Nov. 17 〜 Nov. 23 2003




スキャンダルの不思議


今週のメディアは、それまで話題になっていたパリス・ヒルトンのスキャンダルを押しのけて、 マイケル・ジャクソンの少年虐待のニュース1色になってしまった。
さすがにマイケル・ジャクソンほどのスーパースターの逮捕となると、 パリス・ヒルトンのセックス・ビデオの時はゴシップとして全く取り合わなかった ニューヨーク・タイムズのような一流メディアでさえも、 一面トップのカラー写真入りで報道する訳で、 現在これが世界中のメディアが注目する事件になっているのは ご承知のとおりである。
パリス・ヒルトンのスキャンダルが11月2週目に大きく取り沙汰された際に 企画が練られていた某報道番組は、より視聴率を稼ごうと ジョージ・W・ブッシュ大統領の特集時間を「パリス・ヒルトン、セックス・ビデオ事件」に 切り替えたと言われるけれど、その企画は今週に入って急遽マイケル・ジャクソンの少年虐待事件に 変更されて放映されることになった。
すなわちアメリカではジョージ・ブッシュより、パリス・ヒルトンのセックス・ビデオの方が 人々の関心が高く、パリス・ヒルトンよりマイケル・ジャクソンの方が、 当然といえば当然だけれど、一般大衆もメディアも興味を示すことが立証されたことになる。
昨今「ピープル」誌の発行部数を急ピッチで追い上げている芸能誌「USマガジン」は 今週号でパリス・ヒルトンをカバー・ストーリーにして、今回のスキャンダルの 彼女側の言い分を掲載しているけれど、マイケル・ジャクソンの事件が浮上してからは、 もうそんな記事が色褪せて見えるし、彼女のスキャンダル発覚以降、毎日のように パリス・ヒルトンのどんなに小さな動向でも記事にしていたニューヨーク・ポスト紙でさえ、 マイケルの事件以降は、パリス報道はゼロ。その代わりに 毎日のようにマイケルの写真がカラーで表紙を飾り、その記事が2〜4ページに渡って 大フィーチャーされている。
これによってパリス・ヒルトンがホッとしているか、それとも新しいネタが出て来て 突然そっちのけにされたことを「メディアに利用された」と思うかは、本人のみぞ知るといったところだけれど、 やはりスキャンダルやそれを報道する規模というのは、本人がセレブリティとして どれだけの功績を残してきたかに比例することは、いくつかのメディアで指摘されていることである。
しかし私が今、不思議に思っていることは、 マイケル・ジャクソンが支払った保釈金300万ドル(約3億3000万円)と、 コビー・ブライアントがレイプ容疑で支払った保釈金2万5000ドル(約275万)の違いである。
前者は少年虐待の容疑であるけれど、その正式な起訴内容はサンクスギビングの休暇明けまで 発表されないことになっている。 後者のコビー・ブライアントは現在裁判が進行中のレイプ事件であるけれど、 コロラドのホテルのコンシアージュの女性(19歳)を、最初は合意の上で部屋に誘ったものの、 途中でセックスを拒む彼女の首を押さえつけてレイプに及んだという容疑で、 どちらも本当に起こったのであれば、立派な重犯罪であるし、被害者の肉体的、精神的ダメージは 計り知れないものがあると思う。
でもどうして19歳の女性をレイプした容疑の保釈金が275万円で、13歳の少年を虐待した容疑の保釈金が 3億3000万円なのかは、女性の立場からすると何となく釈然としない思いがしてしまうのである。
また同じく釈然としないのは、13歳の少年の親が、 「自分の息子はマイケル・ジャクソンに虐待された」と言って警察に行くと、 家宅捜索の末、逮捕に及ぶのに、 何故「アーノルド・シュワルツネッガーに性的嫌がらせをされた」という女性が 10人以上現れて、アーノルド本人も一部それを認めているにも関わらず、 逮捕されたり、事情聴取を受けることもなく、彼が州知事に当選してしまうようなことが起こってしまうのだろう? という事である。
要するにマイケル・ジャクソンも、パリス・ヒルトンも 余計な事件やスキャンダルに巻き込まれたくなかったら、 共和党候補者として選挙に立候補するべきということなのだろう。



