Sep. 29 〜 Oct.5 2003




Sick Of Arnold


アメリカでは10月7日に行なわれるカリフォルニアのリコール選挙のことが、 報道番組でもトークショー等のジョークでも盛んに取り上げられている。
現時点でリコール選挙での当選が有力視されているのは、俳優で共和党から立候補した アーノルド・シュワルツネッガーであるけれど、昨今ではTVを見ていると ニュースではアーノルド本人のコメントが放映され、 トークショーやバラエティ番組では彼の訛った英語を真似たコメディアンや タレントがひっきりなしに登場するので、私はすっかりあの「アーノルド英語」にウンザリしてしまっている。
彼の話し方は日本人の私が聞いていて、決してインテリジェントなイメージを与えるものではないけれど、 アメリカ人の友人に訊いてみても「あんな英語で話された政策論を真剣に聞けるのは カリフォルニアの人間くらいだ」と馬鹿にしていたりする。
でもニューヨーカーがカリフォルニアを良く言わないのは今に始まったことではなく、 ニューヨークとカリフォルニア、東海岸と西海岸が常にライバル関係にあるのは、日本の東京と大阪、関東と関西と同様である。
とは言っても今回のあまりに馬鹿げたリコール選挙によって、カリフォルニアはニューヨーカーに止まらず、 アメリカ中の「ラッフィング・マター」すなわち、笑い話になっているのは、カリフォルニアの人々でさえ認めるところである。
アーノルドに話を戻せば、彼がグループ・セックス・パーティーに興じていた話やら、 女性蔑視発言をしたことは以前から伝えられていたけれど、選挙が間近に迫った今週には、 彼がヒットラーを賞賛するコメントをした話やら、女性に性的嫌がらせをしたというスキャンダルが飛び出し、 アーノルド側はそれが現知事であるグレイ・デイビスの画策としながらも、 10月2日に正式に謝罪をしている。
アーノルドが女性にした性的嫌がらせとは、 映画の撮影の際に、打ち合わせで彼のトレーラーを訊ねた女性プロデューサーの前で いきなり全裸になって彼女をベッドに押し倒したとか、無理矢理キスをして舌を入れてきたとか、 ホテルのエレベーターで女性の水着を脱がそうとしたとか、 女性のスカートの中に手を入れて、ヒップを掴んで、涼しい顔で「Nice ass」と言ったなど、 被害者ならずとも、女性ならば胸がムカムカするようなものである。 これに対する謝罪として彼は、「自分はかつて、遊びの気分で正しいとは言えないことをしてしまった事がある。 でも今となっては、これらが人々に迷惑なことだったと自覚している。(中略) 自分が州知事になった際は、女性たちのチャンピオンになってみせる」 と語っているけれど、これを新聞で読んだ時、私は彼の英語でこの「台詞」を語っているところを 想像して思わず笑ってしまった。
更に彼は、「人々は自分の過去20年の仕事を見て自分を知っていてくれるはず」とも語っているけれど、 いくら演技が下手とは言え、彼はとりあえず俳優なのだから、 彼の仕事ぶりは人格や能力を全く反映しない訳で、これは筋違いというものである。 ハリソン・フォードはかつてインタビューで、「自分に人気があるのは、 人々が自分の演じるキャラクターが好きだからだ」と語っているのを聞いたことがあるけれど、 私はこの見解の方が正しいし、まともであるとも思っている。
今回の選挙では、アーノルド・シュワルツネッガー自身は、俳優として確立してきた自分の人気や地位が、 自分の人格や能力、政治的手腕への期待や支持であると思い込んでいるし、 カリフォルニアで彼を支持している人々は、彼が映画の中で見せるキャラクターや 能力、パワーが彼自身であると信じ込んでいるけれど、現実はハリウッド映画のように 筋書き通りには行かないし、政治の世界には特撮というものが存在しないことくらいは、 投票権のある年齢に達した普通の人間ならば分かりそうなものである。
もしカリフォルニアの人々が、州が破産寸前に追い込まれているこの危機的な状況に、 本当にアーノルド・シュワルツネッガーが州知事として「ターミネーター」のような活躍を見せてくれると思っているのであれば、 ニューヨーカーが馬鹿にする通り、彼らは映画の見過ぎであると思うし、温暖な気候のせいで楽観的になり過ぎているのではないかとも思ってしまう。
かく言うニューヨーカーとて、マイケル・ブルームバーグのような市長を選出して、 失敗しているけれど、少なくとも彼は痴漢行為をしていない分、アーノルドよりはマシだというのが 私の考えである。



