Oct. 8 〜 Oct.. 15 2007




”サイコロジー・テストに見るお国柄 ”



今週のアメリカではゴア元副大統領がその環境問題に対する活動が認められてノーベル平和賞を受賞したことが 週末に掛けての大きなニュースになっていたけれど、その一方でニューヨークでは 木曜日に突如タイムズ・スクエアに出現し、その後逮捕された全裸男性(写真右)がちょっとした話題になっていた。
何でもこの男性、裸になったのは憂さ晴らしのためであったというけれど、10月半ばのニューヨークでこんな格好になろうという気になれるのも 今のニューヨークの暖かい気候のお陰。今週に入ってからは やっと秋らしい気温になりつつあるものの、 先週末まで続いた夏のような陽気のせいで9月は秋物が全く売れず、全米の小売店が大きな打撃を受けていたのだった。

さて、先日 久々にフランス語のクラスで一緒だった友人達と集まって、夏のバケーションや 仕事、プライベートな出来事をキャッチアップしていたら、その中の1人が ジャイアンツ・スタジアムで行われたロサンジェルス・ギャラクシーVS. ニューヨーク・レッドブルスの試合を見に行って、デヴィッド・ベッカムのプレーを初めてスタジアムで見たことを興奮気味に語っていたのだった。 これに対して 20代後半でソフトウェアの企業コンサルタントをしている女の子が返したリアクションというのが、 「ベッカムって、今アメリカでプレーしているの?」という とんでもないもの。 当然ながら一同が 一瞬 ビックリして凍り付いてしまったのだった。
ソフトウェア・コンサルタントという真っ当な仕事について、アクティブなソーシャルライフを送っている彼女が 何故 あれだけ大きく報じられたベッカムのLAギャラクシーへの移籍を知らないかと言えば、 1つ目の理由はスポーツに興味が無いこと、そして2つ目の理由はTVは観ても ニュース番組は観ないこと。3つ目は 出張が多く、忙しいこと。 そして4つ目はハイテク武装されすぎているためである。
彼女はかつてはブラック・ベリー(携帯端末機)の愛用者で、現在はアイフォンを使っており、 何処へ行ってもテキストメッセージとEメールが追いかけてくる生活。 新聞は取っておらず、ニュースはもっぱらインターネット上でチェックしているけれど、ビジネス・セクションをチェックしても スポーツはチェックしないという。また彼女は自分のビジネスに関連するニュースを効率よく閲覧できるように プログラムを組んでいるので、忙しい時はそれのみをチェックして、いわゆる新聞の一面を飾るようなニュースは 彼女が立ち寄るスターバックスなどで人が読んでいる新聞のヘッドラインを見て、「そんな事になっているんだぁ・・・」などと 思う程度であるという。
また出張が多い彼女は、月の3分の1程度を出張先のホテルで過ごすというけれど、ニューヨークに居ても 夜は食事やドリンクに出掛けていて、アパートには寝に帰るような生活。それでも「グレーズ・アナトミー」、 「アメリカン・アイドル」、「24」 といった人気TV番組のエピソードを決して欠かさないのは デジタル録画システムTIVO(ティーヴォ)を持っているため。 ティーヴォが観たい番組を全てデジタル録画しておいてくれるので、これを雨が降った週末などにCMを飛ばしながらガンガン観ることもあれば、 DVDに焼いて出張の往復の飛行機の中などで観ているのだという。
すなわち彼女の場合、限られた時間の中で効率良く自分に必要なメディアのみを取り入れた生活をしているせいで、 彼女にとって全く興味の無いスポーツ・ニュースにおいては世の中から全く隔離されたような生活をしていたという訳である。
「それにしてもベッカムの移籍を知らないなんて・・・」というのがその場に居た数人のリアクションであったけれど、 その一方で、彼女以外にもメジャーリーグ・サッカーのシーズンが始まったことを知らない人間も居たのが事実で、 いくらベッカムがやってきても、ベースボールのプレーオフが始まり、フットボール・シーズンが開幕すると メジャーリーグ・サッカーの話題は探しても見つからないような 報道になってしまうのが アメリカのスポーツ・メディアの実情なのである。

さてこの友人達の集まりの席で、私がちょっと思い立って出題してみたのが日本に居た頃に人から教わったサイコロジー(心理)・テスト。
日本人には知っている人が多いテストであるけれど、一応ご説明すると 左の絵の5人のキャラクターがストーリーの登場人物である。

L子とM男は深く愛し合う恋人関係であるけれど、M男は川向こうの町で暮らすことになってしまう。 どうしてもM男に会いたいL子は川を渡ろうとするけれど、ボートはたった2艘しかない。 そのうちの1艘の持ち主、B男は川を渡せる代償として多額の運賃を要求してきたが、L子にはそんなお金が無い。 もう1人ボートの持ち主であるS男は、一晩自分と関係すれば 川を渡らせるとオファーしてきた。
迷った挙句、L子はM男に会いたい一心で、Sと関係して川を渡るが、それを知ったM男は激怒して L子に別れを言い渡す。 傷心のL子であったが、そこにY男が現れ、「そんな (過ちを犯した)君でも構わない」と 求愛してきた。

