Nov. 14 〜 Nov. 20 2011

” Gold Digger ”

今週のアメリカでは、ホワイト・ハウスに銃弾が打ち込まれたり、ジャステイン・ビーバーの子供を産んだと名乗り出た女性のウソが明らかになり、 訴えが取り下げられたニュースなどがメディアを賑わせていたけれど、 週半ばから またしても大きなニュースになっていたのが、オキュパイ・ウォール・ストリート。
今週木曜で、運動がスタートして2ヶ月目を迎えたオキュパイ・ウォール・ストリートは、この日に大々的なデモをウォール・ストリートと ブルックリン・ブリッジで企画していたけれど、その前日に清掃目的と称して、拠点にしていたズッコッティ・パークから 彼らを一斉に排除したのがNYPD(ニューヨーク市警察)。 この清掃作業をきっかけに、オキュパイ・ウォール・ストリートはズッコッティ・パークでのデモ活動は許可されても、 テントや寝袋を持ち込んで居座ることは禁じられることになったのだった。
でも、オキュパイ・ウォール・ストリートのテントを撤去する際には、 かなりの衝突があったようで、当初取材を許可しておきながら、途中から取材陣の立ち退き命じたNYPDに 不満を抱いたプレス関係者が取材を続けた結果、ニューヨーク・デイリー・ニュースを始めとするメジャー・メディアの取材陣までもが、オキュパイ・ウォール・ストリートの メンバーに混じって逮捕されるという異例の事態になっていたのだった。

でも、それよりも全米に大きなインパクトを与えたのは、同じ日に カリフォルニア大学デービス校で行なわれた平和的なデモに対して、 警察がペッパー・スプレーを吹きかけるという暴挙に出たという報道。(写真上右)
この様子のビデオ画像は、瞬く間にありとあらゆるメディアで報じられ、警察に対する人々の怒りを買ったのはもちろん、 デービス校内ではこれがきっかけで、それまでデモ活動への参加を躊躇していた学生達がこぞって ムーブメントに参加し始めており、ペッパー・スプレーを吹きかけた警官は既に左遷処分。
でも学生達の怒りは収まらず、学長の退陣を要求する運動に発展していることが伝えられているのだった。

ところで、昨今のアメリカではオキュパイ・ウォール・ストリートのムーブメント以来、デモではなくても 人々が公の場所に陣取って キャンプ状態になることを 「オキュパイ XXXX」というのが、ちょっとした流行語。
今週金曜日の午前零時に封切られた 映画「トワイライト・サガ:ブレーキング・ドーン」のプレミアの ために、前夜からキャンプ状態で行列していた人々のことは「オキュパイ・トワイライト」と報じられ、 今週土曜日に発売になった「ヴェルサーチ・フォーH&M」の売り出しに 前日から行列していた人々のことは、 「オキュパイ・ヴェルサーチ」などと言われていたのだった。


話は全く変わって、私には20代の男友達と女友達が居るけれど、同じ20代でも いろいろなレストランやシアター・イベントに行っていたり、持ち物にブランド物が見られるなど、 お金回りが良さそうな生活をしているのは、圧倒的に女性側。
今の20代というと下手をすると女性の方が男性より稼いでいるケースは少なくないとのことで、 この世代同士のデートは、付き合いが深まれば深まるほど、割り勘が少なくないのが実情なのだった。 でも20代女性の方が、20代男性よりも社会経験や、経済面で豊かな思いをしているケースが多いのは、 彼女らが往々にして自分より年上で、可処分所得が多い男性とデートや交際をしているため。
特に美人でスタイルが良く、ブロンドというルックスだったりすると、そのブランド物の持ち物の殆どが男性からのギフトである場合も 少なくないもの。 中には、ギフトやバケーションだけでなく、アパートのレントや、豊胸手術などの美容整形まで男性に支払ってもらう女性も居たりするけれど、 同じように美人で スタイルが良くても、男性からの実入りが多い女性と 少ない女性というのが存在するのは事実。 また 男性からの実入りが多い女性というのが、必ずしも絶世の美女とは限らないのも また事実なのだった。