プレーオフ・プレディクション

先週からメジャー・リーグではプレーオフがスタートしているけれど、 私は野球でもバスケットでも、フットボールでも、プレー・オフが始まると、 かなり真剣にゲームをフォローする傾向があって、いつもプレーオフの 第一回戦が終わった時点で 野球ならワールド・シリーズ、NBAならチャンピオン・シップ・シリーズ、 フットボールならスーパーボウルの出場チームを予測するのを趣味としている。
1回戦が終わってから予測するのは、最近それほど真剣にスポーツを見ていないので、 プレーオフに入って、全試合の結果がフォローできるようになるまで、 どのチームがどんな戦いぶりをしているかが分からないからである。
さて、今年のワールド・シリーズの顔ぶれであるけれど、アメリカン・リーグについては 私はもう7年来のヤンキー・ファンであるから、「ヤンキーズに勝って欲しい」と思うあまり、 まともな判断力や予想力は欠落していたりする。
ナショナル・リーグについては、今週の試合ぶりを見ていて フロリダ・マーリンズが行くだろうと98%くらい確信しているし、 チームとして放っているオーラから、もしかすると彼らがワールド・チャンピオンになるかもしれないとも思い始めてもいる。
少なくとも今の時点では、ヤンキー・ファンの私がどうひいき目に見ても、 マーリンズとヤンキーズが対戦した場合、ヤンキーズが勝てるとは非常に考え難いのである。
さてアメリカン・リーグで、「今年こそ」の悲願が毎年のように掛かっている球団と言えば、 ボストン・レッドソックスである。
かつて日本では巨人ファン、現在ニューヨークではヤンキー・ファンである私から見れば、 ボストン・レッドソックスという球団は、紛れもなくアメリカ版の阪神タイガースである。
メジャーリーグでのヤンキーズVS.レッドソックス戦は、日本における巨人VS.阪神戦にあたる宿敵の対戦で、 巨人、ヤンキーズが球界の王者とされる一方で、レッドソックスも阪神も「呪い」によって優勝から遠退いていた球団なのである。
阪神タイガースを苦しめた「カーネル・サンダースの呪い(前回優勝の際、熱狂した阪神ファンが道頓堀川にKFCのカーネル・サンダース人形を投げ込んだことに対する呪い)」 については 日本で随分言われてきたことだけれど、 一方のレッドソックスは、べーブルースをトレードに出したことによる「べーブルースの呪い」のために、 レッドソックスが彼をヤンキーズに放出した1920年以降は 一度も ワールド・チャンピオンになっておらず、チームが最後に優勝したのは今から85年前の1918年という、 阪神タイガース・ファンでさえ 想像を絶するほど 長い、辛い歴史を背負った球団である。 「レッドソックスを再びチャンピオンに!」の悲願は地元のレッドソックス・ファンの間では 親子3代に渡るもので、 歴史上 最も偉大なベースボール・プレーヤー、べーブルースの呪いがKFCのカーネル・サンダース の呪いほど簡単に崩れるものではないのは、歴史が証明する通りである。
だからレッドソックス・ファンの間では「Reverse The Curse/リバース・ザ・カース」、すなわち「呪いを覆せ!」 という言葉がスローガンになっているけれど、 これは他球団のファンから見れば、滑稽かつ、ジョークのネタ以外の何物でもなかったりする。 写真はロイターが発信したレッドソックス・ファンの横断幕だけれど、 あえて裏側(リバース)にプリントしているところに、ファンの痛々しいまでの 思いがこもっているものである。
私から見ていて、「レッドソックス・ファンはさぞ辛いだろうなぁ」と思うのは、 例えば、同じ勝てない球団でも、ニューヨーク・メッツのようにシーズンがスタートして数週間のうちに、 「今シーズンもまたダメだ」と分かるようなチームであれば、 残りのシーズンは 全く期待をしないで、「チームがたまに勝っただけで嬉しい」という 気楽な過ごし方が出来るのである。
ところがレッドソックスの場合、プレーオフの常連であるから、 散々期待を持たされて「やっぱり今年もダメだった」という失望を味わうことになるから、 毎年毎年、傷をえぐられるような思いをすることになる。
プレーオフが行なわれる10月にボストンの紅葉が美しいのは、 「野球で傷心のボストンの人々を慰めるための神様からのプレゼント」などと 冗談で言われているけれど、生粋のレッドソックス・ファンなら 「神様のプレゼントなんて要らないから、べーブルースの呪いを解いてくれ!」と 思っているに違いない。








Catch of the Week No.4 Sep. : 9月 第4週


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Catch of the Week No.1 Sep. : 9月 第1週