Sep. 23 〜 Sep. 29, 2013

” Madications Can't Fix Everything "


ニューヨークはこのところ、気象予報士が 「過去10年以上のベスト・セプテンバー・ウェザー」と語るほど、 カラッとした晴天が続いてきたけれど、その9月のニューヨークの毎年恒例の行事と言えば、 月初めがテニスのU.S.オープン、その次にファッション・ウィーク、そして月末に控えているのが国連総会。
この中で、ニューヨーカーの生活に最も大きなインパクトを与えるイベントと言えるのが国連総会で、 その理由は ただでさえ渋滞が多いマンハッタンが、国連周辺の交通閉鎖や、 各国首脳が滞在するホテル周辺の警備の影響で、悪夢のような状態となるため。
逆に恩恵を受けるのは、マンハッタン内のホテルやレストランで、 ニューヨーク・ポスト紙によれば、ミッドタウンのストリップ・バーも、NY入りした国連関係者で 何時に無い賑わいを見せていたとのことなのだった。

その国連総会で、最も注目が集まったのは核開発問題で注目されるイランのロハニ大統領と オバマ大統領の外交手段の足がかりとなる 握手が実現するか?ということ。 しかしながら2人の大統領が唯一、国連ビル内で接触できると見られた24日、火曜日の昼食会に ロハ二大統領が ワインが出されることを理由に欠席したことから、 一時は何の外交的歩み寄りが見られないままに終わるかと思われていたのだった。
ところが、金曜に突如実現が報じられたのが両大統領による電話会談のニュースで、 2人の会話には、オバマ大統領が NYの最悪の交通渋滞に ロハ二大統領が巻き込まれなかったかを 気遣う一幕があったと言われるけれど、 アメリカとイランのリーダーが会話を交わしたのは 1979年のイラン革命以来のこと。
「これだけで喜ぶのは時期尚早」という慎重派の声が多い中、2人の大統領の歴史的な電話会談は 一様に歓迎すべきニュースとして メディアで大きく報じられていたのだった。


ところで、毎年国連総会の時期に合わせて、同じくニューヨークで年次総会を行なっているのが、 元ビル・クリントン大統領が設立した クリントングローバル・イニシアティブ(CGI)。
CGIは、今も 世界の政治に大きな影響力を持つクリントン元大統領が、U2のボーノ、ショーン・ペンといったセレブリティや、 マイクロソフト社のビル・ゲイツ会長といった実業家の協力を仰いで運営されているノンプロフィット団体で、 この時期、国連総会に集まった世界中のVIPを招いてイベントを催し、メディアの注目を集めているのだった。(写真上はCGIミーティングで 健康保険法案についてオープン・ディスカッションをしたクリントン&オバマ大統領)
今日 9月29日、日曜に放映された ABCテレビの最高視聴率を誇る政治番組、 「ディス・ウィーク」では そのクリントン元大統領が、ヒラリー夫人の2016年大統領選挙出馬から、 現在揉めに揉めている議会の予算案と政府機関閉鎖の可能性、そしてCGIの 現在の活動状況について、インタビューを受けていたけれど その後半で 思いもかけずに登場したのが、クリントン氏の日本についてのコメント。

CGIでは今年、 全世界の女性と女性起業家をサポートするプロジェクトに15億ドル(役1500億円)を投じているそうで、 開発途上国における女児に対する教育が 将来的に女性の社会進出と地位向上に繋がることは 目に見えているとしながら、豊かな国における女性のさらなる社会進出、および それが社会と経済にもたらす インパクトのテスト・ケースとして 「日本に多大な関心を注いでいる」とクリントン氏が語っていたのだった。 このことは日本の女性アントレプレナーの活躍や、女性の更なる政界進出を望む私にとっては、非常に嬉しいニュース。
また そのコメントの中で、クリントン氏は 安倍総理が掲げる アベノミックスを 1992年に自らが行なった経済政策を 彷彿させるとして、アベノミックスも 「直ぐとは行かなくても、将来的に効果を上げるだろう」 と 日本経済についての 明るい見通し と言える見解を語っていたのだった。