金品目当てで男性とデートや交際をする女性のことは、英語で”ゴールド・ディッガー”と呼ぶけれど、 ゴールド・ディッガーにとってジャックポット(大当たり)と言えるのは、やはりメガ・リッチとの結婚。
たとえ離婚に終わっても慰謝料、扶養手当などで、よほどの贅沢をしない限りは、生涯働かなくても良いだけのお金が受け取れるケースもあって、 マイアミに住む私の親友の知人は、わずか2年間の結婚生活で 約10億円の慰謝料を離婚の際に受け取り、20代で 働かずしてマルチ・ミリオネアになってしまったのだった。
ちなみにその女性は、、ヴィクトリアズ・シークレットのカタログ・モデルをちょっと下品にしたようなルックス。彼女にそれだけの慰謝料を支払える夫は、 既に2回結婚に失敗していた50代の男性で、彼女には結婚前から「ゴールド・ディッガー」の評判が付き纏っていたものの、 男性は周囲のアドバイスに耳を貸さず結婚したとのこと。 それでもプリナプチャル・アグリーメント(婚前に結ぶ、離婚後の財産分与を取り決めた協約)にサインしていたので、 男性側は10億円を支払っても、それ以上の経済的ダメージは防ぐことが出来ているのだった。

”ゴールド・ディッガー”といえば、前述の説明の通り、通常は女性を指す言葉であるけれど、 昨今では 財産目当てに年上の女性とデートや交際をする、 ルックスが良くて 若い男性も出てきたので、 時に男性にも使われるようになったのがこの言葉。
”ゴールド・ディッガー”は決して褒め言葉ではないので、実際にゴールド・ディッガーであっても、ゴールド・ディッガーと言われるのを 拒む女性は多いし、男性とてゴールド・ディッガーとデートしているとか、ゴールド・ディッガーと結婚したと言われるのは不名誉なこと。
NYの不動産王、ドナルド・トランプは、2人目の妻、マーラ・メイプルも、現在の妻、メラニア夫人も、周囲から見れば 典型的な ゴールド・ディッガー。そう指摘を受けた彼は メラニア夫人が 彼と知り合った頃に、 スポーツ・イラストレーテッド誌のスイムウェア・イッシューのモデルをしていたことを例に挙げて、「モデルとしてかなり稼いでいたはず」 と、メラニア夫人がお金目当てで彼と付き合う必要が無いほどには稼いでいたことを強調して反論していたのだった。
とは言っても、女性側にそこそこの収入がある場合でも、相手の男性に もっとずっと財産があって、 ピュアな恋愛関係に見えないケースでは、女性がゴールド・ディッガーに見えてしまうのは当然のこと。 逆に財力に差があっても、男性がハンサムかつ魅力的で、年齢も相応なカップルの場合は、 女性がラッキーにも条件が揃った絶好の男性のハートを射止めたという印象になって、 ゴールド・ディッガーというイメージはそれほど抱かせないのだった。

ゴールド・ディッガーにはサクセスフルなタイプと、そうでないタイプがあるけれど、 サクセスフルなタイプのゴールド・ディッガーというのは、交際する男性の財力はマチマチでも、 確実に金品を得ていて、男性が渋々ではなく、 進んでそれを与えている場合が殆ど。 これに対して、サクセスフルでないタイプは、ディナーやシアターくらいは男性が支払ってくれるけれど、 往々にして物をねだった途端に 男性がコンタクトしてこなくなったり、ゴールド・ディッガーだと責められるのが常。
中には美貌が災いして、最初から 「ゴールド・ディッガーに違いない」 と男性に警戒感を抱かせている例もあるのだった。

私の友達でルックスが良い30代前半の女性は、まさにこのサクセスフルでないタイプのゴールド・ディッガー。
そんな彼女の長年の親友は、サクセスフルなゴールド・ディッガーで、今年の春先に 28歳年上のヘッジファンド・マネージャーと結婚したばかり。 その親友は、ウクライナ出身の二流モデルで、交際中から高額なプレゼントを受け取り、プライベート・ジェットでバケーションに同行するような 待遇を受けており、ソーシャライトやセレブリティが姿を見せるブラックタイ・パーティーにも 度々彼にエスコートされて出席していたという。
当然のことながら、その親友が羨ましくてたまらない私の友達は、自分と彼女を比較して 「私がゴールド・ディッガーになれないのは、ねだり方が下手だから」と常々言っていたのだった。
私の女友達は30代前半にして、 それまでの生涯で男性から贈られた最高額のギフトは2000ドルの腕時計。 それを買ってもらったのは彼女が27歳くらいの頃で、当時付き合っていた年上のボーイフレンドが 彼女がしていた腕時計があまりに安っぽくて、 友達に紹介する時に みっともないという理由で彼女に買い与えたのだそうで、特に彼女を喜ばせようとしたプレゼントという訳ではなかったのだった。