この話を振り返って、自分が最も賛同する順番、もしくは好感を抱く順番に 5人のキャラクターを挙げていく、というのがこのテスト。 私はこのテストをこれまでにも何回もいろいろな国籍の友人に出題してきたけれど、 お国柄やバックグラウンドが出て非常に面白いのである。
種明かしをすれば、M男のMが意味するのはモラル、L子のLはラヴ、すなわち愛情。お金を払えば川を渡してやると行った B男のBは ビジネスで、これには金銭、財産全般が含まれるもの。Sは察しが付く通りセックス、 そして私に言わせると最も難解なキャラクターであるYは、 シンパシー(Sympathy)、すなわち同情(思いやり)を意味するもの。 すなわちこのテストでは、モラル、愛情、ビジネス(財産)、セックス、同情(思いやり)に対する自分の中での価値観の位置付けが 分かると言われるものなのである。

私がこれまで試した限りでは、イタリア人、フランス人、スペイン人等、ラテン系のヨーロピアンは 必ずL、すなわちLOVEがトップに来て、ビジネスとモラルが最下位と4番目に位置する傾向があるけれど、 これが日本人を含むアジア人となるとYがトップというケースが圧倒的に多く、Sを好まない意見が多いのである。
今回試した友人は、チャイニーズ・アメリカン、アメリカ人、イタリア系アメリカ人、オーストラリア人、香港チャイニーズ、 フランス人であったけれど、アメリカ人というのはビジネスを比較的優位にポジショニングする人種。 実は私もこのテストのキャラクターで、好感は抱かないものの賛同部分が多いのがBなのである。 理由は、運賃としてお金を支払ってもらうのは当たり前であるし、ニーズに応じて価格がアップするというのは 資本主義経済のあるべき姿であるため。 こういうビジネス本位のことを言うと、愛を重んじるヨーロッパ人には人でなし扱いを受けるけれど、 買い手が居るから値段が上がるという市場価格の原理を否定することは、株式市場からEベイに至るまでの生活基盤を支えるビジネスの 全てを否定する事になるというのが、アメリカ人の友人と私の言い分。 「大体、ボートを所有するのは維持費も税金も掛かるんだから・・・」と税金問題まで持ち出してくるのも いかにもアメリカ人である。
これに対して、ヨーロッパ人もアメリカ人も意外に寛容なのがセックスというサブジェクト。 「女性が身体を売るって言うのは、世の中で最古のビジネスだから」とか、 「お金が払えない代償として、男性側がそれで満足するなら 一応はフェアな取引だ」などと、肯定はしないけれど 否定もしない意見が多いのである。 でもこれがアジア人になると「お金の替わりにセックスを要求してくるなんて・・・」という意見になるけれど、 S男がジョージ・クルーニやジョニー・デップだったら 「ノー・ブロブレム!」というのが女性陣の意見。
さらに意見が分かれるのはL、すなわち ラブについてで 先のように愛する人に会うために何でもする姿を評価するラテン系ヨーロッパ人に対して、 アメリカ人もアジア人も 「だからといって別の男性と関係するのは・・・」と難色を示しており、 「自分と関係しないと恋人を殺すって言われたのなら、セックスするのは理解できるけれど・・・」 というのが香港チャイニーズの女の子の意見。
モラルについては、「このキャラクターはモラルじゃなくて、ジェラシーだ」という声もあったけれど、 カソリックの友人は賛同する部分が多いよう。
そしてアジア人が最も好む シンパシーについては、アメリカ人は比較的好意を持つけれど、 ヨーロッパ人にとっては理解に苦しむキャラクターのよう。 ちなみにオーストラリア人の男の子も、Yのキャラクターを嫌いと言っていたから オーストラリアもヨーロッパ色が強いようである

このテストは、深く考えてみるとキャラクターの行動とそれが象徴するものが上手く結びついていなかったり 矛盾だらけであったりもするけれど、あまり深刻に捉えずにゲーム感覚で行ってみると、 なるほどと思える部分もあるもの。
ちなみに、私の順位はビジネス(財産)、モラル、セックス、シンパシー(同情)、愛情。 もしこの心理テストが当たっているならば、人生の潤いを感じさせる部分に 私が全く価値観を見出していないことになってしまうけれど、 人からはマテリアリスティック(物質至上主義)に見える 私の信条は、 ビートルズの歌にもあるように 「All You Need Is Love!」。
ただし私の意味するLoveは、L子のような短絡的かつ、情熱で前後の見境が無くなる愛ではなく、人の心を満たして、Happyにしてくれる Love。 特定の対象に注ぐ愛情だけでなく、もっとグローバルで、アンリミテッドな Love なのである。





Catch of the Week No. 1 Oct. : 10 月 第 1 週


Catch of the Week No. 5 Sep. : 9 月 第 5 週


Catch of the Week No. 4 Sep. : 9 月 第 4 週


Catch of the Week No. 3 Sep. : 9 月 第 3 週






執筆者プロフィール

秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。
丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、1989年渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.設立。以来、同社代表を務める。