Oct. 26 〜 Nov. 1 2009




” 男性が女性をコントロールする方法 ”


今週末のニューヨークは、土曜がハロウィーン、日曜がニューヨーク・マラソンであったけれど、 多くのナイト・スポットやバーは 金曜からハロウィーン・モードに入っていて、それは週末がお休みの学校なども同様。
ニューヨークでは、ハロウィーンと言えば もっぱら大人のコスプレ・イベントだけれど、毎年世相を反映した コスチュームやマスクが売り出されるのがアメリカ。 昨年は大統領選挙を控えて、オバマ&マケイン・マスク、当時の金融危機を繁栄したヘンリー・ポルソン財務長官のフェイス・マスクなどが 登場していたけれど、今年のハロウィーンで アメリカ人が仮装していた話題のセレブリティと言えば、まず写真右のスーザン・ボイルと、 リアリティTVの茶番劇が今年最もゴシップ・メディアを騒がせたジョン&ケイト。ちなみにスーザン・ボイルになっていたのは もっぱら男性。 それ以外には、バーニー・メイドフ、マイケル・ジャクソン、レディ・ガガ、MTVのビデオ・アワードで物議をかもしたカニエ・ウエスト&テイラー・スウィフトなどが、 コスチュームを見て 誰もが理解してくれる時の人。 オバマ大統領やサラー・ペイランはちょっと時代遅れという印象になっていたのだった。


さて お天気に恵まれた今日、日曜に行われたニューヨーク・マラソンであるけれど、現在マラソンの世界でちょっとした 問題になっているのが、マラソンとは名ばかりで、歩くことを目的に参加する人々が増えつつあること。そして コースの近道をしたり、別のランナーにコースの一部を走らせるなどの ”ごまかし” をするランナーが増えてきていること。
ニューヨーク・マラソンは朝7時半に体が不自由なランナーの部門がスタートし、次いで車椅子部門が8時35分、 ハンドサイクルが8時55分にスタート。プロの女子選手のスタートが9時15分、 プロの男子選手を含む、残りのランナーは9時40分のスタートとなっているけれど、 レースが正式に終了するのは午後6時半、そして午後8時40分まではオフィシャル・タイムが記録されることになっているという。
昨年のニューヨーク・マラソンでスタート後5時間以降にゴールしたランナーは、4万人の参加者のうちの約21%、すなわち8400人。 そしてこの多くは、26.2マイル(42.196キロ)のコースの半分以上を歩いていることが指摘されているのだった。
でもニューヨーク・マラソンは、他の都市のマラソンより ずっとレベルが高く、シリアスなランナーが多く参加している大会。アメリカ全土で行われた昨年2008年度の マラソンの記録によれば、44%のランナーが6時間以上を掛けて走っていることが明らかになっているのだった。

こうしたウォーカー兼ランナーについては、「参加して、ゴールに到達することに意義がある」という声もあれば、 「完走のメダルをもらって、”マラソンを完走したことがある”と人に言いたいだけの野次馬ランナー」と批判する声も聴かれているけれど、 実際に マラソンという行事の意識は、かつての ”エリート・ランナーだけが参加するイベント” から、”アマチュア・ランナーが一生に一度はトライしておきたいイベント” に変わりつつあるという。
記録を見ても、シリアスなランナーの記録が年々伸びているにも関わらず、マラソンのアベレージ・ランナーのタイムは 1980年と2008年を比べると 格段に遅くなっており、男性ランナーのアベレージは1980年には3時間32分17秒、1マイルを8分で走るペースであったというけれど、 それが2008年には4時間16分、1マイル9分46秒のペースにダウンしているという。 また女性ランナーにしても、1980年のアヴェレージのタイムが4時間3分39秒であったのに対し、2008年にはそれよりも40分遅い 4時間43分32秒になっているのだった。
昨今の”ウォーカー” の参加を 懸念する大会の中には、「カットオフ・ライン」すなわち、完走と見なされる タイムの締め切りを設けるところも出てきているというけれど、スポーツ業界にしてみれば、こうした趣味で走り始めて、「いつかはマラソンをトライ!」と思っている ランナーは、高額なスニーカーや、ハイテク素材のウェアを購入してくれる格好の購買層。 したがって、ビジネスの見地からは 彼らのマラソン参加を奨励せざるを得ないという。

