Oct. 25 〜 Oct. 31 2010




” How to live till 100 ”


今週のアメリカの週明けのメディアを賑わせたのが、写真右のNYポストの表紙にフィーチャーされている 俳優、チャーリー・シーンの ドラッグによる錯乱事件。
離婚した妻で女優のデニス・リチャードと2人の娘とのファミリー・ヴァケーションでNYを訪れていたチャーリー・シーンは、 宿泊先のプラザ・ホテルのスウィートルームに約160万円のダメージを与えるほどの大暴れをしていたところを 駆けつけた警官に取り押さえられ、逮捕はされなかったもののそのまま病院入りとなり、 彼のパブリシストは これを処方箋薬のアレルギーと説明していたのだった。
ところが ほどなく チャーリー・シーンが 娼婦として雇ったポルノ女優が ほぼ裸の状態で、彼の錯乱ぶりに怯えて スウィートルームのバスルームに逃げ込んでいたことが報じられ、 かなりのスキャンダルになっていたのだった。
チャーリー・シーンと言えば、以前からドラッグや買春など様々なトラブルを起こしてきた存在で、 昨年のクリスマスには当時の妻にナイフを突きつけて「殺す」と脅した罪で、保釈状態になっている身。 その保釈期間が終了する直前に起こったのがこの事件で、彼の錯乱の原因は 時計のコレクターとして知られる彼の腕時計が紛失し、ポルノ女優が盗んだのでは?と疑ったことから始まったといわれているのだった。
チャーリー・シーンは、あまりに私生活のトラブルが多いため 昨今、映画にキャストされることは無くなったものの、 過去数年はCBSが放映する「トゥー・アンド・ハーフ・マン」というコメディ番組に出演し、 高視聴率を獲得。目下30分ものの1エピソードの出演料として TV業界で最も高額な20万ドル(約1600万円)を受け取っており、 事件後のチャーリー・シーンは、直ぐに同番組の収録に戻ったことが伝えられているのだった
でもこの報道のお陰で 人々の関心が集まったせいか、今週放映された 「トゥー・アンド・ハーフ・マン」は通常よりも高い視聴率を獲得したことが伝えられているのだった。

週の後半に大きく伝えられたのは、イエメンからレーザー・プリンターを装った爆発物が小包として シカゴのシナゴーグ(ユダヤ教会堂)宛てに UPSとフェデラル・エクスプレスで発送されていたという事件で、荷物はドバイとイギリスで押収。これを受けて金曜朝には3機のUPSのカーゴ専用機が 取調べを受ける事態となり、現在、UPS、フェデックス、USポスタル・サービスはいずれもイエメンからの荷物は 受け付けない措置を取っているのだった。
その後の報道では、爆発物を含んだ荷物はこの2つだけでなく、15個程度まで発送された可能性があること。 さらに小包は シナゴーグを狙った爆発物ではなく、輸送中の飛行機の爆破を狙った可能性があること。 海外向け 小包の約60%が旅客機で輸送搬送されているだけに、旅客機を狙ったテロの可能性も否定できないこと などが指摘されていたのだった。
このため、ニューヨークのJFK空港などでは 全身の透視スキャンを乗客全員に行い、スキャナーを拒む人々に対しては 念入りなボディチェックが行なわれており、機内手荷物、チェックイン用の荷物の双方が くまなく調べられる状況。なので乗客には 空港に早めに足を運ぶよう 呼びかけられているのだった。
こうしたテロの問題は ホリデイの旅行シーズン、ギフト・シーズンを控えたアメリカに少なからず影響を与えると見込まれているけれど、 それと同時に、このテロの影響が11月2日火曜日に行なわれる中間選挙にどう影響を及ぼすか?も注目されているのだった。


ところで、高齢化社会が進んでいるのは日本もアメリカも同様であるえれど、 アメリカでは100歳以上の人口が 1990年の3万8,300人から、2009年には9万6,548人まで増えているという。
10月19日付けのニューヨーク・タイムズ紙のサイエンス・フィクションでは、そんなセンテナリアンズ(100歳以上の人々)にフォーカスを当てて、 彼らのライフスタイルを紹介していたけれど、そこに登場していたセンテナリアンズは 皆、自立していて、健康で、意志が強く、いろいろな趣味を持っている上に、規則正しい生活をしていて、私は 読んでいて自分が恥ずかしくなる思いなのだった。
100歳以上生きる長寿の人々は、長寿の家族や親類が居る確率が通常の20倍とのことで、 その視点からだと 長寿の秘訣が遺伝子にあるとも考えられるけれど、 実際のところ遺伝子が長寿に及ぼす影響は20〜30%と低く、 それよりも食生活、ダイエット、趣味、仕事といったライフスタイルが大きな影響を及ぼすことが指摘されているのだった。

同記事でメインに取り上げられていた女性に関しては、人の名前から出来事まで、極めて記憶力が良く、記者が感服するほどだったことが 記載されていたけれど、この記事の1週間前に同じくニューヨーク・タイムズ紙のサイエンス・フィクションが掲載したのが、 「Taking Early Retirement May Retire Memory, Too (早く引退すると、記憶力も引退するかもしれない)」という特集。
この記事では タイトル通り、仕事を長く続けている人々の方が記憶力が衰えないことが 様々なデータから裏付けられていたけれど、研究リサーチャーにとって意外だったのが、 いわゆる「脳トレ」と呼ばれる 記憶力や脳のトレーニングが、実際には記憶力や能力を向上させる結果をもたらしていないということ。
脳トレとして、計算やクロスワード・パズル、数独などを頻繁に行なうことによって、 計算が早くなり、クロスワード・パズルや数独の技能がアップすることはあっても、 それによって記憶力が向上する、脳が活発に活動するということは無いことがデータで裏付けられたという。

