Sep. 29 〜 Oct. 5,  2014

” What's as Contagious as Ebola Virus ”
自分の人間性も感染症 ?!、その感染源とは?


今週のアメリカでは、全米に8億3000万人の利用者を持つ最大手銀行、J.Pモーガン・チェイスが 今年6月からサイバー・アタックの標的になっ ていたことを木曜に発表。 昨年の大手小売りチェーン、ターゲット、今年に入って報じらていたホームデポに続く 大手企業、それも銀行のカストマー情報が オンラインのデータベースから盗まれていた可能性が報じられたのだった。
J.P.モーガン・チェイスは4月の株主総会で、CEOであるジェイミー・ダイモンが、サイバー・セキュリティに数億円を投じて 万全の体制 をとっていることをアピールしたばかり。 それだけに、システムのもろさを露呈した形になるけれど、チェイス側では今のところは、カードの悪用、個人情報の漏洩等の問題が起こっていないことを強調しているのだった。

でも今週最も報道時間が長く割かれていたのは、現在ウエスト・アフリカを中心に大流行しているエボラ・ウィルスのニュース。
日本でもエボラ出血熱として報じられているこの 感染病は 既に世界中で7500人が感染し、アフリカだけで3000人以上の死者を出す広がりを見せていて、 その勢いが一向に収まる気配を見せないのだった。
エボラ・ウィルスは感染すると死亡率がきわめて高く、しかも治療法が確立されていないことから、恐れられている感染症であるけれど、  初のアメリカ人感染者となったのは、現地で活動していた医療スタッフ2人。どちらもアメリカに移送され、 まだFDA(食品医薬品局)が認可していない実験段階の抗体治療薬 、”ZMapp”の投与で、無事回復しているのだった。




エボラ・ウィルスで死に至る可能性が高いのは、体力や免疫力に劣る幼い子供や老人で、今週は3大ネットワークの1つNBCの取材スタッフも ウィルスに感染。 しかしこの男性は40歳で、体力もあることから、抗体治療薬の投与によって 早期の回復が見込まれているのだった。
エボラ・ウィルスの第一の症状となるのは、突然の高熱。このため現地入りしているアメリカの医療、メディアのスタッフは、1日に何度も熱を測っては、 エボラ感染の早期発見に努めているとのこと。 エボラ・ウィルスは、空気感染はしないものの、感染者の血液、汗などの分泌物、排泄物や唾液などから感染するので、 感染のきっかけになると指摘されるのが挨拶の際の握手やハグ(軽く抱き合うこと)。 このため今やアフリカ諸国では、 握手やハグを止めて、日本人のように 距離を置いて お辞儀をし始めていることが伝えられているのだった。

そんな中、今週のアメリカでは エボラ・ウィルスの国内感染第一号者がテキサス州で出て、大報道となったけれど、 この男性はアフリカのリベリアを訪れての感染。 ところが、この男性を受け入れた病院の診断医のカルテには、彼がアフリカ帰りである情報が記載漏れになっており、本来隔離を要するこの男性が 帰宅を許されるという、大失態が演じられていたのだった。 しかもエボラ・ウィルスと診断された後も、男性の個人宅の消毒作業や、感染の危険をもたらす持ち物の収集が遅れ、 地方自治体政府による大型感染病への対策が不十分であることを露呈。テキサス州では、エボラ感染の可能性を隠して入国したこの男性について 刑事責任を負わせるという声も高まっているけれど、男性の容体は悪化を辿っており、刑事責任を負うまでもなく 命が危ぶまれている状況。

そうかと思えば、土曜日にはお隣、ニュージャージー州のニューアーク空港に着陸したブリュッセル発、 ユナイテッド航空998便に搭乗していた リベリア人男性が機内で発熱と嘔吐という、エボラ・ウィルスの典型的症状を訴え、 着陸後に化学防護服を着た救急隊員に運び出されるという事態が起こっているのだった。 結局この男性は、エボラ・ウィルスには感染していないことが確認され、乗客は機内と空港で何時間も足止めを食った挙句、やっと帰宅を許されているのだった。

エボラ・ウィルスについては、今週の「サタデーナイト・ライブ」でもジョークの対象になっていたけれど、まだ笑っていられる段階なのは、 今のところアメリカでは約100件の疑わしきケースがレポートされたものの、実際の感染者は 今週テキサスで認められた1名のみ。
それよりも深刻なのは、子供達の間で感染が広がっているエンテロウィルスD68型で、ぜんそくなど、呼吸器障害のある子供にとって特に危険といわれるのがこの感染症。 既にアメリカでの感染者は500人に達し、今週はニュージャージー州で初の死者も出ており、 幼い子供を持つ親の間では、エボラ・ウィルスよりもずっと危険視されているのがエンテロウィルスなのだった。