その一方で、例外なく問題視されるのが ごまかしランナー。
今日のニューヨーク・タイムズ紙の第一面に掲載されていた記事によれば、昨年のニューヨーク・マラソンで カリフォルニアの2人の女性ランナーが、最初の16マイルを4時間も掛けて走ったにも関わらず、 残りの10マイルを世界記録を雄に超える速さで走って ゴールした記録になっていたという。 ニューヨーク・マラソンと言えば、スタッテン・アイランドからスタートして、ブルックリン、クィーンズ、マンハッタン、ブロンクスというニューヨーク・シティの5ボローを走って、 再びマンハッタンに戻ってセントラル・パークでゴール というコースのマラソンであるけれど、 この2人の女性ランナーはブロンクスのコースを走らず、クィーンズからマンハッタンに入った時点で そのままセントラル・パークのゴールに向かったのだという。 もちろん、2人の女性達はディスクォリファイ、すなわちゴールが取り消されたけれど、昨年は4万人のランナーのうち、 ごまかしによる ディスクォリファイが71人 居たという。
さらにこの記事の中で紹介されていたのが、19歳のランナーが 自分のランナーズ・ナンバー をコースの途中から24歳のランナーに渡して走らせることによって、 年齢別部門の18〜19歳のカテゴリーでベスト・タイムの賞を受けていたという事実。 年齢別部門の勝者にはティファニー製のクリスタル・トレイが贈られることになっているけれど、昨年のごまかしが発覚して 本当の勝者であったジョゼフ・キーガンが トレイを受け取ったのは今年春のこと。 彼は当然のことながら、「レース当日にこの賞を受け取りたかった」と 語っていたのだった。
こうした形で、フェアなランナーが犠牲者になっている姿を見ると、マラソンのごまかしも 単なる完走取り消しや、賞やメダルの剥奪だけでなく、何らかのペナルティを科すべきなのでは?という疑問が出てくるけれど、 アメリカでは年間に40万人がマラソンを完走していると同時に、ごまかしでディスクォリファイとなる人々が 毎年 数百人も存在していることがレポートされているのだった。


さて、話は全く変わるけれど、私の友人の29歳嬢は この夏、バーで出会った男性が なかなかキュートだったので、思わず男性にドリンクをおごってあげたという。 そして2人は彼のアパートに行ったけれど、全く熱意の無いセックスの後、彼に「明日、朝が早いから・・・」と言って アパートを追い出され、 帰り際には 「明日ガールフレンドが出張から戻ってくるから、忘れ物が無いようにしてくれ」というキツイ一言で、 「2度と会いたくない!」宣言をされてしまったというのだった。
私はこの話を本人の口から聞いたのではなく、共通の友人から聞いたけれど、その時の彼女は 「男の人にドリンクなんて買ってあげるから、 その時点から蔑まれたんじゃない?」という分析をしていたのだった。

でも私にしてみれば、その理由を如実に説明するのが 以前 ニューヨーク・ポスト紙に紹介されていた ワンナイト・スタンド(一夜の関係)に対する 男女の見解の相違。それによれば、男性は ワンナイト・スタンド をする際、相手の女性のハードルを下げる(女性のレベルを落としてアプローチすること)のに対して、 女性は 同じ状況で逆に男性に対するハードルを上げるのだという。
要するに 男性側にしてみれば、純粋にセックスだけを求めているので、ある程度のルックスで 簡単に引っかかってくれる女性を選ぶ訳だけれど、 一方の女性側は 初めて会った日にセックスするリスクを冒すなら、お金があるとか、 ルックスが良いとか、それなりの理由が必要 ということになる訳で、 これは確かに 「言い得て 妙!」のアンケート結果だと思えるのだった。

でも、良く考えると このデータが女性にとって悲惨に感じられるのは、ワンナイト・スタンドというのは 男性が下げたハードルと女性が上げたハードルが 一致して起こるもの。したがって 女性が 「この人となら・・・」 と思っている時に、男性側は 「今日はこの程度で良いや!」などと 考えながら 熱心に彼女を口説いていたりするのである。その結果、お互いが 後腐れ無しのワンナイト・スタンドと割り切れるのなら、どちらにとっても無害であるけれど 往々にして、その先の関係を期待して、冷たく扱われるのは女性側なのである。


