているとのこと。 それが災いして、2027年までには 男性の77.9%、女性の61.8%がオーバーウェイトになることが予測がされているのだった。

ジェネレーションZは、私の友人の子供の世代であるけれど、 確かにYよりは 若くても大人びているというのが私の印象。またジェネレーションYが行き当たりバッタリの人生を送るイメージがあるのに対して、 Zの方が 学生時代から計画性を持って人生に取り組んでいるイメージがあるのだった。

先日、私の自宅ビルの同じフロアに住む隣人とエレベーターで乗り合わせた際に、 「貴方、インターネットのビジネスをしているのよね?」と話しかけてきたので 何を言いだすのかと思ったら、、 テクノロジーに強く、頭脳明晰な孫の自慢話を始めたので、内心”ありがちな話”と思いながら聞いていたのだった。 その孫は、奨学金を貰って勉強するうちに、やがてインベスターがついて、今や自分の会社を2社経営するアントレプレナーであるとのこと。 ここまで聞いても さほど驚きはしなかったけれど、その孫の年齢が”17歳”と聞いた時は、 さすがにビックリしてしまったのだった。 とは言っても、それがジェネレーションZ と呼ばれる世代。

アメリカ国内のジェネレーションZ人口は、現時点で約8000万人。世界人口では20億人と言われており、 最もこの世代が多いのは、インド、次いで中国、そしてアメリカの順番。
アメリカ国内のジェネレーションZは、既に年間2000億ドル(約24兆円)の消費の鍵を握る世代であるだけに、 広告業界やマーケッターがその攻略分析に余念が無いのは十分に理解できるのだった。

Will New York 宿泊施設滞在



執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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