それよりも、記憶力、能力を保つために有効なのは毎日仕事を続けること。 仕事というのは、人付き合い、 人を説得したり、交渉をするソーシャル・スキルが要求されるだけでなく、 朝同じ時間に起きて、同じ時間に出勤するという規則正しい生活や責任意識、 さらにケース・バイ・ケースで様々なことに対応する柔軟さ、職場の人々や取引先から信頼を獲得しようとする努力、 仕事をこなす体力を保つための摂生などが 要求され、それを満たすための行為をごく自然に行なうことになるので、 脳トレなどとは比較にならないほど 脳を様々な形で使うことになるのは言うまでも無いこと。
すなわち、仕事の中には脳トレがもたらすことが出来ない 様々な刺激や試行錯誤がある訳で、 そうした細かい積み重ねが、記憶力や能力を保つ秘訣になっているようなのだった。

ところで別のセンテナリアンズを対象にした調査によれば、人生の中の様々な出来事を乗り越えて、 ストレスや不運などを 上手くこなせる 精神状態を身につけた人々が 100歳以上 生きる傾向が強いことも 明らかになっているのだった。
ニューヨーク・タイムズ紙で紹介されていたセンテナリアンズの女性の1人が 「人間は、死ななければ100年生きられるのよ」と 語っていたけれど、こうしたコメントは センテナリアンズの芯の強さを象徴しているとも言えるもの。
実際、同記事でメインで取り上げられていた女性が100歳まで生きる秘訣として挙げていたのは 以下の3つのRが付く言葉。


私は以前、何かの記事で 100歳以上生きている人々というのは そのライフスタイルや食生活こそは千差万別であるものの、 たった1つだけ共通していることがあって、それは彼らが若い頃からずっと「自分は100歳まで生きる」と決めていたことだったというのを 読んだことがあるけれど、1番目に挙げられたレゾルーションはまさにそれ。
かく言う私も、実はティーンエイジャーの頃から100歳まで生きると決めていて、 30代に入ってエクササイズを始めて、食べ物に気をつけるようになってからは その目標を120歳に伸ばしたのだった。 さらに今年に入ってからは、ランニングを真剣に始めて、走ることが長寿の若さ維持の秘訣を握るテロメラーゼの 働きを活発にすることを知ってからは、さらにそのゴールを5年延長。 今では125歳まで5体、5感満足に生きて、最後には私が尊敬するベンジャミン・フランクリンのように、眠っている間に死ぬのを 目標としているのだった。

私にとっての幸せな人生というのは、満足感と同時に出来るだけ沢山の幸福感を味わうこと。
幸い私は 短絡的な性格なためか 1日最低2〜3回は無理なく幸福感を味わえるタイプで、 その幸福感の出所というのは美味しい食事だったり、友達との楽しい時間だったり、 仕事や趣味の満足感だったり、ショッピング、美しいアートを観たり、生の音楽を聴いたり、と様々。
なので、長く生きていれば それだけ数多くの幸せが味わえるし、沢山の経験が出来るというのが私の考えで、 それが私が長生きに価値を見出す理由なのである。

私が「125歳まで生きるのが目標」というと、友人の中には「 そんなヨボヨボになるまで生きてどうするの?」 と訊く人が居るけれど、ニューヨーク・タイムズの記事を見る限り、ここに登場したセンテナリアンズは ファスト・フードなど身体に悪い食事と喫煙を続けて、エクササイズもせず、目標を持たずに人生を過ごして、 50歳で心筋梗塞をわずらってしまうような人々に比べて遥かにアクティブで前向きで、しかも健康的。
長生きしようと思うから摂生するのか、摂生するから長生きできるのか は 卵とニワトリがどちらが先か?のような 疑問になってしまうけれど、長い人生を想定して生きる方が、 若さが保てる上に、常に向上心を抱いていられるように思えるのだった。

昨今のアメリカでは「フィフティーズ・イズ・ニュー・サーティーズ」と言われるほど、50代が かつての30代のような ファッションやライフスタイルになってきていることが指摘されて久しいけれど、 高齢化社会を迎えるにあたって、年齢層の概念を若い方にシフトさせるというのは、 私の目から見ると非常に正しいアプローチ。
そんなアメリカでは1980年代から、高齢化社会に備えて 医療とは別に ライフスタイルの視点からの エイジングの調査や分析が数多くの研究機関で行なわれてきているけれど、 ピッツバーグ大学医療センターの ヒラリー・ティンドル博士によれば、 長生きするのはポジティブな人。ネガティブな人は、精神的に落ち込み、体重が増えて、不健康なライフスタイルを送る傾向が強いとのこと。
私がこのコラムを書くに当たって読んだ記事や文献の結論を総合しても、長生きの秘訣はやはり健康な精神と意志の力。

それに加えて、トイレが寝室に近いなど便利なレイアウトの家やアパートに住むこと、 扉や窓が開け易いこと、照明がきちんとしていること、空気がきれいで ノイズが少ない環境など、 身体に負担にならない、ストレスを感じない居住空間、怪我の危険が無いインテリアに住むことも非常に大切とされているのだった。


Catch of the Week No. 4 Oct. : 10月 第 4 週


Catch of the Week No. 3 Oct. : 10月 第 3 週


Catch of the Week No. 2 Oct. : 10月 第 2 週


Catch of the Week No. 1 Oct. : 10月 第 1 週





執筆者プロフィール

秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。
丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、1989年渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。





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