その女友達の周りには、親友以外にも何人かのゴールド・ディッガーが居るようで、そのうちの1人が数週間前に 彼女にレクチャーしたのが、「自分が欲しいものをストレートに男性に伝えて、それが得られないなら、もうその男性とは付き合わないと宣言する」 という手法。
過去にそこまで男性に対して強く出たことが無かった彼女は、「なるほど!」と、それを鵜呑みにしたようで、先ずは クリスマスに女友達と出かけようと思っていたメキシコ旅行のチケットを 過去3ヶ月デートしてきたそこそこにリッチな男性にねだったけれど、 彼はその場で 旅行の時期や行き先について質問してきただけで、話をそらしてしまい、その後は音信不通状態。
さらに彼女は 過去4年以上 別れたり、くっついたりを繰り返してきた男性に対しても、「ガールフレンドと称して、タダの娼婦みたいに扱われるのはもうまっぴらだから、 それなりの金銭的な見返りがない限り、もう付き合わない」と宣言して、胸がスッとしたのも束の間、 彼も全く連絡してこなくなったことをボヤイていたのだった。



私の個人的な意見では、サクセスフルなゴールド・ディッガーというのは、男性に財布を開かせるだけの魅力や技を備えているだけでなく、 財布を開くタイプの男性を引き付ける能力、もしくは嗅ぎ分ける本能というのを擁しているもの。 これらさえ備わっていれば、多少容姿が劣っても ゴールド・ディッガーとしてはかなりの成功率を収められると思うのだった。
そもそもサクセスフルなゴールド・ディッガーとて、相手の男性からは彼女が「自分のお金でショッピングをしようとしている」、 もしくは 「自分のお金で楽しい思いをしようとしている」というのが お見通しの場合が殆ど。 それでも、「思い通りにしてあげよう」とか、「騙されてあげよう」と男性に思わせるのがサクセスフルなゴールド・ディッガーであり、 そういう優しさや甘さを持ち合わせた男性を嗅ぎ分けたり、引き付けたりするのもまたサクセスフルなゴールド・ディッガーなのである。
もちろん中には、男性に「こんな美人は、ある程度貢がないと自分とはデートしてくれない」というような、気持ちを抱かせて 金品をむしり取っていくタイプも居るけれど、これは男性側がかなり夢中になっているケースでない限りは長続きしない関係。 男性というのは、おだてられた方が気前良く払う人も居れば、危機感を煽った方が支払いが良くなる人も居るけれど、 払ったお金に対して 男性に後悔の念を抱かせないのがサクセスフルなゴールド・ディッガーと言えるのだった。

逆に私の女友達の場合、美貌は備わっているけれど、 男性の財布を開かせるような会話術もなければ、男性が 彼女の喜ぶ顔が見たい一心で お金を使ってくれるようなオーラを出している訳でもないのだった。 また、彼女がデートする男性にしても、 往々にして 相手より自分が大切だと思っている身勝手なタイプ。 加えて、「自分は女性にお金を注ぎ込まなくても デート相手には困らない」というナルシスト的な部分もあって、 彼女が相手にしているのは、 そもそも人のためには さほどお金を使わない類の男性。
なので、 食事くらいは問題なく 毎回払ってくれても、それ以上は何処をどう叩いても出てこないし、 彼女が何かをねだれば、男性にゴールド・ディッガーだというレッテルを貼られてしまうだけ。
ゴールド・ディッガーというのは、本来は金鉱掘りのことだけれど 私の女友達の場合、 金が出ないところを ただ一生懸命に掘っているだけのように見えてしまうのだった。

結局のところ、ゴールド・ディッガーとしてのサクセスというのは、持っても生まれた魅力や才能に依る場合が多い訳だけれど、 それがあるか、無いかは自分ではさほど正確にジャッジできないのが実情。
私の観察と分析では、30歳までに男性から受け取った金品の合計(食事やシアター・チケットの支払い、花やチョコレートといった小額ギフトを除いたもの)が 100万円以上に達しない女性は、他人に金品を貢いでもらえる 才能が特に長けている訳ではないと判断できるのだった。
でも、その才能を持つ人というのは、人からむしり取ることは出来ても、自分の力で稼ぐ才能には恵まれていない場合が殆ど。 すなわち、自分で稼げる人というのは、他人から与えてもらえない人で、逆もまた真。自分で稼ぎ出した途端に、人から与えられなくなったという人も 非常に多いけれど、結局のところは「天は二物を与えない」ということなのだと思う。





執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。


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