私は、昨年夏のこのコラムにも書いた通り、日本の震災がきっかけで日本のメディアを通さず、アメリカのメディアだけから日本という国を 見るように心掛けているけれど、安倍総理に替わってから アメリカのメディアに見られてきた変化が、 まず新聞記事に総理の顔写真が掲載される機会が増えたこと。 昨日土曜日も 尖閣諸島に関する安倍総理の見解が記事になっていたけれど、同問題はアメリカ・メディアにとっては 大きな関心事ではないだけに、記事の取り扱いは非常に小さいもの。新聞をめくっていて 見落としそうなサイズではあったけれど、 記事に安倍総理の顔写真が掲載されていたので 目に留まったのだった。
昨年のコラムにも書いたように、私は 震災後、アメリカのメディアしかチェックしないようにしていた結果、日本に一時帰国して 当時の野田総理の顔が分からないという状況であったけれど、安倍総理になってからは ニューヨーク・タイムズ紙だけをとっても かなりの回数、 顔写真がフィーチャーされているのだった。

また”アベノミックス”という言葉が広まっているため、日本の首相の名前を知るアメリカ人も 久々に増えているけれど、 その ”アベノミックス”で アグレッシブな経済政策を打ち出しているだけに、安倍総理になってから日本経済の記事が 増えた印象が強いのが ウォールストリート・ジャーナル。
そのせいか 今年に入ってからは 国際政治についてはさほど知識が無く、野心と嗅覚を使って お金儲けだけを考えるような 20代の若いヘッジファンダー達が 日本経済をレーダー下に置き始めているのだった。 ちなみに、彼らは昨年の今頃は日本経済を鼻で笑っていたような人々。
特に、日本が東京にオリンピックを誘致してからは、その傾向が益々高まっているようで、 安倍総理は、その経済政策もさることながら、 「日本の返り咲きプライム・ミニスター(首相)は、ツキがあるようだ」という印象を 海外の経済&金融関係者に与えつつあると言えるのだった。



さて、話は全く替わって 昨今のアメリカは空前のTVドラマ・ブーム。
今週のエンターテイメント・メディアは、私が これを書いている9月29日最終回を迎える「ブレーキング・バッド」の話題で持ちきりであったし、 今日のニューヨーク・タイムズ紙のビジネス欄でも、 これまで同番組をテーマにした ドーナツで大儲けをしてきたベーカリーが、最終回を迎えて嘆いている様子などが記事になっていたのだった。
昨今は多くのアメリカ人が ウィーク・デイに DVRに録り貯めたTV番組を 週末に一気に観る傾向があるというけれど、 「週末まで待てない」ほど夢中に観ている番組を 平日の夜中に観てしまい、変に興奮して眠れなくなるというケースも非常に多いとのこと。
睡眠の専門家は、 就寝時間前に インターネットをブラウズするだけでも、モニターが発する光のせいで睡眠を妨げることを警告しており、 ましてや 精神を興奮させる サスペンス・ドラマやスポーツ観戦は、就寝時間2時間前から避けるべきと アドバイスしているのだった。

実際のところ、アメリカで過去数年に増え続けているのが 睡眠障害。
その睡眠障害が割合として 最も多いのが メナポーズ(閉経、更年期)を迎える40歳以上の女性であるという。 とは言っても年齢や性別に関係なく、世界的に増え続けているのが 睡眠障害で悩む人々で、その原因として挙げられているのは月並みながらストレス。
では、どういう症状を 睡眠障害と呼ぶかと言えば、具体的な症例は以下のようなもの。


