Nov. 14 〜 Nov. 20 2005




1日100ドルで肌は若返ったか?



7月4週目の「1日100ドル、21日間で肌は若返るか? 」で、 クリーム・ドゥ・ラ・メールから登場した、市販の化粧品史上、最高額と言える 2100ドルのスキンケア・プロダクト、 「ジ・エッセンス」(写真左) についてご説明したけれど、今回のコラムでお届けするのは、その1日分が100ドルにあたるプロダクトを使って、 果たして私の肌が若返ったか?についての、可能な限り客観的なレポートである。

私が「ジ・エッセンス」を使い始めたのは、10月13日の木曜のこと。7月に購入したプロダクトの使用がこれだけ遅れたのは、 汗をかく季節に使用したくなかったのに加え、占い師を母に持つ私としては、「大切なプロジェクトは天中殺を避けてスタートする」ことにしており、 そうやって縁起をかついで日を選んだり、新しいスキンケア・プロダクトを試すのには適さない生理前を外しているうちに、すっかり使い始めるのが 遅れてしまったのである。
そうする間に、ラ・メールの担当者から、フィードバッグを求める電話や手紙が寄せられ、またこのコラムの読者の方からも 「早くその効果について知りたい」 というお問い合わせを多数頂戴しており、私としては義務感を背負って使い始めたのが「ジ・エッセンス」だったのである。

ジ・エッセンスは3本のアンプルを1週間に1本ずつ使い切る21日のトリートメントで、アンプルはラ・メール・グリーンと言えるくすんだ深緑であるけれど、 内側の液体はクリーム色で、セラムとしては比較的濃厚なテクスチャーである。 ラ・メールのプロダクトの中では、比較的香りが強い方だけれど、嫌な香りではなく、伸び易く、浸透し易いセラムである。
以前にも説明したとおり、ジ・エッセンスを使用している3週間は、朝晩の洗顔後に使用が許されているのは、同プロダクトとクリーム・ドゥ・ラ・メールだけで、 スキンケアとしては至ってシンプルであるけれど、長年の習慣というのは恐ろしいもので、どうしても洗顔後はトーナー(化粧水)とコットンに 手が伸びてしまうので、これらは直ぐに戸棚にしまっておくことになった。
私がジ・エッセンスについて、先ず不満を覚えたのは、プロダクトがスポイト一杯に吸い込んだ量が1回分としているにも関わらず、 なかなかスポイト一杯にセラムが吸い込めないことで、このせいで、プロダクトを使い切った今でも、果たして1回分がどの程度の分量であるのかは、 はっきり把握していなかったりする。しかも1週間分であるはずのアンプルは、3日〜4日を経過した時点で、中を覗きこむと殆ど入っていないように見え、 スポイトで何回掬い取ってもセラムが思うように出てこないので、毎週4日目、5日目はどうしても量を加減して使うことになり、 その結果、7日目になってみれば「セラムが若干余っている」というの状態の繰り返しになってしまったのである。
小型の原爆兵器のようにも見える、最新テクノロジーを駆使した 数百ドルもする容器ではあるものの、中身の量が確認できないというのは 使う側には本当に不便であったし、セラム自体もスポイトで吸い取るには濃厚過ぎる感じで、この濃度であったらポンプ・タイプのディスペンサーに するべきだというのが、私の意見である。

さて、プロダクトそのものの効果についてであるけれど、使い心地としては決して悪いものではないのは紛れもない事実である。 1日使い終った時点で、何となく肌がしっとりした感じがあったし、2日、3日と使い続けるうちに、顔色が明るくなった気がして、 肌の調子が上向いていることは十分自覚できるものだった。
とは言っても、私は1日8時間睡眠を実践し始めた時も、 同じような感触を味わっており、 ”「ジ・エッセンス」が持つ肌を眠らせる効果” というのは、実際に眠ることにより 1日100ドルも掛けること無しに 得られることも 同時に感じてしまったのだった。
いずれにしても、1週間目については肌の調子は良好で、何らかの効果は実感できるものだったけれど、 2週間目に入ると、肌が角質化してきて、マイルドなピーリングをしている時の剥け替わり段階のような状態になったため、 この時期はファンデーションのノリも悪く、2日に1回の割合でスクラブをしなければならない有様だった。 このスクラブも最初はラ・メールのリファイニング・フェイシャルを使ったけれど、同プロダクトだと、それほどキレイに剥けない割りに、 擦ると赤くなるので、結局は 日頃から愛用しているピーター・トーマス・ロスのストロベリー・スクラブに戻すことになってしまった。

ところで、この2週目後半頃から、非常に気になり始めたのが、目の周りの乾燥である。 そのため、目の周りは重点的にジ・エッセンスを使い、その後、クリーム・ドゥ・ラ・メールもたっぷり使い、日中でも目の下が乾いたと思う時は、 クリーム・ドゥ・ラ・メールの使用を続けていたけれど、7倍の拡大鏡でチェックすると、小じわが徐々に深くなってきているのが見て取れて、 この段階から鏡を見る度に 「アイクリームをつけたい!」症候群に駆られてしまうようになってしまった。
3週目に入ると、目の下のシワはさらに深くなるような感じがしたけれど、顔の剥け替わりについては一段落したようで、 皮膚は落ち着いてしっとりしてきたし、ジ・エッセンス使用中は、生理前でも顔に目立ったアクネは出来なかった。