眠れぬ夜の過ごし方…

最近、友達と話していて気がつくのは、いかに夜眠れなくて困っている人が多いかということ。
私は「眠れない時って、どうしてる?」と訊かれると必ず「眠れない時は寝ない」と答えているけれど、 実際、眠れない時にどうして寝なければいけないのか?、そのコンセプトがそれほど理解できなかったりする。 もちろん多くの人にとっては「寝ておかないと、翌日がキツイ」から、 「寝る時間になったら、ちゃんと寝ないと…」ということになるのだろうけれど、 私にとって眠れない時に寝ようとするのは、お腹が一杯なのにものを食べようとするするのと同じ事で、 身体が欲していない時に、身体に何かをさせようというのは 無理強いをしているような気さえしてしまうのである。
私の場合、夜遅くても 目が冴えていれば仕事をしたり、部屋を片付けたり、翌日の仕事や外出の準備をして、 そうすることによって翌日のスケジュールが楽になるようにしていて、 身体が疲れていて そういった事がしたくない時は、瞑想と称して考え事をしたり、何も考えないないでボッとするようにしているけれど、 そういう時間が自分にはとても大切だと思っている。
だから、夜中に眠らず、何をするでもなく、ボッとしていても、 それは「眠れない」のではなくて、「自分にとって貴重な時間を過ごしている」と考えているから、 「寝たいのに眠れない」と焦っている人とは、精神的にまったく異なる状態であったりする。
子供を生んだ私の友人に言わせれば、そういった「何もしないで、自分を取り戻せる時間」というのが 彼女が最も欲するものだそうで、子供が生まれてからは、忙しい上に、夜は睡魔に襲われるので 一息つく時間が全然なくなってしまったという。 だから彼女は「5分で言いから、ボッとして、お茶の1杯でも1人で静かに味わえたら、 ストレスなんて吹っ飛んでしまうのに…」とよく私にボヤいているけれど、 私自身にしても、もし夜にボッとしたり、考えを整理する時間がなかったら、毎週毎週このコラムに書くネタを 思いつくこともなければ、それに関連した自分の周りで起こった出来事を思い出したりすることもないだろうとさえ思っている。
それほど私にとって、夜のゆっくりした時間というのは大切なものだったりするけれど、 そうで無い時は、逆に何かを夢中にやっていて、気がついたら朝の5時だったということも少なくない訳で、 8時45分の起床を心掛ける私としては、とんでもなく睡眠時間が減ってしまうことになる。 それでも夜更かしをしただけの成果や、収穫があった場合は、睡眠時間が短くても精神的には満足している場合が多く、 そういう時は短くても効率の良い睡眠が取れるとさえ思っている。
私はそもそも若い頃からあまり寝ないタイプだったので、今でも午前4時過ぎを指した時計を見て 「あと4時間も寝られる!」と思ってベッドに入ることは多いけれど、同じジムでワークアウトしているドクターによれば、 そういうポジティブな考えは、睡眠被害妄想にならなくて良いのだそうである。 睡眠被害妄想とは「こんな事で時間を取られたせいで、6時間しか寝られない!」と ストレスを溜めることだそうで、睡眠時間の少ない自分を犠牲者、被害者だと思い込む傾向のこと。 これに陥ると、いつも「…のせいで眠れない」、「さっき眠りかけたのに、 XXXに邪魔されたせいで眠れない」といろんな事にイライラさせられて、 さらに眠れなくなったり、浅い睡眠しか取れなくなるようである。

私の知人の中には「夜眠れないと本を読む」人も多いように思うけれど、 逆の視点から言えば「夜眠れない人は本を読む」傾向はあると思う。
本を読む人は、それが面白いと逆に読みふけってしまって 眠れなくなってしまうので、 ベッドサイドにはわざと退屈な本を置くという工夫をするようだけれど、結局のところ その退屈な本を読み続けることになるから、益々眠れないのが辛いという結果になるという。
私は、数週間前のこのコーナーにも書いたけれど、実は本を読むのが嫌いなこともあって、 「本を読むくらいなら、寝たほうがマシ」と考えるので、寝る前の読書など心掛けた事はないけれど、 寝る前に必ずしているのが「お祈り」である。これは宗教的なものではなく、 自分のガーディアン・エンジェル(いわゆる守護神)になってくれているご先祖様にお礼とお願い事をするというもので、 毎日寝る前には欠かさず行っているものである。
これを私の友人に話したところ、「そういう寝る前のルーティーンが確立されている人は、 それをすると眠たくなるから不眠症にならないみたい」と言われたけれど、 私の場合は、眠たくなってからしかベッドに入らないので、その睡魔に襲われた状態で お祈りをするのはかなり大変な行事であったりする。しかも私は変な所だけ完全主義者で、 特に「お礼や頼み事をする時にいい加減であってはならない」と考えているので、 途中でうたた寝をしては、意識を取り戻して 最初からきちんとやり直そうとするので、 「お祈り」が入眠剤になるどころか、眠たい自分に鞭打って 起こしながら行うという、 睡眠の妨げになる場合も多いのである。

さて、周囲には「信じられない」と言われるけれど、昨今の私にとって 効果覿面の入眠剤になっているのは、ハリウッド版で製作された「ザ・リング」(ナオミ・ワッツ主演, 写真右)である。 この映画は 劇場では見ていなくて、最初に観る機会があったのは、前回日本に一時帰国した時の 飛行機の中だった。その際は5回くらい観ようと試みたけれどでも、全て途中で寝てしまったり、 目を覚ますと話が進んでいて前後関係が分からない状態だから、また眠ってしまい、結局断片しか観る事が出来なかった。
でも、私は飛行機の中ではとにかく寝る主義なので、きっと飛行機から降りればきちんと見られるものとばかり思い込んでいたけれど、 1ヶ月ほど前からケーブル局での放映がスタートして、自宅のTVで観ても結果は同じなのである。 これまでに既に5〜6回最初から最後まで観ようと試みているけれど、必ず途中で寝てしまうことになる。
これを話すと、かなりビックリされて「一体映画のどこで寝るの?」と訊かれるけれど、 寝たシーンなど思い出せるくらいなら起きている訳で、何処で寝てしまったかをチェックしようと思って、 再度「ザ・リング」を観た時には、起きてみたらTVがついたまま朝になっていた事もあった。 だから私は未だに、どうして映画の中で黒い馬が海に落ちていったかも知らなければ、 どうしてナオミ・ワッツ扮する主人公が、モーガンという人を訪ねて島らしきところに出かけて行ったかも分かっていない。
でも、確かめようと思うと必ず寝てしまうので、 「リング」は、眠っても良い状況の時でないと 観ないことにしてしまった。 ことに仕事が山積している夜に、あの映画を観て寝てしまうことを考えると、 本当に心から恐ろしくなってしまうのである。
だから私にとっての「ザ・リング」は、 「仕事を抱えている夜のホラー映画」と呼べるものかもしれない。




Catch of the Week No.3 Nov. : 11月 第3週


Catch of the Week No.2 Nov. : 11月 第2週


Catch of the Week No.1 Nov. : 11月 第1週


Catch of the Week No.4 Oct. : 10月 第4週