そんな 眠れない人々が頼るものといえば、アルコールと睡眠薬であるけれど、 アメリカ国内で、処方箋の入眠薬、睡眠薬を摂取している人の数は 860万人。 これは成人女性の5%、成人男性の3.1%に当たるという。
もちろん、アメリカ国内には タイレノールPMに代表されるような処方箋薬以外の痛み止めや、ナイクィルのような 風邪薬を、入眠剤として使っている人は非常に多いので、 何らかの スリープ・エイド(入眠剤) が無いと眠れないという人は、860万人を遥かに上回る数と見られているのだった。
多くのアメリカ人は、処方箋の睡眠薬が1ヶ月以上の常用には適さないことを知らずに、長期に渡って 摂取していることが伝えられているけれど、処方箋薬に副作用は付き物。
例えば、90年代に登場して 現在最も多く服用されている睡眠薬、アンビアンで最も一般的な副作用には、 精神的な落ち込みや混乱、口の中の乾燥、めまい等があるけれど、 それ以外に 数年前にメディアを騒がせたのが、夢遊病。 多くの服用者が 「夢遊状態で キッチンに行って、冷蔵庫の中の物を食べてしまう」という症状をレポートしており、 その結果、知らない間に体重が増えた人々が少なくなかったとさえ言われているのだった。
でもそれならば 未だ良い方で、夢遊状態でテラスから飛び降りて怪我をしたり、車を運転して 出かけてしまうというケースも 稀ながらもレポートされており、 これらの副作用はインターネット上など、一般の人々がアクセス可能なメディアでも 警告されているものなのだった。

そんなアメリカでは 成人の平均的な睡眠時間は 6時半と言われて久しいけれど、 眠りの専門家によれば、誰もが8時間睡眠を必要としている訳ではなく、人によっては7時間でも十分であるとのこと。 でもその7時間の間に、REM睡眠を含む クォリテイの高い眠りを取らなければならないようで、 残念ながらそれは、処方箋薬やアルコールに頼っていては 得られないのだった。
そんなクォリティの高い眠りを得るために奨励されているのがエクササイズであるけれど、 新たに明らかになったのが、エクササイズによって 深く、クォリティの高い眠りを 直ぐに 得ることが出来るのは、睡眠障害が無い人々だけであるという事実。 睡眠障害を持つ人が エクササイズを始めた場合、最初は 直ぐに眠れる日と 眠れない日が混在するのが通常で、 毎晩快眠が得られるまでには、数ヶ月を要することが指摘されているのだった。


ところで、アメリカは 成人人口の何と70%が何らかの処方箋薬を常用しているという、薬漬けの社会。 最も常用されている薬のトップ3は、痛み止め、コレステロール対策の薬、そしてうつ病治療薬 となっているのだった。
私は過去数年、アメリカが国力を落としている原因は 大規模な自然災害が多過ぎること、国民の肥満問題、そして何でも薬に頼って解決しようとする 薬漬け状態であると思って見ているけれど、そのアメリカは今や 愛犬にも うつ病治療薬を摂取させる時代。
昨今のアメリカで、飼い犬がうつ病になるのは 室内に居る時間が長く、オーナーが忙しくて 犬と一緒に過ごせる時間が短い という アメリカの子供達と同じような状況。当然のことながら、犬の専門医は「うつ病治療薬が犬の健康に悪い」として、もっと外を散歩させること、 きちんと犬をかまうことを推奨しているのだった。


そんな、何でも薬で治そうとするアメリカ人の中で、最も性質(たち)が悪いと言われるのが、ジェネレーションYと呼ばれる現在の20代。 この世代は、親にADD(注意欠陥障害)治療薬を過剰投与されて育ったジェネレーションなので、20代にして スリープ・エイドが必要、オンライン・コミュニケーションばかりをし過ぎて、フェイス・トゥ・フェイス・コミュニケーションをするパーティーのオケージョンでは モリー(昔で言うエクスタシー)等のドラッグで 気持をオープンにフレンドリーにしなければならない状態。
しかも彼らは実生活でちょっと難しいタスクに直面すると、直ぐに それを簡単にこなすための アプリを探して頼ろうとする世代。
そんなジェネレーションYは、大学を卒業しても きちんと就職できない世代であるけれど、 その実態は、 彼らが望むような仕事が社会に溢れていないことに加えて、彼らが一度働き始めた職場で長続きしないという、 労働意欲に乏しい世代であることが要因。
残念ながら、労働意欲を高める処方箋薬やアプリの登場は望めないだけに、この傾向はまだまだ続きそうな気配なのだった。





執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。


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