結局のところ、私は 最後の1滴までを搾り出して 23日間でこのプロダクトを使い切ったけれど、 使用前、使用後で私の肌はどう変わったか? 先ずは 気になる目の下からチェックしてみると、写真右の通りである。
私はアート・メークをしているので、化粧をしたように見えるけれど、使用前、使用後の写真はどちらもノーメーク。 極力、同じライティングで撮影を試みたけれど、写真としては使用前の方が、若干暗く写っているのは見て分かる通り。 にも関わらず、目の下は使用前の方が色が薄く、肌のきめが細かく写っており、ジ・エッセンスは目の下については、 かなり無力なプロダクトであったことが見て取れるのである。
目の下というのは、ある意味で最も年齢を語るエリアであり、私は若い女の子には、「目尻ならボトックスが効くけれど、目の下には未だ特効薬がないから、 若いうちからケアを怠らないように・・・」と、アドバイスしているほど 目の下に気を配ってきており、 それだけに、目の下に効果をもたらさないプロダクトが「肌を若返らせる」と謳うことには非常に抵抗を感じてしまうのである。
だからその意味でジ・エッセンスは、期待外れのプロダクトであったと言わなければならないけれど、 その反面、目に見える効果と言えたのは 毛穴が小さくなったということ。
私はオイリー・スキンなので、以前から年齢と共に毛穴が開いてきた事が気になっていたけれど、 左の Before の写真で、ポツポツと目立つ毛穴は、Afterでかなり小さくなっているのである。 写真は実際よりも10%ほど拡大されたものであるけれど、7倍の拡大鏡を使って700%の状態で肌を毎日チェックしていた本人としては、 この違いを実感せざるを得ないのである。

肌のハリ、血色については、「凄く変わった」という変化はないけれど、ジ・エッセンスを使い始めて3週目が経過してからは、 日焼け止めにパウダーを叩いた状態で、ファンデーションをしていると思われたり、自分でもファンデーションを使ったと勘違いする 思いをしたほど、肌の表面は滑らかになっていたのも事実である。

それでも、これだけ高いプロダクトであるだけに、やはり納得できないのが目の下に出来たシワで、 ジ・エッセンスを使用した23日間が終わって、私が先ずしようと思ったのが、アイクリームをつけることであったけれど、 ふと気が付いてみると、私はジ・エッセンス使用前も 暫くアイクリームというものを使わずにいたのである。
その代わりに使っていたのは、私が通っているスパ、Re New (リ・ニュー)の ウルトラ・セラム(写真右)というプロダクトで、 これは本来は顔全体と首、デコルテにつけるもの。 ところが、ある日アイクリームを切らしてしまい、このウルトラ・セラムを目の周りにたっぷり付けて、その後からクリーム・ドゥ・ラ・メールを 多めに塗って眠る状態を5日ほど続けたところ、目の下の肌の調子が極めて良く、アイ・クリームの使用を止めて、 これを2ヶ月ほど続けるうちに コンシーラー要らずになってしまったのだった。
そこで、このプロダクトは母親にも送り、目の下に悩みを抱えている友人のためにも取り寄せてあげたけれど、 どちらも無くなる度に催促してきて、「残りが少なくなってくると、精神が落ち着かない」というほどにヤミツキになっていたりする。
このウルトラ・セラムは、肌の細胞と 同じ成分で作られており、肌に塗った途端に、 細胞がセラムを 本来肌に属しているべき栄養素だと察知して積極的に取り込むのだそうで、透明のセラムは付けた直後はベットリしているものの、 あっという間に浸透していくのである。

ジ・エッセンスが登場して以来、ビューティー業界では高額かつ、3週間前後の期間に集中的に行うスキンケアがどんどん登場するようになったけれど、 私が今回ジ・エッセンスを試してみて、現れた効果と共に、使って良かったと思っていることは、同プロダクトが こうした「高額&短気集中トリートメント」の 頂点であり、「打ち止め」的なプロダクトであるため、「これさえ使ってみればもう十分」と思える事である。
だから、私は中途半端なお金を出して、他のプロダクトを幾つも試してみるよりは、ジ・エッセンスの使用を薦めるけれど、 これに2100ドルの価値があったか?と言えば、答えは「No!」。でも馬鹿げた出費であったかと言えば、その答えも「No」である。
世の中には「Once a Enough (ワンス・ア・イナッフ)」、すなわち「一度やれば 十分」というものが沢山ある訳で、私にとってはこのジ・エッセンスはまさに 「Once a Enough」だったのである。
だから1度は使ってみたいものだし、1度であれば貴重な経験として 記憶に止めて 後悔はしないけれど、同時に「2度目は無い」ことも 言い切れるものなのである。

最後に、今回のジ・エッセンスのマーケティングで、「ラ・メールはしたたかだなぁ」と思うのは、 「ジ・エッセンスの使用を止めてからも、肌はその後3ヶ月間 徐々に若返りを続ける」と謳っている点で、 21日が終了した時点で、商品がジャッジされないように根回しがきちんとなされているのである。 しかも3ヶ月が経過する頃には、誰もがジ・エッセンスを使っていたこと、使い終わって損をしたと思った人は その気持ちを 徐々に忘れていく訳である。
でも、ジ・エッセンスの場合、お値段がお値段であるだけに、そのしたたかさを もってしても、コンスタントなリピーターを確保するのは やはり至難の業と言えると思う。


来週のこのコラムは、執筆者が旅行中のため、更新が1日遅れる場合があるかもしれません。 その場合、NY時間の月曜には必ずアップいたしますので、ご了承下さい。



Catch of the Week No.2 Nov. : 11月 第2週


Catch of the Week No.1 Nov. : 11月 第1週


Catch of the Week No.5 Oct. : 10月 第5週


Catch of the Week No.4 Oct. : 10月 第4週





執筆者プロフィール

秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。
丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、1989年渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.設立。以来、同社代表を務める。