ところで、先日ニューヨーク・タイムズ紙に ティーンエイジ・ガールが家出をした後、ピンプ(売春の元締め)に美味く騙されて、 娼婦に仕立て上げられていくプロセスが記事として掲載されていたけれど、 アメリカでは 実際に 家出した少女の売春が増え続けて 社会問題になっているほど。 その数はリセッションに入ってから さらに増加傾向にあるという。
ニューヨーク・タイムズ紙では、少女達が売春に関わる実態を調査するために、 2年以上も前から逮捕されたピンプ達を対象に 電話インタビューと書面によるアンケートを行ってきたというけれど、この記事では 暴力で女性を支配して、 売春を強要するような 従来のピンプのイメージとはかけ離れた、女心を巧みに操作する男性像が描かれていたのだった。

多くの家出少女達は、まず住むところさえ無く、路頭に迷っている訳で、そんな彼女達に街角で声を掛けて 「困っているなら 助けてあげよう」 という善意を見せるのが 始まり。やがて彼女はピンプのアパートに暮らして、一時は彼のガールフレンドとして過ごすことになる。 でもやがてレントや生活費に困ったことを理由に、ピンプが 彼の友人と お金と引き換えにセックスしてくれないか?と持ち掛けるのが 彼女を売春婦に仕立て上げる 典型的なプロセス。 彼らによれば、最初の売春は本人が合意の上で行うことが大切で、 決して強要してはならないのだという。 また、いきなり見知らぬ客を取らせるのではなく、自分の友人からスタートさせることによって、 少女達は比較的抵抗無しに 売春婦の道へ入っていくのだという。
そして、その後はピンプに操られるままに客を取るようになるというけれど、ピンプはこうした駆け引きを ”ゲーム” と呼んでおり、 女性達を暴力などでねじ伏せるのではなく、女性にチョイスを与える、すなわち女性達に自ら売春を選択させるのが 彼女らを上手く操る方法であると語っているのだった。

そんなピンプ達が、家出したティーンエイジャーにしてあげている事といったら、普通のボーイフレンドよりも遥かに好待遇で、 彼女らにネール・サロンできれいにマにキュア&ペディキュアをさせてあげてから、ショッピングに出かけて服を買ってあげ、 食事に連れて行ってあげるという。 こうした家出少女達は、父親や母親の再婚相手に虐待されるなど、恵まれた境遇を味わったことが無いので、 そんな思いをすると 本当にピンプに恋をしてしまい、彼らに愛されたいと熱望するようになっていくという。
そして、そういう感情さえ抱かせれば、彼女らが逃げ出したり、稼ぎを隠したりという心配などせずに 楽に操れるようになるというのがピンプ達の言い分である。

ピンプ側は こうした手法が最も効果的な少女をちゃんと心得ていて、自分の好みではなく、自分が操れる少女を 拾っているという計算高さ。彼らはボーイフレンドを演じながらも、実はタレント・エージェンシーのような存在であるという。
ピンプが選ぶ典型的なタイプは、家を出て行くところが無いなど、自分と暮らして売春をするしか選択が無い少女。 ヴァージンではなく、既にセックスの経験がある少女が好ましく、精神的には自分に対するプライドが無いタイプが 扱い易く、 しかも忠誠心が強いという。
ピンプは複数の売春婦を抱えている場合が多いけれど、逮捕時の写真を見る限り、彼らは決してルックスが良い訳ではなく、 どちらかと言えばアベレージ以下。 それでも、彼らのために売春をするまでに少女達をマインド・コントロールしてしまう訳だけれど、 そのピンプのうちの1人が語っていたのが 「With the young girls, you promise them heaven, they'll follow you to hell (若い子達は 天国を約束してあげさえすれば、 地獄までついてくる。)」 というセンテンス。
でもこれは、若い子達だけでなく 一度男性を好きになってしまった女性の殆どに通用するセオリーであったりもするのだった。