感染症というのは、ウィルスの種類を問わず、人の傍にいることによってうつるものだけれど、これが病気だけだと思ったら大間違い。
社会性や人間性も感染症同様に、傍にいる人にうつるようで、アメリカ人アントレプレナーで、作家、モチベーショナル・スピーカーでもある Jim Rohn / ジム・ローンの語録に、「You are the average of the five people you spend the most time with / 自分(の人間性)は、 最も一緒に時間を過ごしている5人のアヴェレージである」というものがあるのだった。
これは確かに言いえて妙で、つい先日、それを強く感じたのが、ニューヨークからシアトルへ移り住んで久しいアメリカ人の友達に出会った時のこと。
ニューヨークで広告代理店に勤めていた頃の彼女は、しょっちゅう接待で高額レストランやラウンジに出入りをしていたこともあり、 足元は必ずヒールで、しかも自他共に認めるルブタン・マニア。ヘアも頻繁にハイライトを入れて、ネールもマニ&ぺディともに完璧で、いつもピカピカしていたのだった。
ところが シアトルに移住して2年が経過した彼女は、セリアック病でもないのに グルテン・フリー・ダイエットをして、足元はバーケンストック、 パジャマみたいなパンツとニットのトップというスタイルに、斜め掛けの大きなバッグ。 ニューヨークに居た頃にはすごくお金と時間をかけていた髪の毛は、 今はハイライト無しで、お箸のような櫛でアップにされていたのだった。
聞けば彼女の周囲は、エココンシャスで、スピリチャルな人が多く、ニューヨークにいた頃にもヨガ・スタジオに通っていた彼女であるけれど、 今やヨガはマスターの域に入りつつあるというのが本人の弁。 でも外観もさることながら、私が内心驚いていたのは、ニューヨークにいた頃よりもずっと喋るスピードが遅くなって、それに応じて思考回路もゆっくりになっているというところ。 なので、シャープなユーモアや情報の泉のような会話が影を潜めて、その代わりに自分の理想とする生活や、 何かが起こった場合に自分を支えてくれる友達のサポートシステムが築けたこと等を とうとうと語って聞かせてくれていたのだった。 その様子から、私は彼女がどんな人々に囲まれた生活をシアトルでしているかが良く理解できたのだった。

そうかと思えば、結婚して人が変わった女性もいて、この女性が結婚したのはフォーチュン500企業の経営者ファミリーの一員。 学歴も、キャリアもまったくパッとせず、それでもルックスが良いことから 若いころはモデル、その後は高級レストランのメイトルディで生計を立てていた彼女は、 ごくごく普通の友達に囲まれているときは、自分のお金が無い生活を冗談のように語りながらも、謙虚でフレンドリーな人柄なのだった。
でも大富豪一家の御曹司と交際を始めて、彼の友人カップル達と一緒に 夏はハンプトン、冬はスキー・リゾート、日ごろはさまざまなオープニング・パーティーや レセプションに出掛けるようになってからというもの、途端に態度が大きくなって、女友達のエンゲージメント・リングのサイズを馬鹿にしたり、 「一度ファーストクラスに乗ったら、エコノミーなんかに戻れないわ」などと豪語し、 とても数か月前までチップで生計を立てていたとは思えない振る舞いになってしまったという。
女性がその御曹司と結婚する頃には、以前からの友達はすっかり彼女にウンザリして 離れてしまい、 「アイヴィー・リーグ出身のお嬢様に囲まれたところで、彼女らと一緒にはなれないのに…」と、陰口を言われていたの だった。


「You are the average of the five people you spend the most time with」というセンテンスは、  「類は友を呼ぶ」とも解することができるけれど、私の友達の中には「不幸は伝染する」と考えて、 「不幸のオーラが出ている 人とは関わらない」と決めている人もいるのだった。
実は、私が付き合わないようにしている知り合いに、仲良くなる友達がことごとく不運になる女性がいるけれど、 私が彼女を避けている理由は、彼女が ”幸福=甘やかされた状態”、”サクセス=罪悪”、 ”不幸な人=善人”のような理論を展開してくるため。 なので、彼女は不幸が好きなのだと思ってよく分析してみると、失恋した時の愚痴が物凄くパワフルなスピーチだったり、 友達がレイオフされたり、夫に浮気をされたりすると、物凄いオーガナイズ力で励ますパーティーを主催したりで、 明らかに彼女のドライビング・フォースになっているのは「不幸」なのだった。

そんな彼女が過去5年近く、生きがいを見出して勤めている職場がソーシャル・サービス。 すなわち、家族関係や経済問題で困窮する人々のサポート。そんな恵まれない苦境にある人々を見ると、エネルギーがみなぎってくるのが彼女。
彼女は一生懸命に仕事をする一方で、心のどこかで人の不幸にエキサイトしているのでは?とさえ思えるところもあって、 彼女がいる限り不幸な人が増えることはあっても、減ることはないのでは?という気がしなくもないのだった。

それとは別に、私は生涯に一度だけ 手術のために3日間の入院したことがあるけれど、その時に心の底から思ったのが、「こんなところにいたら病気になる!」ということ。
なので、人間が たとえ短時間でも特定の環境にいたり、特定の人々に囲まれていたら、その影響を受けるのは紛れもない事実。 そう考えると、人間が一緒に過ごす時間が長い人の影響を受けても 決して不思議ではないこと。
したがって、人間関係というのは 極力選んで、「こんな人間になりたい」と思う人と付き合うのが一番ということになるのだった。



Will New York 宿泊施設滞在



執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。




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