私は、以前付き合っていたボーイフレンドが、私と交際中に別の女性とも関係していたことを本人の口から知らされたけれど、 彼曰く、 相手の女性が 彼が私と交際しているのを知っているにも関わらず、彼と付き合い続けていたのは 彼が タイミング良く ”結婚” をチラつかせて、 結婚願望が強かった その女性を 巧みにコントロールしていたからだという。

私の友達の中にも、ボーイフレンドと別れる度に 「君とはいつか結婚するつもりだったのに」、 「君とだったら子供を作っても良いかと思えるようになった」などと言われて、戻っていく女の子が居るけれど、 周囲が呆れるのをよそに、 彼女はよりを戻すたびに 「彼が結婚を考えていてくれるなんて、思ってもみなかった」、 「彼が子供がほしいなんて言ったのはこれが初めてなのよ」 と、彼の言葉に動かされたことを ノロケているのだった。
もちろん、口が悪い女友達は 「もう子供の切り札まで使っちゃったから、次は ”死んだら君に遺産を残す” とか言うのかしら?」と 冷めたリアクションを示していたけれど、相手が自分のことを好きだと分かっている ずる賢い男性で、特にその女性に対して深い愛情を抱いていない男性というのは、 巧みに女性心理を操ったり、あるいは 自分の機嫌が悪いときは冷たくし、ちょっとやりすぎたと思った時はやさしくするなどして、何の操作もせずに 女性の心理をかく乱しては 女性を繋ぎ止めるものなのである。


でも男性のこうしたコントロールが上手く機能するのは、相手が自分を好きな場合だけ。 そうでない場合は、策略が見え見えで逆に女性がうんざりするケースも多いのである。
例えば、私が 今週末に 女友達と話していたのが どうして男性はこちらが冷たくすると ”間違いテキスト(携帯メール)”を送って来るのだろうということ。
私の女友達はセーリング・クラブの男性、私はテニスのインストラクターに 夏の間からずっとデートに誘われていて、お互いに 相手は全く好みとはかけ離れた人物。 でも、彼女はセーリングのため、私はテニスのために 断り難くて困っていたところ、2人して 相手に嫌な思いをさせられて、 彼女は3週間前、私は2週間前に 彼らとの絶交を誓ったのだった。
そして、彼女と私がほぼタイミングを同じくして今週 男性側から受け取ったのが、間違いテキスト。 すなわち、私宛ではない携帯メールが私のところに届いたのである。 しかもそれは、他の女性クライアントに対するテニスのお誘い。このメールが果たして、私なんかが居なくても自分には別の女性が居るのを見せたいテニス・インストラクターの見栄なのか、 それとも、「メールが間違って私のところに届いたけれど・・・」と私にコンタクトさせたいのか、その意図はよく分からないけれど、 私は以前にも、ワイン・オークションで出会って以来 しつこくされていた男性からも 同じような間違いメールをもらっていたので、「また この手?」程度にしか思わなかったのだった。
私の友人も友人で、「預かっているものを5時に届けに行くから、もし都合が悪かったら連絡してほしい」という 別人宛のメールを セーリング・クラブの男性から受け取ったのだった。
ちなみに、彼女のセーリング・クラブの男性も 私のテニス・インストラクターも 使っている携帯端末機はブラックベリー。 ブラック・ベリーで間違った相手に携帯メールを送るなんて よほどボッとしているか、酔っ払っているか、さもなくば半分眠ってでもいない限り 不可能なこと。
なので、見え透いたフェイク・メールである可能性は極めて高いけれど、友人と私で不思議がっていたのは、 彼らが送った自分宛のメールにさえ返事をしない私達が、どうして自分宛でもないメールに返事をすると思っているのだろう? という点。
私の女友達曰く 「私のボーイフレンドもこのくらい単細胞だったら扱い易いのに・・・」とのことだったけれど、 もし本当にそうだったら、彼女は彼のことなど好きになっていないのも 明らかな事実。
結局のところ、だから恋愛というのは上手く行かないように出来ているのである。





Catch of the Week No. 4 Oct. : 10月 第 4 週


Catch of the Week No. 3 Oct. : 10月 第 3 週


Catch of the Week No. 2 Oct. : 10月 第 2 週


Catch of the Week No. 1 Oct. : 10月 第 1 週





執筆者プロフィール

秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。
丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、1989年渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。





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